将棋世界2010年06月号(5月1日発売)の感想

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将棋世界 2010年 06月号 [雑誌]将棋世界 2010年 06月号 [雑誌]
(2010/05/01)
不明

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以下、さらりと全体的に目を通した感想。


将棋世界6月号(5月1日発売) 主な内容
【巻頭カラー】
第68期名人戦七番勝負[第1局]

 大激戦!挑戦者惜敗  観戦記・山岸浩史

これは良かった。三浦に関するエピソードがNHK杯の解説時の杉本プロなどから今まで断片的に語られていたが、ここで総括された印象。特に、三浦の人柄を示すものや、将棋への取り組み具合、自身の将棋をどのように評価しているか?などが分かり、とても良かった。これらのエピソードを読んで、三浦への好感度が上がらない人はだれもいないだろう。少なくとも私は一遍に三浦を応援したい気持ちになった。

また、本戦型をめぐる両陣営の研究の状況についても上手く描かれていた。初めての二日制が三浦にどのような影響をもたらしたか?も興味深く読むことが出来た。本号におけるMVPはこの記事で良いのではないかと思う。



平成21年度総決算!現役棋士が選ぶ09年度ベスト対局トップ10を発表!
 プレイバック2009  担当・大川慎太郎
 トップ10棋譜解説

これも良かった。毎年のことだが、プロがプロの将棋をどのように評価しているか?というのがわかり大変興味深い特集である。特に10位の将棋が私にとっては意外だったが、順位戦の厳しさを知るプロだけに評価されたのだろうと理解した。


・第37回将棋大賞授賞式・第37回将棋大賞選考会・第16回升田幸三賞・第4回名局賞選考会
これも観るファンには楽しめるところ。特に戸辺プロの受賞、ぎりぎりの接戦だったことを知る。普及と指し将棋の総合点というのは私も思っていたところなので同じ見解で受賞となり良かったと思う。後は森内先生の手に対する升田賞のやりとりが面白かった。


プロ棋戦
特集!久保利明棋王・王将ダブルタイトル戦激闘の軌跡 自戦解説 久保利明棋王・王将
 【第1部】 第35期棋王戦五番勝負[第5局]
 久保利明棋王×佐藤康光九段

 190手の死闘  聞き手・文 相崎修司
 【第2部】 久保二冠とともに振り返る王将戦・棋王戦シリーズ  聞き手・文 小暮克洋
これも悪くなかった。二冠王誕生までを二人の名観戦記者が久保プロとともに総括していく記事。上記三浦の話もそうだが、久保も二つのタイトルの掛け持ち戦について感想を残しているが、それらを考えるとやはり羽生の偉大さが分かる。常にほとんどの時期複数冠を持っていること、年度の最後のほうであるタイトルで近年息切れ感を感じさせることがあること、などを色々と考えた。



第3期マイナビ女子オープン五番勝負矢内理絵子女王×甲斐智美女流二段
 [第1局]「火の国」で散る盤上の火花 文・一瀬浩司
  [第2局]明暗分けた千日手打開 文・田名後健吾

ここは編集部でのフォローだった。一瀬氏は元奨励三段で実力は折り紙付き。私は初めて氏の観戦記を読んだような気がするのだが(既に何度もやっているようでしたらスミマセン…)、とてもバランスの良い、読みやすい文章だと思った。特に編集部の人間としての観戦記では、個性をなるべく消すべきだが、それなりの味は残して欲しいという難しいところだと思うがそれが出ていたと思う。編集後記を読み微笑ましい気分になることが多い一瀬氏だが、そんな人柄、味がよく出た観戦記だったと思う。

第二局。あのマイナビ杯の書体については知らなかった。そう聞くと良い字に思えてくるから面白いものだ。こちらは大体中継時に書いた感想通り。合流した同型の将棋を想定しての戦いだったようだ。



リレー自戦記[第24回]遠山雄亮四段
第81期棋聖戦決勝トーナメント1回戦VS久保利明棋王「非日常の舞台での挑戦」

ブログ棋士でもある遠山プロの自戦記。私が遠山プロの棋風を思うときにいつも思い出すのが、先崎プロが将棋世界の連載で書いていた言葉だ。本人的にはどう思われているのか分からないが、私はあれを褒め言葉だと考えている。本人が評するところでは「有利でも粘る棋風」とのこと。4月号の名局セレクションは後で並べたいと思う。

久保といえば、相手が振り飛車党だと居飛車をもつ棋士だ。本人曰く、将棋倶楽部24で指すときは居飛車のみ、ということなので、また対抗型であれば経験値の蓄えもあるので指せると観ているのだろう。私が詰将棋を逆さまにして受けの力を高めようとしているのと同様の効果が、対抗型の相手方をもつことにより、何かしらあるのかもしれない。

本局はアマチュアにとっても出現頻度が高そうな戦型だ。スペシャリストである久保がどういう対策で臨んでいるのか?というのを見るだけでも並べる価値がある。あまり振り飛車党で両方もつタイプの人はいないのだが、手の内をさらけ出してるようで面白いと思う。

遠山プロは読者を想定した読みやすい文章について流石に手馴れたもので、興味深い戦型であることを差し引いてもどんどんと面白く読める仕組みになっている。(これは片上プロの自戦記でも思った)。対久保というところにまで配慮した作戦であることの吐露も良かった。

中盤の勘所から最後まの締め方まで、用いられた比喩と文章の展開も(レールだけに)駒の連結ならぬ表現の連結が良く、大変面白く読むことが出来た。


短期集中連載
 「続・イメージと読みの将棋観」  文/構成・鈴木宏彦

今回は私がかつて用いていた戦型に近いところがテーマだったので面白かった。対向かい飛車は私が得意とする将棋の一つだったがあまりこの形はやらなかった。無駄に激しくする含みを持たせる必要もないからだ。しかし1手の良さを厳密に追求するプロ的にはあるということだろう。例によって渡辺竜王の説明が合理的すぎて笑った。


突き抜ける!現代将棋
 第9回 ゴキゲン対策最前線(持久戦編2)  講師・勝又清和 構成・浅川浩

まずは久保二冠インタビューが良かった。78金型は個人的にはあまり好まないのだが、その辺りと先手中飛車の存在理由と、その対策の考えの根底にあるものが説明されていて良かった。


将棋世界企画 真剣勝負! 東西対抗フレッシュ勝ち抜き戦
[第10戦] 山崎隆之七段VS渡辺明竜王
 崖っぷちで踏ん張るか、渡辺竜王  構成・観戦記 鈴木宏彦

これは将棋もコメントも両者の味が出ていてよかった。山崎プロの自虐っぷりと竜王の言葉のコントラストさが何ともいえず。終盤の手順は良くなってからの決め方、特に自陣が安泰な時のラッシュとして覚えるべきところだろう。


連載読み物

 感想戦後の感想 「第58回」中田宏樹八段  高橋呉郎
私の好きな中田宏先生だったので興味深く読んだ。


 コンピュータは七冠の夢を見るか? 片上大輔六段・山本一成・松本哲平
この連載はいつも面白い。特に今回の解く側ではなく作る側のコンピュータの話は新鮮。




今回は全体的には棋譜を楽しむための材料が多いと思うので、巣篭もりGWにはぴったりといえるかもしれない。タイトル戦以外について、幾つか並べてみようと思う。

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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

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