渡辺明は多分泣かない。

竜王戦が終わりました。森内名人竜王の誕生。渡辺明竜王の連覇途絶える。

プロレスか!と煽って見ましたが、いざ決着を迎えると奇妙なことに、私は動揺していました。

特定棋士にそこまで思い入れがない私としては、あり得ないほど。

なんとなくこの竜王戦では、そうは言っても渡辺明が…と思っていたんでしょうね。

赤の他人である私がそう思ったぐらいなので、当の本人はもっと心情的には喪失感をもったはず。

しかもその喪失は一瞬のうちに訪れるのではなく、二日かけて徐々に降り積もるわけです。雪国の冬みたいですね。例のしんしんと降る雪ってやつです。

どこから形勢の難しさを感じていたのか、やや細い攻めだと思ったのか、その辺はわかりませんけど、もしかしたら初日から思っていたのでしょうかね。

最近、初日は形勢の思わしくない方を応援する解説者が多いのでしょうか、封じ手局面は後手のほうが良さそうという棋士が多かったようですが、実はあの時点で攻めが細かった可能性。

それにしても羽生善治三冠が名人戦に挑戦する前は、名人を奪取して、棋聖戦では四冠対三冠の頂上決戦だ!…みたいな話もありましたが、とんでもなかったですね。

森内名人は羽生善治三冠を四勝一敗、渡辺明三冠にも同じスコアで奪取。結局、三冠、二冠、二冠という三国志状態になりました。

これはプロレスというよりは競馬ですね…(またか!笑)。最強のモリウチメイリユーが、宝塚記念でハブノマジックを破り、有馬記念でアキラノワタナベオーを撃破したと。…イマイチですかね?

対局後、周囲の人たちは当然声をかけられない訳ですが、二人で冷静に一局を静かに振り返っていく。その過程を経て徐々に二人の脳みそがクールダウンされていく。

この十年にも及ぶ、渡辺明という若き天才の栄光は、森内俊之当時竜王から奪取することではじまりました。途中挑戦を受けてそれも跳ね返した渡辺明竜王。しかし二度のタイトルにおける二人の様子を見ていて、特に森内俊之プロ側の態度というか、言動において少し二人の関係性が羽生森内や森内佐藤のようなものとは違うのではないか…という気がしていました。

しかし、本局の感想戦を見ていて、あ、この二人も遂に十年ぐらいかけて、いい感じになったのだな。という気がしました。

棋は対話なり、と言いますがまさに将棋を通じて、三度のタイトル戦での対峙を経て、真に分かり合えたのだろうなと。

この失冠は当然痛いわけですが、二十代のほぼ全てを棋界最高の地位に君臨し続けた事実は変わりません。

今回はこの二人の今期の調子がそのままに反映された結果のような気がします。特に森内名人のここ最近の充実は素晴らしく、本格居飛車党で、後手番での作戦を矢倉など普通の相居飛車のもので準備できていることが大きいです。

このあたりは、昔佐藤さんに甘い…と言ったという噂ですが、その自身の作戦家振りを上回るような渡辺明の序盤戦術が、もしかしたら、森内名人に影響を与えたのではないか?とすら思えてしまいます。

一頃はその実力の割りにタイトル戦に出れないことを不思議がられ、1度目の名人竜王のときはなんだか羽生さんの調子が…みたいな感じでしたが、流石に今回は最強の二人をぶちのめしての名人竜王ですから文句なく、間違いなしに最強と言ってもいいでしょうね。

将棋は負けると死ぬほどつらく、プロだと大勝負に負けると泣くのが恒例行事となっている気もしますが、渡辺明は多分泣かないと思います。

とりあえず、今後の将棋界の勢力図がどのように変化していくのか、そしてこの森内名人竜王の誕生は何を示しているのか、羽生世代は読売のワタナベ某のように死ぬまで君臨し続けるのか、など興味が尽きませんね(≧∇≦)
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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

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