コンピュータが人間を超えたら将棋が面白く無くなった・・・どころか面白くなってきた件。

私の中での将棋ブームは。まずはやはり羽生さん、羽生世代の登場と台頭とその栄華の時期。渡辺明の中学生プロから若手の台頭と、羽生世代との全面抗争・・・かと思ったらそうでもなかった頃。その後は、コンピュータ将棋の台頭と電王戦。どっちが強いのか?という時期。そういう感じです。かれこれ、20年以上は楽しませて頂いています。使ったお金は少し。(ごめんなさい・・・)。使った時間は沢山。(ありがとうございます!)。


で、ここ最近はどうだったかというと、少しやっぱり冷めていました。冷めていた理由はといえば、コンピュータが人間を凌駕していることが明らかになったことが大きい。別にそれで将棋というゲームの面白さや、人間同士の戦いにある背景ゆえのドラマとか、そういうものは全く失われない。とはいえ、定跡本とかそういうものを買う意欲は少し落ちた。私は元々かなりの定跡派で、書籍は出れば買うというタイプでした。ただ、最近は正直に書くと、プロ棋士の本を買うことは少なくなった。少なくなったというか、ほぼ無い。


自分で指す戦型を決めて、手順を考え、迷う局面ではコンピュータソフトに伺うことが多くなった。ネットではグーグル先生という言葉が使われて久しいが、コンピュータソフト先生にお伺いを立てる。特にプロ棋士の先生との駒落ち将棋では非常に役に立つ。点差があり、予めこちらが良い状態から始まる。そこから如何にして私が悪くなったのか?を解析すると非常に勉強になる。勿論、プロ棋士の先生に感想戦で指摘された手順、ダメだったところ等も勉強になるが、あまり根掘り葉掘り聞けない(時間的制約や人数的な問題で)こともあるので、とても良い。


それと一頃のプロ将棋に少し飽きていたのは、定跡手順の発表会のような風潮というか流れというか、そういうものがあったから。
特に自分の指さない戦型における、細かすぎて伝わらない選手権のような将棋はちょっと興味を持てなかった。

ところが。最近、ちょっと変わりつつある。
プロ将棋に新しい息吹が生まれつつある。

多分、プロ棋士の先生方はとても強いから、私達のようなファンよりも正確にコンピュータソフトの強さを理解している。強いと認めて、研究局面でのコンピュータソフトの活用だけではなく、コンピュータ同士の戦いにおける、いわば異文化将棋のエッセンスを取り入れた将棋がポツポツ目立つようになってきた。


プロ棋士はとても強い。天才中の天才だけがプロ棋士になれる。そういう天才同士の戦いで、ほんの紙一重で勝負が決まるというのが通常の戦いだ。

なのに。このコンピュータ将棋の異文化将棋、異種格闘技戦的な将棋が導入された戦いを観ると、これが全く違う展開となる。

異種格闘技戦で得たエッセンスを自分の種目に活かして圧勝する格闘家のようなシーンがしばしば観られるようになってきたのだ。


タイトル経験者が若手の奇襲ともいえる鋭い攻めに、為す術もなく屈する。後手からの、一手の隙さえあれば切れそうな攻めが、結局途切れずに先手をタコ殴りに屠る。中盤といってもいい局面から強い駒であるはずの飛車角をぶった切って、圧倒的に制圧してしまう。しかもこれも後手番で。棒銀や早繰り銀のような、ちょっとプロ同士では心許ない戦型で過激に攻めたほうが勝つ。

そういう将棋が最近は少し増えてきた。

昔プロレスに飽いた頃、総合格闘技やK-1のような興奮がいまの将棋界にはある。昨日開幕したA級順位戦も、後手の渡辺明が最近プロ棋戦でほぼ負けなしと思われる「後手居角美濃」で永世名人の資格を持つ森内俊之を破った。森内俊之はこの戦型で負けたのが二度目。前回の教訓をもって、反省点を踏まえて臨んでいたはずだ。しかし負けた。

戦型的に飽和状態にあるとみられていたプロ将棋において、後手番の横歩取りを主戦法として名人を奪取した佐藤天彦新名人もいる。

人間とソフトどちらが強いか?という意味での興味は薄れたが、将棋の面白さという意味では過去最大級に私のなかでは高まっている。


あれだけ整備されてきた定跡群とは、別の系統の定跡群が出来上がる可能性もある。

角換わり腰掛け銀においても、従来は五筋と置かれていた金が、四筋に置かれる・・・というコンピュータ的な思想もどうやら有効であるという認識が出つつある。

そうなると、この金の位置の違いだけで過去に整理された定跡とは別の定跡が生まれてくる。勿論過去の定跡を踏まえたうえで。


ハッシープロなどは、かなりコンピュータと人間の戦いに否定的だったが、興行的な部分で仕方ないと私は思うし、こういう豊穣さを復活させたのはコンピュータ将棋であることは間違いない。

ということで、最近またとてもプロ将棋が楽しくなってきている。しかも今年のA級順位戦には、元・現タイトルホルダーだらけ。こういうメンツ同士の戦いにコンピュータ将棋のエッセンスが加わるとどうなるのか?

今から楽しみすぎて仕方ないのです。
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とても分かります。

従来の研究の知識が、かえって邪魔をするために、
下克上が起きやすいと。
藤井君以降の棋士が、20代になって来ると、
景色が一変しそうですね。
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Author:将棋観戦
「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

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