第30期竜王戦六組ランキング戦決勝 近藤誠也五段vs藤井聡太四段 

この一言に尽きると思う。




近藤誠也五段は初参加の順位戦を1期抜けしているだけではなく王将リーグ入りし、羽生・豊島というタイトル戦レベルに勝ち負けになる実力者。戦前から藤井聡太四段にも勿論勝機はあると思っていたが、ここまでの圧勝は予想していなかった。

何度も書いているが、藤井聡太の将棋は桂馬の将棋だ。そして小駒の使い方が上手い。




金銀は必要最低限の動きに留め、その中で最良の形・働きが望める状態にして備えている。玉の位置も同様だ。

それに比べると桂馬は普通の棋士に比べると思い切りがよく活用しているように見える。また、歩・香・桂馬という小駒の活用が抜群にうまく、それを活かすのが飛車角の細かな移動と運用。

本局のポイントはやはり先手の構想、▲66歩にあったように思う。相掛かりで角道を塞いで持久戦調にするというのは攻めの銀の位置と合わせてある考え方なのかもしれないが、本局の藤井聡太の銀冠の構想がそれを上回っていた。

単純に組ませると面白くない先手としては▲2五歩を決行したが、これは誘いの罠だった。後手番でもあり、相居飛車における藤井聡太の守備力を本局でも見せつけられた。

▲66歩(持久戦で行こう、流石に△24歩はやってこないでしょう?)、△24歩(銀冠やります……)、▲25歩(いやそれは咎めるでしょう、角の頭も弱いし)という手順。

感想戦ではこの順を見送って囲い合っても後手に不満がないということだったので、▲66歩の構想を藤井聡太が咎めたということになるのかもしれない。

先手の銀をそっぽにしてからの後手の手順は圧巻、見とれる程の手筋のオンパレードで、指しやすさを得てからの藤井聡太の将棋には縺れるという概念が存在しないようだ。

この将棋感覚、感性はこれまでになかったもので、現代将棋はスピード化の歴史ではあったが、それを藤井聡太という1人の天才が更に推し進めた印象がある。

既に恐ろしいのに末恐ろしい藤井聡太だが、ここまで全く底を見せていないのが本当に恐ろしい。

プロ棋士のレーティングでいうとトップが1800点後半、1900点には到達していないのだが、もしかすると藤井聡太は現時点で既に1900点を超えている可能性もあるのではないか?と以前から私が考えている仮説が現実味を帯びてきたようにも思う。

将棋界はこれまで以上に盛り上がっていくだろうが、藤井聡太が強くなりすぎて誰も相手にならないという状態が、羽生善治のそれを上回る戦績で出現する可能性すらあると私は考えている。
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