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これ、面白かったですか? 電王戦リベンジマッチ 船江恒平五段 vs ツツカナ

あけましておめでとうございます。朝型過ぎて毎年除夜の鐘を聞けない私です…昨晩も子供よりも早く寝てしまいました…。

で、電王戦リベンジマッチ 船江恒平五段 vs ツツカナなんですが、いかがでしたでしょうか?

対コンピュータ将棋ということでいうと、勝つ時は圧勝、競り合うと負ける、というのは一つのパターンではあるんですが、この将棋は棋譜として見た時に面白かったのでしょうか。

もちろん、棋譜は双方対局者による共同作業の賜物なのでどちらが悪いという話ではないのですが、これがドワンゴ?ニワンゴ?なり、日本将棋連盟が目指している電王戦のあり方の方向性なのだとしたら、かなり詰まらないかもしれない…というのは正直いって思いました。

ここまで振り返ってみると、第一回の米長邦雄の新米長玉も、最近ぼちぼち明かされつつあるボンクラーズ伊藤氏によるエピソードを思うとすでにこの流れの萌芽というか、そういうものが見えているような気がします。

第二回の阿部光瑠戦、塚田泰明戦。前者は勝ちこそが意義という意味ではプロらしさを示してくれた阿部光瑠プロですが、模範演技のような感じで、後者は勝負としては感動したものの、将棋自体は私は途中で観るのをやめて飲みに行ってしまいました。

で、今回のリベンジマッチですが、あの△7四歩は開発者が意図的にセットしたものである、ということをすっかり私は忘れていました。そして設定そのままで勝負を行うということは、あれが残った状態で戦うということだったんですね…。

言わばかなり期待勝率が後手に条件の悪い状態での指定局面戦だったという。ここをすっかり忘れていたのでした。。

ただ、対局後のインタビューだと思うんですが、事前の練習では勝率五割とか、船江恒平プロが振り飛車にしようかと思っていた、という話について、いまいち理解してなかったのですが、つまりはそういうことだったのですね。。

空手の型の演技、みたいな催し物に今後はなっていく…可能性があるなあ、という気がひしひしとします。

もちろん、川上会長が言っていたハードを一定にして、ソフトの強さで競わせたいというのは意図としてはF1のレギュレーションのようなものなので理解出来るところ、としていたものですが、なんというか、その結果出てくる姿が、ソフトのバグではないにしろ、癖をつく指し方での勝利ということであれば、そしてそれを正当化するのであれば、このイベント自体のあり方としては、少し変わってくる気がします。

今になってボンクラーズの伊藤さんが当時のことを振り返りつつある理由もなんとなく分かるような気がしてきます。その当時から、まさか貸与でああいう指し方になるのであれば、貸さないほうが良かったという伊藤さんの発言があったような気がしますが、主催者側が興行面に重きをおいて、対局者が勝負にこだわる結果、必然的な方向性としてこういうものになってしまうのであれば、これはどうなんだろうと。

極論、うまく癖を捉えたら勝ち、ただし棋譜としての感動は人間同士、プロ同士のようなものはない。むしろ人間が負ける時にこそ、勝負の面白みや棋譜の素晴らしさが出てくる可能性があるという。

なんとなくこの姿はやはり古代コロシアムでの人間対猛獣の戦いに似ているような気がしますね…。

人間賛歌であり、大変な重圧のなかでこのオファーを受けて勝ち切った船江恒平プロの評価が下がることはもちろんないですし、私も人間を応援していたわけですが、この棋戦に関する気持ちとしてはなかなかに複雑なものがあるのも事実です。

人間が追い越される前に、同じぐらいの実力で競り合っている時に、普通の将棋で普通にぶつかり合って、その結果どちらが強いのか?という勝負が見たかった・観たい、という気持ちがとても強いですが、大会のルールがその実際の意図はさておき、そういう勝負から遠ざかる結果になっていることに、主催者側が目をつぶっているとは言わないものの、誰もが最善を尽くすと、結果遠ざかることは間違いないだろうな、というのを確信しました。

その時に、そういう枠組みを無視して「感動をありがとう!」といえるのか、白けてしまうのか?は良し悪しではなく、その人の人間性だったり考え方に依存するところはあるだろうなと。そしてどちらのリアクションが生じたとしても、それはそれぞれの捉え方であり、どちらの反応も否定されるべきものではないでしょう。

私個人としてはやはり後者になってしまうかなあ。しまいつつ、それでも塚田泰明の涙に感動する自分も居ることは居るんですけどね。なんとも煮え切らない複雑な気持ちです。。


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Tag : ツツカナ 大崎善生 船江恒平 三浦孝介 一丸貴則 電王戦

コメント

No title

プロの将棋も同じやん

ほぼ同感

仰られていることほぼ同感です。
最後の前者と後者に別れるというところは、まだ微妙に期待感を持っていますというくらいですね。

型の演武にというのもそうですね。
やるとすれば、事前貸し出しはOKで、開発&チューニングOK、ハードスペックは統一くらいがいいのかも。

更に考えると、上記条件で奨励会からソフトも参加して、昇段できるか?、A級に上がれるか?、タイトルは取れるか?、さらには人間が圧倒的に敵わなくなるのか?といったことには興味がありますね。どちらかというと、情報科学の実験としての興味と言えそうですが。
興行でもなんでもないので絶対実現しないでしょうけれど。

No title

>極論、うまく癖を捉えたら勝ち、ただし棋譜としての感動は人間同士、
>プロ同士のようなものはない。むしろ人間が負ける時にこそ、勝負の
>面白みや棋譜の素晴らしさが出てくる可能性があるという。

とてもよくわかります。
「共存共栄」とは米長前会長自身の言葉だったと記憶しておりますが、
将棋連盟の狙う共存共栄は、結果観衆不在の共存共栄になってしまう可能性が
あるかもしれませんね。

No title

私も同感に思う面はありますが、思考スピードが全く比べ物にならない、感情のブレもない、人間と違って疲れることもなく持ち時間無駄なく使えるのに同じ持ち時間でいいのか?とか疑問はいっぱいあるんですが、異種格闘技戦のようなもので公平なルールなど作る事自体難しい。
しかも凡戦になる可能性が高い。

ただの興行として素見かし半分見るのがいいと思います。

No title

感動というのはある種の共感で、コンピュータの思考が読めない限り共感は難しい。

だから人間が完勝すると、負けたコンピュータの苦労が見えないからつまらなく見えるかもしれない。

それにも増して七四歩みたいな一般的に最善とは思えないような明確な製作者の意志が入ってると手加減されてる感があってそれがよりつまらなくさせるのかもしれない。

でも、それでも楽しむためにはプログラム作ってみるとかすればいいのかも。
そうすれば苦労が見えてくるかもしれないし。

プロ棋士に感動するとか異常でしょ、
まあそういえばまともな人間がイラッとくるのを見越して嫌がらせで言うんだろうけど…。

今回は仕方ないです。

第2回の電王戦をやっているときは、
リベンジマッチを行う事を想定してなかったので
今回の結果は、仕方ないと思います。
(ただ、片上理事のblogでは、
そんなに楽勝とは思えなかったみたいですね。)
第3回以降は、差し手が固定されないように
アルゴリズムが改良されるでしょうから
だんだん、問題なくなると思いますよ。 

No title

電王戦の意義の一つに、「将棋をはやらせる」というのがあったと思います。将棋人口を増やすには、今まで将棋に興味が無かった層に注目してもらう必要があります。
>普通の将棋で普通にぶつかり合って、その結果どちらが強いのか?という勝負
普通の将棋とはなんですか?プロが公で戦う以上、本気で勝利を目指すのが普通だと思います。勝つ可能性がある手を、意図的に指さないことが「普通」だと思わないです。

No title

(最新verでない)事前提供自体は、開発者の任意で行われてよいかと思いますが、
本番ソフトの事前貸与をルール化して実施される第三回電王戦は、
プライドや名誉を掛けたガチの第二回に比べ興行的な要素が強く、
第二回のような楽しみ方はできないのが個人的には残念です。


むしろ前日まで俺用に対策して開発してかまわない、
それを倒してこそ、という棋士がいれば全力で応援できるのですが^^;

ソフト側として勝ちにこだわるのであれば、乱数の実装や、
癖を無くし棋士の事前研究に耐える、ハメ技の効かない特徴を持ったものを開発していくしかないのですかね。


人工知能分野の研究課題としては有意なのかもしれませんが、
ただひたすら将棋の強さを追求したソフトウェアと、
それで飯を食っている棋士の一発勝負、真剣勝負の対局姿に
熱狂した第二回に比べ、大分面白さが損なわれているように感じます。

第三回後は盛り下がり、いずれ誰も見なくなるのではないかと危惧してます。

No title

つまらなく感じるのはもうみんな結論を悟っちゃってるからじゃないですかね。

人間と機械の比較という論点であれば、
同じチャトランガ系ゲームであるチェスで既に結論は出てるわけでして、
将棋において普通にぶつかり合って、その結果どちらが強いのか?というのも、
三浦九段vsGPSクラスタの結果でもうみんな悟ってしまった。

第2回が面白かったのは後者の部分、
将棋においてどちらが強いのか?がまだ見えてなかったからで、
第3回以降はどんなレギュレーションにしても盛り上がりはしないでしょう。

羽生や森内や渡辺が出れば盛り上がるのかもしれませんが、
それはまさに古代コロシアムでの人間対猛獣の戦い。
食われることを覚悟で戦いに挑む悲壮感みたいなものを楽しむ類の、
人間の黒い部分の感情を刺激するイベントになるでしょうね。

No title

これは興行ですよ。興行の要諦は均衡を作り出し、どちらが勝つか分からない状態をルールで作り上げることです。そういう意味では今回のルールは良くできているのでは。

プロ側からすればやってられないですよ。将棋指し一本でメシ食ってる人間が、趣味か、将棋以外の研究(AI)が本来の目的に開発している人間と真っ向勝負という前提がそもそも社会的な観点からありえませんね。かかっている物が違いすぎる。プロはソフトに負ければ、皆建前では言いませんがソフト以下と辛らつに陰口を叩かれるわけですし。(日本人は陰口大好きですから)
得るものはありません。最初のボナンザとの対戦をした渡辺竜王(当時)の発言が限りなく本音でしょう。

逆に言えばソフトに負けることが将棋連盟にとって問題が無くなり、プロが揶揄されること無くなれば自由な対戦やルールが出来るでしょうね。羽生3冠や渡辺2冠、森内名人竜王が三タテを食らってからの世界だと思います。実現するか分かりませんが。

現状は振駒に一国の首相が登場するくらいの、極めて高い市場性があって始めて成立している危うい状況だと思いますよ。

今の所ソフト開発者のリスクは限りなくゼロで、プロ側は限りなく最大ですから。対決に負ければ、開発者の社会的な立場に悪影響が出るようになってからが本当の意味での真剣勝負と言えるでしょう。

No title

「2014-01-02(11:01) : 通りすがり」さんに完全に同意します。

もうこのイベントに残されているのは“悪趣味の世界”だけですよ。
どれだけロマンチックな言葉で格好をつけても、今回のレギュレーション設定に違和感を感じたり否定したりする多くの皆さんが無意識的に望んでいる「面白さ」の根幹にあるのは、単にそれだけです。

悪趣味。

いや、そうではないとおっしゃる方は……単に脳天気なだけです。

空手をやっている者ですが、あれを型というのには違和感があります。
型はむしろ定石というべきもので、あれはやはりプロレスというべきかと
今回はツツカナが調子が悪かったような感じがします。そんなことはありえないんですがね

やってることはアマの100万円企画と同じ
ハンデ戦だが…。
違うのは二点、
主催者がハンデ戦だと認めないで客寄せしてること。とにかく説明がおかしい。
で、将棋連盟のプロ棋士がとにかく不愉快。
ハンデ戦で一勝一敗だから実力五分といい放った船江はもはや伝説!!
客馬鹿にしすぎ。

No title

第二回の結果から今回への移行に強く反対してる人って、
"人間が猛獣に食われる姿を見たい"
という下種な欲望にしか思えないんですよね。

「コンピュータ対人間」という戦いの在り方として
第二回第三回ともに考えとして間違っては居ないわけで、
第三回のやり方で盛り上がれないならばつまりはそういうことなのだと。

プロ棋士側からすれば仕事の価値を失うかもしれないわけで、
それがかかってしまってる以上電王戦は
タイトル戦全部を併せても足りないほどの価値のある戦いなわけですが、
見てる人間でそれを意識してる人間がどれほど居るのでしょうか。

「一発勝負で組み合って人が勝つところが見たいんだ」
というかも知れませんが、猛獣の檻に人間を放り込んで
「人間の強さを見たいから戦って感動させてくれ」ってのは
やはりどうも下種いニオイしか感じません。

第三回の形でもプロ棋士側からすれば相当な負担になってるわけで
多くを望みすぎるのは問題だと思いますよ。

お前たかが将棋でゲスだの何だの迷惑なんだけど、何様なの?
ひとが何求めようが勝手だろ、
まして将棋でキチガイなのか?
まともなイベントじゃないから批判しただけ!!
プロ棋士が何やろうとどうでもいいが今までさんざん煽ってきたんだからこうなってるだけだろ!!

No title

△7四歩は私も後から思い出して、ああそうかと、少し萎えました

しかし、チェスでは人間側が誰でもソフトを入手出来、自由に対策が立てられるにも関わらず、
トッププロでもハンデをもらわなければソフトに勝てないところまで行っている事を考えれば、
このようなやり方で人間側が有利になれるのも僅かな時期に過ぎないという気もします。

そのうちどれだけ人間側が研究しても、確実に有利な局面まで持ち込むことが不可能になってくるでしょうから
そうなったら質の高い棋譜が出てくるのではないでしょうか。

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