人生の半分以上が王座。(天彦さん、惜しかった。羽生さん強すぎる

羽生さんが既報の通り、3勝2敗で防衛しました。

まあ、冷静に考えれば振り駒で得た先手番キープしたということで絶対王者ですし仕方ないといえば仕方ないわけですが。

それでも今期の天彦さんは勝ちまくっていて、羽生さんとの将棋でもしっかり勝ってましたし、調子の良さという一言では表せないものがあったわけで。

王座戦は例年、活きの良い若者が挑戦してきている感じがありますが、それでも正直まだ届かないだろうなーと思うことも多かったのですが、今期の天彦さんだったらこれは奪取してもおかしくないというか、奪取するだろうなと予想してたのは、このブログで延々と書いていたとおりです。

横歩取りはひところの流行から一旦落ち着いて、流石に先手が指せる状態なのかなと思っています。ただ若さ爆発、気力充実、乗りに乗っていて研究万全な佐藤天彦さんだったのでかなり期待できる局面を序盤で作ることが出来たのではないでしょうか。

それにしても、羽生さんの序盤の手順にはびっくりしましたね。▲2二歩は同金に限定されるならば割りと打っても気分の悪くない手という気はします。私はこういう焦点の歩、みたいな手は大好きですね。ですぐに攻めずに桂馬を跳ねて溜める。からの催促の▲8六歩。この辺の手順はなかなか引っ張りこむような感じで胸を貸す…ではないですが、勇気のある手順だと思いました。

そして先手はわかりやすい筋にしておいて後手が緩んだら許しませんょ?という局面に。

58手目の△2六香がぬるかったか?みたいな感想が解説でも本人からもあったようです。

個人的には、58手目ではやはり△3六歩、▲同飛車、△5四角という手順がいかにも横歩取りっぽいかなーと思います。手順の善悪はわかりませんが、一番普通っぽい手順。ちょっとだけこの手順が面白く無いとしたら、せっかく端っこで死にそうな飛車を手順に逃がすことでしょうか。銀と見合いになってる飛車、というのはそこだけみれば後手のほうが楽しい状況なので。

60手目で△3二金しかないのであれば、これはもう▲2二歩と打った甲斐のある展開です。ここでは先手に形勢が傾いていてもオカシクないですよね。

後手は龍をつくりましたが全く使えない展開。先手は作らせたついでにものすごく堅くなっていて、殺されそうだった飛車は逆にわかりやすい攻めのための特攻隊長となって反撃がきつかった、という。


67手目の▲8五歩とか打たれると相当アツい手ですが、これも序盤のやってこいの効果です。ほっといても取りに行く手なのに催促するの?と言われていましたが(私もこれは流石にそう思いましたが)、それでもこの局面でしっかり活きているとか、どこからどこまで読んでのあの催促だったのか。本当に恐ろしいですね。

飛車切ってからは先手の攻めがわかりやすく続きました。怪しく粘るのが天彦さんの得意技でもあるようですが、そういう展開にはならなかったですね。後手番での負けなので仕方ない。でも取れたかもしれないタイトルだったなー・・・というのはこれまでの羽生さん対若手棋士のタイトル戦の構図でしょうか。

そういう意味ではやっぱり羽生さんとのタイトル戦できちんと勝負になってる渡辺明は別格ですね。自虐的記事がこのまえあがってましたが、やはり実力はピカイチです。

天彦さんはこのままいけばかならずすぐにチャンスがくるのでこの好調と勢い、充実度を数年間は続けて欲しいと思いますし、続けられる棋士だと思っています。

ハブさんは人生の半分が王座。四五歳で23年保持とかありえませんね。田舎産まれ、45歳。上京して23年とかそういうあれじゃないですからね。やっぱりこの持ち時間の羽生さんは一番強さが発揮されるんでしょうか。

ともあれ、個人的には久しぶりに楽しくみたタイトル戦でした。若手棋士が出てくるとやっぱりたのしい!

天彦、よーやった!

王座戦の第二局。先手番の佐藤天彦が見事な勝利でした。

角換わり腰掛け銀の先手番は20年も30年も、もしかしたらもっと前から、一応先手番のエースとして君臨している作戦です。

これを極めて頂点に上り詰めた棋士は多い。矢倉との二枚看板なわけです。相手が誰であろうとも先手番で角換わり腰掛け銀やれば勝てる、そういう絶対的な速球投手型のエース。

糸谷もそうでしたが、やはりこれをもって羽生さんをやっつけねば始まらないわけです。矢倉よりも作戦の主導権というか、幅の狭さゆえに準備のしがいと、どの道順に行ってもそこまでややこしく無いので、実はアマ向きのような気がします。

攻めの手順というか組み合わせも適当に突き捨てて持ち駒の角の投入時期とポイント、桂馬と銀の活用…くらいなので、雑にやってもそこそこ攻めれる。ま、適当すぎると切れやすいデスけどね…。

今回の序盤は後手番がかなり勝っているらしい形なので興味深く見守っていたのですが、攻めさせて余してほぼ中折れ…じゃなくて中押しに近い勝ち方でした。

追い込まれてからの羽生さんは更に強いので、後手番は大胆に。あるいはなりふり構わず。もしくは諦めずに。

先手番はやはり矢倉か角換わり腰掛け銀。相手が変化してもしっかり勝ち切る。そういう感じで是非。

天彦さんはタイトルを必ず取れる棋士です。どうせ取るなら早いほうがよい。マグレの無い世界で世代トップを子供の頃から続けてきたわけですし、弛まぬ鍛錬の日々だったわけですからこのタイトル戦は頑張って欲しいですね。

糸谷、天彦…となると泥臭さというか力強さがタイトル戦で突き抜けるための一つポイントなのかな?という気はしますね。

この前の糸谷竜王の順位戦後手番はすごかったです。昔からの妖しげな糸谷テイストに加えて諦め無いところ、緩まないところ、着実に個性を保ったままに成長してるんだな~と、この前のNHK戦と合わせて思いました。

今の天彦さんは実力の充実だけではなく勢いを感じます。次の後手番で勝って欲しいです。気合が空回りしない程度に、とはいえ用意周到な後手番作戦で臨んで欲しいと思います。

天彦さん、頑張って!














今から佐藤天彦の初タイトル戦が楽しみすぎる。

佐藤天彦、その耽美主義とギャップのある力強い将棋。

この前の挑戦者決定戦でもその雰囲気が出た将棋を魅せてくれた。

挑戦ならず…に終わった同郷(といってもよいのかな?)の先輩深浦との挑戦者決定戦もかなり力強い将棋になっていたような記憶がある。

中終盤に力強いタイプというのは大抵悪力というか序盤に難があるものだが、糸谷がそうだったように佐藤天彦も自分の中で確立した、系統だった序盤戦略があるように思う。

短い時間でも強い羽生を銀河戦で破っていることも好材料だろう。歪んだ形で強いというのは羽生が広瀬との王位戦初戦で見せたような将棋で力を発揮するということだ。

糸谷同様に誤魔化されにくいところがあるのではないか。

あとは、これまでの取り組み方や、こなしてきたイベント、次点二回からのフリクラ入り回避や瀬川プロ編入試験などの経験値。あとはもともとあまりあがらないタイプだろうし、初タイトルでいきなり力を発揮してくると思う。

問題は羽生がものすごく実力を発揮してくる中距離の夏競馬…じゃなくて夏将棋だというところ。王座戦や棋聖戦のような持ち時間で時期の将棋に羽生は滅法強い。

秋茄子は嫁に食わすな、夏羽生は誰も食えない、という諺が千駄ヶ谷にあるくらいだ(嘘です

ここで突き抜けることができれば次の天下を取る一人として名乗りをあげることになるだろう。

初タイトル奪取は羽生以外から…という展開が一番楽ではあるが、ここは是非期待したいところ。







佐藤天彦、王座戦挑戦者決定戦に勝利、初タイトル戦へ!

今期絶好調というか、年度ではなく年で考えると2015年は殆ど負けてない佐藤天彦。調子の問題ではなく、世代出世頭が遂に目覚めた…という感じ。

この活躍には糸谷竜王誕生が絡んでないとは思いにくい。ここ最近の豊島も含めた若手のタイトル戦への登場が増えたのはよい意味で糸谷があるならば…という現実味というか実感が出てきたところはあるのではないか。

棋聖戦の豊島や今まだまさに羽生と戦っている広瀬と比べた場合にどうなのか?という意味では、銀河戦での対羽生戦勝利もあるし、作戦の充実度でいうと最も期待できる若手棋士かもしれない。

先手番でしっかり勝ち切る作戦を用いて、後手番ではたまに羽生が見せる余裕というか趣向というか、相手の作戦に乗るようなところが出てくるとかなりチャンスだし、糸谷のようにキチンと先手番で勝ちを積み上げたところから振り駒で先手を引いて…というフルセット奪取も、今後のための経験としてはかなり大きいだろう。

それにしても、挑戦者決定戦の将棋は凄かった。本質的には力強い両者らしい戦いというか。模様の取りにくい将棋ではあつたものの、馬と歩の得という実利は大きかったのではないか。

まだ途中からの展開を並べてないのだが、先手の飛車がああいう形で暫く隠居し続ける将棋というのはなかなか無いので、思わず久しぶりにリアルタイムで観戦してしまった。

プロ将棋界というのは本当に必然しかない、まぐれのない、実力世界なのだなぁということを、豊島プロや天彦プロの活躍を見ていると思う。

瀬川さんのプロ編入試験のことや、次点を蹴った決断など、将来のタイトル戦登場を思えば必ず糧になるであろうプロセスを経てきた佐藤天彦プロ。

是非初めての大舞台からその実力を最大限に発揮して将棋界最高峰とよい戦いをしてほしい。

天彦プロ、本当におめでとうございます!

二人の若手と羽生善治。

羽生善治が絶好調だ。まだ今期二敗しかしておらず、勝率一位。この人の場合、不調な時を探すほうが難しく、不調であっても六割超えしているという恐ろしさではあるが、しかし今期については絶好調であると断言して構わないだろう。

今期の永世竜王獲得だけではなく、二度目の七冠達成、他の棋士では考えられないが、羽生善治だったらやりかねない、そんな話まで出てくるほどに勝ちまくっている。

そんな羽生に対して、タイトル戦で豊島将之が、竜王戦挑戦者決定戦で糸谷哲郎が挑んでいる。

現在若手で活躍している棋士は何人かいるが、その中でも実力のある二人であることに異論のある人はいないだろう。どちらも羽生に挑戦するまでの戦いにおいて、素晴らしい戦いを見せてくれた。

そろそろ羽生世代もここまでだろう・・・と言われて早十年以上。失われた10年が20年になったように、羽生世代の台頭も延々と続いている。普及活動などにそれほど注力せず、トーナメントプロとしてのみ専念できた最後の世代であり、そして自らが切り開いた舗装した道と、それ以前の両方を知る世代でもある。

そんな世代の王者として君臨する羽生善治に、関西の二人の若き天才がどのように挑むのか?その序章としての今週の二局だった。糸谷哲郎は挑戦者決定戦の第一局を先手番で確り勝ち切っている。なので私は、今回第二局は落としても構わないと考えていた。

一手損角換わり戦法で、先手番の実力者たちをふっ飛ばしてここまでやってきた糸谷哲郎ではあるが、流石に羽生相手に通用するとは思わない。対羽生戦で糸谷が後手番一手損角換わりを指して勝ったのはかなり以前のことで、その後は順当に負けているはずだから。

将棋も一手損角換わりの右玉模様の戦型の最弱点である5三の地点を的確に咎められて、糸谷は敗れた。次の第三局、そこで先手番を貰えればいい、そこで勝ちきればいい、と私は第二局が始まったときからツイッターでつぶやいていた。

そして昨日の豊島将之である。タイトル戦は二回目の挑戦。前回は対久保利明で、振り飛車が最も充実していた頃でもあり、本人の棋力もまだ発展途上(勿論発展途上というのは悪い意味ではなく、豊島が到達するであろう頂上までの道程はまだまだ長い、それだけ大きなポテンシャルを持っているという意味だ)であり、惜しくも敗退した。

そして今回はどうだろうか?電王戦でほぼ唯一まともな将棋で確りと勝ち切った男であり、プレッシャーにも強く、浮ついたところがない。若いころの谷川浩司をみるような、そういう冷静沈着さと慎ましさを兼ね備えた男だ。そして電王戦の序盤でも分かる通り、かなりの研究家でもある。

初戦に投入したこの戦型も十分研究して、この形をもって後手番で羽生を屠るべく、投入されたはずだ。将棋自体は後手もやれた局面があったようだが、専門的すぎて私には分からない。先手玉が堅く、後手玉が薄いので、実戦的には薄い実利のために、ぎりぎりを行くという意味では後手番らしい展開であるものの、その紙一重の有利は些細なことで覆る。

そういう典型だったように思う。

とはいえ、今週の糸谷と豊島は後手番だった。後手番でもここまで戦えたことに逆に手応えを感じているかもしれない。次の先手番、次得られるかもしれない先手番で、二人がどのような将棋を見せてくれるのか、私はとても楽しみだ。


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