相居飛車の本質 第39期棋王戦 挑決第2局 ▲永瀬拓矢vs△三浦弘行


先手永瀬ボーイで、横歩取りに。

どっちが先手でも相居飛車、しかも横歩取りだろうなと予想していましたが、やはりそうなりましたね。

ちなみに永瀬ボーイは居飛車転向してから大活躍でこの辺は、中村太地くんと一緒ですね。

効率的な勉強方法なのかもしれません。

振り飛車で奨励会を戦うと香落ち戦は有利に戦えますからね。そこから三段リーグぐらいで徐々に居飛車も覚えて、三段~低段時代の時間がある時期に居飛車に転向。

そういう意味ではやはり、里見さんも四段になれる可能性は結構あると思うんですよね。甲斐さんもそうでしたが、圧倒的な終盤力があるタイプはやはり将棋の才能があると言っていいと思いますので。

話がそれました。

居飛車解禁した永瀬さんは研究が恐ろしいほどに深いですね。元々、振り飛車でも自分独自のハメ手のような序盤をいくつも用意していた人ですが、それが居飛車方面にも拡大された印象があります。

今回の局面も後手の流行形に対する、永瀬流の新手がありました。

先手は手損して歩得。後手はその得を端に費やして飛車の横利きをキープして浮き飛車の機動力を維持します。

先手は手損なのに飛車をいったん2八に途中下車させてから玉を左に動かして、さらに2九の定位置に。この一段飛車と右翼の形は私の好むものでこう進むなら先手番で横歩を取ってもいいかな?と思います(アマの場合、いろいろありすぎてやる気がしませんが…)。

で、飛車の横利きが消えた瞬間に先攻した永瀬プロですがこの局面ではすでに先手がリードしていてもおかしくないように思います。どのように後手が応じても角打ちからの両取りがかかるからです。

将棋は一度に一手しか指せないので、先受けされるとなかなかうまく行かないものですが、こういう両取りの手からしばらく、両取りに近い状態が続くと、いかにプロとはいえ、2手連続してさせないために先受けが効かないので、先手がペースを握ったことは間違いないようです。

ここから永瀬ボーイが勝ち切れるかどうか。

(今14時半ぐらいです)。

結果は三浦弘行プロの勝利でしたが、激戦でしたね。△9二角がイマイチな手に見えてそこからの手の作り方が流石のA級でしたか。

永瀬プロも相手が誰であれ動じない大胆なこれぞ永瀬!という指し回しで持ち味が出ていたと思います。

しかしまさかあの9二角が使いきれるとは思ってもいなかったですが、三浦さんは打った時には本譜のような展開があるから大丈夫とみて当然ながらに踏み込んでいたわけですね…。

そこからの勝負も二転三転あったようですが、やはり居飛車転向の日の浅さが出たことが永瀬プロの敗けの理由ではないでしょうか。トッププロの居飛車と、受けて勝ち切るのではなく、どこまで行っても一手違いの出し入れの多い将棋を経験出来たことでより一層成長してくれるのではないでしょうか。

師匠じゃないですが、トレーニングパートナーである鈴木大介プロが居飛車の将棋と自身の将棋を評してややおどけるような感じで、一手違いの将棋か、二手三手余して勝つか、という話をよくされていますが、やはりどこまで行っても一手違い、そして横ではなくタテの将棋、というところが居飛車のポイントですね。

久保利明プロが二冠になったのも、あの羽生世代最強トリオを相手にして、タテの将棋で勝ちきれることができるようになったのが大きいですし、藤井猛プロが竜王戦で大活躍した原動力も藤井システムという縦系の将棋でした。

永瀬拓矢プロにはここからより一層の成長が望まれると思いますので、これを糧に頑張ってほしいですね。その時に、佐藤康光プロや糸谷哲郎プロのように薄い玉でも凌ぎきる棋風でいくのか、森内俊之龍王名人や渡辺明二冠のようにそういうつくりにせずに勝ちやすくするのか、というのは一つの転換点かもしれません。


以下、丁度一年前に行方三浦の活躍を予言?した私の記事を紹介して終わりにします。そういう意味では今期はこの三浦行方という二人の団塊ジュニア世代が期待に答えてくれたということに成りますね。


このへんは、三浦弘行だけではなく、行方尚史にも言えることで、この団塊ジュニア世代というのは正直ひ弱い印象があったのだが、ようやく本格化してきたのではないか。今年の注目はずばりこの団塊ジュニア世代の行方尚史と三浦弘行だろう。この二人が対羽生世代においてどのぐらいの成績を残すかで、棋界の勢力地図は変わってくるような気がする。

http://blog.shogiwatch.com/blog-entry-1813.html



三浦さんのタイトル登場はこの時の名人戦以来ですね。

愛蔵版 第68期 将棋名人戦七番勝負



 

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仕方ないっすね。第84期棋聖戦 第4局 ▲渡辺明-△羽生善治

ついに政権交代か…と思ったんですが、防衛で三冠、三冠、名人という勢力図は変わらずでしたね。

第84期棋聖戦 第4局 ▲渡辺明-△羽生善治


今日はちょっとテンション低めで行きます。。夏バテ、ではないものの更新意欲は下がってますね・・・。ダニーのNHK杯の敗戦が今頃ボディーブローのように悲しくて・・・というのは本当ですが、そこまでウブではないので、まあ夏のせいにしておきます。。

羽生さんとの対戦成績がある程度ある棋士のなかでは唯一対戦成績で勝ち越してる渡辺明三冠。2敗してあとがなかった第三局を逆転で先手番の第四局を迎えた。

羽生に追い込まれてから、マクった棋士というのも少ない気がする。先行逃げ切り・・・は森内名人をはじめ何度か記憶にあるものの。

渡辺明三冠は例の竜王戦での伝説的な逆転勝利がある。今回ももしや・・・という期待がファンにはあるだろう。ファンでなくても、最終局にもつれるような激戦を期待するところではないか。

戦型は後手羽生三冠の誘導で横歩取りになった。8四飛型、先手中住まい、後手中住まい型の中原囲いという感じ。奇異にうつるのは、後手による9筋の突き越しが早いところだろう。渡辺明三冠も端歩突き越すタイミングがあると、突き越すタイプだが、羽生さんも同じ気がする。

ただ、渡辺三冠はそれで苦戦に陥った・・・というのが最近あったが本局はどうなるか。

ちなみにこの対局の解説が勝又教授と竹部さゆり。なかなかの名コンビでとても抑制の効いた発声でどちらの声も聴きやすくてよかった。耳がつかれない、かつ聴いていて楽しいやり取りになっていたと思う。

これは何度でも書くが、ニコ生では笑い声等、必要以上に音を拾う高さの音があるようで、女性の相槌などで、息を吐くか吸いつつ笑い声をあげると、あの音が耳に刺さる。そういう意味では竹部さゆりさんはとても抑制の効いた発声で、耳に疲労がたまらなかった。

高音は綺麗に拾うっぽいので、このぐらい小さい声でもいい気はする。(環境差がありそうなのでこの辺のご意見はいろいろあると思いますが)。

31手目の▲3五歩は後手の9筋の2手よりは価値が高い手だと思う。後手としては手待ちではないものの、形を崩さずに待ち受ける状態になったともいえる。先手の攻めが右から来るのか左から来るのか、という。後手玉は中住まいでどちらにも対応可能。

そして中原囲いは低いままで耐久性に優れる。9筋の端歩は将来の貯金というか年金。そのまえに死んだら払い損、という手だろう。将来活きたときには、もつれたときには必ず効いてくる、効くような組み立てにできるのがこのクラスのトッププロだ。(・・・と思ったのだが、中盤で作戦勝ちになっていたのだった)。

待つことで1-3筋の攻めが確定する。その場合、9筋の位が相対的に価値を高める。そういう印象もある。

先手が3筋の位を取った手に対して、後手は1筋も伸ばして馬を作った。これにて大平プロいわく、「これで先手が勝ったら神レベル」とのこと。謙遜と断言の絶妙のバランスで私は大平プロの形勢判断が結構好きなのだが、金銀の働きが大差で馬がいる後手。そして手番と歩得がある先手ではあるが、それを生かす順がない、ということなのだろう。

53手目はそういう意味では、手番と歩得を生かした手ではある。玉のコビン、壁銀のままにあけるのは怖いが同馬には手番が続いて桂馬を活用できる。ただ、その先に待ち受けていたのは大いなる駒損と先手の苦戦だった。

80手目、後手が自然に金で桂馬を取った局面では、▲角と△金銀桂の三枚替えの勘定。しかも後手の駒で遊んでいるものがひとつもないに等しい。これはさすがに先手が辛そうだ。

ただ、ここまで来ると私でもわかるのだが、途中のすでに大平プロが見切っていた局面では全くよくわかっていなかった。この辺の感覚の違いが、横歩取りの難しさであり、鑑賞の難しさだと思う。(実力の無さを他責にするようで恐縮ですが…

もっといえば、わかりにくいというよりは、「わかったような気になりにくい」が正しいとは思う。対抗形などは、分かったような気分になりやすい。

+++++++++++++++++++++++

ここまでは終局前に書いたものになります。で、途中で私の目でみても流石に勝てないだろうなと思って書くのを止めたんですが。

感想戦のあとのインタビューで渡辺明三冠が以下のように発言していました。

終局直後

■渡辺明竜王
―― 渡辺さん、残念な結果になりましたが、今日を振り返っていただいていかがでしょうか。
渡辺 そうですね。馬作られたあとがちょっと指しにくかったので、そのあたりで形勢を損ねたような気がします。
―― 馬を作られてもやれるという読みだったのでしょうか。
渡辺 歩が多いのでやれると思ったんですけど。馬作られたあとにあまりいい手がなかったですね。
―― そのあとはいかがでしたか。
渡辺 うーん……△4六金(72手目)打たれてちょっと手がなかったので、そこで悪いような気がしました。
―― シリーズを振り返られていかがでしょうか。
渡辺 まあ、仕方ないですね。



とのこと。馬作らせても、歩得だし…って感想は目分量でいかにも竜王って感じですね。

逆にいえば、トッププロレベルでも一目の形勢判断が難しいのが横歩取りの魅力なのかもしれません。ただ、馬を作った局面をみて大平武洋プロはこれで先手が勝ったら神レベルと言っていたのでどうなんだろうな…。とはいえ、渡辺明三冠はこういう感想であまり嘘をつくタイプでもないので。。


まあ、仕方ないっすよ。本当に。ここまで続いた羽生善治政権は別にアキラタンのせいではありません。その前の世代達のせいです。ようやく自身のピークがやってきたのでここで焦っても仕方ないっす。

私には羽生さんが音無響子、渡辺明さんが五代裕作、そんな風に見えて来ました。最後に結ばれるのは知ってるんです。今焦っても仕方ないです。今はまだ惣一郎さんのことが整理がついてなくて…みたいな。

政権交代前の後手番横歩取りでの羽生さんの猛烈な勝ちっぷりはまだまだ許さん!という音無響子さんの芯の強さを感じた次第でした。。


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渡辺明竜王、貫禄の優勝!第6回朝日杯将棋オープン戦(竜王讃歌記事w)(追記あり)

まず最初に、主催者である朝日新聞社の関係者各位に、将棋ファンのひとりとしてお礼申し上げたい。

朝日新聞社は、この第6回朝日杯将棋オープン戦準決勝・決勝戦の観戦を、2月9日(土)に東京・千代田区「有楽町朝日ホール」にて、抽選にて一般開放し、解説会・観戦会を行なっている。

これは、毎年行われているもので、私も抽選に当たって行ったことがあるが本当に素晴らしいものである。何が良いかといえば、有楽町朝日ホール。本当にこの会場で将棋の解説を聞けるというのが素晴らしい。

私は年に数回解説会やら、祝賀会にお邪魔させていただくことがあるのだが、腰があまり良くないこともあり、例のパイプ椅子を想像しただけで身構えてしまう。

勿論解説者の方はずっと立ちっぱなしであり、座って見てるだけの人間がそのようなことを言うのは失礼だとは思うのだが、あのぎちぎちに敷き詰められたパイプ椅子に座ったままで数時間解説を聞いた翌日の腰を思うと、それなりの覚悟をきめて、観戦に臨むのが常である。(実際はそんなことないので、是非未経験の方は行っていただきたいのですが)。

それがこの有楽町朝日ホール。ゆったりした席と観劇のための会場構成、音響設備。優しい暖かさの空調。完璧です。完璧すぎて、始まった瞬間寝る老人のイビキが唯一のガンですが、そんなのは全く気にならないぐらいに、本当に素晴らしい。

今年は残念ながら行けなかったのですが、今年から?は新しい取り組みもありました。それが「朝日新聞デジタルの将棋ページ」における、有料会員向けの第6回朝日杯将棋オープン戦ライブ中継。

これまた私は外出中だったので見れてないのですが、素晴らしいものだったようです。ネット・長時間配信・双方向性に優れた将棋というコンテンツを長い歴史のなかで確実に最も理解している新聞社ならではの、素晴らしい進化だと思います。(これはおべんちゃらではなく、本当にそう思います)。

・・・と、前置きが長過ぎるので、ここから先の本題は簡潔に行きますがw

渡辺明竜王、通称あきらたんが圧倒的な駒運びで優勝しました!

以上です。


・・・。

以上でいいでしょうか?

だめですかね?

たまにはいいですよね?


・・・というのも流石にアレなので、少しだけ。


菅井竜也五段vs△谷川浩司九段
相振り飛車でした。後手の谷川浩司先生が貫禄の序盤。相居飛車的な経験値が生きるのでカニ囲いからペースを掴む。後手としては歩を損しているものの、先攻できたということで満足と見ていた。

中盤の菅井竜也プロの構想が独特で力強いので豊富な早指し将棋の経験で培われたであろう、実戦的な手順で迫る。後手玉が丸裸、先手の手持ちが角2枚と歩、という状態で後手に手番が渡った。

ここでは如何にも光速の寄せが炸裂しそうな局面だと私はTwitterで呟いたのだが、端玉で凌いでからの、▲2八歩、▲4八角が鍛えの入った手段だった。秒読み将棋でもあり、彼我の玉の堅さの違いで既にここでは後手が勝ちにくい。

藤井猛プロの解説を見ている限りだと、それほど正着というか最善手ではないような手順のようにも思えたのだが、早指し将棋らしいスピーディーな指し回しで、あの光速の寄せの谷川浩司九段を相手にして、この勝ち方というのは本当に驚いてしまった。107手目、▲7五角は是非振り飛車党であれば指に覚えさせたい味の良さ。



渡辺明竜王 対 羽生善治三冠
たまたま強いところが続く宿命で三連敗中だった渡辺明竜王だったが、本局は圧勝だった。羽生善治三冠に中盤のミスがあったという感想が残っている。戦型は横歩取りの△8四飛車・中原囲い・中住まい、というコンビネーション。

先日の第71期順位戦B級2組9回戦、▲堀口一史座七段vs△佐藤天彦七段がちょうどこのコンビネーションだったのだが、後手が相当圧勝に近い形で勝利していた。正直、近年の後手番戦術でここまで作戦勝ちから中押しに近い勝利は見たことが無いな…と思っていたのだが、もしかすると渡辺明竜王もそういう認識をこの形に持っているかもしれない。

或いはプロの研究会では現状最もアツい戦型となっている可能性すら感じる。

そして本局は繰り返しになるが本当に圧勝だった。通常は、後手はワンミスで(上記の谷川浩司九段のように)先手は多少しくじってもそれでも残している、というのが現代のプロ将棋全般の印象なのだが、横歩取りという激しい戦型故に、先手でも一手しくじると奈落。しかも後手が先攻できて玉も堅い、というのが相当に美味しい。

43手目があまり良くなく、後手の先攻が炸裂した瞬間だった。ここからの指し回しは後手の渡辺明竜王は本当に落ち着いていて、いたぶるような指し回し、と言ってもいいぐらい(笑)

後手玉は一度思い出王手が掛かっただけだった。

この戦型は今後の注目戦法であり、もしあまりにも先手が思わしくなければ、横歩取らずが流行するかもしれない。



渡辺明竜王vs△菅井竜也五段
ということで、決勝戦はこの二人となった。前回、朝日杯の感想を書いた時に「世代交代はゆっくりとではあるが、確実に始まっている」ということを書いたのだが、まさにそういう認識を強める組み合わせ。

少し話がそれるが、渡辺明竜王というのは、羽生世代との濃密なタイトル戦経験がある最後の(最も若い)棋士になる可能性がある。近すぎた世代はそれ故にタイトル戦に登場することにすら時間を費やす結果となり、その下のややモラトリアムな世代は目覚めるのが遅すぎた。

その結果、中学生棋士として初期から第一人者になる覚悟があった渡辺明だけが世代という厚みではなく独力で羽生世代と対峙することとなった。

そういうなかで、渡辺明竜王が、△8四歩を一時期にしろ後手番の主力戦法としていたのは、互角に戦っていくためであったとしても、戦略全体を俯瞰して冷静に判断したのであろうが、正解だったかもしれない。

思えば、渡辺明竜王も一頃振り飛車穴熊や角交換型の振り飛車なども指していた時期があった。そういった試行錯誤のなかで、矢倉角換わりという、羽生世代が最も将棋の歴史のなかに知識を積み上げていった戦型で、彼らと対峙し続けて、そして結果を残したというのは大きな意味がある。

後手番をゴキゲンに逃げてしまった居飛車党や、収益性が下がった横歩取りにこだわりつづけて、自身の戦法ラインナップとその採用による経験値のバランスがやや偏ってしまった棋士と比べるとその意義は大きい。

ここ最近の新人棋士で私が注目しているのは、やはり佐々木勇気や斎藤慎太郎、八代弥のようなじっくりした矢倉を戦法の主軸に置いている棋士である。特に斎藤慎太郎のともすれば古風とも言える腰の重い指し回しは非常に好印象であり、今後の順位戦など長時間の将棋での伸びしろを感じさせる。(残りの二人の将棋も好きである)。

ただ、彼らがタイトル戦で羽生世代の絶頂期と対峙することは無いだろう。ゼロではないだろうが、渡辺明のように自身の成長期に羽生世代を養分として飛躍するような経験は出来ない。

時代の巡り合わせ的な考え方でいうと、谷川浩司にあたるのが渡辺明であり、天下を獲る前に、あるいは取りかけた時に次なる羽生世代的なものの襲来に苦戦するのではないか…というのが私のこれまでの考えだったが、最近はこれを改めている。むしろ、渡辺明の時代がくるのではないか。

横歩取りのような軽快な将棋も、矢倉のように重厚な将棋も、バランスよく指しこなし、攻守に優れていて、序盤も明るく、終盤の鋭い寄せもある。そして何よりも得がたい、将棋の歴史において最も層が厚いとおもわれる羽生世代の最強棋士たちとの、タイトル戦を始めとした大舞台での戦いという経験。

ここから10-20年単位で見た時の渡辺明というのは本当に面白い存在だと思う。早く七冠達成して、がっつり稼いでからの、一口馬主じゃなくて本当の馬主になって冠名「アキラ」もしくは「アキラタン」で統一して、リアルダビスタを堪能してほしいところだ。

・・・と、ここでも本題前の妄想が長すぎるということになってしまったが、決勝戦はゴキゲン中飛車に▲3七銀戦法から五筋の位を取り、じっくりした展開から後手の凡ミスにより形勢に差が開いて、危なげない勝利となった。

正直、この準決勝・決勝の将棋は将棋の内容としては見るところは少ない気がするが、渡辺明という棋士の強さという観点では恐ろしい程にアピールされるものがあった。冷静に考えて、トッププロと若手トップ振り飛車を相手にしてのこの内容というのはありえない気がする。

早指し戦だったので、将棋倶楽部24とか将棋ウォーズに例えると、段位の差が2つぐらいありそうな将棋だった。

また今回の朝日杯の解説者、藤井猛プロが最高だった。リップ・サービスも勿論あったはずなのでその点は誤解をしないでほしいのだが、ゴキゲン中飛車というか振り飛車に対する考え方・思想がとても良く伝わる解説だったので、決勝まで振り飛車党である菅井竜也プロが上がってきたのは本当に良かったように思う。流石に羽生善治vs谷川浩司、となった場合は藤井猛プロも解説に変な気を使わない訳がないでしょうし。。

ゴキゲン中飛車や振り飛車について聞かれた藤井猛プロが言った「あまり細かいことを気にしない人に向いているんじゃないかな(笑)」をはじめとする幾つかのコメントは振り飛車党、あるいは観る将棋ファンは必見と思います。

あまり将棋の内容に触れずに勝手な妄想ばかり書いてしまいましたが、現場からは以上です!



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防衛 第70期名人戦第6局▲羽生善治-△森内俊之(と第5局) その1

開催前は絶不調を噂されていた森内俊之名人が、羽生善治二冠との対戦で徐々に調子を整えて、そしてそのまま防衛した。羽生善治ファンとしては悔しくもあり、しかしまた1年十局近く、順位戦の将棋を見れるかと思えば嬉しくも思う。

七番勝負としてのポイントはやはり一つ前の第五局にあっただろうか。感想は書いていなかったのだが、2-2で迎えての後手番でのブレイクが見えていたにもかかわらず最終盤で87手目▲3四歩とした手が、勝負師風の森内俊之の姿がかいま見えた瞬間だった。

羽生善治谷川浩司の名人戦で、詰めろではない手を詰めろとして結局羽生善治が負けてしまうという将棋があったが、あれに近いものを感じた。個人的にはこの名人戦は後手が入玉して勝つ将棋が出るのではないか?と思っていて、まさにその展開と思われた最中の、106手目が敗着でブレイクならず。その時点でこの名人戦は通常の世界に戻っていったように思う。

▲3四歩の瞬間に、私はTwitterで成り駒が二枚出来て、王手で打った飛車で香車も一掃できるのであれば、相当にヤル気がでる、というようなことを書いた記憶がある。事実そのとおりに進んで、そして最後の局面で先手の勝ち筋に後手がハマった形で追走に後手玉が捕獲された。

この第五局に「不調ではない」「羽生善治との対戦がこういう大舞台で行われることを楽しみにしていた」という言葉も含めて、森内俊之の強さが出ていたように思う。

羽生善治だけが対人センサーを有してるわけではなく、漫画の話になって恐縮だが、ジョジョの奇妙な冒険でDIOがザ・ワールドで時間を止める能力であることを仲間が気づかせてくれたおかげでJOJOも時を止められるようになったような、そういう戦いだった。

羽生善治という棋士はその天才的な才能、序盤から終盤に至るまでの正確さもさることながら、対個人における戦略性の優秀さも他の羽生世代の棋士と比べると有している。その相手がどういう棋風でどういう展開になると勝ちやすいか?というのを本能的に感覚的に察知している。それがこの生涯勝率の違いに現れていると考えているのだが、森内俊之も、少なくとも対羽生善治においては、似たような感覚を有していると思う。

二人だけがわかる世界というか、森内俊之にだけわかる羽生善治というのがあると思う。第五局の最後の必至は多くのプロにとっても盲点だったようである。遊び駒に等しい飛車をとって、その馬をもう一度動かして、さらにそれを切ってから必至になるというのはかなり図々しい手順というか、最善を尽くすとどこまで行ってもぎりぎりな後手と、一手の先行利得を有する先手の違いを改めて感じたわけだが。

これがやった人が羽生だったら、羽生マジックと呼ばれているような展開だった。相手が最善を尽くせばという局面で相手が魅入られたようにハマる、それが羽生マジックだったはずだからだ。これまでの激闘で、森内俊之はJOJOがザ・ワールドを体得したようにして、体得している。

まだ数秒しか世界を止めることは出来ないかもしれないし、意識して使えるのかどうかは分からないが、また再びこの秘奥義が、羽生善治或いは渡辺明との大舞台での戦いにおいて、繰り出される瞬間が来るだろうと私は確信している。

ここまでが第五局の感想。以下は第六局の感想です。が長くなったので明日。。

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第24期竜王戦(渡辺明竜王vs丸山忠久九段)の展開予想

7-0のナナタテで渡辺明竜王の防衛だと思います!

…というのは冗談として。

今期指し分け程度の成績(11-10ぐらい?)の丸山忠久プロに対して、渡辺明竜王は初の二冠獲得、ならびに成績としては18-4ぐらいで、ここ最近では最高の成績。

二人の対戦成績としては5-5ぐらいでタイスコアのはず。

戦型としては、丸山忠久プロが先手で角換わり腰掛け銀、後手番で横歩取り(中座飛車系)というのをベースに戦いは進むと思う。

どちらかが勝ち星的にリードした時に後手番で振り飛車を用いる可能性がある。四間飛車穴熊やゴキゲン中飛車からの相穴熊など。どちらも居飛車穴熊を得意としており、稀にではあるが裏芸として振り飛車穴熊を用いる。

両者ともに研究熱心で、行き当たりばったりの作戦を用いるタイプではない。非常に体系的に序盤を捉えており、研究会ベースではなく、自身の大局観・将棋観に基づく結論を各戦型で出している印象がある。

渡辺明竜王が変化しない場合は、上記の角換わり腰掛け銀横歩取りで全局終わる可能性もある。そしてその場合、丸山忠久プロの先手番の角換わり腰掛け銀の鋭さ次第ではサービスエース的に先手番を取り合って第七戦までもつれる可能性もあるのではないか。

ちょうど、佐藤康光vs丸山忠久の名人戦?を思い出す。

個人的にはどちらに肩入れするものでもないが、渡辺明竜王王座の最近の調子を見るかぎりでは、四タテまであるかもしれないと思っている(フラグ立てておきました)。


新版 角換わり腰掛け銀研究は復刊ドットコム?か毎日コミュニケーションズ?で高価格ですが復刊していたような気がします。私は当然持っています(ちょっと自慢)。



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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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