夏競馬・ダート・重馬場・ハンデ戦 第69期B級1組順位戦 2回戦

第69期B級1組順位戦 2回戦

佐藤康光、深浦康市という二人の実力者が、まさかの出遅れスタートとなったB1の第二回戦。雲行きが少し怪しい。この日の結果次第では、更に混沌としてくる可能性がある。実力者の建て直し具合、そして松尾歩、山崎隆之という二人が「夏の上がり馬」になれるかどうか?に注目してこの日の観戦に臨んだ。


▲行方(1-0)?△山崎(1-0)
ここは後手山崎プロということで、一手損に進む。先手が玉側の端歩を突きこしているのが珍しいが面白い趣向だ。88の銀は85歩と突かれるまでは上がる必要は無い、というのが一手損で良くある展開だが、それであれば端歩を突きこされても良い、というのが後手の主張。どこかで玉を広くする手を先手が指すときにこの端歩オプションの利益を得ることが出来る、というイメージ。

先手は将来の利益になるであろうというコールオプションを買い、後手は序盤の手得という実利を得るためのコールオプションを売った、といえば伝わる人には伝わるだろうか。それにしても山崎プロは、いつも面白い工夫を見せてくれるものである。(ここまでお昼)

面白い序盤がまだ続いていた。対する先手はこれもあるだろうなという趣向。要するに7七銀はシャクなわけで、とはいえ端歩を活かしたいとなれば、解はこれしかない。後手の山崎プロは突きこされた端歩に対して雀刺しという珍戦法に出た。これは殆ど苦し紛れだと思うが…。

桂馬を跳ねた隙に角を打ち込んだが、王手で銀桂交換が確定しており、正しく指せば先手が勝ちそう。とはいえ、先手の角も苛めの対象であり、後手の飛車が攻めに使える日は一生来ないかもしれないが、少なくとも受けには良く効いており、しかも苛められる心配は当面ないので、あれやこれやで誤魔化すいつもの山崎流がでるか?に注目。(ここまで夕食)

…と思ったのだが、どうやらプロの見立ては後手の山崎プロ良し、とのこと。しかし先手番で、もし一手損からこの展開になって負けるのであれば、相当に辛い気がする。具体的に何処が悪かったのだろうか?という話になるが、先手番で、端の位を取ったのが悪かったということになるのだろうか。(ここまで21時半)

結局角を打たれて馬を作られた所からは先手に勝ち目が無かったようだ。先手が攻めて後手に普通に反撃されて負け、という将棋で、投了図では9筋の位が全く活きていなかった。これで山崎プロは二連勝となり、初のA級が少し近づいた。力戦将棋の性(さが)として、誰にでも勝てる可能性がある一方で、序盤不出来だとそのまま押し切られる可能性もあるが、山崎隆之プロのA級での戦いぶりは是非見てみたいところだ。

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▲松尾(1-0)?△豊川(1-0)
松尾先手で相掛かりへと進む。後手の3四の歩をめぐってのやり取りが面白いが野月プロの「最新の相掛かり戦法 (プロ最前線シリーズ)」でも出ていたように思う。後手は浮き飛車を活かした意欲的な指し回しだが、パッと見た感じでは6筋と3筋の位のどちらもが不安定な状態に見える。(ここまでお昼)

形勢は分からないのだが、後手の攻めに迫力のある展開となった。しかし後手の方針が非常に積極的なものの、一目見ると玉の位置も飛車の位置も怖い感じ。松尾プロからの的確な反撃があるのだろうか?銀を取って、7二に歩を垂らして、角を4五に打つような手は見えるのだが。(ここまで夕食)

休憩後の手は単に4五角だった。これは受けようと思えば受かる。角を手放しあっているが、攻め始めた先手のほうが正しく攻め続ける権利と義務を有する展開となった。特に後手の3三桂馬が気持ちが良い。先手の端攻めはかなり前のめり感があるし、歩切れなのも気になる。11に銀を打って受けた豊川プロは、ここに投資するぐらいなので先手の攻めが切れ筋だと思っているのではないか。(ここまで21時半)

1一銀の意味は、後手が優勢というわけではなく、もし2二金で受けると後に8九の桂馬を取られて3四桂馬と王手金取りに打たれる筋が気持ち悪いということのようだ。しかしそれでも金を投入してまで桂馬を拾う手順で3四に桂馬を打つ筋が実現し、双方の玉の堅さの違いが大きく、程なく後手の豊川プロが投了した。やはり二枚銀は迫力はあるものの、普通に交換されて4五角を打たれてからは先手ペースということであれば、後手の作戦が失敗していたということだろうか。

松尾歩プロはこれで連勝。山崎プロと一緒に連勝スタートとなった。

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▲畠山鎮(1-0)?△深浦(0-1)
初戦、松尾プロの中座飛車に敗れた深浦王位が、今度は中座飛車をもって畠山プロと対戦。(ここまでお昼)

良く分からないが、畠山プロの「ダブル壁」が少し珍しいだろうか。後手が攻める前に先手が形を崩しにいったが、後手としては攻めが切れたらお終いというような展開になりにくいのでむしろ有難い気はするが、先手の畠山プロは細く攻めさせたら天下一品であり、このあとの鋭い攻めに期待したいところ。(ここまで夕食)

現在の45手目の局面は難しいながらも、先手の言い分が通っていると思う。パッと見、受けるならば攻防の7五角だろうか。(ここまで21時半)

細いながらも先手の攻めが続いている。六〇手目の棋譜コメントがとても美しい表現で私は感心した。細くても、攻めていれば畠山先生のペース、少なくとも受けているよりも勝機があるとみていたのだが、まさにそのような展開となった。本局におけるMOM(MOVE of the match)は75手目の▲1六角だろう。後手の分かりやすい攻め筋である桂馬打ちを封じつつ、攻めにも利いており、最後まで動かなかったが、最後の最後まで守りと攻めの要を演じていた。

これにてなんと深浦プロは連敗スタートとなった。タイトルホルダーがA級に復帰できない可能性が高まり、このままだと今期の王位戦の行末も不安になるところだ。ただしB1における前局と本局についてはA級からの降級時や対羽生棋聖との棋聖戦三連敗のときのような無理な感じではなく、ねじり合いでの負けなので、相手を称えるべきだろう。

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△井上(0-0)?▲杉本(0-1)
振り飛車党だが最近居飛車も指している杉本プロが、井上プロの横歩を受けてたった。井上プロの駒組みは松尾流の中座飛車・中座玉だろうか。(私が勝手にそう呼んでいる)。杉本プロの端歩が少し早いように思うのだが、具体的にこの端歩を活かす手順が今後あわられるのだろうか。(ここまでお昼)

ぱっとしか見てないのだが、夕食休憩の局面の先手を持つ気が全くしない。1筋に手をかけたメリットもなく、飛車先を封じられ、攻めの桂馬を捌かれている・・・のだが、この局面でアマでは良くあるのだが、同桂馬と取らずに金を逃げるような手でぼろっと桂馬を取れるのであれば、先手が良いのだろうか。手の流れだけの印象でいえば明らかに後手を持ちたい気がするのだが。(ここまで夕食)

そして逃げた。逃げて桂馬を取りきった後の手順がいかにも杉本流。そして有力だった。こうなるとどっちがよいのかもう分からない(ここまで21時半)

こうなるとどっちが良いのか分からない、というのが昨晩時点の感想だったが、そこから先も延々とその状態が続いていた。厳密な形勢判断でいえば二転三転どころではないだろう。如何にも一方が杉本プロであることがわかる何とも不思議なねじり合いだった。中座飛車で入玉模様ではなく、普通に寄せ合いになっていて二〇四手、終了時刻が深夜2時近く、というのは恐ろしい。

杉本プロに根負けせずに、延々と受け続けた井上プロの指し回しに凄みを感じた。

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△佐藤康(0-1)?▲鈴木(0-1)
佐藤プロがB1というのは未だに信じられない・・・というのをいつまでも言っていても仕方ないので、今日で最後にしたいと思うが、また言うかもしれません・・・。先手の鈴木プロが早速やってくれました、早石田の超急戦。鈴木流と呼ばれるものだと思うが、この二人での早石田といえば棋聖戦を思い出す。序盤満足なわかれから、終盤鈴木大介プロがひねられたのだが、本局はどうなるか。本日の注目度NO1だろう。(ここまでお昼)

新手の意味は無理やり桂馬を引っ張り出して、その桂馬をとりに行く、というものだった。しかしなかなかその機会が先手に訪れない。お互いに玉の囲いにくい将棋になっているが、素直な応手で歩得かつ攻め駒が働いている後手のほうが気分が良いかもしれない。桂馬は居ないが美濃囲いの邸宅も既に完成している。先手は金無双囲いが考えられるがウサギの耳が開いてる状態なので気持ちが悪い。先手玉には帰る家がない状態であり、先手の新手が少しやり損なっていると思う。(ここまで夕食)

ここが一番早い終局だった。跳ねた桂馬の顔を立てる攻め筋に感心した。秘策で臨んだ鈴木大介プロだったが、その構想は実らなかった。この形はもう出てこないような気がする。修正案はなさそうだ。(ここまで21時半)

その後、程なく終わった。後手の佐藤プロは一直線の攻め合いに持ち込む。後手に変化のしようがなく、お付き合いして後手の一手勝ち、という将棋だった。終局後の、棋譜コメント欄に記されている鈴木大介プロの言葉はごもっとも、という感じ。


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△屋敷(0-1)?▲中村修(0-1)
ここも中座飛車。一手損フィーバーが終わって、中座飛車へ流行が移っている。私はこの中村プロが指している先手の方針がすきなのだが、上手く行くのかに注目したい。(ここまでお昼)

飛車を深く引いていれば、苛められることはない、という意味で中村流の戦い方がすきなのだが、この夕食休憩局面ではどうなのだろうか。片肺飛行という印象で勝つ気がしない。何となく囲いの性能の差が出そうな気もする。しかし、後手が小駒しかないのでどうにかなるのだろうか?元「受ける青春」の見せ場はあるか?(ここまで夕食)

しかしここも私の感性がおかしかったようで、夕食休憩あたりでは、後手の攻めが細く、先手良しと見られていたようだ。だとすれば屋敷プロは何故にこの状況に突入したのだろうか…。(ここまで21時半)

先手の五九手目の▲2六飛車が良い手だったか。後手からの早い攻めがないので、この手で左右挟撃も築きつつ、何かの時に玉を二筋方面に逃がす手も見えている。飛車を2九ではなく2八に引き直した手もその思想だろう。そして2筋にと金が出来て挟撃の見込みがたったところでは先手が良いことは私でもようやく分かる。

最後は先手のシンプルな攻めが決まっては後手に粘りようがなかった。私は繰り返すが中村プロのこの対中座の2九飛車型を優秀だと思っているのだが、本局もそれを証明しているように思う。

一度はA級に上がってもらいたいとC1時代から私が延々に願っている屋敷プロは連敗スタートとなってしまった。

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B1級2回戦の結果、以下のような結果となった。

2勝0敗:松尾歩(5)、山崎隆之(6)、畠山鎮(11)
1勝0敗:井上慶太(1)、中田宏樹(13)
1勝1敗:佐藤康光(2)、行方尚史(4)、豊川孝弘(9)、中村修(12)
0勝2敗:深浦康市(3)、屋敷伸之(7)、鈴木大介(8)、杉本昌隆(10)

松尾・山崎の二名の活躍は順当であり、昇級候補を連覇した畠山プロが素晴らしい。連敗スタートは深浦王位が含まれていることに驚く。その他、元タイトルホルダーの屋敷プロ、振り飛車党の巨匠の二人。

実績上位でA級復帰候補であった、深浦・佐藤の二人が早々に負けて出遅れているが、他との実績の差を考えればこれくらいは良いハンデになろう。まだ2回戦までしか終わっていないが、今期のB1の馬場は荒れており、タイムは出ないだろう。実力上位の人気馬二頭はそれぞれに適切なハンデを課せられたが、これでもまだ十分に勝ち負けだと思う。

過去B1からの昇級をみてみると最低でも8?4以上は欲しいところではあるが、今期のこのぬかるみ具合であれば、8?4をしっかり残せれば順位上位の先行逃げきり型でも、順位後方のマクリ一発型でも十分に昇級の可能性があるだろう。



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バランスを崩す / 歪な穴熊 第69期順位戦A級1回戦 ▲谷川浩司九段?△三浦弘行八段

第69期順位戦A級1回戦 ▲谷川浩司九段?△三浦弘行八段

不調気味の二人の対局。順位戦初戦ということもあり、ここの勝敗が今期の行く末を示す可能性がある。これは運命論ということではなく「結果が過程にフィードバックされていく」という典型になる可能性があるということ。例えば名人戦において、三浦プロは勝ち将棋を含んだ四連敗を喫した。そこまではそれ以外の棋戦では勝っていた訳で調子が悪かったというわけではない。しかし敗戦という事実がバランスを崩していく、スランプと呼ばれる類の現象を生じさせている/生じさせる可能性がある。

プロの将棋は、元々が微妙な差の中で戦っている。プロ棋士の第一感の手が殆ど同じ、という範疇の中で交互に指し進めていくなかで勝敗が決する。運の要素が(少)ない将棋ではあるが、どの手もありそうだ、という中で何を選択するか?というところの先に確率の世界が広がっている。その選択において、その棋士それぞれの感性が活かされるわけであり、負けがこんでいる状態というのは、その棋士の感覚と指し手の相性において何らか微妙な齟齬があるということなのかもしれない。

そういった状況の下、本割りと呼ばれる順位戦でこの二人がどのような戦いをみせるのか?というのは大変興味深いところだ。(ここまで対局前)。

今は10時47分。盤面は先手谷川九段の三間飛車、石田流模様となっている。これは有力な作戦で、特に対三浦プロという意味では良いと思う。私の印象として、だが三浦プロの対石田流の作戦はそれほど凝らしたものではなく、先手が実戦的な勝ちやすさをキープできるからだ。主には左右分断型の、佐藤康光プロっぽい指し回しか、作戦負けを甘受するような持久戦が多いように思う。A級では対久保プロ、対深浦プロとの戦いがあったように記憶しており、どちらも負けているのではないか。(ここまで10時49分)。

今は13時55分。三浦プロの採った戦法は「左美濃+7二飛車+6三銀」というものだった。形は全く違うが、思想としては先日開幕したC2の菅井vs中村太戦が下地になっているような気がする。続く後手の△4四歩が少し珍しい手だろうか。後手からの捌きを封じて、7筋の関係だけで良くしようという考えだろう。

先手の7七角型を咎めているというか、甘くする意味もある。「いつかどこかで6五歩」と来られたときに、2二角成りに何でとっても味が悪いので、後手から角交換に行く展開が多いように思うが、そのとき形良く7七桂(or銀)と取られることを思えば、交換の筋をなくして、飛車いじめに専念する、ということ。

私が対石田流で勝つときのパターンは角交換して筋違いに角を打って飛車をひたすらに苛めるか、或いはこの浮き飛車の状態で苛めまくるか、という展開が多いが、3四の歩を狙われる展開になると実戦的には気持ち悪いのでそのあたりに注目したい。(ここまで14時02分)。

今は21時09分。後手の陣形の歪さが目を引く。また、先手の攻め駒の端っこへの集まり具合も不思議な感じだ。少し盤面を戻してみると、後手の三浦弘行プロは、左美濃から固める順ではなく、やはり金銀が分断する形を採った。理由は不明だが、この若干クラシカルな形をよく指している印象がある。ただしそこからの手順は初めてみた。恐らく想定研究の手順ではなかろう。

この歪な穴熊が登場した理由は△4五歩にあるように思う。位を目標とした逆襲というのは将棋には常にある手段だが、谷川浩司プロの予想外の構想の前に銀を二枚繰り出さざるを得なかった。では先手がかなり良いかといえば、捌いてナンボ、という石田流で捌けずに銀冠にしたのはそれほど威張れたものではない。石田流と銀冠のバランスはそれほど良くない。そして捌きたい駒が全て端に寄ってしまっているのも詰まらない。石田流は手詰まりになると辛い、とか専門家のための将棋、といわれる所以だろうか。どちらも本調子ではないことをうかがわせるような、序盤戦術だった。

私が驚いたのは、以下の図67手目の▲1五歩だった。(この盤面画像の使用が著作権侵害などにあたる場合はお知らせ下さい。速やかに削除いたします)。
100629_A.jpg


単に歩の交換を許しては不満とみた後手の66手目を具体的に咎めに行った強手。今すぐどうこうという話ではないものの、金銀の上ずった穴熊モドキの後手陣は、穴熊の最弱点である端が更に弱い状態だ。そこからの手順は如何にも居飛車党、というもの。相居飛車ではないのだが、なぜだか相居飛車をみているような感覚になる。相手の穴熊が居飛車っぽくなく、先手の飛車が2筋(8筋)にいて、後手の飛車が3筋(7筋)にいるので、相対的に先手が居飛車のように感じるのかもしれない。居飛車らしい手順で竜を作ったあたりは先手満足だろう。この気分良しを如何に形勢良しにつなげていくのか、先手の谷川浩司プロの腕の見せ所。(ここまで22時07分)。

今は朝6時。将棋は終わっている。まだどちらが勝ったのかはわからない。対局終了時間だけみると深夜1時近い事を知る。先手が何の代償もなく竜を作った局面ではかなり先手が良いのかと思ったが、端の折衝、玉頭戦だけになってみるとそれほど先手の大駒が利いている感じでもない。

ただし、先手の飛車角の利きを活かした▲6六歩打やその歩を一歩進める▲6五歩の味が良く先手がやや指し易い状況が続いているように思われた。最終盤に盤上の天王山に角が飛び出す手が決め手。キーパー前にいた守りの選手がオーバーラップしてヘディングシュートを狙うような手で気持ちが良い。最後は先手が大量の持ち駒を活かした即詰みに討ち取った。

序盤、お互いに歪な形に進んでいたが、中盤の折衝以降はその歪な陣形であっても見事な応酬になるあたりが流石はプロ、といったところ。しかしながら囲いの性能の差がでた形で、また三浦弘行プロの対石田流対策が一つの弱点であることが露呈した印象もあり、三浦プロの残りの後手番(対森内・藤井・丸山・木村)において、石田流を投入してくる人がいるのではないか?という気が何となくしている。

これら四名は石田流をあまり指さない印象ではあるが、だからこそ余計に採用した場合は、三浦シフトであることが明確であり、面白いと思うのだがどうだろうか。

谷川プロは今年に入ってから負けが混んでいたが、年度でいえばこれで2?2のタイに戻した。勝ち負けは年度で意識することが多いだろうからこの勝ちをキッカケに立てなおしてくるだろう。対する三浦“武蔵”弘行はこれで今期のA級をどのように戦い抜くのか、今までは紙一重の残留劇を演じてきたが、その徳俵で留まる力が今期も発揮されるのか、に注目したい。

そして、この対局をサッカーワールドカップの日本戦があるにもかかわらずに将棋観戦に来ていた木村一基プロがこの二人とのA級での対戦において、どのような結果を残すのか?についても見守りたい。今期A級の見所はいつも以上に「誰が降級するのか?」というところにあると思う。

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目を覚ました若獅子 第69期B級2組1回戦

第69期B級2組1回戦

「B1のA級化」に伴い、「鬼の住処化」しつつあるB2クラスが遂に開幕。若き天才達と、曲者、そして地力のあるベテランという面白い構成になっており、全てのカードが好取組という印象。


△田中寅(0-0)?▲橋本(0-0)
なんとなく成り立ち?が被ってしまう「出る杭」コンビの対決。ただし棋風は好対照で、序盤に凝らすタイプの田中寅プロに対し、橋本プロは正統本格派の将棋で終盤も強い印象。ただし、力が必要そうな戦型、勝ちにくそうな将棋を敢えて選びに行っているような雰囲気が最近感じられるので、その序盤の無理目感によっては早速今期も早々に投げやりモードになってしまうかもしれない。・・・と思ったが頑張っているのは後手の田中プロだった。とはいえ、矢倉棒銀は田中プロの十八番であり、古いところではB1?の初戦?で郷田プロを吹っ飛ばした将棋が印象に残っている…のだが勘違いかもしれない。(ここまで昼食休憩まで)。

一番最初に終わったのはこの対局…と書くと、通な観るファンとしては「またハッシー時間使わなかったの?」と思うかもしれないが、違った。昨晩時点では消費時間で寅彦プロを1時間ほど上回っていた。勝っても負けても全力投球、今期はそれを期待できるようなのでファンとしてはホッとした次第。将棋自体も、寅彦プロの棒銀を完全に封じ、矢倉破りの三手角からの的確な反撃により早々に急所にと金を作ったあたりでは優勢になっていたと思われる。

最後も鋭く美しく決めてハッシープロ、白星発進となった。前期は強いが故に、筋が良いが故に危なげのある戦いばかりを選択していたように思われたが、もしそういう戦いを挑むのであればじっくり時間を使って勝ちきって欲しいところであり、もどかしかったが今期は大丈夫かもしれない。

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△堀口一(0-0)?▲土佐(0-0)
矢倉のようですね。(ここまで昼食休憩まで)。土佐プロの地獄突きから戦いが始まった一戦。これにて優勢、ということは相矢倉ではたまに生じる筋ではあるが、基本的にはそれですぐに優勢ということは少なく、苦労が絶えないと思うのだが。少なくとも好んで先手が選ぶ戦い方ではない。駒組み段階での作戦負けを自認してのものと思われ、入玉大作戦といきたかったが、後手の堀口一史座プロの良形を活かした的確な反撃の前に為す術がなかった。

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△島(0-0)?▲青野(0-0)
一手損から先手が棒銀フェイクの早繰り銀で後手の14歩がボケた状態。ここから作戦家の青野プロの指し回しに注目したい。後手は一手損で更に端歩を突かされている。この端歩が生きる手順はない…と思ったが早繰り銀の後手番でこの端歩があると王手ラインが無い関係で全然変わってくることを思い出した。そういう意味があったのだなと、今気づいた。(ここまで昼食休憩まで)。

後手に受けのための上ずった陣形を強いてから、じっくりと穴熊に囲った青野プロ。あまり穴熊という印象はないが、続く飛車の下に金を持ってきた手が如何にも研究家の一着。この一手でシンプルに堅くなった印象があり、飛車を渡しても打ちどころがない。端を攻められても後手の島プロの攻めは細く、非常手段的に金の利きに打たれた飛車をみて先手の優勢を認識した。島プロの早投げもあって、青野プロの完勝。

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▲先崎(0-0)?△泉(0-0)
B2では流石に能力上位の、A級経験者でもあり、指し盛りの年齢でもある先崎プロ。対する泉プロはアマとプロの架け橋として活躍されている印象。どちらも矢倉党ということでスラスラと進むが、右四間など破壊力のある野獣流な泉プロが三手角に構える。私も三手角大好きです。ただし84角型ではないので、どちらかといえば受身なのだろうか。王座戦の三浦松尾戦でも手順は違うがこの位置に角を据える将棋になっていたので、何らか新しい面白みがあるのかもしれないし、後手番ということでの牽制体勢なのかもしれない。(ここまで昼食休憩まで)。

堅く囲った先崎プロが先攻。如何にもらしい、筋の良い攻めが続き先手が相当に良さそうだと思った。後手からの攻めを手抜いての攻撃もあり、読み切りなのだと思ったが、なんと攻め合った結果、詰むや詰まざるやの局面で先手玉が詰んだのだった。さらりと並べただけなので分からないが、勝ち将棋を落としたのではないか。先手番、勝ち将棋ということであれば、この負けは先崎プロにとってあまりにも大きいと思う。

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△飯塚(0-0)?▲南(0-0)
まだ見てません(ここまで昼食休憩まで)。がっぷり四つの相矢倉から、先手の南プロが後手の飯塚プロが狙いをつけた65の争点に過剰反応する形で戦いが始まった。ここからの指し回しは自玉方面での大模様を張る将棋であり、正直アマには指しこなせないと思う。しかしそこは対石田流に棒金を用いて成績を残す南プロ、見事な指し回しを見せる。対する飯塚プロは鋭い攻めが持ち味なので、細いながらもなんとか先手の防衛ラインを突破しようと試み続ける。このあたりの応酬が観戦ポイントであり、一旦突破されると戦線を広げすぎたツケが回る、というこの将棋によくある展開となった。飯塚プロ、白星スタート。

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▲中川(0-0)?△神谷(0-0)
後手番で石田流をやるにはこの手順、といわれるものい。比較していないが、もしかすると戸辺プロも似た手順に進む可能性があるのだろうか。ぱっとみ、後手から角交換しているので手損が辛い気がするが・・・。(ここまで昼食休憩まで)。

先手の中川プロが用いた自陣角の対策は私も昔よく用いていた。飛車をいじめ抜けば居飛車が指しやすくなるのがこの将棋で、飛車へのマンツーマンでのマークを角に求めた手だ。そこからの先手のじっくりした指し回しは、「後手無理やり石田流」に対するプロらしい応接だと思う。焦らずとも序盤での手得が必ず活きる、という考えに則ったものであり、押さえ込まれることを恐れた後手の神谷プロが飛車角交換したあたりで指しやすさが確定した印象だ。

そこからも丁寧に指して優位を拡大し、アマでも習いのある一着が107手目の68金打ち。この一手で優勢になったのではないか。こういう紛れを無くす、蓄えのある手を中盤の終わりあたりで指せれば、優雅な老後ならぬ優雅な終盤を迎えることが出来る。107手目以降は終盤の手筋満載なので、その部分だけでもじっくり見れば、今月500円分の価値、終盤の手筋本一冊分の価値があると思う。中川プロの快勝譜。

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阿部隆(0-0)?△安用寺(0-0)
陽動振り飛車だろうか?(ここまで昼食休憩まで)。安用寺プロといえば、なんとなく振り飛車を指すイメージがあるが、本局は完全な関西風味の手将棋。筋の良い阿部プロに対して完全な変化球で対応した。それが早々に功を奏して、善し悪しは別にして、少なくとも後手の趣向が叶った展開になる。ただし後手は玉形が悪く、それを咎めるべく強く応じた先手阿部プロの手順が相当であり、形勢不明、通常の羅針盤の効きにくい力の勝負となった。今眺めてみても67手目の駒の損得がないこの局面がどちらが良いのかさっぱり分からない。糸谷プロであれば初見で見切るのだろうか?

しかしその数手後には先手が良くなっていた。後手は頑張りすぎた自玉の形が祟り、一度悪くなると粘りが利かない格好だった。特に中盤あたりから常に出続けた銀の割り打ちの筋、飛車と自陣の守りの金のバランスの悪さが響いたように思う。阿部プロ、B1への復帰に向けて大きな一勝となった。

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△桐山(0-0)?▲佐藤秀(0-0)
まだ見てません(ここまで昼食休憩まで)。いやあ、面白かった。この将棋、両者渋すぎて観る気がしない人も多いと思うが、そして中座飛車と聞いて一層観る気がしない人が多いだろうが、一見の価値アリ。この一局だけで朝刊5日分、即ち500円以上の価値がある。後手桐山プロの中座飛車中座玉(玉を52の地点に置いたままの中原囲いが、玉が中座しているように見えるので私はそう呼んでいる)だった。

後手が二筋を受けたこともあって、玉は堅いが、攻めの燃料が少なく、それがどういう影響を及ぼすかに注目した。後手の桐山プロが、相掛かりではよくある、先手の浮き飛車を咎める角打ちを絡めて先攻する。先手は腰が重いことで有名な佐藤秀プロ。辛抱強く、後手の攻めを受け続けるのだった。受けても受けても攻めは切れない。実に開戦から45手ぐらい手が進んでからようやく、受けてもキリがないとして、反撃に転じた。

渋い受けを交えつつ、攻める先手。後手は先手玉への攻め疲れもあっただろうか、着眼点を変えてB面方向に狙いをつけたが、いかにも遅そうだ。先手は後手のB面攻撃を手がかりに後手陣の端を攻める。腰の重い佐藤秀プロらしい攻めで、アマとしては一目まどろっこしい。しかしこういう安全確実、日本国債3年物、というような手で勝ってきたのが佐藤秀プロなのだった。

時限爆弾のタイマーがセットされた桐山プロはそこからも終始積極的に攻めまくり、控室の評判が悪かったという、生産したと金を挟撃の材料にして見事に勝ちきった。先手に反撃の手がかりを与えたようにも見えたが、その反撃が亀の歩みなのであれば、と金の価値と玉形の違いで後手が良い、という正確な判断だったと思う。中座飛車中座玉の威力を認識した一局だった。

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△阿久津(0-0)?▲野月(0-0)
昇級候補No.1の阿久津プロが、攻めっ気の強い野月プロと対戦。恐らくは先手の相掛かりが予想され、後手の対策に注目したいが、62飛車からの右四間風味ではないかと私は見ている。・・・と思ったら早速違った。後手の33桂馬が少し早いように思うのだが、研究だろうか。そしてこの形は最新の相掛かり戦法に載っていた気がするので後で手順を確かめたい。(ここまで昼食休憩まで)。

後手の作戦はひねり飛車模様だった。私が後手優勢だと認識した69手目の局面のすぐ後に、控室のプロの言葉として先手優勢という話が出ていた。私は歩の数と飛車の打ち込みの隙の無さ、実現利益としての竜を評価したのだが、プロは2四角の利いてなさ、を不満とみたようだ。そこからのやり取りをみると後手は玉の堅さを活かして実戦的に迫り、先手は後手の24の角を負担にしようとする手順。

控室が推奨する手だと先手が優勢?を維持していたのかもしれないが、本譜は少し足りない攻めを野月プロが決行して詰まずに後手の阿久津プロが勝った。プロ的な評価は分からないが持ち時間の短いアマとしては後手のほうが、攻めてもらっても気が楽、という将棋に思えた。

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▲北浜(0-0)?△窪田(0-0)
細くても五月蝿い攻めが延々と続く印象のある北浜将棋と、200手でも300手でも相手が打ち疲れるまで受けることを厭わない窪田ワールドのぶつかり合い。序盤は窪田プロが得意としている、後手番で端歩の位をとる将棋になっている。この戦型は後手の力が問われるものであり、プロ同士だと端歩の手数を咎めにいくケースと、淡々と組み合うケースの二つがあるように思うが、北浜プロは、どちらにしても細かく細かく攻める展開になるのだろう。角交換になるとおもうが、窪田プロの「馬のひきつけ」からの金銀の自陣投入という得意の展開になるかどうかに注目したい(ここまで昼食休憩まで)。

本譜は序盤早々に乱戦模様に。端の位をとって94飛車、というのはアマではたまにある将棋。棋理としては知らないが、とりあえず言い分は通しているし、何より指されるとアツい。アマでは穴熊に進むことが多いと思うが、角道オープンであることも関係してシンプルに美濃に。しかし、通常の美濃ではなく、誘い美濃といえばよいだろうか、角を82に打ち込んで下さいという状態を保持したままの駒組みが窪田プロの作戦だった。

私が通常の居飛車党で急戦を用いていた頃は迷わず飛び込んでいた筋だ。こういう局面があったら迷わず82角。負けても82角。どんなにフラレてもマドンナにアタックするフーテンのトラさん、という角だ。この角を打ったからには実質的な利益を得なければ居飛車側は角を投資した意味が無くなる。後手はその間に別のところでポイントを稼ぐ必要がある。

そしてそういう意味においては後手が上手くやったように思われ、これは後手が勝てる将棋ではないか?という感想を残したのが昨晩23時頃、局面でいうと58手目あたり。しかし気づけば72手目の局面では角銀交換で後手の駒損、手番は先手、玉の堅さはどっちもどっち、先手は歩切れだが飛車先に落ちている(のでそれを拾うと手番は後手)、という状況で、よく分からないが少し先手が指し易いような気がする。

そこから先手は後手の単騎の銀を悪手にするべく動き、その部分での結論を出してから満を持して攻めに行ったのが良かったようで、最後の踏み込みのらしさも含めて、北浜プロらしい勝ち方だった。窪田プロとしてはもう少し混沌としてこないと持ち味がでない状況であり、72手目の場面でサッパリしすぎていた時点で勝ち目がなかったか。

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△戸辺(0-0)?▲飯島(0-0)
今期は昇級者同士の対戦が第一回戦に組まれていることが多いように思うのだが、気のせいだろうか。飯島プロ、戸辺プロ、どちらも高勝率を誇り、このクラスでの頭打ち感はない。水に慣れれば、一期目から勝ち負けになる(昇級戦線に残る)と見ている。勝てば連続昇級まで、負ければ降級点の心配をしながらの一年となるので大きな勝負どころといえよう。

先手の飯島プロは升田賞を受賞した引き角戦法を開発した作戦巧者。普通にゴキゲンを受けるとは思えない・・・と事前予想したが、やはりの3手目68玉だった。それをみて後手の戸辺プロは角道オープン四間飛車に構える。この形は将棋世界の最新号にて、戸辺プロが有力と語っていたものであり、両者序盤から気合も研究も十分であることが窺えた。この戦型における私の印象は「後手が苦労しそう」というものなのだが、繊細な指し回しでいつの間にか指し易さを実現している戸辺流の腕の見せ所かもしれない(ここまで昼食休憩まで)。

先手の作戦は穴熊。私は良い作戦だと思わないが、68玉と合わせて実戦的な指し方だろう。ゴキゲンで勝てないのであれば、或いは先手の得が消えていると思うのであれば、居飛車党は皆、68玉と指して、穴熊に囲えば良いのではないだろうか。その将棋が面白いかどうかは別として、勝敗重視であれば対中飛車での相穴熊よりは実利がありそうだ。

この先手陣は相当に事前予習してきた感のあるもので、感心を通り越して呆れてしまった。しかし勝つ事にしかその存在意義がないと言っても良いプロの世界においては、このぐらいシビアに行かなければ駄目だとも思う。この先手の陣形の意味としては、右金を置いたままで角の打ち込みを消し(これはよくある)、77金が一手に上部を担い(これが手順とともに珍しく研究)、78角が中川神谷戦であったような狙いとともに69の地点への角打ちを封じている(これは既存手筋の応用だが珍しい)。47と57の地点は銀がカバーし、68に角銀を打たれる筋は飛車の横利きでカバー。角交換穴熊は無理をしていてホツれると見ている私だが、この先手陣は頑張りすぎている感はあるものの、めいっぱいに駒が働いている(というか穴熊で普通に戦えるようにしている)ので、角交換穴熊における一つの理想形だと思う。このあたりは先手の思惑通りに進んでいる。

石田流はどこまで行っても飛車をいじめられると辛い。本局においては飯島プロの構想が凄すぎて、戸辺プロの持ち味である序盤での指し易さの確保が難しかったように思う。ただしこの先手の陣形の結果、攻める地点が一筋だけなのであれば、後手もまだ頑張れる。左翼の取り合いであれば、後手のほうがポイントを稼げるわけで、形勢は別として局面をリードしている先手にぴったりとくっついて追いかける将棋となった。

65手目の局面。私は常々この類のイビアナにおいてこの77歩が打てるとそれだけで居飛車は満足だと思っている。対振り飛車の穴熊戦における弱点がこの地点であり、だからこその飯島流の引き角戦法でもある。この場面での形勢判断としては。手番は引く一手なので先手。玉の堅さも先手。駒の損得も先手。よって普通に考えれば先手が有利だと思う。

と金は一路違うが、玉の位置も違うので互角、先手は銀香得だが、右翼の金銀が遊んでいるので難しいとみることも出来るが、この金銀があるから後手は角を使えないという意味もあり、フーテンの寅さんは単に遊んでいるわけではないのだった。よって、本局については終盤の逆転で飯島プロが勝ったともいえるが、長い時間局面を支配していたという意味では戸辺プロが一瞬つかんだチャンスをものに出来なかったということなのだと思う。

57同金という手はこの局面だけを見せられれば、アマでも当たる可能性は低くない。なぜならば選択肢は3つぐらいしかないからだ。ただし、延々と辛い戦いを強いられて日付を回った極限状態で迎えた時どうなのか?というのはその場面を戦っていたものにしか分からないこと。とはいえこの勝敗はどちらにとっても大きなものとなりそうだ。

個人的には本譜の先手の手順が流行るのかどうか?に注目したい。これが有効であり、かつ流行るのであれば、ゴキゲンは絶滅するからだ。


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△森下(0-0)?▲畠山成(0-0)
矢倉?(ここまで昼食休憩まで)。最後まで残ったのはここ。角換わり腰掛け銀でアマではよくある右四間に先手が構えて、後手が先攻した手に乗って先手がB面攻撃、という将棋に。正直良く分からない展開で、これにて後手が良くなったようだ、という局面でも、飛車をいじめる手が水面下に多すぎて、また奪った駒が金ではなく銀であるところもミソで容易ではないと思う。観戦記者がいうような「ビジョンをハッキリさせる」のは難しかったのではないか。


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飯島栄治・戸辺誠という二人の昇級により、阿久津主税・橋本崇載という二人の天才がようやく目を覚ましたのではないか。特にハッシーこと橋本崇載プロが相手よりも時間を使っていたのを一ファンとして嬉しく思う。今期は勝手も負けても時間だけはしっかり使って欲しいと思う。アマには指しこなせないような戦型も、ハッシーほどの才能があれば指しこなせるとは思うが、それでも念には念を入れてほしいところだ。

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受け師と鉄壁、矛盾ならぬ盾盾の戦い 第69期順位戦A級1回戦 ▲木村一基八段?△森内俊之九段

受けの強い両者の対戦成績はほぼ互角。コメント欄の戦績を見ると、少し星の差があるようにも思えるが、先手番の差ぐらいのようだ。前期A級での対戦では後手番だった森内プロが変化球的に72飛車戦法を用いていたが芳しい戦果は得られなかった。

戦前の私の予想は相矢倉。しかもがっぷりしたもの、だったがその点については当ったようだ。両者ともに一番力を出せる将棋で、開幕戦を心置きなく戦いたい、ということだろう。

木村一基プロの居飛車、先手番というのは不思議な味がある。森内プロの場合、先手番では鋭く寄せる将棋も実は多いのだが、木村プロの場合はなぜか受け潰しの将棋になっていることが殆どであるような気がする。本局が相矢倉になるとして、いったい、どちらが有利な状態で、どのような終盤になるのだろうか。その点に注目したい。

将棋は相矢倉の本格的な手順、つい先日行なわれた勝又-片上戦をなぞる。後手の片上プロが先手の攻めにお付き合いするのを早々に止めて、きっぱり飛車を叱りつける銀を打ったところが現在の局面だ。

素人目の判断だが、先手の攻めを受け続けていると一生攻めの手番が回ってこない可能性がある。8筋9筋が伸び切っているので、ここいらで反撃に転じるのは好判断だと思う。とはいえ木村プロも当然下敷きになっている前述の将棋を踏まえての戦いだろう。木村プロの対応策・構想はどんなものだろうか。受け将棋の木村プロを思うと、何となく5筋に飛車を転回して、後手の反撃を先手が受ける展開にしそうな気がしている。(10/06/16 13:40)。

やはり五筋へ。そこからも前例手順をなぞるが手順を変えたのは先手の木村プロ。その74手目の局面では、先手陣は堅く、相当に後手陣を乱したものの、角銀交換で後手の駒得。ただし手番は先手、玉形も当然先手、ということで攻めが続けば先手が勝ちそうだ。継続の手段として、先手の木村プロは5筋の飛車、取り込んだ歩を最大限に活かすであろうところ、55の天王山、盤のど真ん中に桂馬を打った。この手はパッと見気分が良く、如何にも手が続きそうにも思えるが、素人目には先手の攻めが切れそうにも見えた。

ただし後手から攻める手は間に合わないだろうから、先手が寄せきるか、後手が逃げ切るか?の展開になりそうだ。夕食休憩後に迎えるであろう局面では恐らく後手の銀二枚が、先手の角と香車と交換になると思われる。王手と成銀を取る飛車に対して、歩で防ぎ、香車があるので飛車を元の位置に戻して、手番が後手に移る。そこでいい手があれば先手の攻めを切ることが出来るかもしれない。先手の景気が良さそうだが歩切れなのと、先手の木村プロの棋風が攻めていくものではないのが気になるところだ(ここまで夕食休憩)。

そろそろ24時。後手はぎりぎりの凌ぎを見せ、夕食休憩後の手順は途中まで私も的中させた(紛れが殆どなかった)。お互いに一気に寄せる将棋ではないと思ったが、後手が飛車角交換後に馬を作り、攻め合いに出た。8筋の飛車と、敵陣一段目に打ちおろした飛車の挟撃を見せつつ、元々いた飛車で先手の攻めの銀を食いちぎり、瞬間的に先手からの攻めが甘くなった瞬間に先手玉に一挙に迫った。

9筋の香車と先手陣にいる竜の挟撃での端歩突きが厳しそうにも見えたがこの瞬間、そして次の成りに対して玉が逃げる手があり、玉の守りの金銀の数では先手のほうが多く、先手玉のほうが寄せにくいかもしれない。まだ日付が変わる前の今時点でもどちらが優勢なのか分からない。このまま相入玉的な展開まであるかもしれない。(10/06/16 23:53)。

今は翌日の朝。恐る恐る結果を見てみると…なんと終わったのは1時57分だったようだ。すぐに寝て正解だったわけだ。この将棋の感想タイトルは昨晩のうちにつけていたのだが、受けの強い棋士同士の戦いらしいものだったように感じる。語弊を恐れずに書くのであれば、決めきれない故に相入玉模様になりがちな、アマトップの将棋でよくある展開といえばいいだろうか。

終盤では色々感想コメントが入っているので、こういう将棋こそは、名人戦速報にてじっくり眺めるのに適しているかもしれない。棋理としての良さはどちらかにあったと思うが、実戦心理的には後手を持ちたいような気がしたのだが、プロ的にはどうなのか?というのは気になるところだ。

この勝敗はどちらにとっても、今期の行く末をみるうえで、かなり大きくなりそうな気がする。


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今期のジメイは一味違う 第69期順位戦C級1組1回戦

第69期順位戦C級1組1回戦 

▲浦野 真彦七段-△福崎 文吾九段:15時42分終局
これは福崎先生の作戦の空中分解というか。一人で転んだ感があった。33角戦法からめいっぱい頑張ったところを的確に反撃された。福崎先生は順位戦で時間を使わなく(使えなく)なってしまったのはそういえばいつからなのだろうか?

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▲内藤 國雄九段 - △田村 康介六段:16時17分終局
先手の相掛かり浮き飛車は飛車が目標になって悪いというのが現時点の公式見解だと思う。しかしクラシカルな形は内藤プロに馴染む。後手の田村プロはこういう将棋の経験は死ぬほどあるのだろう、随所に手練であることを感じさせる指し回しだったと思う。

まずは44に角を打つ筋がこの形の急所なのだが、それをみせつつ、自玉の片銀冠を完成させる。そしてその角を封じる45歩にはその隙を突いた角打ち。桂馬の交換でカラ跳ねにしておき端から攻め立てる方針。全てが将棋の進化を思わせるものだった。「やあやあ我こそは」とやっていた時代においては軽快だった内藤将棋も、21世紀のマッハの前には為す術がなかった。田村プロの完勝だと思う。

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▲近藤 正和六段-△日浦 市郎八段:19時31分終局
初手56歩に対して、日浦プロが居飛車党ではあるが、或いは故に三間飛車に構えた。相振り飛車、特に中飛車党にとってはこの形は必修科目だ。なぜならば、この形で先手の得を生かさなければ、中飛車党として先手で指す戦法がなくなる(=過去あったように端歩をつくしかなくなる)からだ。よってそれぞれに自身の定跡・方針を持っており、近藤プロの場合は、相手の穴熊が見えた瞬間の角交換がそれだったようだ。

その後の不安定な玉形での攻めは藤井プロなど、作戦家の振り飛車党に共通する、ぎりぎりの得を求めた動きであり、対穴熊においては特に有効だったと私は思う。私は対振り飛車穴熊に右玉を用いるので、味的には相振り飛車の薄い玉で駒損でも先攻してガンガン攻めるというのは経験として持っているのだが、はっきりいって同レベルであれば攻めているほうが有利。特に(角が玉に向かっていないので)相居飛車よりも攻撃力の劣る相振り飛車の場合は顕著である。

局面の見切りが早い日浦プロがすぐに投了されたが、投了図以下、やはり先手の攻めが後手よりも早く、そして続くということだろう。

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▲広瀬 章人五段-△北島 忠雄六段:20時17分
因縁の対決?が初戦で実現した。前期広瀬プロが上がれなかった理由は、勝ち将棋の最後の最後で犯した手順前後によるところが大きい。喩えるならば、職人が高いところからハシゴで降りてきて最後の一段を踏み誤って死んだような負け方だった。広瀬プロご本人のブログにも気負いなく書かれていたので、どういうリベンジを果たすかに注目した。

戦型は先手中飛車からの木村美濃。少し珍しい感じ。後手の中央志向にあわせたものか、あるいは前期因縁の対決と何らか関係しているかもしれないが、恐らく前者だろう。この将棋は序盤の駒組みで勝負あった、というところ。急戦調の構えで行けずに先手だけ伸展性があり、その完成形を構築されてしまっては、プロの将棋では勝ち目がないだろう。後手からの攻め手がなく、9筋のあの単純な仕掛けで手にされてしまっては辛すぎる。その後も特に山場なく終わった。広瀬プロ寄り切り勝利、といったところだろうか。

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▲千葉 幸生五段-△田中 魁秀九段:20時52分
一手損からの後手の趣向。控え室は皆驚いたということだが、もっと酷いMY定跡を持っている私としては後手の田中魁秀プロの気持ちは分かりたい。しかし一手損して角を打ち直す手順、その角の効いてなさには少し驚きたい気分もある。先手の基本に忠実な印象のある千葉プロの優等生的な攻めの前に為す術がなかった印象。それにしても千葉プロは見事に四間飛車党から転身を図りつつあるのだなあと改めて感心した。

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▲小林 裕士六段-△高野 秀行五段:21時18分
私が好きな小林裕プロととても性格の優しそうな、そしてそれが勝負事にはプラスかどうかわからない故に好感度アップの高野プロの対決。相矢倉からのなんと後手、阿久津流に!この戦型も私が大好きな将棋なので、力強い将棋である小林プロがどのように振舞うか?に注目した。結果は小林プロの勝ち。ただしこれは投了図をみてもわかるが例外中の例外というか、小林プロならではの勝ち方というか。

力強い将棋、と一言でいうのは簡単だが、こういう局面に必ずあるというのは盤面に個性を記すという意味において、本当のプロだと思う。

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▲森 けい二九段-△加藤 一二三九段:21時28分終局
古豪同士の開幕戦となった。クラシカルなひねり飛車の戦いになるのだが、後手が不器用に?片銀冠を目指した展開が鑑賞ポイントか。一方のベテランはその持ち味を維持し続け、他方、変化がないと思われた方のベテランが最新型の思想を取り入れている、そのコーディネイト具合に感動した次第。将棋は、最新型の味を取り入れた側の完勝となった。

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▲中田 功七段-△平藤 眞吾六段:21時42分
先手中田プロ、ということで初手中飛車の明示。後手はその場合相振り飛車が有効ということで平藤プロは飛車を振る。元々右玉をやる人なので振り飛車も指しこなすのであろう。この将棋で思ったのは、美濃囲いが相振り飛車であってもやはり有力である、ということ。

特にアマチュアの場合は、駒組みのシンプルさというのは重要だと思う。ただし、先手から仕掛けた割には後手のほうがその利益を享受しているような印象をうけた開戦場面だが、悪さを自認しての攻撃開始だったのかもしれない。平藤プロの△13香車が落ち着いた、素人でもマネのできる学びの一手であり、一手掛けた以上の成果が確実に生じる「ゆうちょ定期預金」のような手。

そこからは得た香車を軸にした構想での先攻が気持ち良い。竜との上下挟撃なるか?という場面が続くが、先手の中田プロも崩れない。美濃の命の銀が動かずに玉の強さだけで受け凌ぐ展開はスリリングで一見の価値がある。後手が一息ついてからは先手のターン。ここからの先手のラッシュも凄かった。

本局は相振りが嫌いな人にも是非見てほしい。これほどきびきびした、相居飛車に似た攻め合いの将棋というのはとても珍しいと思う。本譜は先手が筋良く迫ったが、▲75桂馬からの露骨な攻めがあったようだ。最後は平藤プロらしい切れ味(右玉をやる方だが途中のらりくらりとしつつも終盤突然鋭い踏み込みを見せる)を見せてくれた。

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▲大平 武洋五段?△豊島 将之五段:22時50分終局
先崎プロの以前の将棋世界での連載や、いつぞやのプロアマ10秒将棋5番勝負?において他のプロがみた大平将棋についての記述をうろ覚えだが覚えている。一言でいうと「大きな将棋」というような表現だった気がする。早指し、早投げの印象がある大平プロだが、スケールの大きい将棋を指す。印象的には見た目も将棋も村中プロに被る気がするのだがどうだろうか?

対する豊島プロは誰もが認める将来のタイトルホルダー候補。十年後、その獲得歴の中に名人竜王があると予想しても誰も驚かない実力の持ち主。クラスが上がっての1期目だが昇級候補にあげられるなど、周囲の期待は高い。

戦型は中座飛車の松尾新手からの変化。過去の実戦例をなぞるが、分岐した際に指した先手の手に、大平将棋の大きさが現れていたと思う。或いは研究だったかもしれないが、羽生ですら素通りしたその手の味を私は堪能した。中座飛車は良く分からないのだが、一目面白い手で、左翼右翼どちらを崩すかという意味で言うとこの手のほうが堅いのではないか。プロの評価は分からないが、私としては本局のMVPに推したい。

この手を境に(と思う)、後手は苦戦を強いられる。終盤の強い将棋であり、悪くなってからの粘り強さにも定評のある豊島がそこから粘着力のある手順で局面を混沌とさせていく。しかし、そこからも大平はらしさを発揮し、控え室のプロの評価としての「大きく見える」というのは大平(の将棋)を示しているのだと思う。

これで対豊島の順位戦、2?0とのこと。強いところに強い将棋で勝つことが、その実力を認められる理由なのだろう。

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▲塚田 泰明九段?△宮田 敦史五段:23時20分終局
塚田先手で得意としている相掛かりに進む。これは新塚田スペシャルならぬ塚田スペシャル3号というところだろうか。中原玉の低くて堅くて広い陣形と、塚田プロの攻めの強さのコンビネーションは相当な脅威だと思う。また、相手はどちらかといえば終盤型の宮田プロ。序盤で優位を築けば、ここ数年ハイレベルなC1で常に昇級争いに絡んでいる塚田としては大きな一勝になろう。

途中までは先手が軽快に攻め立てていたと思う。浮き飛車の相掛かりには角が有効なのだということを後手の指し回しに教えられたが、それでも塚田プロが上手く立ち回って飛車交換ぐらいまでは、先手が良かった気がする。ざっとしか並べていないので良く分からないのだが、しかし確かに中盤のどこかでスーパーあつし君が、「計算の世界」での能力の高さを発揮したように思う。

両者の持ち味が出た戦いで、特に宮田プロの今期は相当やりそうな雰囲気を感じた。前期は得意の能力が発揮されるタイミングが少し挽回できない局面からだったように思われたが、本局の指し回しを見る限りでは中盤あたりでも無理な体勢から上手投げをかますような勝ち方だったのではないか。

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▲西川 慶二七段?△富岡 英作八段:0時14分終局
先手の手順により、後手番ながらに石田流に組めることになったために、富岡プロがそれを実行した。先手の西川プロの駒組みは最新形のような気がする。対中飛車・三間飛車における穴熊の組み方としては色々あったが結局この形、歩をつかずに銀で受け止めておく、というのが一番無難ということのようで、個人的には驚きがある。一昔前ではありえなかったような気がするのだが、それがなぜか?について掘り下げるのはまた別の機会にしたいと思う。

本譜は相当に先手イビアナとしては気持ちの良い展開で、対石田流にイビアナを用いる人は一度は見ておくほうがよいと思う。個人的には後手の富岡プロが石田流への不慣れ(もし多投してるのであればスミマセン・・・)があったように感じた。

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▲真田 圭一七段?△長沼 洋七段:0時29分終局
ここは浅い観るファンには少し分かりにくい?かもしれないが、実力者同士の対戦。阿久津プロも認めるパンチ力を誇る真田プロと、駒取り坊主の異名を取り、別の意味の力強さ、スタミナのある強さをもつ長沼プロの一戦。

後手長沼プロの作戦は一手損四間飛車。ゴキゲン中飛車回避からのこの展開はよくあるが本局は後手が誘った形。私も角交換振り飛車を用いる人間として、この先手の「玉頭方面の位を取り、後手陣の伸展性を失わせる」という作戦は有効だと思う。

続いて4筋の位も取ったのは意欲的。あとで苦労する可能性はあるが、これで勝つ場合は中押し勝ちが予想されるところ。・・・と思っていると早速その位を目標にする形で戦いが始まった。

しかし四筋の応酬における真田プロの▲47銀はなんともプロらしい一着。アマでは一目形で67銀と指しそうなところだ。そこからのやりとりはどちらが得したのかよく分からない。

よく分からないが、歩切れながら、36桂馬を先着した先手が面白そうな気がする。攻め駒の捌け具合は互角だが銀を得たという実利の差がある。その後、打った桂馬を44に跳ねる手も気持ちが良い。

その後、83手目の局面は何故か駒の損得が無くなっている。私の酔った頭では計算できない形勢の差であり、金銀の集結具合では後手を持ちたいが、後手からの攻めが見えないところは先手に軍配があがる。

無責任な?メンバーの控え室は後手良しを断言していたが、攻めの分かりやすさを考えるとそうも言えなかったのかもしれない。難しいながらも攻めが続いて最後は真田プロのパンチ力の強さが発揮された。

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▲佐々木 慎五段?△脇 謙二八段:0時40分終局
序盤マニアにはタマラない出だしではないだろうか。振り飛車党のジレンマがここに現れている。アマだと比較的ある展開のような気がする。私も序盤戦術で頭がオカシくなっていた頃、こういうオープニングを迎えたことが結構あった。

そして興味深いのはこの序盤における先手の勝率だろう。これは速報版の会員登録している人だけの愉しみにしておこう。序盤の趣向から結局相振り飛車に。

先手が37に歩を指した局面、断言するのは将棋の神様だけだと思うがこの一手で先手の利は帳消しになったのではないか。このやりとりをみただけでも、美濃囲いの優秀さ、相対的な良さというのを再認識した次第。

手得で24に角を据えた40手目では後手満足過ぎる。ただし、この気分の良さを形勢の良さに繋げるのが難しいところなので、脇プロがどのように指し進めるのかに注目した。

後手が好調に攻めて脇プロのペース。脇プロといえば、序盤の幾つかの戦法において有名なために観るファンには序盤型のように思われているかもしれないが、その強さの根源は実は圧倒的な終盤力にあるのではないかと思っている。

特に、序盤戦術の殆どが終盤力がなければ指しこなせないようなものばかりなことや、前期の順位戦においてスーパーあつし君に終盤で読み勝ちしたことからも分かるのではないか。

本局は序盤の良さを微差で維持したまま終盤に突入していると思う。112手の局面では、後手の香車と飛車が、先手の金と交換になっている。ただし、玉形の差があるので、後手の攻めが続けば勝てるのだろう、という状況。

このあたりの展開、私は対振り飛車に右玉を持つ関係で先手側のような状況を持って迎えたことがなんどもある。あと数手稼げればコチラの勝ちは確実なのだが、しかしその数手は稼げずに、相手陣は手付かずの低い美濃。相手の少ないコマ数で手が続き続ける。

こういう展開になったときは私レベルだと3:7の率で負ける。3が私のほうだ。本局もそのようにして後手が勝ちきった。

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▲金井 恒太五段?△高崎 一生五段:0時52分終局
昇級したての2名の対決。先日のB1もそうだったが、完全ランダムなクジのほうがランダムに見えないという好例かと思う。どちらにとっても大きな一戦で、勝てば昇級まで、負ければ降級点まであろう。戦型は後手高崎の坂田流だった。アマ的には一番楽しめた戦型だと思う。

向かい飛車の本を出しているから、というわけではないだろうが最近流行りの坂田流。そして44金!がかなりのアグレッシブさ。素直に歩の交換が実現して、ひとまずは後手の気分が良い。金井プロは2・3筋については相手の言いなりになりつつ、玉側でポイント稼ぐ狙いだ。

高崎は積極性を崩さずに銀まで4段目に繰り出す。或いは63に引いての美濃囲い強化の含みもあるだろう。中飛車や坂田流など力戦形の振り飛車に対して、7筋の位を取るのは将来のための貯金としては安全確実な運用手段であり、位取りの将棋は難しいと言われるが、これらの戦型における位取りはやって損がないと思う。私も力戦中飛車側を持つときに一番嫌なのは角交換で偏った陣形での穴熊よりも寧ろ位取りだ。

すぐに攻めると思われた坂田流側だが、手損で金を玉側に寄せてから漸く開戦する。ただしこの開戦は一目無理筋で、丁寧な振り飛車を指す印象の高崎プロにしては粗い気がした。とはいえ、このままだとジリ貧とみた已むを得ずの開戦なのかもしれない。飛車を見捨てたところも同様で、通常の手段では容易ならずとみた勝負手。

本局は金井将棋の良さが出ている。金井プロの将棋は鋭い切れ味や唸る構想というもので局面をリードするのではなく、丁寧な指し回し、安定的な、堅実な、そつのない、誤りの無い手の積み重ねで構成されている。将棋がミスをした方が負けるゲームだとするとそこから遠くに離れるための指し回し。金井将棋は致命的なミスをすることのない、誠実な演奏により美しいハーモニーを奏でる。

その金井プロの指が前期C2の後半でもつれたのは昇級のプレッシャーによるものだが、もつれつつも完奏したという事実が金井プロを一回り大きくさせているはず。開幕前の予想では相手がきついので降級点まであると私は書いたが、戸辺プロのように白星を重ねるようだと、C1の昇級ラインはぐっと上がることになるだろう。

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▲勝又 清和六段?△片上 大輔六段:1時3分終局
twitterer(ついったらー)対決となった本局。最近では比較的珍しい本格的な矢倉となった。

片上プロは四段になったのはとても早いというわけではないが、そのユニークな存在性を仲間内でやっかまれて?全力でぶつかられた…ということはないでしょうか?(適当に書いてます、スミマセン…)。17歳での三段昇段は遅くはなく、そして三段リーグの成績も5割7分を超えている。順位戦トータルの勝率はなんとジャスト7割であり、C1の昇級パターンである、前期順位を上げての今期には期するものがあるだろう。

序盤のところ、定跡だとは思うものの、私は個人的に後手の95歩85歩の形が好きではない。どちらかが4段目にいる将棋のほうが好きで、この形をもって指しこなす自信はあまりない。プロならではの定跡のような気がしている。そういう意味で、37銀という手は新井田さんいうところのアマでも参考になる「実戦的好手」だと思う。8筋9筋の形状の関係で、例えば15同歩以下、先手の攻めに付き合っていると一生受け続ける可能性があるためだ。

通常、相居飛車において相手の桂馬を25の地点から取り切る将棋というのは、実戦的に勝ちにくいことが多いのだが、こういう前線に成り駒がいて、角の利きにより飛車が戻ってくるのを防いでいる場合は逆に勝ちやすい気がする。急いで寄せなくても相手から迫る手がないのでボチボチ行くか、あるいは入玉行進曲、と金製作所、という展開もある・・・と思っていると勝又プロの継続手段が巧みであり、後手の辛抱が続いた。

懸案だった8筋9筋の形を手筋の桂馬?歩を使った手筋?95の桂馬と矢倉最頻出単語のような手筋を続ける後手。73の桂馬を跳ねた局面までの手順は桂馬好き(私のことです)にはタマラナイ手順だ。かれこれの桂馬の位置関係だけで形勢判断してしまいたくなる局面で、先手の攻め駒が中盤の折衝の結果、敵陣からそれたところにいるのも後手が良さそうな理由のひとつ。

ただし後手の攻めも小駒メインなので細い。終盤はよく分からなかったが、細いながらも攻めが続いた後手の片上プロが寄せきった。最後の最後に詰み筋で18の成銀まで役に立つあたり、序盤の作戦が正しかったことを証明していると思う。途中、先手に攻撃のターンとなった局面で、飛車を打つ筋があったようだが、それでも後手勝ちだったと思う。

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▲小林 健二九段?△村山 慈明五段:1時24分終局
最後まで残ったのがこの対局。「村山慈明プロは力戦に弱い、頑張ったらどうにかしてくれるんじゃないか?」という訳ではないだろうが、前期ぐらいからやたらと頑張られる将棋が多いように思うのは気のせいだろうか。しかし今期私はジメイプロを昇級候補にあげている。今期上がれなければ一生上がれないぐらいの気合で臨んで欲しいところ。死ぬほど当たりが良いというわけでもないが、これから長く将棋で飯を食っていくのであれば、先輩実力者たちに打ち克って欲しいところ。

戦型は相矢倉から先手コバケンプロのMY定跡に進む。飛車を2筋からはずらさない意思を感じさせるが、19に持ってきたときに角筋に入るのは一緒のような気もするので善悪は不明。私は対振り飛車右玉をやるので分かるのだが、端に飛車を持ってきた時の28の傷が怖いので正直アマにはこの形は指しこなせないと思う。これであれば下段の香に力あり、の形のほうが飛車は渡すが良いような気がする。…と思えばなんとビックリ19角。今度は18の地点が傷になるのでこの香車は死ぬまで動かせない。

これで先手が良いとは思えないが、もしかすると冒頭の言葉がコバケンプロの頭の中にあったのではないか…と勘ぐりたくなる手順だ。先手からの早い攻めがない後手はじっくりと力を溜めて、33の地点で桂馬を補給して、満を持して攻撃を開始する。その様子をみると突如先手玉が遁走し始める。このあたりの手順は意味がわからない。やはり冒頭の言葉が今度は私の頭をよぎる。

予め逃げた玉に対する端攻めは効率が悪いが、少なくとも形勢が悪いということはないだろう。後は通常形ではないので、知識ではなく力を問われる戦いになっているというだけだ。82手目については、これだけでも観て欲しい手だと思う。善悪や手の意味は分からなくても、この1手に賭ける村山プロの想いが伝わってくるだろう。私はこの手を本局のMVPに推したい。

漸く先手の飛車が戦艦大和よろしく遅ればせながら動こうとした瞬間、後手のジメイプロが繰り出した△27歩がウィニングショットだと思う。この一手で先手の悪形を具体的に咎めに行っている。そこからはコバケン流の頭金まで指す頑張りが見られるが、後手が優勢を保っていたのではないか。そして何よりも、あの31桂馬が働いて詰みあがったのをみて、私は素直に感動した。

将棋をみて感動するというのは、タイトル戦であってもそれほどないのだが、本局についてはこの日のベストバウトとして異論が出ることはないだろう。今期は真田・脇・塚田との対戦が山場になりそうだと見ているが、本局のような戦いを見せて欲しいし、見せてくれると確信している。


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基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

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