運命の分かれ道 第36期棋王戦挑決第2局 ▲広瀬章人-△渡辺明

携帯中継でしか見てなかったので気付かなかったのだが、この対戦は初戦からwebでも公開されていたようだ。私としたことがうっかりしており、第一局の感想をちゃんと記していなかった。

簡単に総括すると、初戦は渡辺竜王の完勝だった。相穴熊戦で、この二人の対戦で、ここまで竜王が圧勝したのは今までになかったように思う。そしてその結果が本対局における伏線になっていたかもしれない。

第36期棋王戦挑決第2局 ▲広瀬章人-△渡辺明

戦形は先手の角道オープン型の中飛車に後手が居飛車穴熊に組む展開。先手も相穴熊に組む展開もあったとは思うが、いわゆる以前の鈴木大介流な思想に見えた。

後手は先手が組ましてくれたので穴熊が比較的スムーズに完成する。その代償は玉側の端歩と5筋?7筋にある。先手がそれらを生かし切れるかどうか。

戦いが始まって後手が竜を作ったあたりは後手がよさそうに見えたが、金の両取りがかかって先手もなかなか。しかしそれに対する後手渡辺竜王の△3一金が将来の△4三金を後の先とする良い手だった。

72手目で銀が死ぬ手が実現してはさすがに後手がよさそうだ。しかし、これで勝負あり、と行かないのが将棋。馬を作ってひきつけるのが広瀬王位らしい粘りで難しくなっていく。

この「難しい」というのが真に難しい状態であることが多く、やや悪いがヒタヒタと並走していくことができるといつか逆転もあるのだが、その並走が難しい。その並走から逆転を見せる羽生名人の技術の高さを示しているが、本譜のように、金のうち場所が2六か4六かという二択(というかそもそも二択になりうるのだろうか?)に正解するのは困難だろう。

終盤戦は素人にとっては難解を極めるもので詳しくは専門誌に頼りたいところだが、この二人の勝負においては、スパッと切るのが広瀬の勝ち将棋だとすると、つばぜり合いからそのまま押し倒して刀ごと断ち切るのが渡辺の勝ち将棋、という印象。

もしかするとこの二人の対戦においては、この間合いを渡辺明竜王が掴んでしまった可能性まであるように思う。

仮に。もし、渡辺明竜王がすんなりとこの広瀬戦に初戦でも二戦目でもどちらでもいいが結果的に二冠挑戦を許した場合、棋界の勢力図は変わることとなるし、この二人の力関係もそれをもって変わっていたことだろう。

そう思えば、この二戦はとても大きな戦いであり、もしかすると二人にとっての運命の分かれ道だったかもしれない。

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