1月19日(水)第4回朝日杯将棋オープン戦、本戦トーナメント

第4回朝日杯本戦 ▲渡辺明-△畠山鎮

この組み合わせで先手が渡辺明竜王となると相矢倉が多いだろうか。先手の渡辺明竜王は藤井流の早囲いを目指す。正直この戦い方での有利というのはとても小さなものであり、それをもって優秀とみるかどうかは意見の分かれるところ。

脇システムとの合流もありえた(途中は合流していたかもしれない)が、先手が片矢倉で収めて手数の省略を図った。

片矢倉の弱点は8筋にあり、という何となくの通説から、8筋は大丈夫なのだろうか?とみていたのだが、後手の8筋での角銀交換の後に待っていた渡辺明竜王の用意の一手で先手良し、ということだった。

これは気づきにくい手順だったが、後手はどう応じても(準)王手飛車が掛かる。事前研究の含みとして、後手が片矢倉の弱点とみてこの交換を狙ったときには、こういう切り返しがあるとした渡辺明竜王の誘いの隙が見事な一局で先手の完勝だった。

こういう罠を張り巡らすことが出来るのがMY定跡の愉しみであろう。そう、あまねく広まったとはいえ、藤井流の指し方というのは藤井猛プロのMY定跡なのだった。



第4回朝日杯本戦 第4回朝日杯本戦 ▲久保利明-△村田顕弘

関西の若手と実力者の激突。久保利明二冠が先手で石田流穴熊vs後手銀冠穴熊になった。銀冠穴熊は女流ではあまりみない気がするが、プロやアマトップでは良くみる。と金から先逃げしつつ、穴熊の遠さのメリットも享受するという一粒で二度美味しい欲張りセット。

戦いが始まって後手の形も居飛車党としてみた場合まずまず、という印象だが61手目の垂れ歩がウザッたい。この歩をすぐに取りきれない気持ち悪さは棋理もさることながら、精神的に嫌なところがある。

ただしこの歩が本局における勝負の分かれ目のアンカー(重し)となったように思う。前後不断という言葉を掲げる久保将棋ではあるが、人間の習性として、性として、それはなかなかに難しいことで、この垂らしが、73手目の▲5三歩の垂らしに繋がった。

この垂れ歩は前述の銀冠穴熊からするとやや温い手だった可能性があり、おまけに角が9筋で飛車と交換になった辺りでは、もしかすると形勢は居飛車に傾いたかもしれない。

やや後手良しで進んだ104手目が穴熊をやっていて一番気持ち良い瞬間であるところの竜切り。そしてそこからは穴熊らしい、やや見ているがわにとっては詰まらない手続きが続いて、村田プロの勝ちとなった。これは金星と呼んでよいだろう。



第4回朝日杯本戦 ▲渡辺明-△村田顕弘

後手村田顕弘プロがゴキゲン中飛車に構える。先手の渡辺明竜王は▲3七銀戦法。村田顕弘プロ、二つ目の金星なるか?が注目されるところで、朝日杯は佐藤和俊プロなど勢いに乗ったものが、勝ち上がることがある棋戦なので、十分にありえる話し。特に渡辺明竜王竜王は一発もらいやす…ゲフンゴフン。

4四の地点と4六の地点でお見合いしてからの相穴熊かと思われたが後手が美濃を選択した。

囲いあってから5五の地点で銀交換+歩得となった場面では金が前線に繰り出されているが、先手が棋理としては良さそうだ。ただし、46手目に交換になった銀を自陣に再投入する手が実戦的であり、そこから一転渋い戦いに。

ただし攻め将棋で細いのも厭わない渡辺明竜王としては言葉上のものよりは安心度というかやりやすさはあったように思う。

67手目の▲3二角の場面ではぱっと見て先手が良さそう。こういう角が入るときは大抵居飛車が良いとしたもの。後手は飛車を五筋に成り込むが57で成って、5九に入るという手が間怠っこしいと思ったが、先手も似たような動きで敵陣に竜が侵入したのでおあいこだろうか。

最後は、攻め合いになったが、そうなると序盤からの有利の蓄積と穴熊の遠さで居飛車の勝ちとなった。投了局面では馬が逃げると馬でと金を取る手などがあり攻めが続かず、馬を切るとシンプルな一手負け以上ということで、後手の村田プロの投了となった。

この日の渡辺明竜王はどちらもかなり強い勝ち方だったように思われ、いわゆる第一人者としての風格、羽生世代三強を二度ずつ負かしている男としてのオーラが出ていた。

関連するタグ 将棋 渡辺明 久保利明 畠山鎮 村田顕弘 ゴキゲン中飛車 藤井流矢倉 石田流 藤井猛

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