藤井聡太にだけみえている世界

加古川青流戦 ▲都成竜馬vs△藤井聡太

昨日の藤井聡太さんの将棋は凄かった。序盤から先手の都成竜馬四段がうまく指しているように見え、おまけに玉の堅さが違うので普通に考えれば先手が勝ちやすいとおもう。

ただ、時間の使い方にケレン味のない藤井聡太さんとしては、相手よりも時間を残しており、本譜の展開でやれる、あるいはそこまで酷くはないとみていた可能性が高い。

普通の読みでは、桂馬の跳ね違いから33の地点でバラバラにされては先後の玉の堅さが違いすぎるので駄目、とみるように思うが、藤井聡太四段は(なんとか)受け止めきれると考えていたようだ。バラした76手目、△33玉の局面では先手は歩切れのうえに後手の三歩得なので先手の手番で良い手がないと確かに難しいのかもしれない。争点は三筋しかないのでそこをめぐるやりとりを経ての90手目、△15歩と藤井聡太四段が突き捨てる。同歩と取った時点で駒割りは後手の桂馬得。

味付けしてから後手は玉を引く。いかにも角に出てきて下さい、という誘いの手だったのか苦戦して仕方なかったのか。24に角が出る形が味が良すぎるので流石に先手が良さそうと思ったが、ここでもまだ藤井聡太四段は難しいとみていたようだ。(感想戦ではここで具体的に後手がダメになる手順は示されなかったようだが、駄目であってもおかしくはないという藤井聡太四段の感想がある)。

本譜は端の連打から逆襲が始まる。17に歩を垂らすんだな、というのが普通の感覚でプロもそのように解説していた。しかし”桂馬使い”の藤井聡太らしい強手が△25桂馬。この手一発で先手が駄目になった気がする。先手玉が狭すぎる。先手はどこかで飛車を使うために金をスライドしておく手があったかもしれない。それが玉の逃げ道にもなる。ただ金銀が全部玉から離れるのでどの時点であっても読みの本線にはなりにくい。

先手玉を追い込んでからじっと△51玉。銀を補充した手が詰めろだ。この辺では勝負あった。

棋譜中継だけしか観ていなかったが、abemaTVでの勝又藤森コンビの解説が好評だったようだ。リアルタイムの早指し将棋を解説するというのは手の見え方を試されているようなところもあるので難しいと思う。NHK杯などでも羽生さんが解説のときは本当によく見えているなあと思うし、この先生、そういうリスク取りたくないからぼやっとした解説だなあと思うこともある。

そういう意味では面白さを優先させた臨場感のある解説だったようだ。今後もどの棋士の解説においても同様のノリを期待したい。

今朝ほど、勝又先生がつぶやかれていたツイートがこちら。





18歩と叩かれてから52歩というのは相当に指しにくい手順(流れを意識する人間には多分無理)なので、恐らくは指すのであれば33歩成の時点だったと思うが、都成竜馬四段の感想戦でのコメントではそれも当然読んでいたが気になる手順があったようだ。

それにしても。前述の棋士お二人の解説の臨場感を示すツイートを紹介すると。




まさに相手が悪かった。ここ直近8戦、都成竜馬四段の成績を並べると3敗が藤井聡太戦で他の5個は勝っているという。

終盤の忙しい局面、一分将棋なのにお茶を飲んでいる。この先の展開が全て見えている。余裕を示したというわけではなく、ごく自然に振る舞ってくれるおかげで、その所作振る舞いから、我々凡人は、彼にだけ見えている世界があることを知るのだった。

以下、最後に我が子と将棋の近況を示すエピソードで〆ます。


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