藤井聡太、あと6勝で竜王挑戦。

佐々木、阿久津、久保、松尾と勝って、別山の勝抜き者と三番勝負で2勝すると竜王の挑戦者になります。

佐々木・松尾はほぼ居飛車のみ、戦型的にも藤井聡太は実力発揮できるでしょう。阿久津は若干振り飛車も指すタイプなので戦型に注目。ただ当然勝ち負けと思います。

一番注目なのは久保戦。対振り飛車に弱点あり…という訳ではない、というのは多くの対戦経験者を含むプロ棋士のコメントとしてありますが、実際にプロ入り後に(非公式戦で)負けている将棋3つのうち2つが振り飛車になります。

久保さんがもし今でも菅井竜也さんと研究会をやっているのであれば、菅井さんとの作戦検討も当然行ってくるでしょう。対抗型というのは、一概にレーティングでは測れないところがあり、相性問題が特にレーティング差異が小さい場合には大きいと個人的には感じています。久保さんは恐らく穴熊にしにくい戦いを選択するはずで、そのときに実戦的には振り飛車が勝ちやすい…という局面がでやすい気がします。

別山から出てくるのは恐らく羽生善治三冠で、この対局は世の将棋ファン誰もが望んているものと思います。連勝が止まる(負ける)とすればこの三番勝負での1(or2)敗になるのかなと考えています。

もし竜王戦の挑戦者になった場合は、獲得確率は5割以上あるんじゃないでしょうか。渡辺竜王は当然強いですが、レーティングだけでいうと恐らく2014年ぐらいにピークアウトしており、ここから先はどこまで維持できるか?という状態にあります。また世論的に藤井聡太乗りが俄然多くなるでしょう。渡辺明竜王はヒールというか世論のバックアップを必要としないどころか、無い方が逆に力を発揮するタイプですし、試合巧者かつトップレベルの棋力は勿論維持されているので結果はわかりませんが、挑戦すれば50%以上の確率で奪取すると思います。

別山から羽生善治三冠がでてこない場合は挑戦の可能性が相当あがりますが、二人の大きな舞台での対決を見たい気もするので悩ましいですね。

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新記録、29連勝。

藤井聡太四段がデビュー以来無敗の29連勝を達成しました。相手は二人しかいない十代のプロ棋士である増田康宏四段。非公式戦、炎の七番勝負では藤井聡太が辛くも勝利を収めたように見えたが本局は確実にあの時よりも成長していることを実感させるものだった。

序盤は増田が雁木型に組む。藤井聡太の得意戦法の角換わりを避ける意味もあるが、気合い負けというよりは自身の一番得意な形で戦いたい、全力を尽くすということだろう。実際に中盤では後手のほうが模様が良いと判断するプロのほうが多かったようだ。

夕食休憩にはいった局面では先手の飛車が助からず、先手からの攻めも見えにくいため、この局面でも後手のほうがよいと見ている棋士が多かった。ただしソフトはこの飛車を強引に取りに行く手順でほぼ互角に評価値が戻ったという情報をツイッター上で見かけた。

より良い手順としてはじっと歩を△26歩と伸ばす手だったようで、解説の谷川浩司が推奨していた手でもある。本局は夕食休憩後に一気にザ・藤井聡太という手順で形勢が急速に接近したように見えた。47手目の▲22歩から55手目の再度の▲22歩までの手順が秀逸だった。



この歩は取れないので△33桂馬と跳ねたがここで跳ねるのであれば最初の22歩で跳ねるほうが良かったかもしれない、とのこと。桂馬を食いちぎっての▲15角が金の両取りで飛車取りを催促している。後手は王手で飛車をとり両取りを回避するが次に33の金取りを受けるしかないとなると流石に苦しい。

増田康宏四段というのは間違いなく天才であと一歩で中学生プロに成りそこねた男(の1人)だ。そのような才能を持っている棋士はほぼ全員がタイトル挑戦以上を果たしていると記憶する。彼にもまさにその資格があっただろう。ただし今後の藤井聡太次第、というのは増田以外の全ての若手実力者に言えるところ。

増田康宏の将棋というのは強烈な攻め将棋であり、勝っても負けてもものすごい殴り合いを経て決着することが多い。ボクシングでいうと井上尚弥、というような将棋。ものすごいハードパンチャーで、その強さ故に拳を痛める(将棋で形勢を損ねる)ことがあるぐらいのハードパンチャー。

その増田康宏に攻めさせないどころか、防戦一方に追い込み、投了図では大差になっている。これはどういうことなのだろうか。藤井聡太は間違いなく成長しており、今の若手実力者はようやくこれからは俺(達)の時代だ、と思っていたはずだが、55年組のような一時の時代を築くことすら出来なくなっているように私には見える。

恐らく現時点で藤井聡太は将棋界のトップスリーレベルの実力者に対して7割以上勝つ力を持っている可能性が高く、その棋力はここから最低でも10年は伸びていくはずだ。となると、5年程度で七冠、順位戦でもおそらくは停滞なしか多くても1・2期の停滞を経て名人になると思われる。

タイトル戦に登場した場合は全局どの地域であっても平日であっても観に行くつもりだったが、ここまでフィーバーが加熱するとちょっと観に行くのが大変そうな気がしてきた…いっその事全部観戦するのが大変なところにしてほしいぐらいだ。(海外とか)。

竜王戦、次の対戦者は佐々木勇気。彼もまた中学生プロに成りそこねた男であり、世代を代表する天才である。そして増田康宏が重いパンチをうつタイプだとすると、鋭い・手数の多い、局面を複雑にしたかと思うと背負投げのように一気に抜き去っているような攻め将棋だ。その棋風が藤井聡太との対戦でどの程度どのように発揮されるのか?に注目したい。

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28連勝!再び角換わり。▲藤井聡太vs△澤田真吾(王将戦 一次予選)

28連勝。

藤井聡太がまだ発展途上であることは間違いない。しかし同時に現時点でトップレベル以上であることも間違いないと思う。谷川浩司が終盤の概念を変え、羽生善治が序盤の体系化を進めたように、藤井聡太はパラダイムシフトを起こした。圧倒的な詰将棋解答能力と従来の知識の上に、AIの感覚を取り込むことに成功した唯一の棋士であると言える。

まだ従来の将棋のコモンセンスに自身の下地が埋め尽くされる前にソフト活用を始めたことで他の棋士よりもよりその感性・感覚を取り入れることが出来たのだと思う。藤井聡太自身で言語化できるのかどうかは分からないが確実にその活用しているソフトの読み筋・スタイルを取り込んでいるだろう。

私はやはり藤井聡太が20歳になるまでに殆どのタイトルを獲得している未来しか見えない。

以下、昨日の将棋の感想。

藤井聡太四段先手で角換わりに。澤田さんに用意があるのでは?と予想していましたが逆に藤井聡太が▲5八金型に構えた。

ちょうど先日の叡王戦、梶浦宏孝四段との対戦では後手番をもった藤井聡太が先手番の形を採用するということは感想戦やその後の検討で試したい構想があったということだろう。前例は6局。

それに対して澤田真吾は研究にハマるのを嫌ったのか、前例のない△6五歩で早々に開戦した。パッと見た感じでは後手からの攻めが無理気味に見えるので先手がそのうち良くなるのではないか?という印象を私は持った。

後手の澤田真吾は8筋を突き捨てずにじっと△76歩としたがここで緩むようだと厳密には先手にポイントが上がっている局面に見えるがソフトの評価値的にはどのぐらいどうなのか気になるところ(誰か教えてくださいw)。

先手の藤井聡太は少考から▲6三歩。この手に後手は△7二金とかわすしかないのがこの角換わりの独特なところで、これでバランスが取れているというのは正直私には信じられない。玉が42にいて、63の歩をとれずに金をさらに一路玉から遠ざけて大丈夫、というのが凄い度胸というか。

先手は続けて▲73歩も決める。後手はどちらの歩も取れないので△71金。81飛車との関係性が最悪(横利きを消している)がここで先手の攻めは続かないでしょう、という手でもある。先手は質駒の桂馬をアッサリとり、後手に手番が渡った。後手の澤田は飛車に銀を引っ掛けて、銀の取り合いで馬をつくったが、▲55角で馬を消された。次の△28角(▲38飛車、△19角成)が甘かったのか、あるいはそこに至るまでの手順(先手の飛車に働きかける手順)に問題があったのか分からないがそこから先は先手が良くなっている気がする。

そこから先も勿論難しい。控室の手と藤井聡太の手は一致しないままに、先手の模様が良さそうなままに進む。そしてやがて先手勝勢が告げられ、ついに藤井聡太四段が28連勝タイ記録を達成した。

以下、棚瀬さんのツイートを引用。


プロだと大平さん、アマでもこの将棋では●●には勝てないという表現をされている方を散見しているが、その様子はプロとソフトが戦った時の初期の言葉によく似ている。ソフトが恐ろしいのは苦戦気味になってからの指し回しである。

恐らく藤井聡太の恐ろしさにはまだ二段階ぐらい見せていない姿があると思うので今後当たるプロには是非藤井聡太を追い込んでほしいと思う。その時にソフト活用の別の側面、羽生マジックにも似た何かが見えるのではないかと思う。

澤田との初戦がその片鱗だと思うがより洗練された形で今後もああいう恐ろしさを見せてくれることになると思う。





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藤井聡太、再び澤田真吾と対戦(王将戦 一次予選)

一次予選の7つめの山のセミファイナル。

https://www.shogi.or.jp/match/oushou/67/itizi.html

澤田真吾に勝つと、二次予選入りをかけて菅井竜也さんか山崎隆之さんとの対戦となります。

個人的には澤田真吾さんに勝って頂き、菅井竜也さんとの勝負をみたいですね。(対振り飛車最高峰との戦いを見たい)。

さて。27連勝してきて、非公式戦の将棋も含めて大体藤井聡太さんの用いる作戦が分かってきた感じです。従前からの噂通り、先後どちらも角換わりを軸に戦っています。

そうなると先日の瀬川晶司五段との対局のように、対戦相手はある程度想定局面を準備した上で戦ってくる可能性が高いのではないでしょうか。澤田真吾さんの場合はそこまでギチギチに局面誘導するイメージもありませんが今後はそういうことも増えると思います。


さて二回目の対戦。今度もどちらが先手になっても角換わりと思います。藤井聡太さんとしては負けるまでは今の作戦で、あるいは暫くはこの作戦で押し通すのではないでしょうか。昔の藤井猛九段がシステム発動しまくっていたころを思い出しますね。居飛車党のトップ棋士達、若手棋士たちによってたかって解析されてボコボコにされるまでには数年かかりましたが、今はソフトがあるのでどうか。

ただ藤井聡太さんも研究にソフトを活用しているので、いっぺんにダメになるという決定的な対策がでなければ、五分に近い状態であれば、暫く稼げる気がします。

藤井vs澤田戦、どちらが勝つにしても前回のように白熱した終盤戦になることを期待しています。ってか期待しなくてもなるんだろうな!


あ、そういえば即売り切れた藤井聡太扇子ですが、私のところには7月中には届くよ?というメールが来ました。早く届くといいなあ。

最後に連勝に関するアンケートの結果を再掲。



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用意の仕掛け ▲瀬川晶司五段vs△藤井聡太四段(第76期順位戦C級2組1回戦)

藤井聡太四段がついに順位戦に登場した。昔ほど金銭面での重みはないかもしれないが名人へ到達するための道のりとしての順位戦こそが将棋棋士にとっての本当の勝負の舞台と言ってもいいだろう。少なくとも名人になる可能性が高い藤井聡太にとってはここから名人になるまで一つも負けたくないという気持ちではないだろうか。

既に大々的に発表されているので結論から書くと藤井聡太が26連勝で順位戦デビューを飾った。

私が感心したのは序盤終わり、中盤入り口あたり42手目の着手で1時間を超える長考をしたところ。深く読めるということも勿論あるが、ここが勝負どころという時には必ず腰をおとして考えることが出来る。しかもその長考が持ち時間に応じた長さになっているのが凄い。早指しでも順位戦でもその持ち時間に適切な時間を投入して深く読んでいる。

その長考に至った原因は瀬川五段の用意周到な仕掛けだった。瀬川さんは終局後のインタビューで「こういう形になればいいなという形になった」と語っていた。後手の形が大体決まっているのでこのような研究を藤井聡太にぶつけることが今後も増えていくだろう。

長考の結果受け一辺倒の△44角が指された。これしかない手だったようで、こうなるともう少し先手の攻めが続く。

ただ、そこから進んでみるといつの間にか攻守交代していた。41手目の75歩が攻め継続の手のように見えたが後手の攻めの銀を進出させつつ、△77歩の叩きを生じさせたので見た目の印象ほど先手が良かったわけでもないのかもしれない。

そこから80手後半までの局面は、後手の調子が良さそうに見えた。先手は受け一辺倒の手ばかりを指しているように見え、後手玉は広く縦横の飛車を活用する攻めがあったからだ。

ところが91手目、先手の瀬川五段が受けただけに見えた桂馬を▲46桂と跳ねた局面では途端に景色が変わっている。私はabemaTVで観ていたのだが、この手を指す時の瀬川五段の表情というか姿勢は気迫に満ちていた。明らかに手応えを感じているように見えた。

この手を指された瞬間から暫くの間の藤井聡太四段の様子がすごかった。明らかに動揺しており、良い応手がないか必死に探していることがその目の動き、扇子を弄る手、忙しなく変わる体勢などから見て取れた。

しばらくしてまた藤井聡太四段はこれしか無さそう、という手を指した。中盤の長考と似た長考だった。AbemaTVの解説、藤井猛・黒沢の二人は先手の手として両取りの▲66桂馬ではなく、▲46桂馬と打てば先手の勝ちではないか?と解説していた。本局の展開をみるともし瀬川五段が▲46桂馬と指していたら先手が勝っていた可能性がある。

ただ実際にはどちらに桂馬を打っても後手には必殺の桂馬の成り捨てがあり厳密には勝っていたようだ。もし▲46桂と打たれたとしても詰み筋に藤井聡太は当然気づくだろうからその手を発見していた可能性はある。▲46桂の辺りからはまた藤井聡太は冷静になっていた。そして程なくして対局が終わった。

私は棋譜でしか今まで藤井聡太の対局を観ていなかった。はじめて動画中継でその対局後の様子をみてこれは羽生七冠以上のことになっていることが分かった。この様子を観るまでは、プロ棋士などがいう、負けた棋士にも…云々はあまり私の心に残っていなかった。自分が負けたときの予防線…までは思わなかったが、随分と大袈裟だなと思ってはいた。

しかしそれは全然大袈裟ではなかった。対局終了後にフラッシュが一斉に焚かれ、カメラのシャッター音が延々と続く。感想戦が始まる前に勝利者インタビューが始まる。すぐさま敗者にもコメントが求められる。唯一幸いだったのがその場を仕切っているのが朝日の将棋取材記者であることだろうか。敗者に対しても十分に配慮された質問だったように思う。

対局中の瀬川五段の姿は凛々しかった。真剣勝負に没頭する姿は殺気と男の色気のようなものが渾然一体となっているように見えた。▲46桂を着手した姿は本当にかっこよかった。対局直後にもかかわらず、他の棋士よりは取材慣れしているであろう瀬川五段は一瞬にして指導対局などで見せてくれるいつもの柔和な表情を浮かべていた。質問にも丁寧に答え、連勝が続く藤井聡太を慮るような言葉で自身の発言を〆た。

こんな事が毎回行われていたのか、とはじめて知り、私は以下のようにツイートした。





藤井聡太四段の次の相手は元奨励会、東大生のアマチュアだ。ここはプロとしては負けられない戦いだろう。是非28連勝を賭けて澤田真吾との再戦、澤田真吾にとってはリベンジマッチを迎えて欲しい。


最後に昨日終了した連勝に関するアンケートの結果。過半数の人達が新記録を予想(期待)していることがわかる。




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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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