【盤外戦術その4】裏道と本筋

前回に引き続き、毎週土曜日といいつつスケジュールが狂ってますが…。

今回は「自身の用いる戦法」と「将棋全体としての出現頻度」について。

将棋指しは簡単には終盤型と序盤型に分かれる。そして用いる序盤においては力戦型と定跡型に分かれる。

プロの将棋界においては昔は、終盤型の選手が用いる序盤は力戦、或いは振り飛車と相場が決まっていたように思うが、最近は終盤型だが定跡型、というプロ棋士が若手にはぼちぼち出てきているように思う。

例えば今回王将戦で初のタイトル挑戦をかちとった豊島将之プロや棋王戦挑決では惜しかった広瀬章人王位、佐藤天彦 プロもそういう印象がある。

これは将棋の序盤の解明度合いが大いに関係しており、昔は終盤力だけで上がれたものが、上がれなくなっている(中盤までに得たリードを維持して勝ちきる技術の向上)が原因だろうか。

翻ってアマ、しかもトーナメントアマのような修羅の道ではない、趣味の道の場合はどうだろうか?といえば序盤型の定跡通、終盤型の力戦型、というのが多いように思う。

出現してから長く時間が経っている戦法というのは、それだけに色々な方針と対策が堆積している。よって定跡を覚えることで棋力(というかレーティング点)は向上していくのだが、ある地点からは伸び悩むようになる。

知識の戦いの後に待ち構える終盤力の競い合い。それが将棋の魅力でもあるが辛い点でもある。定跡を知らない層を抜けて、幾つか知っている層を抜けて、だいたい知っているという層で停滞する。

出現率の高い戦型においてはその傾向が高い。これを高速道路の渋滞ならぬメインストリームの渋滞とここでは呼ぼう。具体的には角道をとじた振り飛車、相振り飛車、矢倉あたりにその傾向が強いだろうか。

多くのアマにとって、実はプロの定跡をというのは○○プロ仕様のゴルフクラブ、シューズ、ボール、グローブ、水着…というものと同じようなものだ。勿論、質という意味においては上質であることは間違いないが、用いる人間の技倆がそれに伴わないことが多い。

私のように、観戦上の趣味として定跡本を買う人間にはプロの棋書というのは楽しいものだが、私を含め通常の殆どのアマにとっては実戦的には創元社シリーズぐらいまでで事足りるかと思う。

プロの幾つかの定跡においては、コンマ何秒かの差でこれにて良し、という結論になっているものが多く、それはそれだけの差で戦っているプロだからこそのものだ。

アマ同士の場合、その定跡の優秀性よりも、その定跡にどれだけ知悉しているか?が重要になりうる。本人がその非優秀性を認知しつつも、その認知していることを利点として戦うことが可能となるわけだ。

単純にその形における経験値の違いの有無の勝負に持ち込むことで心理的には少なくとも有利に進めることは出来る。

そういう意味で、序盤型の定跡通や、終盤型の力戦派という二軸ではない、「非終盤型のMY定跡派」という道があるのではないかと思う。

メインストリームの渋滞を避け、多少遠回りでも知っているマイナーな裏道を歩む、という考え方だ。

一般的なアマにとって、自身と同じぐらいの棋力の人間が多いはずなので将棋倶楽部24などにおいては、一期一会に近い状態になる。そうすると、以前も書いたが山賊方式でMY定跡の力を発揮しやすい。

私の例で言えば。

実際の対戦成績として指し分けかやや私が良いぐらいの相手が何人かいるが、彼らとのR点の差は最大で500点ぐらいある。対戦成績でいえば4-6か3-7ぐらいの相手なのでR点の算出式として見た場合に、300点分ぐらいのMY定跡メリットを享受していることになる。

ある程度のレベルまでにおいて大抵の人は、特にネットだと、MY定跡にハマったと気づくと途端に指す意欲を無くす傾向が強い。それによって、終盤の非力さをカバー出来ていることが大きいように思う。(勿論経験のある形における終盤経験値というのも大きい)。

全部をMY定跡で塗り固める必要はない(私も一手損やノーマル角換わりは比較的定跡通りに指す)と思うが、幾つかはそういうものを持っておくことが、指し将棋を楽しんでいくことにおいては重要ではないだろうか。


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