プロ将棋で、二手目△3二飛車戦法が流行る予感。

表題を結論とした我田引水な戯言なのですが…。

個人的に中座飛車を指さない居飛車党として後手番戦術は結構悩ましい。一手損かウソを咎められ続けるウソ矢倉か。振り飛車党だとゴキゲンなど等あって楽そうだ。

ただし最近のプロ将棋を見ていると、第一人者(の一人)であった鈴木大介プロがゴキゲンから降りて、一手損を指している。将棋世界 2010年 11月号 [雑誌]で阿部健プロ曰く、もう研究が進みすぎていてゴキゲンも力戦どころか、中座飛車や一手損を含む角換わりと変わらない研究将棋である、とのこと。私レベルのアマでも何となくの定跡が幾つかの分岐においてぱっと分かるので確かにそうかもしれない。

対先手居飛車ということで限定して後手番を考えると。居飛車党でも後手番でゴキゲンを指していた一頃の勢いがゴキゲンにあるようには思えない。とはいえ、相居飛車系の作戦でウソ矢倉の△3三桂馬と頑張る形(名人戦第四局羽生三浦戦の形)は先日、三浦プロが深浦プロに対して再度試した模様だが、実らず。一手損は相変わらず流行ってるが勝率は良くない。中座飛車はプロでもスペシャリストの世界。

では広瀬将棋のように四間飛車穴熊か?といえば、これも新規(再)参入で試した人間で幸せになったのは銀河戦で羽生名人を破った丸山プロぐらいか。

そう考えると、後手番で二手目△3二飛車戦法はかなり有力なのではないか?という気がしてきている。(ただしアマだと相手が居飛車党かどうかが分からないので無理だが)。

最近見た棋譜の中で気になっているのが以下の二つ。


【第82期棋聖戦】1次予選特選局先手:神崎健二七段 後手:菅井竜也四段

第69期順位戦B級2組4回戦 先手:安用寺 孝功六段 後手:戸辺 誠六段

東西の石田流のスペシャリストによるものだが、面白いのがどちらも玉側の端歩を居飛車に突き越させていること。端からの逆襲の筋があるのと、端歩の手数を他に生かすことでバランスを取っている(のだと思う)。そして後手番なので千日手歓迎、というのは広瀬新王位誕生以来の伏線となっている。

△3二飛車戦法に対する先手の応手は?乱戦⇒後手満足なわかれ(将棋世界 2010年 11月号 [雑誌]の久保連載参照)、?対抗形⇒後手番で石田流に出来るので未だしも、?相振り⇒相手の望みでの相振りではないので気持ちよい、ということにならないだろうか。?の例としては以下がある。これは居飛車の先手番としては相当にアツい。

第23期竜王戦決勝トーナメント 先手:丸山 忠久後手:久保 利明

私は棋風が分からない相手からの変な将棋への誘導がいやなので、先手番では▲2六歩と突く(その後自分が変な将棋に持ち込むわけですが…)。プロでも相手が振り飛車党で△3二飛車がアツいと思えば▲2六歩と突くだろう。「相手の得意を避けるとなめられる」問題はあるものの、指したくなるところだ。

しかし、後手番のプロが居飛車党の場合は。▲2六歩とくれば相掛かりになる。相掛かりでは定跡化が進んでいるのは浅いところまでで、基本的には力戦調で一部のプロが好むが勝率でいえば後手が戦えなくも無いことを示している。そして先手の▲7六歩に対しては、居飛車党の後手番が△3二飛とする。

最近では振り飛車を苦にしない居飛車党、オールマイティ型の棋士が多いので十分にありえるところだ。手詰まりが怖いとはいえ、後手番。千日手は歓迎となれば、かなり有力な戦法と思う。用いるプロとしては、居飛車党では作戦を凝らす印象のある、豊島プロ。△3二飛戦法の著書のある長岡プロ。後はオールマイティな田村プロ。研究家のアベケンプロ。振り飛車党では三間飛車党の永瀬プロ・西川ジュニアプロなどがやりそうな気がする。ベテラン中堅どころでは中田プロや小倉プロが用いると面白そうだ。藤井プロも対居飛穴の石田流は抜群に上手いので試して欲しいところだが棋風的に難しいのだろうか。

というわけで、中座飛車・一手損・ゴキゲンの勝率推移には注目したい。この辺が戦えないとなれば、消去法的に△3二飛車戦法が、特に居飛車党が用いるものが、プロ棋戦において登場する率が高くなると思う。振り飛車党はそれでも使い慣れたゴキゲンを使うと思うので、居飛車党こそに妙味があるようにみているのだが、ここに金脈があるかどうか、はこれからの掘り下げ次第だろう。

一手損の後手番で勝ちまくってる棋士は糸谷・小林裕など、玉捌きによるシノギと豪腕の攻めがあるものばかりで、指しこなしには相当の才能が必要と思われるのに対して、何よりも安全に玉が囲える安心感はたまらないものがあるとみているがどうか?

まだ購入していない方は以下の棋書を押さえておくことをお勧めしたい。

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