中堅化 2011年01月23日第60回NHK杯三回戦第七局 ▲深浦康市vs△藤井猛

この二人は確か対戦成績が多いはずで、二人が台頭してきた頃がちょうど重なっており、新人王戦など、野球でいえば甲子園のライバル同士、という感じ。甲子園や二軍では竸っていたが、新人王レースでは藤井が深浦をカモにして、そして充実の時を迎えた時には深浦が今後はやりかえしている、という感じ。

藤井システムの全貌がまだ、明らかではなかった頃、それに果敢に立ち向かったのが深浦であり、それ故に何度も返り討ちにあっていたことを記憶している。角を初期位置に置いたまま居飛穴のために香車を一つ上がったり、今となっては少し微笑ましいような構想もあったが、星飛雄馬の大リーグボールが最終的にはライバルたちに破られるが如く、藤井システムは廃れた。

それに大きく貢献した棋士の一人が深浦であることは言うまでもない。


最近、両者ともに実力は示しつつも、つき抜けきれない現状が続いており、このNHK杯での活躍に期するものがあるだろう。

NHK杯2011年01月23日第60回NHK杯三回戦第七局 ▲深浦康市vs△藤井猛

戦型はテレビ棋戦ということもあったのだろうか、後手の藤井猛プロがノーマル四間飛車に構える。いわゆる後手藤井システムというやつだ。

端歩を伸ばしきる手を保留して先手からの急戦に備える最新型。これでも急戦があるのがこの戦型であり、本譜はそのようにして深浦康市プロが▲5五角から角を大きく転回させる急戦策を採った。

端で交換になるが、後手から交換するものの、角出の一手と1筋の突き越しがあるために先手の手得とは言い切れない部分がある。

元々が角交換型の四間飛車まであるところなので、その派生型と思えば後手の腹も立たないだろう。

ただし陣形の伸展性、こういう形における深浦康市プロの研究の深さを考えると55手目の先手が飛車先を交換した辺りでは先手の作戦勝ちといえる。

後手の藤井プロは4九の角に命運を託すが、プロ将棋においては、こういう角一発で勝てるような展開はそうそう来ないとしたもの。

このあたり、放映日と同日に行われていた女流名人戦の清水市代プロの作戦と比較すると色々面白いように思う。

89手目では、先手が良いはずだが、かなり後手も追い込んでいる。先手の玉側の桂香を取れたのが大きいし、先手の飛車の成り込みが自身のと金に邪魔されている。

しかしそこからあっという間に先手がよくなり、そのまま将棋が終わった。投了図では後手玉が左翼に逃げようとすると▲4二角?▲3三角成りがあるから駄目、ということだろうか。目分量では詰んでそうだ。

戻って90手目で△9七歩成りとかやっても悪そうだが、実戦的な気がしなくもない。私であれば、そうやってしまいそうだ。

何となく、この二人の対戦で、こういう古い戦型が出てくると皆、年をとったのかな?と思わないでもない。

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エンジンかからず / 中飛車版藤井システム 第69期A級順位戦3回戦 ▲谷川浩司(2-0)?△藤井猛(0-2)

今期、王座戦の挑戦を決めている藤井猛だが、A級では激戦だった初戦の久保戦を落し、二戦目の対郷田戦では良いところなく破れ、連敗スタート。反対に谷川プロはどちらも負けまであるきわどい戦いを勝利しての連勝。特に三浦戦は終盤、週刊将棋によるとかなり危ない局面があったようだった。

振り飛車党で、ゴキゲンを指さないとなるとどこまで行っても、どういう戦型を用いるか?ということになるが、前期は藤井プロのゴキゲンに谷川プロが超急戦を選択し、既に結論が出ている局面に谷川プロが飛び込み、藤井プロが勝ち切っている。

本局はどうなるか。

私の中でなんとなくダブるのが、深浦プロのここ最近の展開、順位戦では奮わず、タイトル戦では惨敗というもの。

居飛車党の私からみても、魅力ある将棋を指す藤井プロだが、後手番戦術について、とても困った状態になっているように思われるのだった。

本局においてその不安を払拭し、王座戦では先手番で対羽生戦では初披露となるはずの矢倉で撃破し、次なる後手番を安心して迎えて欲しいと思う。(ここまで前日の17時半)。

藤井プロよりも順位が下が渡辺竜王、久保二冠。シノギの相方の弘行は順位1位。仮にこの将棋にやぶれると3戦終わった段階で白星なしは藤井プロだけとなってしまい、順位関係からすると、ほぼ逆当確まである。勝つしかない勝負だ。

第69期A級順位戦3回戦 ▲谷川浩司(2-0)?△藤井猛(0-2)

将棋は後手藤井システムとなった。王座戦を踏まえてのものなのか、或いは対谷川戦ということでなのか。

後手番に四間飛車穴熊を用いた場合、あわよくば千日手・・・というコースもありそうだが、こと藤井システムの場合は意図的な千日手は難しそうだ。となると、勝ちに行くしかないが、今の後手番藤井システムは端歩を突き越せない。

突き越す手すら省略しての攻撃態勢の構築である。苦労して苦労して、居飛車の攻め手順をみて、それに対応して陣形を変化させていく。その末にあるのが、先手の先攻という世界。

本譜も端歩を一つしか突いていないが、玉が7一の安全地帯に収まることが出来ずに挟撃を築かれたあたりでは、先手が良さそう。ただし、先手の銀を投入させた意味もあり、先手がもつれれば、後手の藤井プロにもチャンスはあるだろう。(ここまでリアルタイム)。

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今は翌日の朝。結果は藤井プロの三連敗となった。

手順として振り返ると、昨日見ていた局面で既に・流石に先手が良かったようだ。プロレベルでは43手目の2四歩が勝利打点の味だろうか。アマ級位者の頃には振り飛車を相手にして8二に角を打ち込んでどや!…と思ったら何故か負けている、ということがあったが、▲8二銀を動かさないのが良い手だった。この一手に対して、後手は端歩と9二香を費やしているのでそれだけでもお得感がある。

本譜は45手目▲2六飛車という手のお陰で後手の勝負手△4四角が生じたが、それでも形勢をひっくり返すには至らなかった。59手目までの手順も部分的には対抗形の急戦調では常套句となっている。謙遜としてのそれでも難しいという谷川先生の感想があったが、そして確かにアマレベルでは銀が遊ぶので緩むと危ないだろうが、65手目の時点ではザ・角得。

69手目に▲3四角と打って得た一手で、遊んでいる銀を優雅に立て直しては勝負があった。ガジりたくてもガジれず、逆に8二の地点には後手玉のお尻かじり虫が待ち受けている。

本局は後手の完敗だろう。王座戦の試運転のつもりが、この車がレモンであることが確認されただけだった。

やはり私の希望としては後手番ゴキゲンか、例の王座戦の予選対井上戦でみせた「藤井システム中飛車バージョン」を試してみる!と無責任に思うのだがどうだろうか?

勝ち負けにかかわらず、盛り上がること必至です。

藤井猛の定跡本リスト

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第69期順位戦B級2組3回戦

しばらく前の対局なので、結果から書いてしまおう。この3回戦が終わった時点でのトップは阿久津主税プロ。続いて飯島栄治プロ。この二人のみが3連勝。ここから1敗勢がなんと11名。

後ろの方は…とみると降級点を一つ持っている先生方が多目。降級点制度により、C2には若手と中堅しかいなくなったが、B2にも確実にその波が押し寄せている。結局はトーナメントプロと普及プロの二極化現象が、公益法人化と同じタイミングでやってくることを示しているようにも、思える。

以下、終局順に。結果表記は先日に引き続き順位戦速報からの引用だが、この程度であればお許しいただけるのではないか。問題があれば変更するのでご指摘賜りたく。


(阿部 隆八段?窪田 義行六段…19時59分千日手成立)
後手の藤井システムを用いた窪田プロだが、持ち時間を30分ほど多く使った状態で千日手が成立した。

先後どちらを持ちたいか?というと振り飛車党の場合微妙な事が多いが、窪田流は先手のほうが良さそう。というわけで30分の持ち時間で先手番を買ったことになるが、これがどう出るか?に注目したい。

窪田プロの将棋はなんというか、序盤で危険な筋があってもまずフルえずに踏み込む。そしてぐちゃぐちゃになって、そこから粘りに行くという訳の分からないところがあるが、藤井システムの先手番となると攻めて攻めて攻めまくってから、おもむろにザ・ワールドが発動される感じだろうか。というわけで先手番でのシステムを期待。



堀口 一史座七段(2勝1敗)●?○田中 寅彦九段(1勝2敗)…20時25分
作戦家同士の対戦。堀口一史座プロは最近復調されているように思う。将棋は後手の矢倉志向の4四歩に引き角から先手が歩を交換する将棋。後手が飛車先を決めているのが如何にも田中寅彦流だ。

先手が46歩・47銀型から攻めたのがどうだったか。後手の攻めのほうが速そうで、沢山突き捨ててから攻め合いに持ち込んだ先手だったが後手の迎撃で飛車が撃ち落され、攻撃力が落ちた。しかも、そのまま玉のそばにと金を2枚作られて、攻守ともに見込みなくあっさり投了となった。

先日の王座戦挑戦者決定戦の藤井プロの将棋の攻め方に先手の手順的には似ていたが、実現するまでの手数と、後手の角の運用のし易さが異なっていた。



神谷 広志七段(1勝2敗)●?○佐藤 秀司七段(1勝2敗)…20時38分
ここも早かった。先手の中飛車に対して、佐藤秀先生の右玉!。佐藤秀司先生といえば前期対先崎戦で右玉を受けていた。思うところあっての採用だろうか。

対振り飛車右玉の愛好家としては、プロの実戦が見れるのは嬉しい。先手番の神谷広志プロの工夫は端歩を受けなかったことと、玉のコビンを開けなかったことの二点。その二手を省略して攻めまくるというものだったが、前者は角が楽という意味で有り難く、後者は4六歩との関係でありがたいように思う。

とはいえ、角を引いて桂馬を早めに交換される順というのは、右玉側には拒否する術はなく、ここからは言われるがままに応じ続ける上手的な手が続く。

対中飛車で楽なのはこの桂馬が交換されても5五桂馬が無いことだろう。守りゴマが沢山利いている五筋を攻めてくれるのは実は楽、先手にとっては大変、ということ。

▲6五桂馬には大抵△6四歩と受けておいて、7三の地点に金が来るのはありがたい。相手の言いなりになっているようだが、桂頭の負担がなくなるのでこの交換は割と苦にならない。

本譜の攻めは対右玉に不慣れな先手の攻めの構想の悪さがあったように思う。具体的にどうするべきだったかというのは私もよく分からないが、端歩と自玉の整備を後回しにして攻めた割には成果がなかった。

▲2二角などは相当にありがたい手だったが、あのあたりでは既に先手がやり損なっている感じ。



先崎 学八段(2勝1敗)○?●野月 浩貴七段(1勝2敗)…23時30分
少し髪が伸びたが相変わらず坊主頭の和尚こと先崎プロと、最近ツイッターを始められた野月プロの対戦。戦型は野月プロが後手ということで、中座飛車に。

野月プロのツイッターで
http://twitter.com/nozuki221/status/20486786796
165分考えて、温めてた構想を試した。大成功。 その数手後、2手続けてゴミみたいな手を指した。そこて全て終了…

とのことだったが、どこだったのかよく分からず…。先手が馬を作り、後手がと金作った辺りでは既に先手が良さそうだったので、端歩突いたところや銀をぐるりと4八に置き直す辺りだろうか?専門紙待ちで。



畠山 成幸七段(2勝1敗)●?○島 朗九段(2勝1敗)…23時44分☆
ここはノーマル角換わりからの後手棒銀。私もたまに脅かしでノーマル角換わりからの棒銀をやるのだが、大抵右玉にされませんか?振り飛車党でもある(あった?)畠山成プロということでこの玉を6八に持って行く構想は意外だった。

54手目のコメントで後手が指し易いとのことだが、確かに銀桂交換ではあるが先手の金銀が酷いし、低いので攻めに使えないのが辛い。角の性能の違いもある。

最後は測ったかのような(まあ測ってるわけですが)ぴったりの詰みで島朗プロの勝ち。



戸辺 誠六段(2勝1敗)○?●南 芳一九段(0勝3敗)…23時47分☆
初戦の辛い負けをモノともせずに白星先行させた戸辺プロの将棋は、終始先手の戸辺プロが良かったように思う。南プロは昔は棒金の名手だったので往年のそれが見れるか?と思ったのだが、流石に辛いだろうということだろうか、面白い趣向を見せてくれた。

後手は背水の陣、という印象の反撃がキツそうな陣立て。先手は互角に捌けばといういつもの振り飛車らしい思想。

しかし攻めることが出来ずに無理そうな手順で先手に竜が出来た辺りで既に勝負アリ、という感じ。勿論実際に指せば、特にアマであればどうなるか分からないが、戸辺プロがここから逃すイメージはなく、実際にも本美濃が手付かずのまま、確りと勝ち切った。



青野 照市九段(2勝1敗)○?●森下 卓九段(0勝3敗)…0時1分
森下先生は事前予想で当たりが悪くないこともあり、島朗先生とセットで昇級候補に挙げていたのだが、結局三連敗となってしまった。

それに比べて王座戦での活躍といい、青野先生の息の長さ。先日引退された有吉先生もそうだが、昔の先生方は何が違うのか分からないが素晴らしいことだ。

戦型はノーマル角換わりからの90年代風味。これは後手の桂馬が使えないので先手としては怖さはない。後手は良くて千日手、悪ければ一生受け続けるか、相手のミス待ち、というところで打開の義務と権利を先手が有する。

解説コメントで示されたこの形の先手の勝率には驚いたが、持ち時間が長くて、深く読めるプロであれば一方的に攻めることが出来る先手がやれるということなのだろう。

本局も終始攻めまくった先手の青野プロが快勝した。



橋本 崇載七段(2勝1敗)○?●泉 正樹七段(2勝1敗)…0時4分
この将棋はハッシープロの強さが存分に発揮されていた。後手の急戦調に対してどっしり構えて迎撃体勢を築く。後手の突き捨てに同歩同歩と応じ続けて、端のと金と歩の枚数、そして端は破られているが先手陣は右翼への逃げ道が確保されているので先手が良さそうだ。

107手目の▲5四香が鋭い決め手。△同銀だと7四に角を打たれて王手銀取りで、後手が6三に受けて桂馬打って、玉が逃げても5一飛車成りがまた先手(同玉は頭金)ということ。よって泉プロは逃げたが、槍の効果でここでも5一飛車成りが先手だ。

最終手もカッコよく、今期のハッシープロは相当に走りそうな気配を感じた(と書いた次の戦いで村山慈明プロが敗れたので縁起が悪いかもしれないが)。



土佐 浩司七段(1勝2敗)○?●桐山 清澄九段(1勝2敗)…0時6分☆
先手の横歩取り回避により相掛かりとなった。浮き飛車に構えて、ひねり飛車に。味としては石田流vsという風情で、突破しようとする先手とそれを防ぎつつ、飛車をいじめたい後手の戦いに。

石田流と唯一決定的に違うのは玉頭二筋の歩が切れていること。石田流の場合、玉頭方面に飛車が来る時は何らかの具体的成果をあげる見込みがないと歩越し飛車なので後々負担になる。

しかしひねり飛車なので本譜の2七飛車型、飛車冠が固かった。最後は後手の防衛ラインが突破されることが確定して後手の桐山プロが投げた。投了図では先手の銀得で後手の金は4段目と5段目にあり、全く守りに利いていないのに対し、先手の駒の働きはほぼ完璧に近く投了も已むを得ないだろう。



北浜 健介七段(2勝1敗)●?○飯島 栄治六段(3勝0敗)…0時30分
ツイッタラーの女性陣見るファン言うところの北浜係長と飯島主任の対決。鑑賞ポイントのあまりの違いに驚くとともにいつも感心しているわけだが、そう言われると本当にこの二人はサラリーマンのように見える。勿論悪口ではなく、サラリーマンになっても確りこなせるであろう、勤勉さとソツの無さ、優秀さを感じさせる、という意味だ。多分。

戦型は相掛かり。先手の浮き飛車から、再度合わせの歩から横歩を狙うという構想に対して、後手は棒銀からの速攻。本譜の進行をみると確かに先手は飛車の動きに手数を費やしており、有力なのかもしれないが、具体的な戦果を挙げられなかったので作戦成功と言えるかどうかは微妙なところ。

53手目の局面では、控室曰く係長良し、ということらしい。少し進んで62手目では玉の堅さは先手、駒割は▲桂△香で微妙だが先手は歩切れの二歩損。手番は先手ということで攻めが続けば先手良しという感じだろうか。

細い攻めを五月蝿く繋げるのは北浜係長得意の営業スタイル。これで数々の大きな商談を決めてきたのだった。対する飯島主任は良家の出とは思えないほど粘り強いドブ板営業で地道に出世レースで勝ち上がってきた。

飯島主任は新卒から下積み生活が長くなったが、毎年コンスタントに安定的な売上を上げて前期主任昇格試験に合格したばかりだった…とこの調子で話が止まらなくなるのがツイッターの恐ろしさであり、楽しさだ。

本局は後手が逆転した将棋だというのは私にも分かるのだが、何処が悪かったのかは微妙だ。私であれば、63手目の桂跳ねの代わりに単に角を7二に打ちたかった気がする。

先手の玉頭に手がついてからは、腰の重い飯島主任の攻撃により、係長は投了せざるを得なかった。感想戦が場所を移して行われたのだが、ロケーション的に商談にしか見えない風景は必見。



阿久津 主税七段(3勝0敗)○?●飯塚 祐紀七段(2勝1敗)…0時42分
広瀬プロの王位戦挑戦が、各世代の天才を本気にさせたようだ。阿久津プロもその一人。今期は昇級を義務として取り組んで欲しいと思っていたが、言わずもがな、の才能全開な指し回しを見せている。

三連勝を決めた本局はノーマル角換わりからの腰掛け銀。前期の竜王戦第一局で森内プロが見せたような二枚銀の構想から先手が細くも攻め切った。後手は居玉で頑張っていたが、それが祟ってしまった。



窪田 義行六段(1勝2敗)○?●阿部 隆八段(1勝2敗)…1時27分☆
指し直し局も藤井システム。後手は居飛穴。藤井システムから苺囲いに組みなおして二筋に飛車を振り直しての攻撃は面白かったが、冷静になってみると単なる右玉であり、勝ちにくいと思われたが、囲いの金を用いての棒金から先手がペースを握った。

玉がほぼ丸裸になったが、常に強気の攻めで窪田プロが勝ち切った。私も苺囲いの利用者としてこの囲いの弱点(というか囲いというよりも掘っ立て小屋だ)は知っているつもりだったが、この強気の手順は参考には出来ないが感心した。



中川 大輔八段(2勝1敗)○?●安用寺 孝功六段(0勝3敗)…1時30分☆
ここは後手の阪田流向かい飛車だった。途中で縺れたようにも見えたが、終始居飛車側がリードしていたように思う。温故知新の中川プロらしい、金銀の運用に優れている中川プロの持ち味が出た将棋だった。



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テレビ将棋棋戦「銀河杯」の棋譜はネットで閲覧可能

テレビ将棋棋戦「銀河杯」の棋譜はネットで閲覧可能であることを知っている方がどのぐらいいるのだろうか?

少なくとも私は知りませんでした。先日、なんだったかは忘れましたが、とあるキッカケで棋譜が閲覧参照できることに気づいたのですが、ユニークなURLが通常のトップページからの遷移では発見することが出来ずに、グーグルの検索で「銀河杯 棋譜」というようなことをして漸く発見した次第。それが上記のURL「テレビ将棋棋戦「銀河杯」の棋譜」になります。

今日(6月30日です)は中継がないので、この棋譜の中で興味があるものを取り上げたいと思います。


以下は6月10日に放映されたという「第18期銀河戦Aブロック10回戦 小林裕士六段vs藤井猛九段」についての感想、将棋観戦記です。

先手の小林プロは、私のお気に入り。力強い将棋でもしアマ将棋界にいたら…と恐ろしくなってしまうタイプの棋士。対する藤井プロはシステム封印後は奮わない印象があるのだが、それでもどうして強いところに勝っている。今期というか今年1月以降は相当に好調に思われる勝ちっぷり。

後手の藤井プロはなんと久しぶりの後手システム!これにはファンならずとも、振り飛車党ならずとも感動してしまうのではないか。たまーに放たれる、久しぶりのシステム、というのは相手も意表を突かれるので有効だろう。ましてや早指し棋戦であれば尚更。

記憶は定かではないが、38手目の3四歩が誰かの新手だったように思う。その後、52手目で後手の飛車が2筋に転回したところでは後手が良さそうだ。そして58手目の55香車が痛打。歩を受けても同香車成りで意味が無い。となれば相当に後手が良いだろう。

どこでハマったのかは定かではないが、後手の策略にまんまと先手の小林裕士プロがやられている。しかしここから力を出すのが豪腕たる所以。終盤、何だか危ない雰囲気になり、これが藤井猛プロのファンの皆さんが渇望されているファンタというものなのだろうか…とぼんやり眺めていたが、さすがに差が大きかったようでしっかり勝ち切った。

投了図以降は受けるか取るしかないが、ベタッと金を打って詰み。プロといえども全ての定跡を完璧に覚えているわけではない、ということを実感させられた一局となった。これをもって、アマでは四間飛車でもまだ十分にやりくりできることも確信した。


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新旧作戦家の構想が激突 第4回大和証券杯 ▲藤井猛vs△阿久津主税

藤井プロ後手で現在日経の夕刊で掲載中の「新型藤井システム」を投入してくれるのではないかと期待したのだが、先手となった。先手番で3つ歩を動かし、この時点では居飛車か振り飛車かは不明。後手はそれに対応するようにしてどちらでもいけるように中庸の動きを見せる。そして遂に26歩で居飛車であることを明示した。

後手番としては、既にこの一手で満足とはいかないまでも、後手番で飛車先不突きが出来るメリットがあると考えてしまう。しかし本譜の順を思えば、それすら作戦家藤井プロの想定の範囲内だったかもしれない。というのは藤井プロは矢倉と見せかけて32銀41金の片美濃のままで終局まで貫いたからだ。この左美濃の形というのは、通常の相居飛車においてはとても弱いし、31玉という位置が王手飛車のラインであり、強く戦うことが出来ない。しかし後手が飛車先不突きであれば、話は別、ということなのだろう。

対する阿久津プロも左美濃模様から上部に厚い構えとし、早囲いの含みを見せた。藤井流でも早囲いや角交換からの片矢倉など似たような思想があったように記憶する。

その後、お互いに3筋・7筋で角を使った歩の交換を行なう。脇システムなどで良く出てくる矢倉頻出手段なのだが、本局は玉形がそれぞれに特異な状態。それがどのように影響するか?に注目した。藤井プロの狙いは角を出て、その角を追わせる45歩を争点として反撃するというものであり、これも矢倉では良くあるもの。

対する後手阿久津プロの手は一見すると角の退路を絶ち怖いようだが、対左美濃では絶大な威力を発揮する手筋であり、あまり見ない手ではあるが、序盤のエジソン田中寅彦プロがずっと昔に、対島戦において(先手番で)用い快勝している。偶然その対局の隣に座って、その効果に感心したのが、羽生名人であり、対郷田プロとの名人戦第7局において、後手郷田プロの左美濃を相手にしてこの手筋を披露し、優位に立ったのは記憶に新しい。

本局の場合、双方の陣形が違うこと、そして阿久津プロが後手であり飛車が端にいること等があるが、その思想自体は上記の二つから得ているものと思われる。

途中のやりとりはどちらが良かったのか分からないのだが、中盤ぐらいまでは後手の阿久津プロは作戦負けを自覚していたようであり、先手の藤井プロは悪くはないが、それほど良くもないだろうという意味で「わかりません」を連発していた。

後手の玉は早囲いを志向しようとしたものの、中途半端な位置であり、強く戦えない雰囲気。後手は攻めが細く、先手は一手遅い。そんな中で指された先手の47手目、67歩が何とも凄い手だが、現状を踏まえての力強い好手だったかもしれない。しかし「金底の歩、何とかの如し」とはいえここに歩を打つという発想自体が、普通の居飛車党には無いと思う。

或いは藤井プロのことだから、幾つかの想定した流れの中で、この歩を打ってどうにかなる、という見込みがあったのかもしれない。先日のA級における77金と合わせて、藤井プロらしさが出た手だと思う。この手ぐらいから局面は徐々に藤井ワールドへ引き込まれつつあったのかもしれない。そこから後手が指した22玉と65歩はその後の進展をみると得のあった手かどうかは難しいところ。ただし阿久津プロ本人は既に苦しさを感じ、勝負手としての22玉だったようだ。

先手が26歩型を活かして25桂馬と跳ねたあたり、ここでは既に序盤の26歩の損がなくなり、先手の左美濃と後手の攻撃陣の関係をみると藤井プロの構想が結実した感があった。

言いなりは面白くない後手は25の桂馬を取り切りに行く。67手目の局面は角と金桂の二枚替えで後手が駒得。95角の手に対して後手は逃げの一手なので手番は先手。玉の堅さも先手。25の地点で歩がぶつかっていることを考えれば、そして桂馬が攻めの桂馬であることを考えれば相当の勝負なのかもしれないが、解説の近藤プロは阿久津持ちを示した。

私自身はここまでどうだったかといえば、形勢を読むまでもなく(そもそも読めないわけだが)ずっと後手持ちだった。理由としては単純に83歩型を活かして、左美濃への攻め筋としての田中流が実現した時点で序盤に趣向を凝らしたい私としては満足。先手の藤井プロも流石の趣向だが、左美濃のこの玉の位置で勝てる気はしない。そういう意味でこの戦いは、阿久津プロを介してはいるが、新旧序盤の大家(の構想)の対決になっているとも言える。

矢倉戦においては桂損であっても攻めが続けば勝ちとしたものだが、69手目の25歩の瞬間が甘く、そこからは後手のターン。順調に攻め立てて、迎えた77手目が運命の分かれ道だった。解説の近藤プロ曰く、27歩が。とのことだったが、△32金。これで▲35銀の強烈なパンチが決まって後手はノックダウンとあいなった。

私の注目点としては、果たしてこれは32金が悪手でそれ以外であれば後手がやれたのだろうか?というところだったが、感想戦ではよく分からなかった。そして冷静に眺めると、71手目に77角と引かれた局面は後手に桂馬が入らない限り相当に詰み形になりにくく、シンプルに堅いのだった。感想戦で阿久津プロがこの桂馬を急ぎすぎたことを悔いた理由が漸くわかった。

75桂馬の代わりに27歩を利かせておけば取れば金を打たれるし、逃げる手は先手負け。というわけで、恐らくは桂馬を取りきった局面、二枚替えの場面では阿久津プロが良かったのだが、2筋・玉頭が開けっ放しな状態だったので流れ弾に当たりやすい状況であり、しかも桂馬を急いだために、手順に角を引かれて玉のコビンに直射する。最後の敗着は22玉からの流れで手の継続性からすると当然と思われた32金、ということになろうか。

阿久津プロのように手の見える天才であっても、自身の土俵ではない異世界では調子が狂うのだなということを、先日のNHK杯とあわせて思った一局だった。

実はこの先手の作戦に似たB級作戦は以前からあった。全く同じではないが、本譜のような飛車先不突きにはかなり有効であることを再認識し、先手番のレパートリーに加えようと思った。(「B級戦法の達人プラス」に左美濃の戦い方が出ていますが、本局と思想は一緒なので気になる人は御覧下さい。

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基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

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