第72期B級2組順位戦

井上慶太、中田宏樹がB1から落ちてきて、稲葉陽と村山慈明がC1から上がってきたB2。

平均段位は7.5段。年齢は41.4歳。

ここにくると6段ということを考えると、また近年のB2昇級者の年齢を思うと平均段位も年齢もやや高め。20代半ばから後半でこのクラスだと出世頭で、30代半ばまでにB1に上がると・・・という展開イメージがある。

段位の幅が少ない(昇段で六段、平均で7.5段)ので、全勝であがる・・・ということはない激戦区。

降級点もちは4名。保有者?の段位平均は8段、年齢は50歳。

生存競争が激しい韓国社会のサラリーマンの厳しさ・・・が将棋連盟における順位戦に感じるところですね。日本のサラリーマン社会はまだぬるいかもしれない。あるいはここまでそのうち行くんでしょうね、と日々順位戦の基本データをみて思うところです。。

以下、本日のメニューになります。

B級2組1回戦
【東京】
▲中田 宏樹八段-△島 朗九段
▲飯島 栄治七段-△北浜 健介八段
▲佐藤 天彦七段-△堀口 一史座七段
△窪田 義行六段-▲戸辺 誠六段
△青野 照市九段-▲田村 康介七段
△野月 浩貴七段-▲先崎 学八段
▲杉本 昌隆七段-△泉 正樹七段

【大阪】
△井上 慶太九段-▲豊川 孝弘七段
▲阿部 隆八段-△村山 慈明六段
▲森下 卓九段-△南 芳一九段
▲畠山 成幸七段-△中川 大輔八段
▲中村 修九段-△稲葉 陽六段

シェフのお勧めは…全てですが、個人的な好みでいうと・・・

「▲飯島 栄治七段-△北浜 健介八段 ~両者得意の相掛かり、後手暴れんぼう風味~」
「△野月 浩貴七段-▲先崎 学八段 ~先手の気まぐれ力戦、泥沼風~」
「△窪田 義行六段-▲戸辺 誠六段 ~相振り飛車のジビエフルコース~」
「▲阿部 隆八段-△村山 慈明六段 ~横歩取り懐石~」
「▲中村 修九段-△稲葉 陽六段 ~ウケる中年、後手の切れ味ソース添え~」

あたりですね。

本当の注目局は
「△青野 照市九段-▲田村 康介七段 ~先手居玉速攻、トルイチ継ぎ歩風~」
なんですけどね。

この日は先日のC2よりも居飛車党同士の対戦というか、戦型的に相居飛車率が高い印象で、居飛車党の将棋観戦ファンにはたまらないものがあるのではないでしょうか。

横歩取りもありますが、戦型バランスもとれていて、矢倉・角換わり、それぞれに楽しめます。

今ちょうどお昼休みなんですが、先崎学プロが先手で▲3六歩とやっていてですね、これはいいなと思いました。なんと言っても米長泥沼流のお弟子さんですからね。腕力の強さも依然健在。最近も順位戦で若手の阿久津をフットバス・・・じゃなくて吹っ飛ばす活躍があったりとか。

是非、泥沼流の正当な継承者としてたまにはこういう将棋を見せてほしいですね。

(ここまで昼食休憩の感想)。

以下翌朝みた結果とその簡単な感想です。

中田 宏樹八段(1勝0敗)○-●島 朗九段(0勝1敗)
ここは昼食時には上部開拓できるかどうか?と思っていましたが結局それが叶わず。

佐藤 天彦七段(1勝0敗)○-●堀口 一史座七段(0勝1敗)
矢倉の先手らしい強烈な攻めがひたすら続いて、後手の攻めのターンは回って来ませんでした。


先崎 学八段(1勝0敗)○-●野月 浩貴七段(0勝1敗)
これは先崎さんの完勝。見落としが後手の野月プロにあったのか、分かりやすい十字飛車の筋があって粘れずとみて投了。


豊川 孝弘七段(1勝0敗)○-●井上 慶太九段(0勝1敗)
角換わり調から後手がそれを回避したのをみて先手が四間飛車というか右玉で攻勢を取る形に。個人的には相当好きな先手の対応でここも先手圧勝。ここまで4つ、先手の圧勝ターンが続きます。


畠山 成幸七段(0勝1敗)●-○中川 大輔八段(1勝0敗)
後手の中川先生が得意の右四間で勝利。これもアマが参考になるかもしれない将棋ですね。はじめて後手がプレイク。


戸辺 誠六段(1勝0敗)○-●窪田 義行六段(0勝1敗)
シンプルに美濃に囲った先手と少し欲張った後手という図から戦いが始まってみると後手陣をまとめきるのが難しかった、という感じ。後手玉の一騎当千な動きは眼を見張るものがありますが多勢に無勢でしたw

田村 康介七段(0勝1敗)●-○青野 照市九段(1勝0敗)
ここは嬉しいですね。あの十字飛車の筋がでた早繰銀で後手勝利というのは。先手の攻めの銀が後退して後手がと金を作ったあたりではもしかして・・・と思っていましたが序盤万全の指し回しでした。青野先生ファンとしては最高ですね。


杉本 昌隆七段(0勝1敗)●-○泉 正樹七段(1勝0敗)
角交換四間飛車からの振り飛車穴熊。いわゆるレグスペになるんでしょうか。後手の泉プロは落ち着いた指し回し。穴熊に食いつかれたかな?と思ったのですが、自陣飛車の味が良く、そこでは受けきっていたようです。


飯島 栄治七段(0勝1敗)●-○北浜 健介八段(1勝0敗)
相掛かりの名手同士の対戦。派手な中盤戦で龍を作った後手が良くなったのでしょうか。先手の7七金の形が古風な味わいでしたが、後手の北浜プロがらしい猛攻でした。

以下、ちょっと時間がないのでとりあえず結果だけ。あとで追記するかもしれません。


中村 修九段(0勝1敗)●-○稲葉 陽六段(1勝0敗)
これは中村先生惜しかったですね~。
ジリジリ苦しい将棋で飛車封印したあたりでは追いついて、最後もらしさ全開だったのに受けすぎたか…

森下 卓九段(1勝0敗)○-●南 芳一九段(0勝1敗)


阿部 隆八段(0勝1敗)●-○村山 慈明六段(1勝0敗)
これも凄い将棋でした。ジメイ選手更にパワーアップしてるな~と思わせるこの日一番の熱戦だったかもしれません。先手が良い局面もありましたが、そこから後手があれやこれやで捲りました。今期のジメイは期待出来そうです。

夕食のハンバーグが効いたんじゃないかなと思います( ^ω^ )



先崎さん圧勝でしたね!

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内容紹介
私は声を発した。
「詰んでただろ」
木村がきっと私を睨んだ。
「どこでですか」
「香を取るところ」
しばし木村の目が泳いだ。「どこですか」。
投了直後で興奮しており、図が頭の中で作れないのだ。
私はていねいに、先の変化を説明した。ふたりは同時に悲鳴のような声を出した。
(本文より)

特別な才能を持った選ばれた人間が、強いプレッシャーと戦い続けながら一手一手に魂を込め続ける棋士たちの日常。
高度な技術と強い執念がないまぜになった対局室には、今日も新しいドラマが生まれる。
先崎学が将棋そのものというテーマに真正面から挑んだ「千駄ヶ谷市場」シリーズ、ついに最終巻。

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藤井猛、鮮やかな勝利で一期でのB1復帰!&豊島将之深夜の逆転劇!第71期B級2組順位戦

まずは結果から。

阿部 隆八段(5勝4敗)○-●田村 康介六段(3勝6敗)
堀口 一史座七段(3勝6敗)●-○佐藤 天彦七段(7勝2敗)
島 朗九段(4勝5敗)●-○神谷 広志七段(2勝7敗)
野月 浩貴七段(3勝6敗)●-○豊川 孝弘七段(3勝6敗)
畠山 成幸七段(4勝5敗)●-○窪田 義行六段(7勝2敗)
中川 大輔八段(3勝6敗)○-●中村 修九段(3勝6敗)
泉 正樹七段(3勝6敗)○-●南 芳一九段(3勝6敗)
藤井 猛九段(8勝1敗)○-●森下 卓九段(4勝5敗)
安用寺 孝功六段(5勝4敗)●-○青野 照市九段(4勝5敗)
戸辺 誠六段(6勝3敗)○-●杉本 昌隆七段(4勝5敗)
先崎 学八段(4勝5敗)○-●飯島 栄治七段(7勝2敗)
北浜 健介七段(5勝4敗)●-○豊島 将之七段(8勝1敗)

結果だけみると、昇級争いをしている上位陣がまんべんなく勝った日だったが、まずは先崎学プロが、らしい将棋で飯島栄治プロを破ったのが大きい。この将棋は先崎学プロらしさがよく出た良い将棋だった。最新型には多少疎いかもしれないが、こういう将棋であれば元祖天才の才能が発揮される、ということだ。

この勝利の結果、先に勝っていた藤井猛プロの一期での昇級が決まった。

一期でB1復帰を決めた藤井猛プロの将棋が素晴らしかった。藤井猛といえば藤井システムだが、あの作戦が炸裂した時の淀みのない、無駄のない完璧な手順が本局でも繰り出された。▲8九銀からの手順は一手のムダもなくあの瞬間から後手玉が詰ましあげられるまで、魅了されっぱなしだった。本当に良い将棋で昇級を決めた。

千日手指し直し局で、最後の最後まで粘っていた豊島将之に奇跡が起きていた。苦しい戦いだったはずだが、入玉か詰ますかの選択で詰将棋の名手故に入玉方面ではなく詰ます方向に北浜が進めた、ということなのだろうか、最後は入玉できなかった玉が詰まされてしまった。

結果の順位としては以下のとおり。


【8勝1敗】藤井(1)、豊島(22)
【7勝2敗】飯島(5)、窪田(15)、佐藤天(21)
【6勝3敗】戸辺(4)
【5勝4敗】北浜(3)、阿部隆(13)、安用寺(20)
【4勝5敗】島(7)、畠山成(8)、森下(11)、杉本(12)、先崎(16)、青野(24*)
【3勝6敗】中村修(2)、中川(6)、堀口(9)、野月(10)、南(14)、泉(17)、田村(18)、豊川(19)
【2勝7敗】神谷(23*)

それにしても、新藤井システムともいうべき振り飛車を新たに生み出してその作戦とともにB1に舞い戻るとか、藤井猛先生、かっこよすぎだろ…ほれてまうやろ~w


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次世代を担うもの、広瀬章人B1へ 第70期B級2組順位戦

対戦表はコチラ

二番手が二敗ということでのラス前昇級となった広瀬章人。その終盤の切れ味は、得意戦法の穴熊と相まって射程距離の違いを魅せつける。

優れた才能の選りすぐりであるプロ集団においても圧倒的に秀でた終盤力。それが広瀬章人の魅力だ。

その反面、序盤戦術においてはやや難がある方だと思う。あらゆる戦型を使いこなしているようにも見えるし、失礼な書き方になるがある意味鷹揚さがあるがゆえのオールマイティーとも言える。

ちょっと出遅れるぐらいでついていって終盤で一気に捲る、というタイプのようで後手番のほうが勝率が高い、というプロにおいてはかなり珍しい戦績であることでも有名だ。

先手となった広瀬vs南戦では、南の右玉的な陽動振り飛車に対して、トーチカに組み上げた。プロで流行する前から、アマチュアでは指されていた戦型である。

手順のアヤで穴熊には組みにくくなったが同じような堅さを得られる。ただし、角の組み換えというか、銀の位置移動の不自然さがあるために、中盤が難しくなる将棋だと思う。

そこを突かれて、完全型になった後手の南が仕掛ける。上手く行ったように見えたが、広瀬の切り返しが絶妙だった。馬を作ったところでは広瀬章人の昇段が近づいた瞬間だろうか。

広瀬章人の将棋を見るときには、是非その角の動きに注目してほしい。この角の運用に秀でていることが、広瀬章人の終盤の切れ味を増している理由だからだ。

細かな角や馬の動きはロングシュートや、直接フリーキックでのゴールを狙うワールドクラスのストライカーのようにも見える。

本局では、角が活躍したのは序盤から中盤だったが、その特徴が現れているので是非有料中継にて確認して欲しい。広瀬章人は次世代を担う天才であることが示されているはずだ。



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この浅川書房のシリーズは分量の豊富さと次の一手形式での読みやすさがオススメのポイント。

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Tag : 南芳一 広瀬章人 トーチカ 陽動振り飛車

第70期B級2組5回戦


島朗が敗れて全勝者が広瀬章人だけになった10月7日の対局について。


田村康介vs広瀬章人

先手の石田流に後手が1筋の位取りからの居飛車穴熊。左側での等価交換では勝機がないと観た先手が端から攻めるがややありがたい展開で後手の広瀬章人が全勝を守った。将棋としてはやや雑な印象をもつ内容だった。


飯島栄治vs島朗
天才島朗が震災地の復興祈願を背負って、二走目でやや奮わない飯島栄治を迎え撃つ。一手損の最近主流の序盤から後手の右四間に。40手目ぐらいまでの展開は後手としては良い部類に入るだろう。

焦らない先手の指し回しで、後手は最近よく見かけるようになった、チェスでいうところの引き分け狙い的な上手風味の展開に。要は普通に開戦のチャンスがないため、先手に攻めてもらってのキャンセル待ちに近い。

こういうじっくりした展開は飯島の得意とするところで中盤からは完勝ではないか。


戸辺誠vs先崎学
千日手後、先手の石田流に後手の左美濃。この左美濃が強敵と見ていたが、この日の戸辺誠による戸辺攻めは素晴らしかった。後手の先崎プロがらしいといえばらしい、危険な受けを選択したために、投了図は先手の圧勝。

こういうのがあるので現実主義な私は二手目に△8四歩とするのだった(苦笑)。


阿部隆vs畠山成幸
ここ数年、感想戦が温厚になったという噂の阿部隆プロだが成績不調とリンクしているようでもあり、少し心配だ。

中座飛車の最新型で、後手中住まい+中原囲い、先手中原囲いの相中原囲い。

阿部に新手が出たが結果的には一手パスのような感じで後手の攻めが炸裂した。

燃料の歩を全部使い尽くしたところでピッタリ飛車桂の両取りが掛かった後は後手がよさそうだ。



森下卓vs神谷広志
千日手で先後入れ替わっての対局。

ゴキゲン中飛車から44と46で銀が見合いになってからの相穴熊に。正直この形というか相穴熊に興味がないのだが、大駒が全部先手にいき、その代わりに小駒が後手に溜まった局面の形勢判断が難しく、面白かった。

穴熊の堅さと脆さの両方を実感させられる展開で、私は好まないものの、将棋の奥深さの一端を担っている戦型であることは理解した。

+++++++++++++++++++++++++++

B2の面々の年齢をみると、少し、驚く。なかでも驚いたのが泉正樹プロがもう50歳になっていたことだ。20代は戸辺誠広瀬章人だけということにも驚く。この二人はやがて上にあがるはずだから、20代の数は一向に増える感じではない。



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将棋世界には、失冠後、自室に戻って泣いたと書いてました。ただしタイトル獲得の歓びを知ってしまったので、より良い意味で貪欲に精進していくのでしょうね。

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Tag : 広瀬章人 島朗 戸辺誠 畠山成幸 森下卓 阿部隆

全勝は二人 B級2組4回戦

結果は以下の通り。

中川大輔八段(2勝2敗)●-○飯塚祐紀七段(2勝2敗)…21時10分
相掛かり系力戦の雄といえば、西の山崎隆之か東の中川大輔か、というところ。後手の飯塚プロといえば、棒銀大好きな鋭い攻め将棋。

この相掛かりは私が大好きな形なのだが、最近復活モードでよく登場する。先手の攻めのバリエーションが大体出尽くしたので、後手としても受け甲斐のある戦型で、先手としても主導権を握って戦えるので攻めは細いが気分は良い。特に長い時間があれば読みきれるだろう、というところか。

54手目の△3三銀打ちが驚きの一手。こう指すようだと辛いものだと思ったが…。

一本道の展開となり、先手の攻めが刺さってそうだったが、63手目の銀打ちぐらいからちょっと違和感があるかもしれない。してみると、3三に銀を打った手が良かったのかもしれない、という展開になり、そのまま後手が勝った。


南芳一九段(2勝2敗)●-○窪田義行六段(2勝2敗)…21時26分
後手の藤井システム。今時これを使っているのは窪田義行だけだろう。というかこれで勝っているのは。本局の工夫がどこにあったのか?と観てみると、単に相居飛車だった。一手損からの山崎隆之がやるような思想で、相居飛車だとすると先手の玉形は悪いし、ちょっと先手の駒が固まりすぎて戦力不足。

藤井システムに決め打ちしすぎたというか、右四間の強さを再認識した。


田村康介六段(2勝2敗)○-●飯島栄治七段(1勝3敗)…21時29分
今期は振り飛車で通すという田村康介と、戸辺誠と同様に昇級候補に挙げられていたが苦戦中の飯島栄治の対戦。飯島は調子がわるいのだろうか、今期は取りこぼしが目立つきがする。

この将棋は相振り飛車となり、相金無双。金無双という囲いのいけていないところが全面に出た将棋だった。序盤の後手の先攻もそうだし、後手陣が6三歩一発で崩壊するとか壁銀のせいだし、本当に恐ろしい囲いだと思う。



神谷広志七段(1勝3敗)●-○泉正樹七段(3勝1敗)…22時29分
神谷プロの中飛車に謎の作戦。ちょっと対振り飛車右玉的な。しかしあっさり咎められたような気がする。。というところから、凄い展開が待っていた。恐らく研究なのだろう。
これは対振り飛車右玉の次のレパートリーとして持っておきたいところなので個人的には研究したいw

早指し将棋ではドハマリしてくれるのではないか。再現性に乏しい気もするが…。

両者の持ち味がでまくった将棋で、野獣流の豪快さ、引っ張り込む受けの神谷、相乗効果でド派手な展開。72手目の銀のほおりこみが凄いのだが、本譜の順をとりたい人情(王手飛車はやばそうなので)。しかしあっというまに先手玉がよってしまった。

逃げて王手飛車も持たなそうなところをみると、やはり序盤の作戦が炸裂していたのだろう。この将棋は必見。面白いです。


広瀬章人王位(4勝0敗)○-●野月浩貴七段(2勝2敗)…22時56分
広瀬穴熊と鋭い攻めの野月プロの戦い。誘いの一手から咎めようとした桂馬が逆に大活躍する展開となり、あまり居飛車に良い所がなかった。最後ははっきり穴熊の遠さが生きた。


北浜健介七段(3勝1敗)○-●青野照市九段(1勝3敗)…23時4分
攻めっけの強さでは当代一二を争う北浜健介が、作戦巧者、序盤の大家に作戦勝ちした一局。これは序盤のじっくりとしたやりとりにおいて先手がかなり得をしたようにみえる。
私も一手損を指すが、この飛車を振った後に玉を左に囲う将棋はあまり好きではない。



安用寺孝功六段(1勝3敗)●-○桐山清澄九段(2勝2敗)…23時29分☆
序盤早々の開戦から、後手が上手く振舞って5筋位取りに。こういう将棋の経験値の違いで常に居飛車が圧倒していたように思う。

居飛車で抑えこみをはかる将棋を高めたい人は並べるべき一局。私は並べます。



島朗九段(4勝0敗)○-●豊川孝弘七段(2勝2敗)…0時5分
今期昇級まちがいなし、と思われる島朗プロの完勝譜。センスの高さが全面に出ているのでこれも並べたい。正座して真剣に島朗汁を棋譜から抽出することが出来れば、私のイモ筋も少しはまともになるんじゃないかと思う。

この将棋は序盤がまず見どころ。急戦するぞするぞと見せて後手がそれに備えたのをみて、同型的な手順で先手の利得を主張する。先手だけ玉を囲い先制し、後手の手に乗ってB面攻撃。

「プロの将棋はどこまで行っても一手勝ち」とよく言うことだが、その一手の利得を最大限に活かした将棋で、必ず先手の攻めが一歩先んじていた。最後までよどみなく寄せて完勝。今期の島朗は相当走るとみた。他棋戦でも挑戦トーナメントの上位に顔を出しそうな気がするので、あとで各棋戦のトーナメント表をみてみる。



森下卓九段(3勝1敗)○-●阿部隆八段(1勝3敗)…0時24分☆
居飛車の大家同士の対戦。中座飛車から殴り合いになり、相当荒い将棋だなあとみていた(先手が負けるとみていた)ら、先手が勝ちだった…。


畠山成幸七段(3勝1敗)●-○杉本昌隆七段(2勝2敗)…0時31分☆
全勝がかかっていただけに、途中まで有利だったようにみえただけに残念だが、最後はかなり一方的に振り飛車の勝利だった。


先崎学八段(2勝2敗)○-●田中寅彦九段(0勝4敗)…1時1分
この将棋も相当面白い。両者の味が存分に発揮されている。序盤のエジソンらしい序盤、急ぎすぎる攻め、そこからようやく目を覚ます先崎プロ。怪しい▲2八歩。先崎プロのああいう歩は本当に百戦錬磨の手だと思う。


戸辺誠六段(1勝3敗)○-●堀口一史座七段(2勝2敗)…1時24分
戦前は昇級候補にも挙げられていたはずの戸辺誠の不振が意外だが、順位戦に限らず今期は勝ち星が少ない。ただし、当たっている面子と負けている面子をみれば仕方ない気もする。先手番が指し分け程度、後手番で3-7ぐらい、という成績だった。

ぱっと見た感じでは3七銀戦法のせいではないかと思う。

二度千日手となり再度得た先手番では、早石田。相当に乱戦になる戦型を選びノータイム指し。流石にこのタイミングでこれをノータイム指しされると、研究の行き届いていない居飛車党側としては辛い。四〇手台の圧勝だった。

この将棋で吹っ切れて、持ち前のメカニカルな指し回しをまた見せてくれるのではないか?というきがした。(こういう派手な将棋ではなく、従来の指し方で)。

とはいえ、こういうのもまた観てみたいものだ。



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