イビアナ不得意? 第5期マイナビ女子オープン第1局 ▲上田初美 - △長谷川優貴

年度替わりの時期、将棋界の情報誌/紙はネタ不足に苦しむ。それを自ら解消するために発足されたと言っても過言ではないのが、このマイナビ女子オープンだ。

第5期マイナビ女子オープン第1局 ▲上田初美 - △長谷川優貴

私も上田初美女王の就位式には実は参加したことがあるのだが、愛の力で勝ち得たタイトルを、若さに奪われるのか?それともまた愛の力で跳ね返すのかに注目したいタイトル戦である。(愛の力云々は、就位式の米長邦雄会長のおもしろい祝いの挨拶より)。

たしか、この二人は一度この棋戦で対戦している。アマ時代の長谷川優貴が、上田初美と戦った。戦型は居飛車穴熊vs四間飛車だったように記憶している。その対戦の前の回戦で、鋭い終盤をみせた長谷川優貴に私は注目していたのだが、序盤であまりにも堂々と、言い方を変えると無策に、居飛車穴熊に組ませているのに驚いたのを覚えている。

ここから大山流の姿焼きが見れるのか?終盤力を逆方向に活用して切らしてしまうのか?と思っていたが、どうやら居飛車穴熊に弱点を持っていたのがその時点の長谷川優貴だったようだ。逆にイビアナというか穴熊を知り尽くした上田初美が順当勝ちを収めた。

そこから時間が経って、果たしてどのような成長を遂げているのか?に注目した本局だったが。決勝の、清水市代戦でも観戦記というか感想を書いたのだが、清水市代プロがイビアナを用いないがゆえの逆転だったようにも思え、居飛車穴熊を克服したのかどうか?は不明だった。

そもそも居飛車穴熊を克服することは現代定跡においては難しいということなので、克服というよりは対抗策として何を持ってきているのか?に注目していた。…のだが、結果からいうと苦手意識を持ってしまっている?かもしれないとすら思った。

その理由はまず序盤の角交換。これはあまりにも消極的すぎると思う。後手で手損してまで角交換した代償がこの作戦にはない。・・・と言いつつ私が後手でやる振り飛車がまさにこれなので、気持ちと意図はわかる。局面を限定しつつ、居飛車穴熊を牽制しているのだが、結局居飛車穴熊にされることが多いのがこの作戦だ。

この手順では一手遅い。具体的には、41手目の局面で後手の五筋の歩がひとつ交代している格好だ。42手目の飛車先伸ばしに対して、先手はじっと▲6六歩。角交換が違った形で実現していると、△6五角という手が含みとしてはあった。それが指されることはさすがに無いとは思うが、それでも本譜のタコ殴りはちょっとつらすぎた。

48手目の△4六歩も「ほっといても上がるところ」で打った歩でやりすぎというか怖がりすぎ。こういう序盤作戦を選んだからにはよくも悪くも駒が貯まっていくような展開でキャンセル待ちするしかなかったように思う。

57手目の▲5五銀は天王山に銀が進出する勝利の一着。後手は結局この銀に活躍されるきっかけを48手目で自ら与えてしまったと言える。

あとは、指しただけ、というか先手が危なげなく勝ち切った。以上、長谷川優貴視点でみた本局になるが、逆に上田初美女王視点でいうと、さすがに女王の貫禄を示したといえそうだ。

序盤作戦も完璧で、中盤の仕掛けも飽和状態とみて勇気を持って行い、終盤の手前では相手の攻めの面倒をみて、最後は▲6四歩から相手の攻めを逆用した形で相手玉に攻撃を仕掛け、終盤は相手に粘る余地を与えずに綺麗に寄せ切った。

上田初美の充実を示す素晴らしい将棋だったと思う。こういうタイトル戦においては、挑戦者が勝ったほうが盛り上がるところではあるが、さすがに地力の違いを示した。

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女流棋界にラムタラあらわる?! 第5期マイナビ女子 挑決 ▲長谷川優貴-△清水市代

棋譜はこちら。

http://mynavi-open.jp/120202/120202_shimizu-hasegawa.html

(ちなみにラムタラとは、4戦4勝で史上2頭目となる欧州三大競走完全制覇を達成した名馬のことです。その後、日本で種牡馬として供された馬でもあります。)

アマチュア時代から、その棋力には定評があった長谷川優貴が、プロ入り僅か四戦でタイトル戦挑戦を決めた。

戦型は先手中飛車に後手清水スタイル。これは相性の妙というか、そういうものがあったように思う。長谷川優貴の明らかな弱点は居飛車穴熊にある。これはもう確実な話で、問題はそれを克服しているのかどうか?だった。

しかし、清水市代は居飛車穴熊を余り用いない。そのために生じた金星だろう。また、中盤の飛車を見捨てての勝負は、男性プロであっても成否が微妙な取引だったと思う。

マイナビの覇者、上田初美は穴熊においては一日の長がある。対振り飛車には居飛車をもつことも多く、居飛車穴熊を全局投入するだろう。その中で、長谷川優貴が神の手を繰り出すことが出来るのかどうか?にタイトル奪取の如何は懸っているだろう。

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