新記録、29連勝。

藤井聡太四段がデビュー以来無敗の29連勝を達成しました。相手は二人しかいない十代のプロ棋士である増田康宏四段。非公式戦、炎の七番勝負では藤井聡太が辛くも勝利を収めたように見えたが本局は確実にあの時よりも成長していることを実感させるものだった。

序盤は増田が雁木型に組む。藤井聡太の得意戦法の角換わりを避ける意味もあるが、気合い負けというよりは自身の一番得意な形で戦いたい、全力を尽くすということだろう。実際に中盤では後手のほうが模様が良いと判断するプロのほうが多かったようだ。

夕食休憩にはいった局面では先手の飛車が助からず、先手からの攻めも見えにくいため、この局面でも後手のほうがよいと見ている棋士が多かった。ただしソフトはこの飛車を強引に取りに行く手順でほぼ互角に評価値が戻ったという情報をツイッター上で見かけた。

より良い手順としてはじっと歩を△26歩と伸ばす手だったようで、解説の谷川浩司が推奨していた手でもある。本局は夕食休憩後に一気にザ・藤井聡太という手順で形勢が急速に接近したように見えた。47手目の▲22歩から55手目の再度の▲22歩までの手順が秀逸だった。



この歩は取れないので△33桂馬と跳ねたがここで跳ねるのであれば最初の22歩で跳ねるほうが良かったかもしれない、とのこと。桂馬を食いちぎっての▲15角が金の両取りで飛車取りを催促している。後手は王手で飛車をとり両取りを回避するが次に33の金取りを受けるしかないとなると流石に苦しい。

増田康宏四段というのは間違いなく天才であと一歩で中学生プロに成りそこねた男(の1人)だ。そのような才能を持っている棋士はほぼ全員がタイトル挑戦以上を果たしていると記憶する。彼にもまさにその資格があっただろう。ただし今後の藤井聡太次第、というのは増田以外の全ての若手実力者に言えるところ。

増田康宏の将棋というのは強烈な攻め将棋であり、勝っても負けてもものすごい殴り合いを経て決着することが多い。ボクシングでいうと井上尚弥、というような将棋。ものすごいハードパンチャーで、その強さ故に拳を痛める(将棋で形勢を損ねる)ことがあるぐらいのハードパンチャー。

その増田康宏に攻めさせないどころか、防戦一方に追い込み、投了図では大差になっている。これはどういうことなのだろうか。藤井聡太は間違いなく成長しており、今の若手実力者はようやくこれからは俺(達)の時代だ、と思っていたはずだが、55年組のような一時の時代を築くことすら出来なくなっているように私には見える。

恐らく現時点で藤井聡太は将棋界のトップスリーレベルの実力者に対して7割以上勝つ力を持っている可能性が高く、その棋力はここから最低でも10年は伸びていくはずだ。となると、5年程度で七冠、順位戦でもおそらくは停滞なしか多くても1・2期の停滞を経て名人になると思われる。

タイトル戦に登場した場合は全局どの地域であっても平日であっても観に行くつもりだったが、ここまでフィーバーが加熱するとちょっと観に行くのが大変そうな気がしてきた…いっその事全部観戦するのが大変なところにしてほしいぐらいだ。(海外とか)。

竜王戦、次の対戦者は佐々木勇気。彼もまた中学生プロに成りそこねた男であり、世代を代表する天才である。そして増田康宏が重いパンチをうつタイプだとすると、鋭い・手数の多い、局面を複雑にしたかと思うと背負投げのように一気に抜き去っているような攻め将棋だ。その棋風が藤井聡太との対戦でどの程度どのように発揮されるのか?に注目したい。
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