将棋世界2012年5月号の感想


将棋世界 2012年 05月号 [雑誌]将棋世界 2012年 05月号 [雑誌]
(2012/04/03)
不明

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最近、将棋世界の感想を書いていないのですが、理由としては電子書籍版に移行したから、というのがあります。


電子書籍版は1週間遅れぐらいで発売されるので、今更書いても…感があるわけですね。多分、電子書籍版を買う層というのはいわゆるアーリーアダプターに属するところだと思いますので、先に発売して、ネット上でバズっておいてからの書籍版という展開が美しいと思うのですが、そういう予定はあるのかどうか?は気になるところです。

なので、この手順前後が続く限りは、私の将棋世界感想文を書く意欲もあまりわかない状態が続くということでご了承ください…。

まず最近の傾向としてインタビュー・対談多め、というのがある。この5月号もかなり多い。私の直感的な予想なのだが、これは相当筋の良い手だろう。

プロレベル、アマトップレベル、アマ五段以上、厳しめ道場のアマ四段以上、将棋倶楽部24の三段以上・・・ぐらいまでしか、まじめに詰将棋は解かないと見ている。

逆に言えば、強くなりたければ詰将棋だけでどこまでも上に行ける。ある程度までであれば。私は詰将棋が好きではないので、全くやらない。やっても簡単な実戦系のを逆さまにして、自玉の詰めを読む練習としてやるぐらい。

私クラスであれば、自玉の詰みを読む能力と相手の玉を詰ませる能力に差異がある人が多いので、その差分で勝とうという戦略。詰ます能力は相手よりもやや低いと思うが、自玉の詰み・寄せには注目しているので、勝ちやすいという。(勝ちやすいことがある)。

長々となにを書いているのだ?とおもわれるかもしれないが、ここに重大なことが示されている。ほとんどの将棋世界読者は、詰将棋を解こうとすらしていないと思うのだ。

アンケートを採ったほうがいいと思う。詰将棋作家の方々は愕然とするだろうし、アマを思って作っているプロの先生は傷つくと思うが、多分9割、控えめにみても5割は確実に詰将棋を解いていない。

次に棋譜並べ。iPad版にして気づいたのだが、iPad版ですら盤面再生を余りやらない。一年iPad版を購入している私が言うのだから間違いない。ここで観戦記すらも立場が危うくなるのだ。

スポーツを観戦するように将棋を楽しんでほしいという渡辺明永世竜王の言葉がある。これが暗示しているところを真面目に考えると、既存の将棋媒体が方向性として完全に間違っている可能性すらあることに戦慄しないだろうか。

我々が野球を観るときに、スコアブックを見ながら観るだろうか?スコアブックで振り返りながら観戦記事を読む野球ファンがどのぐらいいるだろう?或いは音楽でもいい。ロックを語るときに、譜面を見ながら語るだろうか?


東海の鬼 花村元司伝東海の鬼 花村元司伝
(2012/02/14)
鈴木 啓志

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東海の鬼 花村元司伝という名著がある。この本の作者である鈴木啓志さんはジャズ評論家?だったように記憶する。このかたのアプローチが、一つのヒントになるように思う。常に変化は辺境から異界から持ち込まれるのだ。

そういう意味で言うと、私が楽しんで・真剣に読んだのは、羽生善治二冠へのインタビューと、「次代を担う三傑に聞く」と、「B1のまた上がればいい」と、イメージと読みの将棋観と、「棋士が聞くプロ対談」である。

ただし、詰将棋をやらないが、指し将棋を好む人間として、戦略面は非常に重要であることから勝又清和教授の「突き抜ける!現代将棋」はしっかりと読んでいるが、これもマニアあるいは選手向けの記事ではある。

極端な話をいえば、もしシガラミやら色々なことを考えずにいうと、対局が終わった時点で「なにかしらの棋譜の解説コメントは既に存在している」わけです。

それから待つこと数週間経った雑誌に、もう一度ゼロベースで書かれることにもったいなさを正直感じます。

観戦記を書く人間と棋譜コメントを書く人間が一緒であったり、もしくは連携していればどうなるか。このへんは課金を重複で行われていることとも絡むのですが、見かけの先進性と、権利周りのゴタゴタ?ややこしさ?がうまく整理された時に、どうなるか?というのは妄想の域をでない可能性はありますが、ビジネスとして考えるとおもしろい気がします。

普通は統合の過程においてお金が動きます。新宿将棋センターは赤字企業買収における0円買収的な側面があり、将棋倶楽部24は寄附寄贈な意味合いがある。どちらもほぼお金の動きがない。

このへんはせっかく大和証券グループさんに協賛なり主催してもらってるので、MAのアドバイザリとしても関わってもらって、統合しきってしまって欲しいところですが。一つSPCとかビークルつくってそこで管理してからの各社への分配とかでも行けると思うんですけどね。。

話はそれましたが、棋譜コメントが将棋世界DBにリアルタイムで蓄積されていって、会費としての毎月500円なりを払う。(今の将棋世界の価格500円が購読料兼DBアクセス料とする)。そうすれば、今携帯中継に支払っているお金と将棋世界に払っているお金と、順位戦速報に払っているお金を一本化して例えば800円なり千円なりにする。今の将棋世界が750円であることを考えると、そこに中継系の課金を寄せてしまえばいいので、750円へのアップセルとして構築することが出来るでしょう。

このへんは、ドワンゴ?ニワンゴ?社が構築してくれるでしょう。紙とデータの主従関係を逆転させることが重要だと思います。観戦記は今の形態を変えるのにリスクがあるというのであれば、紙媒体側は今の形を維持して、データ版、電子書籍版については、トライアルでNumber誌なり、ロッキンオン誌なり、音楽・スポーツ系のライターを使えばいい。或いはIT系でもいいですね。

相互にトライアルなので、安く始められるでしょう。しかも紙媒体の衰退でライター・編集者系の人材というのはだぶついています。そこに競争原理をもたせた上で、電子書籍版の紙面充実と転換の種まきを行う。

ちょうど、VCがシードとして沢山小口で出資するようなもんです。一人の優秀な人間に1億あげるよりも100人に100万円上げたほうが、儲けの期待値が高まるという話と一緒ですね。

こんなに面白い構成要素があるのに、40代の羽生世代を含む棋士たちはトーナメントプロとしてのこの世の春を謳歌して、30代のこれからの中核をビジネスであれば担う、或いはベンチャーであれば経営主体になっているのにヤル気をなくしており、20代は絶望している…というのは勿体無すぎます。(まあ、日本の縮図で大体にたような構図になっていますが。。)

ちょうどスポンサーもこのままあと100年同じことが続くとは思っていないはずなので、全く何もできないとは思わないです。少なくとも今の重複課金の上手い統合方法ってのはありそうな気がしますけどねー。。このへんは、米長邦雄の豪腕を頼るしかないかもしれませんが、IT方面に強い遠山雄亮編集長とか、色々各世代が連携することで実現できれば美しいとおもいます。。

真面目に書きましたが、意見の異なる方もいらっしゃるでしょう。議論するつもりはないので、私の主観が出すぎた真似になっているようであれば、申し訳ありません。先にお詫びしておきます。

イカガ?(´・ω・`)つ 将棋世界 2012年 05月号 [雑誌]

モヒトツ ドーゾ (´・ω・`)つ 東海の鬼 花村元司伝

関連するタグ 鈴木啓志 米長邦雄 羽生善治 渡辺明

テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス
ジャンル : ゲーム

名著「東海の鬼 花村元司伝」をオススメします

これは文句なしに良書ですね。是非買ってご一読ください。


東海の鬼 花村元司伝東海の鬼 花村元司伝
(2012/02/14)
鈴木 啓志

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昨日の米長邦雄の本も全然悪くなかったです。ただ一点私がこだわりたい点があったので、そこだけが気になっただけで。

しかしこちらは完璧にオススメできる一冊ですね。著者の鈴木啓志氏って何者?というのも、最後まで読めば解決するのでご安心を。有名な鬼手の数々が弟子の深浦康市森下卓によって解説されている最後のほうも良いですし、勿論最初の方の、真剣師時代のエピソードから中盤メインのプロ入り後の活躍も素晴らしいです。

この本における私の感想は、「将棋界界隈の人が書いたもの」じゃない将棋関連書籍をもっと読みたいということです。アマチュア上がり、真剣師上がりということでその将棋の真髄が誤解され続けた感がある花村元司の将棋を、全く将棋界に関係のない(しかし縁もゆかりも無いわけではないのですが)、鈴木啓志氏が、このクオリティで書き上げたことに非常に意義があるように思います。

過去読んだことある書籍で知ってる話が、上手くまとめられているだけではなく、花村元司のご家族経由で紹介された情報ソースからのミッシングピースが埋められているので、断片的な理解から総合的なものへと理解が深まった。

全く花村元司を知らなかった人でも楽しく読めるだろう。

花村元司という棋士の魅力は何か?といえば、前回の紹介記事でも書いたが、鬼手。これに尽きる。絶局となった高橋道雄との一局は有名だし、常にこういう狙いをもって将棋を組み立てていた。ただ、これがもしかすると違うのかもしれない。私もそうだが、正確にその意図と本質が理解されていないように思う。

何しろ、名著?「ひっかけ将棋入門―たちまち強くなる (1979年) (ワニの本―ベストセラーシリーズ)」では、金は毎回裏返して指すべし、そうすれば金がないときに玉を代用できる!と書いている御仁である。

最近になるまでは、ややケレン味のようなもの、常に人間対人間という部分を重視した将棋ではないか?と私は思っていた。

通常の手よりも、鬼手を繰り出すほうが、人間は精神的にやられるからである。精神的に動揺して、その一撃でくずれてしまう。そういう意図があったのではないか、と私は思っていた。

私もまた、花村元司を評価しているようでいて、真剣師、くすぶり上がりであるというステレオタイプな考えに支配されていたためだと思う。

なぜ、ファンが糸谷哲郎や山崎隆之のような将棋を好むのか?と考えれば少しわかってくるところとして、作戦・棋風の個性というものがあるだろう。

本書では、コンピュータと花村元司の将棋を対極のものとして描いている。コンピュータをデジタル、花村元司をアナログとしての対比だ。あわせてアナログもその最も根本のところではシナプスの発火のオンオフであるともいう。

実を言うと、私の花村元司、花村将棋の誤解を解く鍵が、コンピュータ将棋にあった。今はもういなくなってしまいとても寂しいが、ボンクラーズという将棋ソフトが、米長邦雄と対戦する前のバグチェック的な意味合いで、将棋倶楽部24にて対人対戦をしばらくの間行なっていた。

私はコンピュータと指すと筋が悪くなる、という勝手な固定観念に囚われていて全く指さないのだが、見る分には大変面白く、魅了され続けてはや数年、というところ。

このコンピュータの指す将棋というのが、実は花村元司の将棋にとてもよく似ているのだった。人間では思いつかないような手を必ず1局に数手は織り込んでくる。

これが示すものは何なのか?私が思うのは芸事としての将棋、文化としての将棋という側面をムラ社会的な将棋界の隔絶が助長しているのではないか、ということだ。

これが筋、本筋、定跡、という考え方がパッと見は合理的なようでいて、実はその多様性を失わせてしまっている可能性。序盤の体系化と終盤のパターン化が、中盤の個性をどんどんなくしている現状。

コンピュータ将棋が強くなっていくに従い、私は将棋というのはその方向に進んでいくのだろうと勝手に思っていたが、逆であり、人間同士の将棋が予定調和的に、第一感の範疇での選択肢選びに終始するような将棋が増えている一方で、花村元司を彷彿とされるような、意識外の手を繰り出すコンピュータ将棋。

コンピュータ将棋が強くなっている、人間を凌駕しつつある・或いは凌駕したこの時代において、花村元司という人間を再考する「東海の鬼 花村元司伝」が出版されたのは偶然ではないような気がする。

私がコンピュータ将棋を愛するのは、花村元司の将棋を愛するのとほぼ同じ意味合いであり、その両者がそれぞれのアプローチの極北で「将棋の真理」に出会っているだとしたら、これほど素敵なことはない。

この本がきっかけとなり、将棋の多様性、将棋本の多様性が増すことを陰ながら祈るところである。

イカガ?(´・ω・`)つ東海の鬼 花村元司伝

関連するタグ 花村元司 深浦康市 森下卓 鈴木啓志 米長邦雄 糸谷哲郎

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Author:将棋観戦
「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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