経験値の蓄積されていない作戦 ▲斎藤慎太郎七段vs△渡辺明竜王

今期の王将リーグは顔ぶれのせいなのかとても面白いです。いつにもまして面白い。

最近の将棋界の乱世ぶりを象徴するような途中経過であり、本局も初対局を斎藤慎太郎が制しました。斎藤慎太郎さんが先手だと大体矢倉かな?と当日の朝の記事では予想しましたがその通りに。対する渡辺明竜王は例の雁木模様やら急戦調かな?とも思いましたが、普通の矢倉っぽい出だしになりました。先手が早めに飛車先を決めてるのがちょっと通常の矢倉とは違いますが、駒組み自体は双方矢倉っぽいかんじ。

先手の46歩47銀という形、後手も同じ形ですが昔の矢倉戦、本当に昭和中期ぐらい将棋のような印象を受けました。

34手目、後手が52の金ではなく32の金を43にあがったのにはびっくりしましたが、前例があるそうです(豊島さん)。後手は将来の角交換に備えたバランス重視の構え、ということのようです。

先手が先攻し、後手が△22歩と謝った54手目の局面、相当な屈服にも見えましたが、飛車角の両方が利いている地点よりも一段低く受けつつ、手順にのって繰り出している守りの金銀のスクラムが先手の攻めごまを圧迫していて後手の序盤の構想が生きている印象を受けました。

とはいえ、先手も矢倉に玉を入城させることが出来たので強い戦いが出来ます。抑え込まれるとまずい先手が銀桂交換で先攻しましたが、駒の価値や63手目の▲同桂と取った手がどこにも当たっておらず後手に手番が移ったのでもしかするとここでは後手が指しやすくなっているのかもしれません。

後手が反撃して74手目、86に歩を垂らした局面では控室曰く後手良しとのことですが、言うほどの形勢の差はないというか、後手玉が薄すぎるので形勢が振れやすい将棋だった気もします。

とはいえ、馬を作りながらボロっと飛車を取れた82手目、△28角成では後手が良さそうに見えます。素人目には飛車を取らせるのは怖すぎるので81手目で銀ではなく角を取りそうなものですがプロ的にはこう進むところなのでしょうか。まさに王より飛車を可愛がり、の精神ですかねw

89手目、先手が▲79桂と受けたところでチャンスがあったようです。本譜も普通に見えましたが、受けたところを更に攻め立てる手順が良かったとのこと。確かに本譜はここから徐々にもつれた印象があります。

最も危なかった手、敗着ではないにしろ形勢の振れ幅をより大きくしたかもしれない手は96手目の△84飛だった気がします。▲65桂を打たせるのは流石に危険すぎたというか。

ただ、推奨手である△55金もその後に示される手順をみると相当おっかない感じではあります。先日の堅める時代かどうか?という渡辺竜王発言にもありましたが、こういう後手の作戦は指し慣れているかどうか?が大きいように思いました。これが例えば後手をもっているのが糸谷哲郎であればこの前の豊島戦のように生き生きと指していた気がしますねw

終局直後は竜王がやはり不調なのか?とも思いましたが、感想戦コメントをみつつ改めて見てみるとやはり玉が薄いと逆転されやすく、「堅さは正義」的な現実味が出ていた将棋のように思いました。

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