2010年11月4日 第4回朝日杯将棋オープン戦、二次予選

遠山雄亮四段?△木村一基八段
今期絶好調の遠山雄亮プロと逆に絶不調の木村一基プロの対戦。先手が遠山プロということで石田流に進む。最近後手の対策として有効なものをみた記憶がないので木村一基プロの作戦に注目していたが、いかにも普通の亜急戦というか玉の薄い戦い方を選択していた。思えば木村一基プロといえば対抗形における急戦の雄だった。

工夫を見せたのは遠山雄亮プロ。最近だと永瀬流、昔だと大山流の左金の捌きをみせた。そこからの応酬はいかにも急戦調でキビキビと一手の緩みも無く楽しい。

ポイントは△3三歩と打たせた後の銀の引きどころだったようだ。本譜は普通に見えるが2五のほうがもしかすると良かったかもしれないとのこと。

本譜の△4五銀で後手急戦らしく、半手だけ攻めてるようなギリギリの攻めが続く。そのまま迎えた70手目が勝利打点の味。薄い玉を怖がらずに攻めを催促し、続く72手目の△4四歩がダメ押し。序盤の▲2五か4五かの引きどころの違いがここに現れた。

穴熊に組む持久戦も楽しいが、やはり古くから見ている人間にとってはこういう急戦調の将棋も、特にベテランではなく脂の乗り切った世代や若手同士でのものをたまには見たい。そして勝つためにやっているわけではない私としてはこういう将棋を指したいものだと思う。


豊川孝弘七段?△飯島栄治七段
序盤から飛車交換となる乱戦。角交換型の将棋は定跡化されやすいし、駒組みも多少制限されるとはいえ、まだしもという感じだが、本局のような飛車交換の将棋については、定跡化が進むのは相当先だと思う。

本譜の展開はどちらにとって得だったのかは微妙だが後手番としては通常の定跡形で辛い思いをするぐらいであれば、という感じ。最近の将棋はいつもこんな具合で、広がった定跡網から逃れるためにどんどん前のめりになっている印象がある。

本局の展開における指し手の優劣は良く分からないが、後手が竜を作ったあたりではさすがに後手が良さそう。というかこの将棋は細かくあーだこーだと書くよりは、兎に角見てもらって、即興演奏のような趣の手順を初手から愉しむことをお勧めしたい。

勝ち負けもそうだが、どんな形になっても微妙にバランスを保ち続けるプロの技が堪能できる。(とはいえ結果だけ書くと飯島勝ち。終局が押した豊川プロの飯島プロへの心遣いが面白かったのでコメント欄も必読)。


木村一基八段?△飯島栄治七段
中座飛車から派生する変化、双方中住まい型。先手が▲8七歩を打たずに頑張る作戦を採ったためにいわゆる一手損中座飛車ではなく△8四飛型となった。

中住まいでお互いの玉の周りに守りが居ないというこれもまた双方ゲリラ戦の様相を呈している。

持ち時間の長い将棋と短い将棋では本質的な将棋のつくりというか、展開が異なるように感じるのは気のせいだろうか。96手目、木村プロの投げた球がすっぽ抜けているが、飯島プロが反応できずにど真ん中の棒球がそのままミットに収まった。

素人目には多分王手飛車の筋を決行していれば後手が勝ったように思うのだが。また、本譜の先手の攻めは細くも繋がったが厳密には切れていたらしい。二度の見逃しがあっては流石に勝てないとしたものだ。

何となくだが、木村一基プロがこの棋戦での活躍により調子を取り戻すのではないか?という気がした。相手のミスに助けられつつもまずは勝ち星が続く、というのがなによりの治療薬なのではないか。

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Tag : 将棋 豊川孝弘七段 飯島栄治 遠山雄亮 木村一基 石田流 中座飛車