ハイレベル!第72期C級2組順位戦 第1回戦

さて、三段リーグの延長的でもあり、C1リーグのようなレベルの高さでもあり、というC級2組順位戦が開幕しました。46名で昇級3名、降級点9名の枠を争います。

まずは全体感から。平均年齢は35.1歳。以前はどんどん若返っていった印象がありますが、遂に古豪がC2に落ち始めているので年齢が再び上昇してきました。

平均段位は5.5段。

段位別の年齢は9段が3名で68.7歳。8段が居なくて、7段が6名で47.2歳。6段が12名で36.8歳。5段が10名で28.4歳。そして四段が15名で24歳。計算間違いあったらすいませんが、そんな感じです。

降級点1つ持ちが9名。2つが4名。その13名の平均年齢は40.2歳、段位は5.9段。平均順位は31.9位。46名いて、9名降級点ということは38位から46位がもらうということなので、安全圏という気もするし、そのかなに4名の新四段が含まれているので、34位から42位がもらう?という考え方もできるので、ぎりぎりなのかもしれない。

シンプルには20代の四段五段が昇級を競い合って、30代後半以上の6段以上が降級点を競い合う・・・という構図が頭に浮かびます。

今期開幕戦の対戦組み合わせを見たときに私が思ったのは「どの対局も観たいな」ということでした。

捨て試合がないというか。これは見なくていいという対局がない。とてもハイレベルな、あるいは個性の感じる棋士同士の組み合わせ。

ここから一年かけて、誰が降級点を取るのか?というのを眺める悪趣味な催し物・・・という側面は少なからずあると思います。というのも、昇級枠が3つしかなく、しかもその3つは大体5人ぐらいの候補者で戦う一方、煮詰まってレベルが上がっているので誰が降級点をとるのかわからない上に、9点分も枠があるわけですから。。

電王戦の残酷さも勿論理解できるところですが、あれは選ばれしもののための戦いであり、そして負けた棋士たちも胸を張ってむしろそれを糧としているように見えるのに対して、順位戦C級2組で負けて降級点を与えられるということは何のメリットもありません。純粋な残酷さしかそこにはありません。

・・・と前置きがながくなりました、がそういう大枠の観かたはありつつも、日々はその対局を楽しむのが我々ファンの役目?でしょう。

対局開始前に私が思ったのは、「瀬川vs森けいじ戦がなかなか面白そうだな」ということ。

森先生がその魔術師らしいパフォーマンスを発揮すれば、瀬川さんもどちらかというと激しく行くタイプなので、華やかな戦いになるだろうなと。

今は夕方ですが、その予感は的中したようです。この将棋はまだご覧になられていない方は是非みてほしい一局です。

あとはお勧めを書くとすれば・・・まあ、好みですねw

ノーマル振り飛車がいくつかあったのが目につきました。個人的には岡崎遠山戦の岡崎プロの陣形、対穴熊に地下鉄飛車かな?というような陣形の将棋が好みです。左の桂馬を活用できれば、かなり有望な気もします(穴熊はなんやかんやで遠いのがこの戦型ではありますが)。

あとは西川パパvs千田さんの将棋。千田さんの金が四段目に行きそうですね。こういう将棋が好きな人は楽しいと思います。私は好きです。勝率的には苦労しそうな気はしますが、中終盤力次第、でしょうかね。

忘れてはいけないのが田中かいしゅう先生の奔放な将棋。ここはいつでも注目ですね。筋のよい駒の効率性の高い指し回しで若手を翻弄する図・・・が毎回期待されるところです。

居飛車党で矢倉が好きなら、藤森vs西尾の後手急戦も注目です。いわゆる米長流ですかね。ここが面白いのは先手の藤森さんもこういう急戦調の将棋を後手番で得意にされていることです。対策を聞いてみた、というような西尾さんの採用ですね。

若き天才、美しき天然、こと佐々木勇気と竹内@やっぱり森門下の将棋もなかなかすごいです。こういう将棋を強い棋士同士で、しかも持ち時間長いところでみれるってのは順位戦の醍醐味ですよね。是非明日の朝まで死闘を繰り広げてほしい…。

ノーマル振り飛車好き、相穴熊好きの人にはうってつけの将棋も数局ありますね。私はそれほどでもないのでさらっと観る程度にします。絶品のさばきがありそうな対局組み合わせもあるので、それだけあとで味わいたい、という感じですね。

八代vs内藤という若者vs老人の対戦もなかなか、将棋センターとかじゃないとみれないですよ。年の差たぶん50歳ぐらい。戦型も相居飛車党であれば興味を持てるものになっていると思います。

というわけで、ここまで夕方の局面をみてのレポートでした。

今はあけて翌日の早朝。ここから結果を見ていきます。

瀬川森は華々しくはなったものの、終始瀬川攻勢でそのまま押し切りました。▲5三歩が取れないようでは・・という手が中盤の入り口でありました。

八代内藤もなんというか往年の内藤先生からすると驚くような終盤。勿論粘りの効きにくい将棋だったとは思うのですが、あそこまで指すのだなと。

横山吉田は、後手の穴熊があまり活きない展開に。角換わりで先手が最後まで攻めまくる将棋になりました。

昇級候補の澤田は相矢倉の後手番でうまく攻めきりました。

佐々木勇気も序盤の優位を綺麗に拡大しての勝利。

中座永瀬は陣形の差がでた将棋で後手の左金のぶん辛い、という印象。

西川パパと千田の戦いは、新四段の千田が勝った。将棋としてはねちっこさが私の好みで今後に期待したいと思う。

岡崎遠山は遠山の完勝。遠山の穴熊の巧さがよく出た将棋だった。

矢倉サトシンはサトシンの負け。これは負けてはダメな将棋だったと思うが…どうなんでしょう?

佐藤和と及川の戦いは振り飛車党としては先手の作戦と指し回しが大変参考になるのではないか。振り飛車のトップクラスにあるであろう、佐藤和俊が存在感を示した。

藤森西尾戦は相居飛車の急戦矢倉党は必ず見ておきたいところだが、こんなにあっさり決まるものですか、というぐらいの後手の快勝。後手のこういう矢倉が得意なはずの藤森だったのでとても意外な気がする。。

上村村中は夕方に見た局面では相当上村がやらかしたようにみえていたが、良すぎて目が見えなくなった・・・の典型で後手が逆転された。それだけ後手番というのは難しいところがある・・・ということで前述の藤森西尾戦と合わせて鑑賞してもらうのがいいように思う。

田中魁秀大石戦は私好みの序盤から田中先生が攻めまくったが、後手にうまくかわされてしまった。田中先生は若手にこういう将棋で勝ち切る事も多いが最近はこういう誤魔化され方もしてしまうことも多い。個人的には残念だが、大石さんは地味だが相当に強いので仕方ないか。

勝敗結果は以下のとおり。
昇級候補での負けは永瀬拓矢ぐらいだろうか。

瀬川 晶司五段(1勝0敗)○-●森 けい二九段(0勝1敗)…20時8分
岡崎 洋六段(0勝1敗)●-○遠山 雄亮五段(1勝0敗)…20時37分
横山 泰明六段(1勝0敗)○-●吉田 正和五段(0勝1敗)…20時48分
八代 弥四段(1勝0敗)○-●内藤 國雄九段(0勝1敗)…21時18分☆
西川 和宏四段(1勝0敗)○-●石川 陽生七段(0勝1敗)…21時54分☆
西川 慶二七段(0勝1敗)●-○千田 翔太四段(1勝0敗)…22時0分☆
藤森 哲也四段(0勝1敗)●-○西尾 明六段(1勝0敗)…22時40分
伊奈 祐介六段(0勝1敗)●-○村田 顕弘五段(1勝0敗)…22時57分☆
小倉 久史七段(1勝0敗)○-●中田 功七段(0勝1敗)…23時10分
藤原 直哉六段(1勝0敗)○-●佐藤 紳哉六段(0勝1敗)…23時15分☆
勝又 清和六段(0勝1敗)●-○牧野 光則四段(1勝0敗)…23時26分
佐々木 勇気四段(1勝0敗)○-●竹内 雄悟四段(0勝1敗)…23時52分☆
佐藤 和俊五段(1勝0敗)○-●及川 拓馬五段(0勝1敗)…23時54分
田中 魁秀九段(0勝1敗)●-○大石 直嗣六段(1勝0敗)…0時1分☆
長岡 裕也五段(0勝1敗)●-○高見 泰地四段(1勝0敗)…0時23分
中村 亮介五段(1勝0敗)○-●田中 悠一四段(0勝1敗)…0時38分
門倉 啓太四段(0勝1敗)●-○伊藤 真吾四段(1勝0敗)…0時38分
阿部 光瑠四段(1勝0敗)○-●増田 裕司六段(0勝1敗)…0時39分
村田 智弘六段(0勝1敗)●-○石田 直裕四段(1勝0敗)…0時40分☆
矢倉 規広六段(1勝0敗)○-●佐藤 慎一四段(0勝1敗)…0時42分
上村 亘四段(1勝0敗)○-●村中 秀史六段(0勝1敗)…0時46分
中座 真七段(1勝0敗)○-●永瀬 拓矢五段(0勝1敗)…0時51分
神崎 健二七段(0勝1敗)●-○澤田 真吾五段(1勝0敗)…1時9分☆


全部見切れてないですし、ぱっと並べただけなのですが、それでもどの昇級候補であっても、降級点を取る可能性がある棋士でもかなり熱の入った戦いを見せているので、悪趣味かもしれませんが、このクラスが一番人生掛かってるかんじで、じっくり見るべきクラスのような気がします。

特に半分ぐらい終わったところからの真剣みでいうと、他のクラスの比ではないように思います。


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