藤井聡太四段の将棋の特徴は小駒の運用にあり。

いやー藤井聡太さん、凄いですね。中学生棋士というのは強いものですがここまで初期から強かった人は居たのでしょうか。

加藤一二三九段の中学生時代も、四年連続で順位戦昇段18歳A級ということを考えるともしかするとこのぐらいだったのかもしれません。

初めて藤井聡太さんの将棋をみて思ったのは、NBAのスリーポイントシューターのような将棋だなと。NBAのスリーポイントシューターのなかには、身長はそこまで大きくないものの、シュートの正確性とシュート準備動作の少なさで相手に止められることなくシュートを放ち、そして決めてしまうという。

藤井聡太さんの終盤にもそのような雰囲気を感じました。羽生さんや谷川先生の将棋だとある程度ごちゃついて混戦模様から差し脚の鋭さで抜け出していくということが多かったように思います。

序盤で模様を良くして、中盤で有利を築き、そのまま押し切るという横綱相撲に羽生さんがなったのは七冠以降ではないでしょうか。七冠時代でも不可解ともいえる神がかり的なマジックが大事なタイトル戦で出現していたように記憶しています。

今回、携帯中継で藤井聡太さんの将棋を全局見直してみました。昨晩の金井さんとの将棋で思ったことを再確認するためです。

それぞれの棋士の個性を表すところとして駒の活用方法があります。例えば羽生さんだと銀でしょうか。27の羽生ゾーンという言葉は有名ですね。大山康晴永世名人であれば金でしょうか。中原先生であれば桂馬。最近の若い人でいうと、広瀬さんがタイトルを獲得する際の将棋では、馬や角の活用に特徴があったように思います。

前置きが長くなりましたが、藤井聡太さんの場合は圧倒的に小駒の運用が上手いというか多いです。しいて挙げれば桂馬。それ以外にも、歩・香車・桂馬・と金を活用する手が序盤中盤ではとても多いです。恐らく、他のプロ棋士とくらべてもその辺は明らかな違いじゃないかなと思います(詳しく調べてませんが)。

そして、その特徴こそが、卓越した終盤力と鋭いスリーポイントシュートのような終盤戦の手順に関係してきます。

序盤中盤で小駒を多く活用するため、局面が進むに連れて持ち駒にはそれ以外の駒が集まってきます。そして寄せの構想が描かれた瞬間、飛車角という大駒を切る手順に突入し、更に駒を入手します。そこから先は本人が得意な詰将棋的な展開、というわけです。

アマチュアだと恐らく3-9手ぐらいの詰みを想定して終盤を作ることが多いと思います。プロが一般的にどこまでの射程距離で終盤を考えているのか分かりませんが、藤井聡太さんは明らかにその射程距離が長いです。

昨晩の金井さんとの将棋でも終盤の入り口である54手目の△8五飛と歩を取る局面で五〇分ぐらい考えてから指しているんですが、恐らくあの時点で74手目の飛車切り、78手目の角切りで寄り…というのを読み切って指していたのではないでしょうか。

寄せでもたつくということや、震えて回り道をするということがない将棋です。ちょっと苦戦気味の将棋(大橋戦、中村太戦など)では実戦的な指しまわしも見せています。多分三段リーグのときの将棋がこっちのタイプの将棋だったのではないかと思います。

ということで、藤井聡太さんの将棋の観戦ポイントとしては、歩・香車・桂馬・と金の活用方法を堪能する。持ち駒の溜まり具合と、大駒を切るタイムがいつ来るか?に注目する、というあたりじゃないかなと思います。

観る将の皆様の参考になれば幸いでございます。

個人的には既にタイトルホルダーレベルには強いと思っていて、今年中に新人王かNHK杯などの棋戦優勝と、タイトル挑戦までは間違いないと思っています。2つ挑戦すれば1つは取るでしょう。今、将棋ファンの人たちは本当に幸運だと思います。生きているうちに七冠を再び見れるとは思っていませんでしたが、恐らく数年以内には実現すると思います。

ただ、唯一の懸念としては、藤井聡太さん1人でプロ将棋を終わらせるぐらいのインパクトがあることでしょうか。このまま順調に成長した場合、あと最低でも5-10年は棋力が伸びます。ピークは20年は続くでしょう。その実力差がどこまで広がるのか。

もうそろそろ流石に…と言われてつづけて早20年の羽生世代も既に40半ば。千田さんを除く他のプロ棋士たちがどちらかというとソフトを研究偏重に活用しているのと比べて、藤井聡太さんはなんとなくですが実戦的にトレーニングパートナーとして活用している気もします。

勿論局面指定ぐらいはしているかもしれませんが、新手探索というよりは普通に対局側に重きを置いている可能性があると思います。米長邦雄が言った人間とソフトの共存というのがこういう形で実現しているのかもしれないなとなんとなく思いました。

次は5月4日に新人王戦で横山大樹アマと。横山さんは受けが強い居飛車党。竜王戦6組決勝で近藤四段と。近藤四段は伸び盛りで矢倉の得意な居飛車党。どちらも相居飛車の戦いになると思います。近藤さんも10代でプロ入りしているのでタイトル挑戦はいつか必ずあるであろう逸材なので注目の勝負となりそうです。
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