第65回全日本アマチュア名人戦、今泉健司さん(広島)初優勝

全日本アマチュア名人戦が9月25日放映され、優勝は今泉健司(広島)、準優勝は加來博洋(東京)となった。

実際の対局は9月12日に行われ、すでに結果が、発表されていた。

将棋の第65回全日本アマチュア名人戦全国大会最終日は12日、東京都港区のチサンホテル浜松町で行われ、今泉健司さん(広島)が初優勝した。

 今泉さんは決勝で実績十分の加来博洋さん(東京)と対戦。元奨励会三段同士の対決となり、相振り飛車の力戦から今泉さんの鋭い攻めが決まった。準決勝で今泉さんは前回アマ名人の井上徹也さん(長野)を、加来さんは初出場の水谷創さん(愛知)をそれぞれ破った。

 アマ名人に輝いた今泉さんは38歳の会社員。2006年のアマ竜王戦など全国大会で優勝した実績を持つ。アマ名人戦では、3度目の出場を実らせた。

将棋、広島の今泉さんが初優勝 アマ名人戦



上記のリンクに出ている今泉健司さんは、以前の写真よりも髪型がさっぱりしており、社会人らしい姿に見える。昔よりもずっとプロ棋士っぽい。少し痩せられたのだろうか、精悍な顔つきに見える。

お二人とも元奨励会三段であり、その時点、当時のプロの底辺よりも当然に強い実力を有していただろう。実績としても加来博洋さんの赤旗新人王戦決勝戦へ進出している(決勝では2-1で阿部健治郎プロに敗れた)。今泉健司さんは、あの恐ろしい合格ルールである三段リーグ参入試験を通って再チャレンジを果たしている。(加来博洋さんもチャレンジしているが不合格)。

どちらもプロレベルの実力を持ちつつもやや力戦に強みをもつ共通点があり、加来博洋さんは独特な右玉調の受け将棋と強い終盤力を有し、今泉健司さんは升田賞を受賞した「△3二飛戦法」の開発者であり、振り飛車を得意とする。

この二人の対戦ということで相振り飛車になったようだが、棋譜は見ていないが、独特な定跡型ではない相振り飛車の可能性も高いのではないか。力戦調のMY定跡好きとしては是非後ほど拝見したいと考えている。

元奨の真実、などで拝見した内容から今後の行く末を他人事ながらに気にしてしまったりもしたが、将棋愛を失わずに、よりパリッとしたご様子の写真が出ており、勝手に安心した。

今泉健司さん、本当におめでとうございます!

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Tag : 加來博洋 今泉健司 相振り飛車

相振りで開幕。第52期王位戦第1局 羽生善治vs広瀬章人


羽生が負けた一戦。この先手番での負けは大きいと思うが…。

後手が一歩交換したのか先手がさせたのか?は別れるところだが、先手が金無双になった。後手をもって竜王戦トーナメントでハッシーに負けた将棋の逆側をもったイメージで、若手に往復ビンタを食らった格好だ。

開戦してみると歩の数では先手が多いが、まもりの銀を剥がされた形で、後手が固く見える。

78手目の△3六歩に同金が不可解で、80手目の△4九銀があっては先手陣は一溜まりもなかった。先手は6七にいる銀がいかにも遅い。

その後の展開で先手がやれるとされている局面もあるようだが、それこそ羽生補正が効いているような気がする。

話は変わるが、広瀬将棋の本質は角にあると思う。その終盤の射程距離の長さは、角の使い方の上手さにリンクしている。

勿論、そうなるように微調整する細かさがあってこそなのだが。本局も角(馬)の細かい運用が目についた。

この角を封じ込めないと羽生といえども苦労するかもしれない。


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広瀬王位、まずは一勝。終盤力で言うと、渡辺明広瀬章人は若手の中でも別格。後手番で勝率が良いという話を渡辺竜王のブログで読んだが、興味深い話だ。本タイトル戦でもどのような結果になるのか?に、角使いと共に注目したい。



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相振り、再び。(その2) 第52期王位戦第6局 ▲広瀬章人-△羽生善治

戦型は相振り。陣形に注目したが、先手の金無双vs後手の金美濃…となりそうだったのだが。スピードアップさせたのは後手の羽生善治だった。角替りの将棋で、持ち駒の角を投入するのには勇気がいる。その投資により得られるリターンが勝負の成否を分けるからだ。

それ前提で、かつ羽生善治二冠の信頼度をもって考えると、それなりの成算があると考えるべきだろう。封じ手局面の姿は、相振りというよりも殆ど相居飛車の、角交換力戦。相振りは好きではない私でもこういう将棋であれば楽しめる。

未開の地でのカーナビがない状態での羽生善治二冠のドライビングテクニックがピカイチなのはプロ全員が認めるところだろう。対する広瀬章人王位は如何に天才とはいえ、こういう戦型での経験値はそれほど高くないのではないか。

封じ手前後の様子を左右反転してみる。相振りではよくある、居飛車党による解読方法で、相当に有効。(反対に、振り飛車党は相居飛車が分からないとして、反転して相振り飛車にして判断する…というのは鈴木大介プロがよくやっている)。

その一局面がこちら。
http://kifulog.shogi.or.jp/photos/uncategorized/2011/08/30/oui20110829_36.gif

居飛車党として直観的に後手を持ちたい。理由としては、まず先手は飛車と攻めの銀の位置が気持ち悪い。次に玉形。これが相当にひどい。後手の陣形は居飛車党としては反転してもまったく違和感がないのだが、先手の金が3七の地点に居つつ、銀が2八の地点で壁。しかもこのラインに後手の角が直射している・・・。

2日目の進行、先手の軽い攻めをぎりぎりで見切りつつ、攻めゴマが全軍躍動する展開が見えているのだが…。

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午後にまた局面をみると、広瀬王位が▲7八角を打ったところだった。これで、先手の馬が受からない。桂頭の歩からのと金、というシンプルな狙いが受からないように見えて、先手が優勢になったように見える。相振り飛車の宿命として圧倒的に攻めゴマが少なくなるため、こういったB面攻撃からのネチネチ感はつきもの。

先手としては良くなったと手ごたえを感じてもおかしくない局面だ。ただし、先手玉が壁銀であること、後手玉が8筋まで籠れることを考えるとちょっとのことでひっくり返る、という感じ。そしてすぐにその「ちょっとのこと」が起きてお荷物の飛車と馬が交換になったところでは後手玉がゼで先手の攻めが続く状態になった。

80手目、△3七角と打ち込んだところでは、相手が羽生善治とあってはなんびとたりとも生きた心地がしない。普通は寄ったもの、とするが。

しかし終盤の寄る寄らないになると、人間を凌駕するはずのコンピュータ将棋が、粛々と先手有利の数値をはき続ける。持ち時間も攻めている羽生善治二冠のほうが少なく、広瀬王位には1時間以上残されている。

ばらした局面で、後手の攻めゴマがなぜか3枚になっており、ここにきて後手の戦力不足が徐々に懸念されることとなった。

読まずに考えるところとしては。後手の玉は寄らず、一手の隙があるのでさすがに先手がつらいだろうというものだったのだが、その隙の分を考慮しても戦力自体がなくなってしまえば、切れ筋となり、後手が勝つ手段はなくなる。

最終盤になって手段が限定された羽生善治二冠の攻めに対して、広瀬王位の陣形は「ハウルの動く城」のように、ありものの部品で再生されていく。そして103手目の▲5一と金、が勝利をつかむための鋭い一着。この手もいわゆる穴熊感覚の手で、続く105手目の▲4六角は広瀬将棋らしさを示したもの。

広瀬将棋は角の射程距離の長さを生かした手がよく出てくる。特に勝ち将棋においては。この103手目、105手目の手順は広瀬王位の穴熊感覚、将棋の本質、を盤上に表現していると思う。

ただし。

このあたりのやり取りで、駒を後手に渡したために、コンピュータ将棋の形勢判断としては互角に戻ったようだ。(コンピュータは森下卓よりも厳格に駒得を重視する)。

ここからの終盤戦にこの第6局の命運は託され、そしてまだ両者に時間は残っている。どちらも誤ることなく、そして強い方が勝ちきる・・・という将棋が期待できそうだ。


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結局勝ったのは羽生善治。タイトルの行方は振り駒勝負の最終局へと持ち越された。

しかし!

やはり先手に勝ちがあったようだ。それも広瀬将棋のキモであるところの角を用いた手だった。きしくも?コンピュータ将棋が暴言をはいた局面において、それが敗着となり、しかしコンピュータ将棋も発見できなかった手が、先手の勝ち筋への道だった…。


最終局はどっちが先手でも広瀬章人の穴熊になるのではないか。羽生善治にはそれを迎え撃つ義務…とまではいわないものの、迎え撃って欲しいと思う。


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相振り、再び。(その1) 第52期王位戦第6局 ▲広瀬章人-△羽生善治

先手勝率が低く(今期は5割以下・・・)、後手勝率が高い(今期は羽生に負けた一つ以外は勝ってる。6-1とか?)、広瀬章人王位の作戦に注目した。

よっぽど、窪田ワールド的に先手番で後手番作戦使えば?(端歩でも突いとけば?)とか思うのだが、さすがにタイトルホルダーとしてはあり得ないというのと、そもそもこれで先手番が普通のトッププロばりに勝ちだすともはや無敵状態・・・ということで、先手作戦を固めたいはずの広瀬章人王位なのだった。

と思ったら、選択したのは四間飛車。角道をふさがずに振ったのは、相振りになったときに角道をふさいでいるほうが守勢に立たされるので、ということだろう。この辺は相振りを指さない私としては全然分からないし、序盤のこの数手で早くも見る気を失ったが、羽生善治をして得意の四間飛車穴熊を回避させるというのは本当にすごい事だと思う。意固地になって竜王奪取が1年?遅れた対藤井猛との竜王戦戦争で学んだ教訓だろうか。

この形、角道をあけあっての相振り飛車というのはとにかく、乱戦になり易い。収まると先手としてはむかつくので、少しでも乱して、後の角の打ち込みの隙を作るとか、駒組みの制約をもうけるとか、序盤で味付けをしておきたい。後手は、相手の得意形を避けたことにまずは満足し、その序盤の味付けが薄まるような展開を目指したい。

ぱっと見どちらが良いか?というのは分からないが、まず注目したいのはお互いの玉の囲い方。最近、金無双が再度アツいみたいなので、そのリバイバル金無双の登場がありそう。具体的には先手金無双の、後手美濃とかだろうか。

特に金無双からの穴熊(佐々木慎プロがこれでうまく勝っていた)が見たいので、穴熊の上手い広瀬章人王位のそれが出るか?に注目したい。そういえば、ついった―の解説が佐々木慎プロで、多分相振りについてはプロで最も詳しい人の一人だろう。解説にも引き続き注目したい。


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ツイてる?ノッてる?実力? 竜王戦トーナメント▲橋本崇載七段 - △羽生善治二冠

7月6日に行われた対局。大逆転でハッシーの勝ちという話だったが、一手の失着で逆転する程度の、激戦だったという見方もある。

先手の3手目▲6六歩から相振り飛車となった。

先手の金無双向かい飛車vs後手三間飛車美濃となり、先手が先攻できるかどうか?がまずは注目点。

ところで、戦前私がつぶやいたのは、羽生善治が後手となって、面白い作戦を使って、先手のハッシーが先行してそのまま逃げきる…という展開を希望する、というものだった。

49手目、一目細そうな攻めを決行する先手のハッシー。そして、それを無理筋とするべく危険な受けで応じる羽生善治。戦型は全く違うが、端の攻めを同玉で応じたといえば深浦康市とのタイトル戦をうっすらと思い出した。

香損、歩切れの攻めで常識的には切れている。ただし完全に切れるまでにはまだ時間がかかりそうで、そこだけが頼みの綱。

80手目の局面は▲銀桂△金香の駒割で、後手に馬がある。手番は先手。やや後手が良さそうに見えるが玉形が安定しているのがどちらなのか?というのは分からない。

83手目の▲2六歩が暴発しないで辛抱した地味な好手。自ら縊れずにチャンスを待つ、充実を示している。

玉がその小部屋に逃げ込んだ93手目は振り飛車的な粘りが出ている局面だと思う。続く95手目の馬取りにあてる▲5七金が素晴らしい。

そこから100手目に失着とされる手が羽生善治に出るが、何となく羽生が好みそうな手で、もう一方の最善手はややイモ筋臭い手ではある。

読みで指さずに感覚で指した、というわけではなかろうが、羽生善治をして後期に足を踏み入れつつあるのかもしれない、と私は感じた。

ハッシープロはこれで羽生善治戦で初勝利、今期の無敗記録を伸ばした。竜王戦ドリームなるか?

(そしてご存知のとおりもう一方の二冠に討ち取られたハッシーだった・・・)



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