第69期順位戦B級1組4回戦

名人経験者の佐藤康光プロ、タイトル保持者の深浦康市王位に早くも土がついているB1。この対局が行なわれる前の時点での連勝者は山崎・井上・畠山の三名。畠山井上戦が組まれているので連勝者は最大で二名になる。

山崎プロの連勝が続くか、ベテラン二名のどちらが勝つか?に注目して対局を鑑賞した。

第69期順位戦B級1組4回戦

松尾 歩七段(3勝1敗)○?●鈴木 大介八段(1勝3敗)…22時13分
一番早く終わったのはここ。鈴木大介プロが一手損を選択し、手馴れた戦い方で松尾プロが優勢になり、そのまま押し切ったように見えた。

先手番で居飛車を用いるのは分かるが後手番で何故?というのは松尾流の研究が怖かったという風に取られかねないように思うのだが。

将棋は少しずつ、だが確実に差を広げていく如何にも松尾流の指し回しが光った。こういう将棋を指させると天下一品。惚れ惚れする。最後は大差で大介プロが投げた。

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豊川 孝弘七段(1勝3敗)●?○山崎 隆之七段(4勝0敗)…22時53分☆
次に終わったのがこちら。山崎プロが全勝をキープした。後に佐藤・深浦という強豪二人と、関西ベテランで前半戦好調の畠山井上も残しているので、これでも安全とはいえないが。

将棋は矢倉党の豊川プロが、奔放な山崎プロの作戦を嫌って3手目に角道を止めたが、中飛車にされて面白くない陣形となったところでは後手の作戦勝ち。

酷い作戦負けでも勝つ男が作戦勝ちとあっては流石に持たなかった。中盤ではっきり差がついて後手山崎プロの圧勝となった。

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深浦 康市王位(1勝3敗)●?○佐藤 康光九段(3勝1敗)…23時43分
どっちが負けても信じられない成績になる勝負だが、結果深浦王位が1?3となった。タイトルホルダーがB1で1?3。信じられない。なんという高レベルな世界になったのだろうか…。

これでもし深浦プロが王位を失うようなことになれば、相当に辛いと思うが、それでも折れない心の持ち主なのかと将棋の神様が試しているのかもしれない。聖書に出てきそうなエピソード。

将棋は後手一手損からの相腰掛け銀に。この序盤のやりとりは相当に面白いので指すファンは是非見て欲しい。簡単にいえば後手がベストポジションを維持したい、という手に対してでは仕掛けます、という先手の攻撃の成否、ということになる。

64手目の△4六金の局面をみて、私はこれは良さそうな手で後手が指し易いのではないかと呟いた。この手が何でもないようだし、筋が悪そうだが、受ける気がしないし受ける方法がない、という意味で良い手。催促している意味もあるか。

本譜の手順を見る限りでは一手損相腰掛け銀がまた流行りそうな気もするが先手が応じてくれなければ出来ないので、先手の早繰り銀と棒銀がクロス取引的に流行しそうな予感がした。

△4六金以降は後手勝ち筋と思う。飛車が自陣で玉飛接近、しかも金の無い先手に粘りようも攻めようもなかった。

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杉本 昌隆七段(1勝3敗)○?●中村 修九段(2勝2敗)…0時29分
ここは面白かった。先手の石田流からの超急戦。ゴキゲンの超急戦は居飛車が誘って初めて出現するが、石田流のこれは先手の意思で出来るので、そういう面白さもありそうだ。24で山賊方式でこればっかりやってる人、いませんか?(笑)

長考合戦の序盤だが22手目の△9四角はどうなのでしょうか?一目働きの悪そうな飛車の切り甲斐のある状況を作ってしまったようにも見える。私レベルであれば、プロでは絶対指さないであろう△7三歩とか△7三銀!とかを指しそう…。

少し話が逸れるが奇襲に遭ったときは「こういう戦法を使う奴は大抵弱い、終盤で絶対逆転する」と言い聞かせて、流れを最も激しくない方向に多少悪くても持っていくのが私の主義。秒も普段は一秒指しが殆どだが、着手決めてもクリックは29秒まで我慢して読みまくる。そして優勢になってもなるべく寄せずに安全に安全に行く。

と奇襲君は心を折って自ら縊れるか、投了してあいさつ無しで去ることでしょう(保証しませんが)。

本譜は両者の持ち味が出た戦いになったが、先手の主張であるところの乱戦となり、しかも駒得という成果も上がった分、気分も形勢も良いだろう。私が24で後手持ってたらヤケ酒で翌日の二日酔いが酷くなってるぐらいに居飛車党としてムカつく戦法ですね…。

24で出会いたくない無いので一刻も早いワクチン製造が待たれるところ。

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畠山 鎮七段(2勝1敗)●?○井上 慶太八段(3勝0敗)…0時40分☆
抜け番消化者同士の全勝対決。どちらも佐藤深浦に一発いれている者同士、畠山プロに至っては佐藤深浦とダブルで撃破しての2連勝だから全く素晴らしい。奨励会幹事外れて将棋に専念すればこんなものですよ?というような強さを発揮している。

将棋は中座飛車に。30手目の2五歩が早いのが井上プロの工夫。桂馬を跳ねられた後だと深く引かれて面白く無いので2八に引かせるための手だ。2九飛車型を防いだ反面、早過ぎる(軽すぎる)リスクもあり、一長一短。

66手目の評価は?手番は先手に移るところ。駒は瞬間は▲角と△金桂(竜)だが次に先手が桂を取るのでほぼ互角か。玉の堅さは後手。

ここからの先手の反撃のキツさ次第だが、個人的には少なくとも攻めが切れる懸念はなくなった後手を持ちたい気分。

先手の反撃は鋭かったが最善を尽くしたとしても後手が形勢の良さを保っていたようだ。多少縺れたようにも見えたが、早めの△2五歩は今後流行りそうな予感がする。

流石元A級の貫禄で井上プロ連勝キープ。

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行方 尚史八段(1勝3敗)●?○中田 宏樹八段(2勝1敗)…0時43分
これも好取組。矢倉で粘りっこい戦いが見れそうな組み合わせだ。

先手が片矢倉、後手が左美濃からの矢倉。後手の角は先手の攻め駒を牽制しており、どういう攻め方を構築するか?とみていると行方プロは棒銀に。個人的には桂馬を跳ねた形での棒銀はバランスが悪く指しこなす自信がないが、本譜も銀と桂馬が遊んだ。しかも▲1六歩のおまけ付き。

先手の矢倉にも後手の矢倉にも藤井猛プロの思想をみた気がするのは私の勘違いだろうか。矢倉戦の、持久戦においても作戦のスピードが上がってきている印象。

後手が堅い玉形のままにガジガジ攻める展開となり最後は大差となった。居飛車の先手番で負けると相当辛いが、この負け方は二回戦の対山崎戦に引き続き辛い負け方のように思う。

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結果、連勝をキープしたのは山崎4?0、井上3?0の二名となった。まだ一敗しかしていないのは上から佐藤、松尾、畠山、中田。深浦プロはまさかの1?3だが、残りを一敗ぐらいでまとめてくる力はあるので、まだ昇級チャンスはあるだろう。

山崎・佐藤の二人がA級に上がると相当に戦型が面白くなりそうなので、二人に上がって欲しいというのが今のところの私の希望だ。


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基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

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