FC2ブログ

一番長い日の感想っぽいもの。

久しぶりに…。

希望していた結果だが、まさか本当に実現するとは…。

第73期A級順位戦は最初の三局が終わった時点で、佐藤行方の三連勝、三浦阿久津渡辺が三連敗と星がばらついていた。通常はこれで連敗者は終了としたものだが、順位戦は順位がモノを言うのと、絶対王者としての羽生がリーグ表に居ないので、まだ渡辺明にチャンスはあると私は考えていた。

特に負けた相手が、順位戦適正の高い森内、世代代表格の広瀬を含んでいたのと、残りの対戦者との過去成績から考えて残り全勝は十分にあり得るだろうと。

渡辺明という棋士は常に期待され続けてきた。され続けると同時に羽生世代、過去の中学生棋士達と比較され続けてもいた。期待や周囲の声というのは無責任なもので、そういうものをうまくやり過ごせるかどうか?という意味では渡辺明はかなり優秀な資質をもっていると思う。

今期もスタートで出遅れることでうまく周囲の目線をかわすことができた。勿論意図して負けたわけではないが、本能的に勝負所とそうではないところでうまく切り替えることができるというか。

それはちょうど、プロ野球のエースピッチャーが全員には全力投球せずに、八分の力で普段は投げて、ランナーを背負ってから徐々にその本気を見せていくのに似ている。満塁のランナーを背負った時の田中将大投手のような活躍を、第四回戦から渡辺明は見せることになる。

もう一本のヒットも許せないという状態で渡辺明は鬼勝負をすべて切り抜けていく。そして迎えた将棋界の一番長い日。相手は競争相手である久保利明九段。先手番ということもあり、勝ってくれるのではないか?とは思っていたが圧勝だった。

69手という短手数で振り飛車の第一人者であり、菅井という棋界一の振り飛車研究家をトレーニングパートナーとしている久保利明九段を研究で上回り圧倒してくれた。

特に印象に残ったのは5八銀と締まった手。あれはコンピューター風でもあり、玉の堅さを重視する渡辺明らしい手でもあった。この戦型における一つの定跡が確立した瞬間でもあったように思う。

降級は三浦と阿久津。三連敗スタートした順位下位の二人が結果的には落ちることとなった。一年の長い戦いが最初の三局で決まっていたとも言えるが、勿論それは結果論である。

前年の名人だった森内九段ですら最終戦で負けていれば降級する可能性があったし、三連勝スタートだった佐藤康光九段が八番手まで後退して終えている。羽生世代の郷田・森内・佐藤という並びで来期を迎えるわけだが、上がってくるのが佐藤天彦、屋敷伸之であることを考えると、来期この三人の中から一人は落ちてもおかしくないように思う。

四人プレーオフというのは、大山先生が亡くなる直前に一度あったっきりらしい。当人達にとっては大変なことだろうが、将棋ファンとしては純粋に追加の楽しみなので本当にありがたい。出遅れてくれた渡辺明二冠と、リーグ戦から抜けてくれた羽生善治名人に本当に感謝したい(勿論冗談です、その他の棋士のファンの皆様ごめんなさい)。

プレーオフについては基本的には順位の上の棋士のほうが有利だと思うので行方か渡辺が挑戦者になるような気はしている。ただ爆発力やその才能でいえば広瀬もかなりあり得るし、精神的なタフさでいえば最も修羅場をくぐっている久保利明九段が一番のような気もする。ファンの後押しとしても振り飛車党代表として久保利明九段への声援が一番大きいのではないか。

ただやはり、私は三連敗の時にここから全勝ならプレーオフはぎりぎりあり得る!と信じ続けていた人間として、渡辺明二冠に挑戦権を獲得して欲しい。B1時代にやきもきさせられたことがちょうど今回の展開にだぶっている。唯一羽生善治名人に互角の星を残している渡辺明に、挑戦権を得て欲しい。

羽生善治名人や羽生世代は相変わらず強い。しかしこの力がどこまで続くかはわからないし、一方の渡辺明二冠もひとつの高みに現時点であることは間違いない。文字通り棋界最高峰の二人が、それぞれ自身の実力の頂点にあるうちに、名人戦の舞台で戦う姿を見たい。

まずはひとまず、プレーオフを楽しみたいと思います!A級棋士の皆様、本当にお疲れ様でした!そしてプレーオフ出場の四棋士、良い勝負を見せてください!

関連記事

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)