なぜ羽生さんはNHK杯決勝で無理やり矢倉を用いたのか?(への回答)

http://shogiwatch.blog63.fc2.com/blog-entry-1927.html
にコメントをもらったので、別記事にて。


>一つだけ「負けるつもりがあったわけではないのでしょうが、本格的な将棋で相手また間合いを吸収されることを避けたんじゃないか?」が気になりました。いくつか質問したいです。

という質問でした。いや、ただ何となく書いただけなんです・・・というのが正直なところです、すいませんw
でも、なぜあの決勝の場であの作戦を用いたんでしょうね?本当に不思議です。専門誌のインタビューなどで語られるかもしれません。


>1. 羽生さんには過去にもそういう傾向が見られたのでしょうか。

過去、後手番で2手目にいろいろな手を試したということはあります。そういう意味では何らかの趣向があったとは思います。逃げたというニュアンスよりは、最新形で渡辺明の研究にハマるよりは、力将棋というか深く研究していないところで専守防衛の作戦をとってみて、時間も短いし逆転のチャンスが訪れるのではないか?と見ていたんでしょうかね。わからないですが。


>2. 過去の記事でむしろ「羽生さんが対局を通じて相手の間合いを吸収し、見定めて以降、圧倒的優位を築く」という傾向を指摘されていたような気がします。もし、渡辺さんとの関係でその逆になっているとすれば、それはどういうことでしょうか。(先を行くものと、後から来るものの関係? あるいは、たんに個人と個人の力量の関係? それとも??)

弊ブログを非常にしっかり読んでいただいているようで恐縮です。羽生さんが間合いを意識しているなあと思ったのは、ニコ生での川上量生会長との対談で、コンピュータ将棋の実力について問われて、「何度も指していくとどういう棋風なのか、どういう特徴があるのかが分かるようになる。コンピュータにもそういう個性のようなものがあるのか?は興味のあるところ」と答えているところです。

渡辺明についてもどうようの理解が進んでいるとすれば、何かしら渡辺明という棋士についての対策のようなもの、対策じゃないにしても対応方法についてもあるはずです。それがありつつの今回の作戦ということであれば、そろそろベテランとしての私、というような昔の大山先生や中原先生のようなモデルチェンジを少しずつ意識し始めているのかもしれません。完全に何かを変える、ということではないにしても、中原先生が「行書から草書へ」と言っていたような変化が徐々に加わっていくのかもしれません。

渡辺明というよりは、今後の自身の在り方、というような。また後手番の苦しさがかなり明らかになってきたということを踏まえると最初から専守防衛、千日手狙いというような作戦は今後増えるような気もしています。多少の犠牲を伴いつつも主導権を得ようとする作戦の苦戦が徐々に明らかになっているので、そういう意味では無理やり矢倉に何かしらの期待を持っている・いた、というか。


>3. 「手の内を見せない」ことで先のより重要な勝負にかける、という考えは分からなくはないのですが、
>(1) NHK杯の5連覇ってのはそんなに重要度の低いものなんでしょうか。
>(2) それよりなにより、そんな姑息なことを考え出した時点で、相手との関係において負けになっている、という気がしないでもありません。王者たろうという人が、そんなこと考えるものなのでしょうか。

こちらも2に付随しますが、今後を考える上ではどの対局でもなく、最強の相手と舞台で試すことに意義がある、と考えたのかもしれませんね。私は棋譜を見ただけで放送は見てないので全くわからないのですが。。手の内を見せないというよりは、新しいものを試した、という意味のほうが強いかもしれません。こういう負け方になるとどうしても騒ぎ立てられてしまうので、第一人者は大変だなと思うわけですが、そういう意味でもこの作戦を採った勇気はすごいなと思いました。

ちょっと不思議なのは、3つも2段目に歩を打った鬼辛抱ですね。ああなると確実に勝てない気がするんですが、打開すると勝てないと見たからの自重とは思いつつもちょっと普段は見ないような展開でした。確かに辛抱してついていく展開というのはあるわけですが、こういう屈服系の辛抱はあまりないような気もしたので。

回答になっているかどうかわかりませんが、ひとまず回答とさせていただきます。




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コメント

No title

たいへん遅くなりましたが、ありがとうございました。「なるほど、記事の言葉尻だけを捕らえて、勝手にいろいろ考えてへんな質問をしたらしい」と思いました。でも、あれこれ考えを聞かせていただいて、たいへんありがたく思っております。

結局、後手番になった時点で、あんなような、若干普通ではない戦い方を選択せざるを得なかったという面もあった、ということかと理解しています。またそれは、渡辺さんとの力関係というだけでなくて、自身の(後手番戦術の)今後、ということも見据えて、ということだと。

王者が交代するにしても、取ったり取られたりを繰り返す時期がしばらく続いて、長い目で見ると次第に一方(次代の王者が)圧倒するようになる、という流れなのでしょうから、今回のNHK杯だけにそれほど大きな意味を読む必要はないのでしょうね。
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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

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