パワフル 第一期電王戦第一局 ▲ポナンザvs△山崎隆之

仕切り直しで始まった電王戦。今回が第一期となる。コンピュータ側の代表にPonanza。人間側の代表に山崎隆之となった。

アダルト要素のないほうの棋士レーティング(http://shogidata.info/rate/)で、山崎隆之八段は1739点、全体で16位。トップの羽生名人が1901点なので、162点の差がある。

羽生さん相手に対戦するとレーティング上は羽生さんが6割強少なくとも勝つ。ただ実際には羽生さんが圧勝している。(もしかすると唯一の勝ち星がNHK杯の決勝かもしれない)。

とはいえ、順位戦でもB1在籍。今回の代表を選出する戦いでも勝ち上がっている。上位棋士という表現を使って差し支えない棋力の持ち主だろう。

そんな山崎さんを相手にして第一局はPonanzaの圧勝に終わった。一言でいうとパワフル。そういう将棋だった。序盤から激しくなり、少しぐらついた人間をそのまま叩きのめした。数年前の電王戦で人間対ターミネーターの戦い・・・と書いたような気がするが、本当にそうなってきたなと思った。


以下、将棋の感想。

21手目の▲8三歩。この局面の正確な評価を知りたい。応手の△5二飛はこれしかないところで、その次の▲7七桂が味わい深い。特に横歩を取るのを急がなくても大丈夫という大局観。ここはプロも同様の判断だったようだ。そしてこの桂馬跳ねが数十手後に活躍して勝ちになったと思えば、▲8三歩の時点でどうなのか?ということになる。

そうすると少し遡って、15手目の▲5八玉。この手が少し人間同士の対戦では違和感のある手に映る。人間の常識としては序盤は歩を進めたり銀を動かしたりして玉の動きは少し後回しにされるのが一般的だからだ。ただ、itumonさんのTwitterなどを見る限りでは、Ponanzaはこのように早めに5八玉とすることが多い(好きな)ようだ。確かに玉の守備力は局地戦においては強いし、金銀を動かさないほうが隙ができないメリットもある。ただそれらはしいて言えば・・・という話で本当に良いのかどうかは分からない。

派手なやりとりがあってからの34手目△2五飛がよくなかったらしい。コンピュータソフトは△4四歩を推奨していたとのこと。ただし、△4四歩で後手がよいというわけでもないようなので、それよりも序盤のところに勝負所があった・・・と見るしかない。

そしてクライマックスは封じ手の局面。派手に振り替わって成り捨ててからの▲6五桂で痺れた。先崎さんいわく、プロでも一丁上がりという局面。必死に応じる山崎隆之プロだが中央から圧倒されて厳しい。封じ手から翌日の山崎隆之プロの心境を考えるとちょっと切なくなる。

▲6五桂を△同飛ととると、▲2二歩でしびれる。とはいえ、本譜の封じ手も辛い手で先手の攻めは続く。48手目の△4六桂はいわゆる勝負手だ。しかしこの辺から収束までの先手の手順は淀みなく、美しい手順だと思う。そして投了図としても美しい。

人間代表、プロ棋士としても上位に位置する山崎隆之八段との対局だったわけだが、中盤からの手順を見る限り戦型的な要因もあるかもしれないが、過去の電王戦のどのコンピュータソフトよりも強いというか、優位を築きその優位を拡大し勝ちきるという意味ではかなりレベルが上がっている気がした。

囲碁ソフトの成長をみて、この対局結果をみると将棋ソフトの実力は人間を超えたと見るのが正しいような気もする。ただ勝ち将棋鬼のごとしという格言もあるのでどのぐらい棋力の差があるのかわからない点もある。もう一局本気の勝負が見れるのは素直に嬉しい。


最後に、水門にあがっている、類似棋譜を紹介しておく。

http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2013/03/06/wdoor+floodgate-900-0+ponanza-990XEE+Mark.14+20130306073003.csa
こちらは△4二飛と受けた将棋。その後の展開も如何にもコンピュータ同士ということで頭が痛くなります。

http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2013/04/09/wdoor+floodgate-900-0+ponanza-990XEE+Gekisashi_X5590_7c+20130409053003.csa
こちらは本対局と似たような展開。しかしPonanzaが△5五歩に同飛ではなく同角として苦戦に陥っている。

ちなみに、どちらも先手のPonanzaが負けている棋譜である点にも注目したい。(持ち時間が短いこともあるが)。


こういう棋譜をみると、水門を越えてきた津波のようなコンピュータソフトの強さは人間を圧倒しているんだろうなという気がしてしまいますね。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

将棋観戦記のtwitter
将棋観戦記のプロフィール

将棋観戦

Author:将棋観戦
「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

将棋観戦記の人気記事
将棋観戦記の記事カテゴリ
将棋観戦記の最近の記事
将棋観戦記アーカイブ
将棋観戦記の記事検索
将棋観戦記のランキング
[ジャンルランキング]
ゲーム
226位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ボードゲーム
6位
アクセスランキングを見る>>
将棋相互リンク