因縁の対決?と打開の義務 第四回大和証券杯最強戦 開幕戦 ▲郷田真隆-△森内俊之

第四回大和証券杯最強戦 開幕戦 ▲郷田真隆-△森内俊之

この二人の対戦といえば思い出すのが例の遅刻騒動。郷田先生に早く結婚して欲しいと誰もが思った出来事だった。私はtwitterにおいて、以下のように呟いていた。

明日は申し訳ないと思っている郷田先生が圧勝しそうな感じがする。その上でチャットで森内先生の感情が出るような具合だと面白いのだけど。

http://twitter.com/shogiwatch/status/13183836425




これは完全な妄想レベルの、確信のない話であり、結論からいえば事実とも違ったわけだが、何となく両者の性格?性質?を考えると目に浮かんだ情景だったので記した。


将棋は、私の好きな一手損からの後手四間飛車。この形は後手が駒組みに苦労する(サンプル例としては前期A級の高橋-井上戦では棒銀で一気に先手がねじ伏せた将棋や、B2の土佐-橋本戦がある)が組み上がれば面白いと見ている。郷田プロの対策が少し珍しく、手将棋模様となった。

豊川プロの解説はいつも思うが、一見オヤジギャグに見えるが、対局者への優しさ・思いやりがああいう柔らかい言い回しに繋がっていると見ている。そんな豊川プロは、郷田プロの序盤の56歩からの構想に対して、「難しい駒組が続きそう」とのこと。

行方プロなども厭わない歩だが、基本的には・アマチュアとしては角交換将棋ではここの歩は(昔から言われるように)突かない方が良いと思う。素直に腰掛け銀で行きたい。ただし本譜は早繰り銀からの変化なので、仕方がない意味もある。そこが後手の主張点でもある。

また、本譜の後手は通常のこの戦型との類似局に比べて少しずつ得している。個人的には早繰り銀ではなく26銀から端を受けさせて早繰り銀にシフトする方が良いと思うのだが、このあたりの細かい手順について、説明してくれている棋書をあまり見ない。

本譜の後手は84歩も1筋の端歩も省略出来ているので、かなり満足な展開だと思う。ただし、自ら打開する将棋ではないので、「先手が攻めて来た時にどういう形で対峙するのか?」が重要になる。

郷田の攻め、森内の受けという棋風通りの展開となった。私が感心したというか、唸ったのは森内先生の84歩と16歩。前述の通り、折角水面下に沈んでいた選択肢で、指さないことによる得が生じていると私は見ていたのだが、そういう些細な得にこだわって良ては幸せになれないとしたものだろうか。

とはいえ、このあたりの局面を居飛車党目線で見れば相当に先手を持ちたいという豊川プロの意見に私は賛成する。リアルタイムでもツイッターにて、以下のように呟いていた。(上から下への時系列に置き換えています)。


お、大和証券杯、私の一番好きな戦型の一つだ。後手の形。小林裕先生のとか何度も並べてます。

類型としては https://contents.nifty.com/member/service/g-way/meijinsen_month/pay/kif/meijinsen/2009/09/01/C1/4277.html この辺だが、それより後手は得している。流石の森内流。

棋風通りの郷田の攻め、森内の受けという展開になりそう。そして当初の私の予想どおり郷田圧勝…森内ムッとする、みたいな展開だと面白いんだけどな。

49金をどうやって運用するのかに注目したい。@大和証券杯

片銀冠と木村美濃かな。森内先生のことだから片銀冠まで組み直すまでありそう。

これだと先手が楽しみ多そう。

一手損してまでこの形にした主張点はどこなのだろうか?郷田プロが最も得意とする展開のような気がする。

http://twitter.com/shogiwatch



先攻すればそれで幸せになれるかといえば、そうではないことは本譜も証明しているのだが、それでもやはり先手番を持ち、先攻出来ないのであれば面白くない。そういう意味で、普通の居飛車党にとっては本局の先攻できそうな先手をもって勝ちたいと思うのが人情だと思う。

いうなれば先手にだけ打開の権利がある、ということは打開の義務を先手が背負っている、ということでもある。角換わりの将棋における先手番というのはその二面性を抱えたままの勝負になっている。

本局の郷田プロの先攻するまでの飛車の東西移動にその苦悩が現れている。矢内しゃがみ流で女流のトップに君臨していたところの理由もそこにある。私レベルの話で恐縮だが、秒読み将棋だと「攻めてる方が気が楽な将棋」と「受けてるほうが気が楽な将棋」がある。玉の堅さと、あとは攻め筋の分かりやすさが関係している。

細くても攻め筋がわかり易ければ、そして玉が固ければ気楽に攻められる。将棋世界6月号にある東西対決の山崎プロと渡辺竜王の言葉をもう一度振り返ってもらうとその意味が実感できるのではないかと思う。

本譜は郷田プロが馬を作った時点でほぼ終わった将棋だと思う。▲35歩が緩手、角打ち、馬引きの手は間違いを認めて粘りに行った手。自ら仕掛けて戦果なく香損、取られた香車で攻めた筋を逆襲されては流石にもたない。後は指しただけ、なのだが、最後の森内プロの収束が見事だった。95角でオシマイ、という寄せは是非参考にしたい。

こういう双方ともに左右分断形の将棋だと打開の権利・義務を有する側の攻め筋が乏しく、玉も薄いために反撃がキツい。矢倉からの右玉vs穴熊などの場合とだいぶ様相が異なる。その辺に手損してまで角交換から右玉にした意義が出ている将棋だった。観戦途中には一手損した意味はあるのだろうか?などと偉そうなことを書いたが、本譜を考えればその意味はあったと言えよう。

先手は実戦的には穴熊や矢倉模様などもう少し堅い玉のほうが良かったのかもしれない。そして現代将棋における勝ちやすさというものについてしばし考えが及んだ。
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Tag : 森内俊之 郷田真隆

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