渡辺復調するか?第84期棋聖戦第3局▲羽生善治vs△渡辺明&朝日杯プロ・アマ9-1

昨日の棋聖戦とプロアマの結果について簡単に。

第84期棋聖戦第3局▲羽生善治vs△渡辺明

カド番で迎えたここを渡辺明が凌いだ…という将棋だったわけですが。なんとこれを渡辺明が勝ったことで第一人者であるこの二人の今期の通算成績が二人とも負け越しになったというw

まあ年度末には七割勝ってるんだとは思いますが、なかなかの珍現象ですね。

ニコ生の解説は先崎さんでさすがの早見えですね。ニコ生に出られる女流プロの方にお願いしたいのは、呼吸音を多く含むようなヒッヒッフー的、ラマーズ法笑いは避けたほうがいいです。長丁場で観戦者の耳の疲労度を増します。スカイプとかもそうなんですが、変な音を大きく拾うのがネット通話とか動画の特徴なんでしょうかね。

テレビとは異なるところのような気がします。もしかしたらどこからか伝わって傷つく可能性もありますが、TS視聴などでご自身で確認されると、どういうことなのかわかると思います。

通常の解説者の声のトーンにあわせてボリューム調整すると、笑い声が大きすぎるし、笑い声に合わせると、解説が聞こえないんです。そして愛想笑いではないものの、頻繁に笑う…という対応が多いような気がするのですが、ゆえに耳が疲れるわけです。

このへんは、誰が、とかではなく、相手役を務められる方が誰であっても大体私が感じているところです。TS視聴で是非、修正点としてすぐ認識されるべき部分だと思います。


将棋のほうは、いわゆる待機作戦。腰掛銀で最近流行っている待機策でした。これは元々は渡辺明が流行らせたと言ってもいいかと思いますが、桂馬を跳ねないことで隙をなくし、先手にベストな形で攻めさせない…というもの。

将棋世界の最新号にもでていましたが、この待機策が出た結果、後手も互角以上に戦えているようです。

本譜は、去年の棋聖戦で羽生さんが中村太地相手に使った作戦を渡辺明が採ったということです。

先崎さんの説明では、後手がやれるような感じでしたが、本譜の進行でどうやら先手が良かったようです。馬切って▲2二歩ですね。

そこで長考する渡辺明が指した手順は普通に龍を作らせるものでした。

ここらへん、ちょうど解説が休憩に入っていたので、指し進める両者の様子がリアルタイムで見ることができてとても良かったです。△同玉、飛車打ち、金打ち、金取り、からの△6一歩。そして席を立つ渡辺明。扇子で顔を仰ぐ羽生善治

この手順の意味は確かにわかりません。取ってどうなるわけ?という。ぱっと見は逃げれば香車を打たれるので取りますが、すぐに効果は現れません。

私はこの一連の手順を観てすぐに取れば角筋を活かすんだろうな、とは思ったのですがまさかこんな劇的な逆転があるとは思っていませんでした。

結果的には羽生さんがウッカリしたとのことでしたが、先崎さんが流石でしたね。手の見え方はやはり半端じゃない。これは羽生さんのうっかりでしょう、と断言していたのはまさに天才は天才をしる、という感じでした。

これで次は渡辺明の先手番。フルセットまでいけば奪取もかなりありえる話ですね。


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そして、プロアマ。総括としては戦型的にアマが勝ちやすい将棋が少なかった気がします。


角交換型振り飛車の台頭により、それを用いたアマが多かったことにより、寧ろプロが沢山勝った…という。

とはいえ、相当惜しい将棋もありました。アマが唯一勝った将棋は序盤作戦が一番ハマった展開でしたね。初手の端歩ですら、ぴったりハマった。私も一目はこうかな?と思った馬の引き成りが良くなく、手の連続性を重視して歩成としておけば角のラインを止める歩が打てて後手も戦えたようです。本譜は再三3筋の歩が立たないことが祟っていましたね。

他では東野vs八代戦が、相当な力戦でしたが先手もやれたようです。後手の左美濃が堅いかと思ったのですがそうでもなく、中盤であっさり行きすぎて、いじめられそうな角が逆に働いて逆転模様。

入江高見戦も、かなり序盤は居飛車に主張点がない展開だと思ったのですが、言いなりになっても全然難しいのですね。これは驚きました。高美濃が組めれば二つの位が逆に負担になるという。中盤で後手陣に飛車を打ち下ろし、後手が角を切って先手陣を薄くしたところでは、主張点の堅さがなくなって後手がいいのかと思ったのですが、感想戦コメントをみると、よさそうな歩がありました。これが通るなら、確かに先手有望。カロリーナだったら、打ちそうな歩だと思いましたw

倉川竹内も熱戦。後手の竹内の得意戦法のようでしたが、力戦派のプロを相手に居玉で堂々の指し回し。2筋と8筋の位を取って流石に模様を張り過ぎでは?と思ったのですが、後手玉は玉飛接近で良くないのですね。。戻って7筋からの後手の攻撃がやりすぎだったとのこと。いきなり馬が出来て先手が良さそうでしたが、竹内さんが中終盤力で誤魔化しきりました。

あとは渡辺上村の千日手局も先手がペースを握っていたように思うが、打開の糸口がなかったのかはよく分からず。そして渡辺誠さんは某三段の弟さんらしいですね。

昔のプロアマがノーマル振り飛車を用いるアマが多かった…のが角交換振り飛車に変わった・・・という感じでしょうか。清水上徹さんをもってしても、かなり後手の阿部光瑠がうまく指したとはいえ、振り飛車大変なんだな・・・という感想をもってしまうような、アマプロでした。


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(2011/08/19)
西尾 明

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清水上徹さん五連覇! 第36期朝日アマチュア将棋名人戦防衛で。

1-1で迎えた第三局、振り駒で後手番となった清水上徹さんでしたが、見事勝利して五連覇を達成しました。

また、アマチュアタイトル初挑戦だった倉川さんは、初挑戦とは思えない震えない指し方、特にその積極的な指し回しには非常に感銘を受けました。

以下、簡単に感想を。

第36回朝日アマ将棋名人戦▲倉川尚 vs △清水上徹にて、棋譜を確認出来ます。

第一局に引き続き、先手番を引いた倉川さん。個人的には第二局の勝負を見ていて、これは倉川さんが先手を引いてそれでようやく勝負形かな?というつぶやきをツイッターで行いました。

それは倉川さんの棋力が劣っているとかそういうことではなく、このような大舞台でタイトル獲得がかかった時に、通常どおりの実力を発揮するのは難しくなる。

清水上徹さんはこの舞台だけではなく、あらゆるタイトルマッチ、プロアマ戦においての経験値がずば抜けているので、先手番を倉川さんがもって、またあの飛車先を決める指し方を観たいなと思っていました。

倉川さんの用意があって、清水上さんを翻弄?して、それでようやく勝負としては面白くなるのではないかと。


将棋はがっぷり四つの、膠着模様を迎えます。こうなったら、通常は千日手もやむなし、というのが最近の風潮だと思います。そういう展開でしょうか、というコメントもツイッター等では見られました。

しかし、私は倉川さんは打開するのではないか?とツイッターでつぶやきました。ここまでの積極性を失ったら良くない、と思っていたのではないでしょうか。

逆にいうと、そのぐらい自分を奮い立たせないと、一旦守勢に回ると経験値の差でつらくなると思ったのかもしれません。

第二局がまさにそういう将棋で、勢いの良さでは先後の得の差を埋めきれなかった、というような印象を受けました。

先後の陣形が全く同じ形で、しかし離れ駒の金の位置としては振り飛車側の金が一路玉に近い。この時点で倉川さんが仕掛けましたが、結果的にはこの仕掛けは不発だったようです。

加藤一二三九段が指摘していたような、二筋が薄くなったことをみて転戦するのが良かったようですが、このへんはやはり現役でほぼ唯一トッププロとして大山康晴名人やダルマ流の振り飛車を相手に戦ってきた加藤一二三九段の凄みを感じました。

78手目が振り飛車らしい、軽い好手。この手があるのであれば本譜の攻めは良くなかったです。

桂損を甘受し、反撃を狙うはずが、飛車の逃げ場所を間違って余計に自陣を削られることになりました。このへんでは私は先手はもう投げてもおかしくないと書きましたが、せっかくの大舞台、ここからの第二ラウンドもなかなかの見応えがありました。

しかし現実問題としての駒損は大きく、後手の清水上徹さんが危なげなくまとめて五連覇を決めました。

清水上徹朝日アマの感想コメント、倉川さんについての印象についてがなかなか興味深かったです。


そして倉川さんのコメントはアマ全体へのエールのようなものだと私は感じました。

お二人ともお疲れ様でした!そして清水上徹さん、五連覇おめでとうございます~!


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プロ将棋より面白い!…かも。第36回朝日アマ将棋名人戦第1局 ▲倉川尚 vs △清水上徹

第36回朝日アマ将棋名人戦の棋譜は、アマ連のウェブサイトで見れます。

昨日第一局目が、本日朝8時から第二局、決まらなければ午後から第三局が行われます。

挑戦者は倉川尚、タイトルホルダーは最強のアマ、清水上徹。現在四連覇中だ。奨励会修行経験のない純粋なアマとして小学生名人からあらゆるタイトルを総なめにしている。プロとの対戦成績でも善戦しており、プロより強いアマ、と言っても過言ではない。

倉川尚さんは元東大将棋部の主将で年代としては片上大輔プロと同じぐらい?おそらく大学中の交流もあったと思われる。学生時代から今まで特にアマタイトル戦での目立った記録はないと思う。しかし、プロにかぎらずアマでも若年齢化が進むタイトル争いの中、見事初挑戦を決めた。

プロもアマもかなり層が厚いのだということを今回の初挑戦で再認識した。

結果を先に書くと、倉川尚さんが熱戦を制したわけだが、その序盤作戦の練りに練った具合と、中終盤のねじり合いがとてもおもしろい将棋だった。また、実績としては劣る挑戦者が先勝したほうが、清水上徹さんには申し訳ないが盛り上がる、という側面もあるだろう。

振り駒で先手番を引いた倉川尚さんは、初手2六歩。振り飛車党に対して飛車先を決めるメリットのほうがあるかもしれない。特に一般的な研究将棋からMY定跡・MY研究方面に持ち込む意味でも。

それにしてもこのオープニングには驚いた。飛車先を決めてから自ら角交換。私は相居飛車のこのオープニングでは自分から角交換することが(最近は減ったが)ある。

なので電王戦の阿部光瑠プロがやった時にプロでもやるのか!と少し驚きつつ喜んだ記憶がある。今回のはもっと凝っていて、角交換してから端歩の突き越し。ゴキゲン中飛車の丸山ワクチンやら、後手のレグスペやら、あとは最近の藤井流の角交換振り飛車の手順を全部踏まえた作戦。

相手の清水上徹さんも振り飛車の専門家なので、この作戦の意図はすぐに汲み取っただろう。とはいえ、序盤で少し時間に差がついたのはもしかしたら大きかったかもしれない。

このへんは倉川尚さんの試合巧者っぷりが出ていたように思う。挑戦者が少し先行する形でレースを引っ張る形で、将棋が進んでいく。

丸山ワクチンvsゴキゲン中飛車っぽい展開で両者左美濃に。リスクを取らずに双方同じぐらいの囲いにできれば悪くない、と倉川尚さんは思ったかもしれない。後手はバランス重視で金銀分断の片銀冠になることが多いので四枚銀冠を構築することも想定していたとおりなのだろう。

後手のその代償は2五桂ポン。すぐにどうなるわけではないが、この桂馬が取りきられることは基本的には殆どないので、気分が悪いはずはない。

45手目の局面。後手は歩得だが、陣形の差で専門的には先手がやや指しやすいように思う。ただ具体的な良さにつなげるまでは遠い。そのように見るのが人間だと思う。コンピュータ将棋はどのように評価するのだろうか。

・・・と思ってGPS将棋にかけてみたのだが、面白いことにほぼ互角とみていた。理由は端歩の関係性をそれほど重く見ない、というコンピュータ将棋らしいところにあるような気がする。やや先手良し、というところであるいはそのほうが正しい見方なのかもしれない。

端歩は将来のための年金・貯金のようなものなので早死したら活きないものなのでw

中盤の難所、と思われるところで先手が端に桂馬を跳ねた。後手の飛車が二筋から五筋に転じた場面だ。この後手の桂馬は飛車を無力化出来るならば2一に置いてるよりも価値がある。相手玉側に近いところに成り込むことはそんなに期待していない。

そこで3筋になってもいいですよ、と先手は▲1七桂。それぐらい、飛車の活用を急がないと勝機がないとみたのだろう。もし3七に成ると双方の陣形をみたときに後手の左金が浮いているのが非常に目立つ。先手の飛車は二段目になりこんでくるので、銀ブラならぬ金ブラなのでよろしくない。

飛車を捌かせると勝てないとみた清水上徹朝日アマ名人は角を打ち込むことで二筋の歩を支える。先手の倉川尚さんも馬を作ろうと5三に手筋の歩を垂らす。角交換型の振り飛車ではよく出てくる手だ。

63手目の局面。ここが後手からみた頑張りどころだったようで、本譜は等価交換で馬まで先手に作られて飛車が隠居してしまったので後手が辛くなった。

局後の感想として示された手順はなかなか凝ったものだが、そこまでやって後手良しというものではなく、振り飛車らしい曲線的な指し回しでチャンスを伺うことが出来たはずだ、という感じ。

確か倉川尚さんはこの挑戦権を獲得した際の指し回しもかなり強気の震えない指し回しだったようだが、この日も初挑戦とは思えない堂々としたもので、流石に学生将棋でトップクラスである東大将棋部で主将を務めていた人はハートが強いなと思った次第。

清水上徹朝日アマ名人としては、この四連覇中にはなかったビハインドスタート。如何に震えない倉川尚さんとはいえタイトルが掛かればそれなりにクルだろうし、ここからは逆に清水上徹さんの四連覇の経験値が出てくるところだろう。

第二局は繰り返しますがこの後、アマ連のwebサイトで中継されます。動画系の何かがあるのか…は知らないですが、多分ないと思います。


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(2013/05/23)
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内容紹介
私は声を発した。
「詰んでただろ」
木村がきっと私を睨んだ。
「どこでですか」
「香を取るところ」
しばし木村の目が泳いだ。「どこですか」。
投了直後で興奮しており、図が頭の中で作れないのだ。
私はていねいに、先の変化を説明した。ふたりは同時に悲鳴のような声を出した。
(本文より)

特別な才能を持った選ばれた人間が、強いプレッシャーと戦い続けながら一手一手に魂を込め続ける棋士たちの日常。
高度な技術と強い執念がないまぜになった対局室には、今日も新しいドラマが生まれる。
先崎学が将棋そのものというテーマに真正面から挑んだ「千駄ヶ谷市場」シリーズ、ついに最終巻。

細川大市郎100万円ゲット!しかしGPSの56勝3敗…。【電王戦記念】勝てたら100万円![3日目]

【電王戦記念】人類vs最強将棋ソフト 勝てたら100万円!ニコニコ本社で誰でもトライアルマッチ[3日目] が先ほど終わった。

今日もアマ将棋のトップが集結した。まさに異次元の怪物を倒すために集結したアベンジャーズ、というような。


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そして勝ったのは、細川大一郎アマ。細川大一郎さんは我ら右玉党のアイドルといえるし、将棋ウォーズの右玉のエフェクトは細川大一郎さんの似顔絵であることで、彼の存在を知らない人でも目にしているかもしれない。

また、右玉型の本は少ないのだが、右玉定跡本としては素晴らしい完成度を誇るとっておきの右玉の著者でもある。


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将棋としては、序盤に定跡を少し外して、コンピューター将棋が少し悪い状態から焦らずに徐々に優位を拡大していった。その結果現れたのが、例の水平線効果だった。歩の成り捨てに近い手が繰り返されて勝勢に。最後は全駒にして勝ち切った。

その他にも、アマ強豪が沢山登場した。有名ドコロでは昨日に続いての鈴木英春さん。アマトップといってもいい、清水上徹さん。ちなみに下世話な話だが清水上徹さんは女流プロの中村桃子さんの旦那さん。GPSに勝った細川大一郎さんはあじあじこと、安食総子さんの旦那さん。

アマトップと女流プロの結婚というのは、今四段の藤森哲也プロのご両親の藤森保さんと藤森奈津子(旧姓中津奈津子)さんが走り、だろうか。以上、ストーカー情報でした…。

かなり強いトッププロが戦って、その結果が3日間通してGPSからみて56勝3敗。ほぼ将棋倶楽部24でのコンピューター将棋の勝ち方のペースに近いものがあると思う。

大体、アマトップとプロ全体の成績としては2割から4割の間ぐらい。ただし当たるプロは低段者が多い。そう思うと、やはりコンピューター将棋はトッププロから中堅どころまでの実力のどこかに位置している可能性が高いように思う。

ただ弱点がないか?といえばそうでもなく、京大生の戦いと細川大一郎さんの戦いで見せた佐藤康光玉(金2枚は不動で、玉が6三の地点に動く作戦)など、人間の動きを読み誤った時に致命的に序盤で乱れることがある。

プロは駒落ち将棋からみっちり仕上げた将棋なので、こういう序盤の構造不具合に対しては上手に指すのでもし万が一コンピューター将棋が狂ったり、あるいは事前の研究でこういう穴をプロが突くような作戦を取ると、案外もろい可能性もある。

入玉とともに、ハマれば一方的、ハマらなければつまらない将棋、になりそうだ。

個人的にはこのアマチュアイベントでは有りだと思うがプロが米長邦雄さんの新米長玉のような作戦を取ることはなく、序盤のアヤでコンピューター将棋が狂うことがあるかもしれない・・・という感じだろうか。

今日のあの佐藤康光玉の欠陥は次回以降的確に突いてくるアマチュアが多く出現しそうで、そうなると500万ぐらい一日で供給する可能性すらある。

その点を運営者側がどのようにケアしてくるか?には注目したいところ。


あとは大平武洋の解説について。開催前に少しTwitterでも絡ませてもらったのだが、本当に歯に衣着せぬというか正直な人で大変おもしろいと思う。ブログ「大平クオリティ」でもその人柄が忍ばれるユニークな文章を書かれています。

長時間に渡る解説でしかも独り、しかも二日連続ということで大変だったと思いますが、全く途切れることなく、そしてその初見での早見え・大局観は流石はプロ、と思わせるものでした。

このへんを見ていると、やはりプロとアマの差は大きいな、と感じさせられました。

形が崩れた時の感想として、ここから大平対大平ならば九割先手が勝つ、とかここから大平VS羽生さんでも大平持ちじゃないでしょうか?というような解説は大変わかり易く、そして駒組み、陣形整備におけるプロアマの差異を示しているように思いました。

京大生が佐藤康光玉に対して▲8七金と上がる手はちょっと色気を出すと見える手ではあるのですが、その瞬間に後手持ちまではいわないまでもかなり後手のgpsが盛り返した、と語ったのは印象的でした。

来週はそろそろ人間側がバグを突いてくる戦い方が予想されますが、面白いかどうか?は微妙な気がしますね。…といいつつまた一日私は愉しんでしまいそうですが(苦笑)。

来週の解説者は誰なんでしょうね?独り解説で大平武洋プロぐらい淀みなく出来る人がまた出てくれると本当に良いなと思います。空白の時間が殆ど無かったのが素晴らしかったと思います。




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(2009/03/25)
細川 大市郎

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三度相振り飛車、打ち歩詰め状態、裏アマCOM戦 第33期朝日アマチュア将棋名人戦第2局・第3局

第33期朝日アマチュア将棋名人戦・三番勝負第2局(2010年5月30日)
早咲誠和(挑戦者)vs△清水上徹(朝日アマ名人)


この将棋は序盤のやりとりが面白かった。先手の早咲挑戦者が石田流を宣言した。対する後手の選択肢としては、相振り飛車か居飛車。居飛車が多いはずの早咲挑戦者が石田流ということは、相振り飛車に決め打ちしてきた可能性がある。特に第一局を思えば、先手・後手どちらの手番でも相振り飛車の用意があるということだろう。…と清水上朝日アマ名人が考えたのだろうか、居飛車に構えた。

このあたりは、双方振り飛車党の時によくあるやり取りのようにも思う。5手目の96歩が清水上さんの居飛車を誘っている。もし後手が居飛車にすれば、この端は緩手になる可能性があるからだ。

先手の構えは野暮ったい。96の歩、75の位、銀・角・飛車という位置関係、手数をかけている全てが利いていない可能性がある。

後手は具体的に良くする手順がありそうな気がしたが、シンプルな構えから72飛車と寄る後手。85の歩がタダだが、取れば毒まんじゅう、65歩と突かれて後手が良くなるのだろう。57の歩に紐がついていないこと、および67の空間が気になる感じだ。

そこから千日手模様になるが、後手番の清水上さんが気合で打開した。先手は仕方なく仕掛けを気にしながらの美濃囲いよりも寧ろ、ということだろうか、シンプルに48銀で囲いを完成させた。(前述の通り気になる57の地点に利かせつつ、囲いも終了という一石二鳥の手だ)。

後手の構想は五筋位取り。折角の晴れ舞台、研究で負けるのも相手の土俵で力を発揮出来ないのも勿体無い、力と力のぶつかり合いを暗黙の了解として構築されたような双方の陣形だった。

後手の五筋位取りは勝ちやすさ・勝ちにくさということではよく分からない部分はあるが、少なくとも9筋の歩、7筋の位を相手にせずに戦いが起これば後手に利するものとなりそうなので、良い考えだと思われた。

どこまでも落ち着いている手厚い後手に対し,指し手がない先手は左金を繰り出していく。52手目、後手が44銀とし、6筋が手薄になったときに先手は開戦するが、後手の清水上さんはノータイムで53銀と逆モーション。

誘いの隙を見せて、攻めさせて反撃するというカウンター作戦だった。開戦後の最初の攻撃が一段落した70手目に指された55銀が良さそうな手だった。

逃げることも取ることも出来ない先手は馬を殺す手順を選んだが、派手に交換された75手目の局面、これはどちらが良いのだろうか?駒割は飛車角交換で、やや後手が持ち駒の活躍は図れそう。玉の堅さは先手の方が堅いが後手玉よりも迫りやすい印象なので互角だろうか。しかし、ここで手番があるのが大きく、後手が指しやすいのではないかと私はリアルタイム中継時にツイッターで呟いた。

具体的には69飛車や79飛車を意識したものだが、66の金が宙ぶらりんな感じなのが気持ち悪いし、49の金も、この囲い特有の弱点であり、後手が勝ちやすいのではないかと考えたのだった。

76手目、清水上さんが選んだのは15歩。そしてこの手が結果論的には緩手であったように思う。昨日の95歩といい、端歩のタイミングが微妙にずれており、本調子ではなかったのかもしれないし、序盤で翻弄された目に見えない疲れが感覚を狂わせていたのかもしれない。

とはいえ、一目桂馬香車を拾って27の地点を狙って…という手は私クラスでも見えるのだが、より得をしようとするあたりが強さの証拠ではある。

81手目は早咲さんが力を発揮した場面。攻防の55角があり、一気に分からなくなったように感じられた。55角に対して、飛車を切るのは同金で金が手順に逃げられて、かつ64の歩を支えられるので悔しくて指せない。

58銀を決めてから64金が勝負手だが11の香車を取られて馬が出来た場面では既に大変な雰囲気。91手目、61銀が入ったところでは逆転したのではないか?と私は呟いた。そこで繰り出された92手目の47銀成りが鋭い手。先手は逃げたのだが、これは取る手はなかったのだろうか?とれば何となく先手が一手勝ってそうな気がするのだが…面倒臭いので読んでないが。

同銀に後手の手段として考えられるのは歩成か飛車成か46香車ぐらい?どれも先手ぎりぎり受けきりそうな雰囲気があるのだが。本譜はぼろっと銀を取られて、同金に39銀と打たれて、18に逃げた後に66の金を補充されては辛い。

そこからも紆余曲折あったが、47銀成りが通った(そして66の金を取る手が玉の逃げ道を塞いでいる)のが勝因のように思われた。ともかくこれで、1?1のタイとなり午後の第三局へとタイトルの行方は持ち越された。




第33期朝日アマチュア将棋名人戦・三番勝負第3局(2010年5月30日)
清水上徹(朝日アマ名人) ? 早咲誠和(挑戦者)


振り駒の結果、清水上名人が先手となった。また中飛車を指すのだろうか?石田流だろうか?と見ていると中飛車。昨日も途中までは難しいながらもやれる将棋だったので、そのリベンジということではないか?と私は考えた。

個人的には先手中飛車に対して、「角道を塞がずに2筋の歩を伸ばす」将棋が好きなのだが、本局もそれにはならなかった。或いは最新対策で面白くない変化があるのかもしれないし、棋風として早咲さんが好まないのかもしれない。

40手目、角交換した局面では、これであれば先手も後手もどちらもやれる、と私は考えた。シンプルな美濃囲いかつ双方の攻め駒も無理のない形なので、一方的にはならずに、面白い攻め合いがみれるのではないかと。

素人目には32に打ちそうな角を、66に打ち据える先手の清水上さん。後手の飛車が22にいると菅井流と呼ばれる、何度も飛車のコビンラインを狙う指し方が最近あるようだが、生角を手放して戦果が上がらないのであれば一目勿体無いように思われた。

そして再び銀冠へ。手数をかけて固くなる印象がないので、その分の手数を攻撃陣に掛けたいのは私が居飛車党だろうか。このあたりは専門家の意見を聞かないとわからないが、対する早咲挑戦者の動きが居飛車党らしく機敏で素晴らしかった。

一歩タダ取りされて、最初から選択肢にあった▲88飛車▲32角が指された。であれば、上記の感想がやはり頭をよぎるのだが…。歩切れで1歩損、相手は歩を二つもっている、というのはかなり辛い状況だ。昔四間飛車vs居飛車穴熊で34の歩を取らせて穴熊に囲う将棋があったが、あの羽生名人ですらその歩損に泣いて負けたような記憶がある。

具体的な指し手は分からないのだが、この状況を活用して自ら攻めるのではなく、攻めさせて勝つ、手を殺して勝つ、というような展開はないのだろうか?と考えていたが、90分の持ち時間、秒読みでそういう将棋は勝ちにくいので考えないものなのだろう。そういうわけで、後手は果敢に先手を攻め立てる。入玉が見えそうな先手陣をあれやこれやで薄くして迎えたのが116手目の局面。これで前に利く駒が入れば先手玉は詰む。しかしそれがどこにも落ちていない。

昔の真剣師であれば5枚目の香車を取り出す場面なのだが、あいにくそれも出来ない。流石にこれは後手が勝つのだろう、細い攻めを強引に通す早咲さんのことだから、どうにかするのだろう、と見ていたのだが、なんとこの状況が終局まで続いたのだった。

最後まで打ち歩詰めの筋が解けることなく、清水上朝日アマ名人もその筋を意識した指し回しを行い、最後は見事な長手数手数の詰みに討ち取った(らしい。私は最期まで読んでないが、44龍と金を補充する手があるので詰みそうだ)。

さて、それではこの将棋の終盤、縛ったつもりが打歩詰みで後手の勝ちなのか?といえばどうやらそうでもないらしい。http://twitter.com/#/list/shogiwatch/shogiに流れていたアマ強豪?とプロと観戦記者の終局後のつぶやきを拝見していたのだが、下図119手目35馬の瞬間に39金という手があった。

100530ama3.jpg
25桂馬、同飛車成りだと詰むが同飛車不成で詰まない、という局面がここから終局まで続いたが、この局面で強く39金があったようだ。確かにそれで受けが無さそう。


これを発見したのはGPS将棋というソフトであるとのことで、その他のソフトは打ち歩詰めを認識せずに25桂馬、同飛車成りで後手の勝ち、という判断をしたとのこと。このあたりは、現在将棋世界で連載しているコンピュータ将棋の特集において、丁度語られたばかりの話だったので何とも言えない気分になった。

コンピュータ将棋が、アマトップを凌駕しつつあるのではないかと言われる昨今、アマの頂点を極めんとする朝日アマ名人戦の最終局において、コンピュータ将棋が課題とする局面が登場し、そしてあるソフトはそのハードルを超えられず、アマトップである挑戦者はその筋を着手タイミングでは発見出来ず(恐らく感想戦や或いは対局中に気づいたのではなかろうか)、GPS将棋という第20回コンピュータ将棋選手権で3位!(優勝ではない3位!という意味の感嘆符)のソフトが気づいたということが、単なる偶然ではないと思うのは、意味のないところに意味を読み取る人間の進化において生じた性(さが)によるものだろうか。



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パーソナリティを知るとよく楽しめる、ということがあるので、指す将棋ファンの実力向上よりも観る将棋ファンの愉しみの領域をアマ方面にまで伸ばす意味での啓蒙書、というイメージかも知れません。

将棋観戦記のプロフィール

将棋観戦

Author:将棋観戦
「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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