今日の見所 2/20(火)

2月20日(火曜日)の注目対局は以下の通りです。

竜王戦1組 渡辺明vs稲葉陽
渡辺明 18勝21敗 先勝率0.550 後勝率0.333。
稲葉陽 21勝16敗 先勝率0.545 後勝率0.577。
今期の成績では稲葉の方が高いが、過去の対戦では2勝6敗と負け越している。竜王戦に限っては過去4戦して一度も勝利していない。相性から渡辺が優勢という可能性も高いが、最近の渡辺明は完全復調とはいい難い。角換わり系の激しい将棋になると思うが、どうなるか。竜王復位のためだけではなく、開催中の棋王戦のためにも重要な一戦となりそうだ。

王位戦 挑決リーグ 羽生善治vs近藤誠也
羽生善治 28勝21敗 先勝率0.565 後勝率0.577。
近藤誠也 32勝10敗 先勝率0.722 後勝率0.783。
好調の近藤が羽生に挑む。過去1戦して近藤が勝利している。レーティングは羽生が高いものの、直近で急上昇している近藤の勢いに期待したい。過去のケースを見ると、初対戦で羽生に勝った低段者というのはそれだけで将来の活躍が約束されているともいえる。棋風的な相性があるのか、今回の対戦で明らかになるかもしれない。

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藤井聡太時代の幕開け

既報の通り、藤井聡太五段が羽生善治竜王、広瀬章人八段を破って朝日杯で優勝した。

本戦出場を決める予選で屋敷伸之九段を破り、本戦で佐藤天彦名人、羽生善治竜王、広瀬章人八段を破っての優勝。A級とA級兼タイトルホルダーを四人破っての優勝なので文句のない、フロックではない優勝といえる。決勝の広瀬章人八段もタイトルホルダー三人撃破したうえでの決勝だったことを考えるとその価値はさらに高まる。

レーティングでは既にベスト10以上のハイスコアとなり、名実ともにトップ棋士の仲間入りを果たしたと言って良いのではないか。

五段昇段後11連勝で朝日杯優勝により六段となったわけだが、明らかに29連勝していた頃の藤井聡太よりも強くなっている。年末に深浦に負け年始に大橋に負けたあたりではわからなかったが、2月以降の将棋におけるその悪手率の低さ、優勢になってからの指し回しは恐ろしいものがある。まさにバレンタインデー効果と言えよう(言えません。

17日の将棋で恐ろしいなと思ったのはいくつもあるが、まずは羽生戦における▲8八同金。藤井聡太さんは77に歩を埋める手とともに、同金か同玉の選択肢で同金と壁になる取り方を比較的選択することが多いようにおもう。これがソフト感覚なのかわからないが旧世代では大体人間の感性的に同玉を本線に読むことが多い。壁金に対する嫌悪感というか忌避感のようなものがあるというか。

あとは▲43歩。端歩の突き捨てのタイミングに代表される、藤井聡太さんらしい絶妙な打診だった。どう取っても後手は味が悪い。(ツイートでちらっと見かけたのがソフトの推奨手で51玉。これは流石に…と思うがどうなのだろうか?)。

こうなったのも角換わり模様で後手がそれを拒否して雁木に組んだ作戦に対する藤井聡太さんの準備が素晴らしかったということで、特に勉強になったのは44の地点が雁木の最大の弱点でありそこをしつこく狙って後手の左の桂馬が33に跳ねていることのデメリットを具体的な手順で顕在化させたところ。普通の、最新型の角換わりっぽい局面に進んでみると後手陣が弱かった。


最終盤の111手目、プロの解説でもそうだったし私も一目は銀を左側のどこかに打って縛る展開かな?と思っていた所で、じっと▲74歩。歩で足りてる、間に合うという読みの深さ。
藤井聡太さんの将棋をみていると他の棋士よりも歩・香・桂の価値がやや高く、しっかりと使えてる印象を受ける。恐ろしくレベルの高いプロ将棋の中ですら突出した上手さを感じる。


決勝戦の相手は広瀬章人八段だった。結果論になるがもしかすると久保利明王将が相手であればもっと苦戦した可能性もある。振り飛車の大御所との対戦も公式戦で早く見てみたい。菅井竜也王位と以前対戦した時にはチカラの差があったように思うが、そこからどこまで成長しているのかを公式戦で見てみたい。

広瀬章人八段はそこまで序盤巧者の印象がない。卓越した終盤力と、以前は確かプロ入り後の勝率で後手番のほうが良かった時期があったことを記憶している(最近はどうなのだろうか?)。作戦的には振り飛車穴熊もあるのかな?と思っていたが普通に角換わり腰掛け銀に進んだ。

普通に、というのがミソでほぼ後手番としては特にこれと言った工夫のない駒組みで、角換わりの先手番の展開を深く研究しているであろう藤井聡太さん的には精神的な負担が少ない序盤だったように思う。

駒組みが飽和して39手目、比較的短い考慮時間で藤井聡太さんが開戦。これに対して広瀬章人八段は△52玉。これは普通に考えて良い手ではないとおもう。ソフトの解析をかければこの1手の価値としては50~100点ぐらいのマイナス手なのではないか?駒落ち将棋将棋の上手のような味わいのある手で後手番らしい待機策かもしれないが問題は最も得意な戦型の藤井聡太さんを相手にしてどうなのか?という気がした。

ここから先は先手の攻めが確かに細く少しでも間違うと切れてしまう…という展開が続くのですが、これが全然切れない。つながり続ける。先手玉が全く危うくないので2-3手セットで手順を組み立てることが出来たのが大きいというか、着実に延々と攻めが続きます。これ、藤井聡太さん相手に絶対選んじゃ駄目な展開だ…と思いました。




朝日杯の本戦でA級以上の棋士たちとの対戦した将棋の棋譜を並べると恐ろしくミスが少なく、そして圧勝であることに驚きます。これはもう藤井聡太さんが完全に覚醒したと考えて良いでしょう。ここから五年は今の実力を維持し更に高めていく期間であることは間違いなく、下手すると今年中、遅くとも来年中にはタイトルを奪取しているのではないでしょうか。

1年にレーティングが50点上昇するとして5年で250点上がるのでやはりトッププロ相手に7割以上勝つ世界が待っているはず。名人獲得が最後のタイトルとなる形で八冠を制覇していても全く不思議ではないように思います。現時点の実力であっても番勝負でこの人に勝てる人はもはやほぼ居ない可能性が高いのではないでしょうか。

気になるのは今の若手プロたちです。特に十代の修行中の人たち。或いは既にプロになっている二十代。この辺の目の色が変わって三段時代のような修行を再開して(特に連携するわけではないものの結果として)藤井聡太包囲網のようにこの恐るべき新人を苦しめることが出来るかどうか。ただそのような切磋琢磨がより藤井聡太さんの将来の棋力を更に高めていくことになるわけですが…。

来期で最短での挑戦可能性でいうと、棋聖戦はこの前大橋さんに二次予選決勝で負けてしまったので秋のタイトル戦、王座戦ですね。まだ先は長いですが本戦まで勝ち上がれば…。

最後に谷川先生の煽りを真似したネタで〆たいと思います。

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Tag : 羽生善治 藤井聡太 広瀬章人 久保利明

今日の見所 2/17(土)

2月17日(土曜日)の注目対局は以下の通りです。

朝日杯将棋オープン戦 本戦 羽生善治vs藤井聡太
羽生善治 28勝21敗 先勝率0.565 後勝率0.577。
藤井聡太 51勝11敗 先勝率0.840 後勝率0.811。

注目の一戦。実績の羽生か若さと勢いの藤井か。
今回公式戦では初対決の両者だが、レーティングでは羽生がやや高い。ただ藤井聡太のレーティングはまだ上昇中のもので実際にどのぐらい離れているのかは不明。

非公式戦で2度戦って1-1ではあるが、羽生が負けた一戦はある意味お試し期間的な、恐らく不利なんだろうけどどの程度不利なのか?という変化に飛び込んでのもの。600点ぐらいの不利を羽生が背負った上でのハンデ戦に近く、とはいえそれを勝ちきったところに藤井聡太の恐ろしさはあるわけだが。

朝日杯での羽生さんはこの対戦のためとしか思えない執念を見せている。そして藤井システムを連投して若手を撃破。非公式戦の獅子王戦で藤井聡太を破ったのも藤井システム。となるとやはりこの一番も藤井システムを先後問わず採用するのではないか?そして藤井聡太は真っ向急戦と予想。

ということで昭和の名勝負のような面白さが待っている気がする。羽生さん新人時代の大山vs羽生戦を彷彿とさせるような名勝負が見れるのではないか。


朝日杯将棋オープン戦 本戦 久保利明vs広瀬章人
久保利明 20勝10敗 先勝率0.588 後勝率0.714。
広瀬章人 19勝14敗 先勝率0.556 後勝率0.600。

過去の対戦では2勝7敗と久保が大きく勝ち越しているが、直近4戦では2勝2敗と五分である。久保は中終盤が本当に優れており、最も振り飛車の操作方法を熟知した棋士で、広瀬はどちらかというと序盤に趣向を凝らさないタイプなので中終盤のねじり合いが続くのではないか。

案外、広瀬が振り飛車穴熊に組んでの相穴熊というのもありそう。どちらかが居飛車をもつ対抗形の穴熊の将棋を予想しておく。

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藤井聡太、第2進化形に変身したかも?(朝日杯楽しみすぎる!)

第49期新人王戦は藤井聡太が先手となりました。

▲藤井聡太五段vs△古森悠太四段

序盤は後手番の古森さんが少し凝らしたかんじ。両者はやはり修行時代は被っているようで、しかし古森さんから「級位者時代は勝てたけど段位者になってからは勝ってないので頑張りたい」というコメントがあった模様。

戦型は角交換振り飛車でしたが、後手の銀が22に進む若干重そうな形に進み、後手から△35歩と無理気味に仕方なく仕掛けた時点ではもしかすると先手が指しやすいかもしれない、とのことでした(歩得のため)。

まだ中学生ですが老獪だなと思わせたのが37手目からの手順。流れ的には後手は二筋が自身の駒で詰まってたのが歩を代償にしつつ開通したのでそこをうまく活かして行きたいものの、それだと▲95歩がキツいということで本譜の△29角を選択。

そこからの手順はプロでも「もしかしてだけど~」というぐらいの感触の手だったようで、第一感ではない構想。ネット上でみたプロは一様にその手順を褒めていました。

ここに藤井聡太さんの凄さがあるなーと思うのですが、要はプロの世界というのは第一感の手が非常に近いなかで戦っていてパッと解説を聞いてる限りは7割以上は一目の手が合致しているように思います。

もちろん形勢が悪い方が変化したり棋風に殉じて指したりすることがあります(が、それすら解説の棋士が「◯◯さんだったらこう指すかもしれませんね」というような感じで当てることが多いです)。

藤井聡太さんの凄さは色々あるわけですが、まずはその詰将棋の回答能力に示されているように、読みの深さが挙げられます。そこは今までも十分に示されています。本局の手順・構想力はその読みの深さを活かしたものだと思いました。後手が一歩損しているので攻め合いではなく相手に動かせて完璧に切らせてしまおう、という前提があり、その前提に基づいて手を探索した印象があります。

人間ならではの経験を活かした大局観と、局面に対する先入観をもたないソフトのような深い読みのバランスの凄さがでているように思いました。今までのプロ棋士の考え方では良いときは自然に(第一感に基づいて)指して、悪いときはなるべく混沌とさせる…という感じだったと思いますが、藤井聡太さんの棋風はもっと一段踏み込んでいるように思います。特に相手が悪そうな時にその特徴が出つつあるような。

これはもはやポケモンじゃないですけど、年明けの連勝とその内容をみると第2形態に進化したのではないでしょうか。

そして終盤のクロージングの手順が凄かった。持ち駒が桂馬2、角2ということで如何にも藤井聡太さんっぽい駒が駒台に乗っていたのでどういうふうに組み立てるのか?と思いましたが鮮やかでしたね。


さて、土曜日はいよいよ羽生さんとの対局があります。非公式戦では1-1ですがあまりアテにならないでしょう。初戦の炎の七番勝負では羽生さんも良くないと知っている変化に敢えて飛び込んでみて、相手のチカラを試していた感じがします。勿論600点のハンデを貰ってそのまま勝ちきったことが藤井聡太さんの凄さではあるんですが。

二局目は獅子王戦という非公式戦でした。こちらもやはり羽生さんが相手のチカラを見に行っている感じがあり、またファンを意識した面もあり藤井システムでした。こちらははっきり羽生さんが勝ちきりまだチカラの差があるのかな?と思いました。しかし既にあれから時間が経っています。10代半ばから後半というのは最も棋力が伸びる時期のはずで、最近の藤井聡太さんの将棋をみるとそれを感じます。

現時点の藤井聡太さんの棋力はどのぐらいなのでしょうか?私は以下のようにつぶやきました。

現時点での棋力でいえば、羽生さんのほうが総合的にみて上の可能性が高いです(トッププロ中のトップなので当然ですが)。羽生さんは朝日杯でこの対戦が実現することに対して並々ならぬ意欲があったように思います。ちょうど叡王戦での佐藤天彦戦でものすごい粘り方をしていた将棋を思い出しましたが、前回の朝日杯では藤井システム連投で若手を連破しました。二局目は特に専門的にみれば2・3回はハッキリ負けの局面があるぐらいの泥仕合を乗り切っての勝利です。

土曜日に羽生さんが何を指すのか?はまだわかりませんが、羽生さんの頭のなかにはもしかすると自身が若かった頃に対局した大山康晴先生の姿があるかもしれません。大山vs羽生戦で異例の指し掛けにして青森で公開対局にした…という凄い話もありました。前回の流れから言うと羽生さんはまた先後問わず藤井システムにするのではないか?という気がしています。

藤井聡太さんも少しその可能性を考えているのではないでしょうか。藤井システム以降の三段リーグを抜けてきた若者には知識としての藤井システムはあっても実戦としての経験値は乏しいはずです。持ち時間が短いので藤井聡太さんが前述したような深い読みに裏打ちされた柔軟かつ遠大な構想をみせることも難しいでしょう。

どういう将棋になるか今から楽しみですが、この将棋だけは全ての将棋ファンがリアルタイムで見るべき(棋譜だけを追うでもよいです)だと思います。私はチケットが取れませんでしたが、ネット動画と棋譜中継で楽しみたいと思います。当日はみんなでツイッターで盛り上がりましょう!

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Tag : 羽生善治 藤井聡太

今日の見所 2/1(木)

2月1日(木曜日)の注目対局は以下の通りです。

順位戦A級 羽生善治vs屋敷伸之
羽生善治 25勝20敗 先勝率0.591 後勝率0.522。
屋敷伸之 4勝13敗 先勝率0.250 後勝率0.200。
レーティング、通算の対戦成績では羽生は圧倒的に優勢だが、過去3戦を見るとなんと!屋敷が2勝1敗と勝ち越している。
今回、羽生の圧倒的有利を覆し、屋敷の勝利があるのか。ここで屋敷が勝つと順位戦はかなり混戦模様になるかもしれない。

順位戦C級2組 梶浦宏孝vs藤井聡太
梶浦宏孝 11勝13敗 先勝率0.455 後勝率0.417。
藤井聡太 45勝11敗 先勝率0.818 後勝率0.794。
2018年白星スタートの梶浦だが、過去の対戦では藤井が勝利している。レーティングでも藤井の方が高く、レーティング通り藤井優勢か。ここで藤井聡太が勝つとC1クラスへの昇級と五段への昇段が決まる。

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Tag : 屋敷伸之 羽生善治 梶浦宏孝 藤井聡太