順位戦A級、一番長い日が終わる。

4月26日発売。これは面白そうですね。将棋指し57人の日常

さて。

A級順位戦ですが、ついに一番長い日が終わって、そして本当に長い日になったようですね。

私は翌日の野暮用などで行けなかったのですが、盛り上がってたので来年以降はなるべく調整したいと思います。

まずは結果から。

羽生善治挑戦、降級は谷川浩司、そして屋敷伸之。屋敷さんは3-6での降級なので深浦さんの4-5での不運というものとは少し違いますね。電王戦の準備等もあり、本人も言い訳にはしないでしょうが、全く関係無かったというわけではないと思います。

私はコンピュータとの対戦はしないのですが、理由としてはやはり感覚が破壊される…ではないですが、微妙な違和感を覚えずにはいられないからです。指し手の呼吸というかそういうものからして異質ですし。とはいえ、研究で使うプロも多いでしょうし、勿論コンピュータとの対戦を経て更に活躍している棋士もいるので難しいところですが。。

以下、ひとまず事実情報から。その後少しだけ感想を続けます。

[A級]
行方 尚史八段(6勝3敗)○-●屋敷 伸之九段(3勝6敗)…20時59分
郷田 真隆九段(3勝6敗)●-○羽生 善治三冠(8勝1敗)…23時18分
深浦 康市九段(5勝4敗)●-○谷川 浩司九段(2勝7敗)…23時36分
佐藤 康光九段(5勝4敗)○-●渡辺 明二冠(5勝4敗)…23時38分
三浦 弘行九段(4勝5敗)○-●久保 利明九段(4勝5敗)…2時0分


[A級成績一覧] ( )内は順位

【8勝1敗】羽生(1)
【6勝3敗】行方(9)
【5勝4敗】渡辺(4)、佐藤康(6)、深浦(7)
【4勝5敗】三浦(2)、久保(10)
【3勝6敗】郷田(3)、屋敷(5)
【2勝7敗】谷川(8)

そういえばこの日は対局を少し早めに開始したようですね。屋敷さんの敗戦を先ほど並べましたが、ちょっと不出来というか将棋の作り的に接戦になりにくいものだったような気はします。

行方尚史はなんというか、こういう全くプレッシャーのかからない展開では伸び伸びとその実力を発揮する印象があります。この実力をちゃんとプレッシャーのかかるところでも出せるかどうか?が団塊ジュニア世代の典型的な課題だと私は考えているのですが。そういう意味では三浦弘行と対極に位置する存在であり、それぞれが団塊ジュニア世代の代表として特徴的なタイプではないでしょうか。(世代論は…というのはありつつも)。

この順位二位を来期活かせるかどうか?ですね。

渡辺明二冠は例によってボールカウントの良い所で、消化試合ではないものの、影響の少ないところでトライアルとしての角交換振り飛車を投入してきました。このルーキーは来期活躍できるのでしょうか。それにしてもいい意味でA級とは思えない将棋になったのは、佐藤康光先生の人徳?ですねw

正直言って、振り飛車がうまくないとは言いませんが、いわゆる居飛車党の振り飛車だなあというのが個人的な感想です。居飛車党でたまに後手番でこういうことを演る人には分かってもらえると思いますが。なんというかやっぱりぎこちないですよね。

羽生さんは郷田さんに後手番の角換わり腰掛け銀を受けて立って余裕で勝ってましたね…なんなんでしょうかね、本当に。実力を最も発揮できる持ち時間の将棋でしっかりと勝ちきられると、長い間戦い続ける相手としては苦手意識をもたないほうが難しいというか。

しかも盤外じゃないだけに余計にたちが悪い気がしますw

人間的にも尊敬できるのに完膚なきまでに叩きのめされる。盤外戦術を全く使わないことがこういうことになっていくんだなという。

勿論、色々難しいところはあっての後手勝ちなんでしょうが、ぱっと並べただけだと後手つええ!ってかんじですよね。桂馬ではなく金でとるところとか、馬引きつけてからの指し回し・間合いは流石の一言でした。

深浦谷川戦はひとまずおいておきますか…少しだけ触れると深浦さんの負け将棋らしいな、という感じでしょうか。変なところに固執する空回り感のある将棋のような気がしました。

で、ですね。三浦弘行と久保利明の長時間に渡る戦い。これはなんというか、久保利明プロの良い所が発揮されまくってますね。降級とか残留とか、そういうのを超越した将棋でした。

なんというか、何度も羽生さんや羽生世代に折られて、それでものし上がってきた文字通りの鍛えや凄みを感じる将棋。

渡辺明プロの振り飛車と比較するとわかりますが、なんでしょうかこのネットリ感はw

ねちっこいんじゃないんですよね、ねっとりしてるんです。びびって控えるのではなく、次の覚悟が決まってるからこその備えという、振り飛車の本質が、真髄が随所にありますね。

やはり居飛車とは間合いの取り方が違うんだなあと、感覚的にはぁ~と唸らされる、驚かされる手が延々と続く感じ。ここ、壊してからまた修復するの?だったらなんで壊すの?みたいな。

行方尚史よりもロックですね。サーチアンドデストロイならぬ破壊と創造というか、杉本プロや窪田義行プロも特徴的な将棋ですが、久保さんのはもっとベーシックな感じではあるものの、そして超一流どころに互角以上に戦えるのに、やっぱりこういう居飛車からみて異質というか、簡単には負けないつくりなんですよねえ。

この日の将棋をみていて思ったのは、来期以降、居飛車党は本当に後手番の作戦が辛くなるだろうなということと、振り飛車の再度の流行の兆し、でしょうか。

たぶん、来期は振り飛車が来ますね。色々な意味で。そして昔のように力戦調の将棋が増えて、細かいアドリブを混ぜ込んだ、少しだけ悪いはずだけど、それでも力でそれを乗り越えていけるタイプの棋士が活躍するような気がします、はい糸谷哲郎ですねw

いやーいいもんみせてもらいました。応援掲示板(http://member.meijinsen.jp/pay/bbs/meijinsen/2014/03/07/1.html)の最後の方にのっている三浦弘行の言動がぐっとくるので、是非みてみてください。これみるだけでも、今期一年間順位戦に金払ってきて良かったなと思いました。やっぱり一年通してみるからこそ来るものだと思うんですよね、この感慨は。

三浦弘行の横顔が表紙ですね、そういえば。将棋世界 2014年 04月号 [雑誌]

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昨日のA級順位戦の感想。

いやー昨日はまさにどうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?と聞きたくなるような、そんな日でしたね。

羽生世代だけが、と言い換えてもいいですが。

もう40代前半なのに彼らだけが、他の世代が落ち目になってきた今でも充実している。充実人生。体感速度ならぬ体感勝率で7割近く、棋力年齢のイメージではまだ30代半ばの指し盛り、ってかんじですね。

佐藤さんも森内さんも衰えたか?みたいな年をたまに挟むものの、それと同じ以上の頻度で訪れる好調期。なんなんでしょうか、一体。

後手番の作戦が、若手の研究一発でどうこうなるような状況じゃないのもまた幸いしているような気もしますね。居飛車正統派の彼ら、独自の作戦をもつ佐藤康光、というところに対するブレイクスルーを起こすようなトレンドがなく、基本的には振り飛車苦戦、というのも要因の一つかもしれませんが。

無駄な前置きが長くなりましたが、昨日は谷川郷田戦、屋敷羽生戦がありました。

谷川郷田戦は角換わりから、谷川先生が攻勢をとる形になり、長いねじりあいが続きましたが、結果は郷田勝ち。これは谷川ファン、谷川先手の角換わりファンとしては結構悲しい将棋でした。

特に終盤の香車で銀・金とボロボロ取られていく順になったあたり、桂頭の玉で寄りにくくなってしまった後手玉、という辺りではどうしてこうなった?状態で、すごく悲しかったです。。

もちろん郷田さんが嫌いとか、悪い将棋だったとかそういうことではないんですが、この将棋の序盤の形から谷川先生がこういう負け方をするのはとても悲しいなという。。

まだわかりませんが、谷川先生が残留をみての後半戦になったことだけは間違いないです…。

そして、屋敷羽生戦。A級無双なのに名人戦で森内さんの掌の中、という定番が確立しつつある羽生さんと、先手番では勝ち、後手番では勝てないというのを長らく続けていた屋敷さんの対戦。この前屋敷さんが後手番でようやく勝利したところから、誰が羽生に鈴をつけるか?…じゃなくて土をつけるか?というところでの最有力候補だったわけですが、結果は惨敗。

2手目で羽生さんが△3二金。これは悩ましいところですが、振り飛車に誘導するべきところだったのかもしれません。というのも、後手飛車先不突きでの一手損になってからの組みあがりの形は後手がうまく固めることができていたので。

固めつつ先攻、という意味では今やってる竜王戦にもちょっと近い将棋かな?と思いましたが、もっと条件が良かった気がします。

後手が一手損で勝つ場合、多少良くても相当追い込まれる…玉の生命力が重要、みたいな展開になることが多い気がしますが、本局は正直後手玉が固すぎて全然先手が届かなかった、という感じ。

なんで羽生さんだけがこんなに後手番でもこんなに勝てるんでしょうねえ。。いやはや。。


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なめちゃん二連敗、昨日の佐藤羽生戦とか。

いやー夏バテ…ではないのですが、だるいのと忙しいのと、色々有りまして…。

そういうのに合わせて棋力を削がれる…もとい気力を削がれるようなことがあると滞るわけです、ブログも。

ネガティブな意味ではなくて、温度管理を間違えるとゼリーが固まらない、茶碗蒸しが出来ない、スポンジケーキが綺麗に膨らまない、そういうぐらいの話ですね。

無理に抗うことなく、ただ酒の海に漂う…はい、禁酒日はノンアルコールビールに漂うと。

来週からの二週間と一週間もちょっとアレでしてまあ、滞ることもあるかもしれないけど、私は元気です。生きよ!

風立ちぬのぬはなんのぬ?多分僕の予想だとフランス語だと思うんですよね。パリジェンヌ、みたいな。フレンチ訛りの英語だと語尾がNで終わるような言葉が全部ヌに聞こえる気がするんですよね。テレフォンヌ、みたいにね。

だから風立ちん!ってのを、フランス人が喋ったのが風立ちぬ。です。はい。これは歴史的事実ですから、マジレス的突っ込みは不要です。ナントカ行ナントカ活用とかいいですから。フレンチです。

というわけで、僕達の夏は終わった・・・じゃないですけど、なめちゃんこと行方尚史が、団鬼六の予想を覆して羽生さんにですね、連敗したわけです。しかも内容的に先後でどうなんでしょうか、ちょっとどういえばいいのかわからないんですが、順当感っていうんですかね。そういう感じで負けてる。

王位戦の第二局も一応途中まで書いてたんですが、結果見る前にいつもどおりに。でも負けちゃったのでなんとなく書けなくてやめました。

でもまだ最低2つありますから、ぜひ盛り返して欲しいところです。諦めたらそこで試合終了だよ。ってことで。

そして昨日のA級順位戦、佐藤康光vs羽生善治。往年の名勝負、って感じですよね。野球だったら。村田兆治vs門田博光みたいな。古過ぎますか。

でも将棋界だとあとそうですね、二〇年は軽くありそうですよね。二〇年後の将棋界がどんな風になってるのか全く想像つかないんですが、どうかカジノゲームとして世界に広まっていて欲しいです。

解説者「日本人プレイヤーは漢字駒に慣れすぎていてシンボリックな統一駒での不慣れが活躍できない原因ですね…」みたいな中継とかあったりしてね。

で、まあ佐藤康光さん。例の角交換振り飛車にして。まあこのへんで居飛車党のファンはちょっとがっかりして。で、8七にと金作られて流石に辛いだろ・・・と思って。しかもなんか玉頭方面で桂馬取られちゃって。これもまたがっくり。


・・・と思いきや、全然難しい将棋だったと。そして先手が盛り返しての激しい玉頭戦。かなり盛り上がりました。どっちが勝ってるかわからない深夜一時過ぎ、クライマックスの後手玉詰むや詰まざるや。

いやー、佐藤康光さんに勝って欲しかった。この将棋は。まだ写真は観てないのですが、普段は棋譜だけ見れれば正直写真は…という感じでもあるのですが、今日はこれから観たいと思います。

残念無念。

あ、別に行われていた渡辺明vs郷田真隆はあきらたんの勝ち。角換わり腰掛け銀でした。

第二回電王戦の書籍、売れてるみたいですね。うちからも一〇冊ぐらい売れてます。評判もなかなか。未読の方はぜひこの週末、書店で手にとって観てください。もしかしたらすでに売り切れかもですが。。


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内容紹介
「棋士がコンピュータに負ける――。
そういう日が遠からず来ることがあるとしても、そこに自分が対局者としているなんて、一体いつから想像できただろう」(佐藤慎一)

ニコニコ生放送で累計200万人以上が視聴した、プロ棋士VSコンピュータ将棋による世紀の団体戦「第2回電王戦」。
あの戦いの真実を出場者本人が語ります。プロ棋士5人による濃密な自戦記。プログラマーによる対局分析。観戦記、コンピュータの歴史を語る座談会など。
「第2回電王戦のすべて」のタイトルにふさわしく、血の出るようなあの戦いをあらゆる角度から振り返る内容となっています。

特に、プロ棋士による書き下ろし自戦記はいずれも渾身の内容。一局一局にテーマがあり、ドラマがあり、棋士の人生があります。

第1局 やるべきことをやった 阿部光瑠
第2局 一局入魂 佐藤慎一
第3局 鏡を通して見えたもの 船江恒平
第4局 チームで勝ちたかった 塚田泰明
第5局 強敵と指せた喜び 三浦弘行

放送では観ることのできなかった舞台裏、対局者の心の揺れ動き、終わった今だから言えること・・・。あの春の決戦のすべてが、この一冊に凝縮されています。





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後手番とは? 行方、深浦白星発進 第72期A級順位戦

先ほど終わったA級の開幕戦について。

土日の更新なので軽めに行きます(笑)。

単純にはタイトルの通りなのだが、渡辺明は今年こそ…と思っていたのでちょっと拍子抜け。

ただしこの展開は今年こそA級に…と思っていた頃を見るようで少し懐かしいくらいだ。

深浦は前期はじめて残留し、今年も大敵を破ったのは本当に大きい。いつもの深浦らしい強気の展開だったが、それが空回りせずに上手くいった。


さて、行方である。今年の行方は本当に強い。新妻効果…は私も冗談で言っているところだが、そうは言っても生活が整ったことは、やはり大きいのではないか。屋敷のA級での活躍のように。

何度か書いたが、団塊ジュニア世代の体たらくが、羽生世代の必要以上の繁栄に貢献している面はあったと思う。あまりにも子どもすぎた。

戸辺や渡辺明などの大人としての人格形成と比べると幼稚な面はあったのではないか(純粋ともいうが)。

今年こそは団塊ジュニア世代の逆襲の年だと思う…と年初にブログで書いていたようだ。もしかしたらここ最近は毎年書いているのかもしれないが(笑)

三浦弘行はやや不調の立ち上がりだが、行方はこの勝利で今期8勝1敗だろうか。負けた郷田もまだこの負けを含めても二敗しかしていない。

要は好調な二人の対戦だった。

私は行方の後手番での指しまわしが好きだ。慌てることなくぐっと先手の攻めを受け止めるような将棋が多い。

前回A級にいた時の羽生との対戦も惜しかったのを覚えている。あの羽生に角換わり調から六手目に角道を塞ぐ作戦で、かなり終盤のほうでも有利な局面を作った…というのは今考えると凄いことだった。

今は心技体の充実と、そして戦型選択の良さ、抜かりのない準備が完全にはまっているように思う。

本譜の歩を二段下げる手順もいかにも行方将棋、後手番の行方らしさが現れているように感じた。

また、良くなってからの指しまわし、エイヤっで目をつぶって突っ込むのではなく、ギリギリまで慎重に指して、きっちり超手数の詰みに討ち取る姿は、獲物を狙う俊足のネコ科の猛獣のような印象をもっている。

例の初のタイトル挑戦を決めた将棋もそうだったし、本局もそうだった。

不調も長く続けば実力、という言葉があるが、その逆で、好調も長く続けば実力、と言った具合。

ここからの行方は相当に活躍すると思う。居飛車の後手番を今最も上手く指すプロ棋士ではないか。


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四冠への挑戦権獲得 第84期棋聖戦挑決▲渡辺明vs△郷田真隆

第84期棋聖戦挑決▲渡辺明vs△郷田真隆渡辺明三冠の勝利に終わりました。

これで夏の棋聖を奪取すると過半数の四冠王に輝くことになります。名実ともに棋界の頂点に君臨することになるでしょう。(名人位はまだですが序列一位の竜王位をもってますし)。

これでもし万が一?羽生善治三冠が名人位を奪取していれば、夏に四冠王対三冠王という棋界の頂点に君臨する二人が全タイトルを賭けて戦うというオモシロ展開なんですけどね。(全タイトルを賭けるわけじゃないですねw

以下、簡単に振り返ってみます。

先手渡辺明三冠で角換わりを志向します。基本的に郷田真隆先生は避けないタイプなので準備が無駄にならないということでこの二人でこの先後だと比較的矢倉よりも角換わりのほうが多いような気がしていますが気のせいでしょうか。

後手番が基本的には何かしらの工夫を用意しておく必要があり、今回の郷田真隆プロが用意していたのだが、これがどうだったか。

以下の図、42手目の△3五歩が工夫の一着。



待ちの手である先手の香車上がりへの当たりがキツイ…かもしれない。

よく右玉を相手にした時にこういう攻めを玉側の桂頭に目掛けて行うことがあるが、どのみち突き捨てたかった歩なのでよっぽど条件が良くないと成功しない印象がある。

どうするのかな?と見ていたら、自分でチョッカイを出しておきながら、攻めの銀を自陣に引きつけて先手に馬を作らせる・・・という驚愕の構想。

無条件に馬を作らせた、と見せかけて郷田真隆プロは7-9筋で反撃に転じる。ただし、やたらと軽い印象を受ける。

渡辺明三冠は角換わりの後手番も得意としているが、絶妙のタイミングで、ぎりぎりの突き捨てが入ったりして強烈な攻めが、玉頭から始まってそのまま攻めきる、という印象がある。それとは対照的な軽さだった。

後手の攻めが一段落してから先手は作らせてもらった馬を足がかりとして自然に拠点を築く。

66手目の局面をコンピューター将棋に評価させれば殆どのソフトが先手を持つのではないだろうか。


そこからの優位の拡大方法に注目したが、個人的に感心したのは73手目の▲9七歩。飛車を殺せそうなんだけど、そこに慌てずにじっと歩を打つ。こういう心の余裕があるといいんでしょうが、アマレベルだと一目香車を打ちたくなるところで勉強になりました。

後手の無理気味の開戦からの現況なので無理をする必要はない、ということなのでしょう。あくまでもじっくりといく。後手がちょっかい出してきたらちゃんと丁寧に応じる。その合間をみてじっくり後手陣に侵攻する。その々でした。

107手目で桂馬のふんどしが決まって流石に先手が良さそう。ここでまた後手の反撃がありましたが、遂に113手目金を取った手が飛車取りとなる局面をつくり、先手の優位が確定しました。

122手目の局面。


ここはかなり悩ましいです。色々な手があり、具体的には分からなくても一目先手が良さそうというのはアマでも分かるところ。しかし、具体的に勝利に結びつけるにはどうしたらよいか?というのは分からない。

ここで持ち時間が30分以上残っているのが渡辺明三冠の強さですね。こうやって対コンピューター将棋であってもこういう具体的にはわからないけど人間勝ちでは?という局面を作って本譜のように華麗に決めてくれるのではないか?という何の根拠もない確信を私は持っていますw

この局面で有力に見える手は有段者レベルであれば10個もないと思います。その正確な組み合わせができるかどうか?どこまでそれらの組み合わせの先を読めるのか?がその人の棋力を表します。プロ棋士の中でも個性やセンス、実力に差異がありますので、そのへんもひとつの鑑賞点だと思います。

ここから渡辺明三冠は見事に美しく、数学の問題を解くように明快な回答を盤上に示します。負けを悟った郷田真隆プロは、その意図を把握し最も美しい手順を用意します。そして余韻の残る局面で投了。これが人間将棋の魅力です。


さてこれで渡辺明三冠は四冠王への挑戦権を得ました。漫画のようなシナリオの片方は実現しました。あとは羽生善治三冠が2連敗している名人戦で名人位を奪取すれば、四冠王対三冠王という夢の様な対戦が実現するのです…。もし実現したら、私は棋聖戦を見に行こうと思っています。

はい、勿論記者パスポートがあるので無料で前夜祭から参加できるはずです。インタビューも出来るでしょう。懸念点としては、記者パスポートが自作であるということぐらいでしょうかね・・・。という冗談はさておき、本当に面白い展開になってきました。

観る将棋ファン冥利に尽きる展開ですね。いまから6月4日(火)、棋聖戦第一局が待ち遠しいです!><


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Author:将棋観戦
「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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