第4回大和証券杯最強戦▲森内俊之-△山崎隆之(解説:加藤一二三九段)

本局の見どころはなんといっても加藤先生のチャットだろう。何方かわからないが、あのマシンガントークをチャット打ち込みするのは、スピードの点でもニュアンスの点でも苦労されたと思う。お疲れ様でした。

戦型は矢倉の後手急戦。先手が三手目に▲6六歩とすると、後手としては何となくとがめたくなる。私がよくやるのは同日に放映された右四間飛車(+三手角)や、相手の顔をみて超急戦棒銀(普通、6六歩型には通用しないのであくまでも相手の顔をみて)ぐらい。

あとは本譜のように五筋から仕掛ける手、最近でいうところの阿久津流というか矢倉中飛車風味の手順が考えられる。後手が飛車先を突いていないのでなんとなく急戦で行きたくなるのに対し、受けが強い棋士は先手をもって余せる、うけてる方が気が楽、ということだろう。

私レベルだと、加藤一二三九段の解説にあった3三角で飛車先を交換させない順を考えたいが、後に角頭が負担になると思ったのか、或いは本譜のように二筋を交換させた後に謝らずに、その一歩を攻めに使うつもりだったのか。前者のリスクを厭い、後者のリスクを甘んじて受けるというのは、如何にも混沌の世界の王子である山崎プロらしい構想。

しかし、やはり少し無理があったように思う。▲2三歩は確かに瞬間的には飛車先が重いのだが、▲5三歩で飛車を横に逃げては勝てないし、本譜のような展開になったとき、文字通りと金の遅早が実現している。

43手目、3二との局面。
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駒割は先手の銀得、玉の堅さも先手、手番が後手。手番をキープしたまま先手玉に迫れるかどうか?というところだが、本譜は山崎プロに錯覚があったようでいっぺんに駄目になった。

感想戦で指摘されていたのはここで△5八銀や△6九銀とのことだったが、▲5六銀と受けて先手がしばらく受け続ける展開になるのは気持ち悪いが、どうにかなってないのだろうか。秒読みで山崎プロの攻めを延々と受けて勝つ気は確かにしないが、先手は受けの強い森内プロなので、感想戦では譲歩していたが、実戦になれば別だったと思う。

今期絶好調の王子だったが、さすがにこの序盤で森内プロに勝つことはできなかった。しかしこの奔放さで今期八割勝っているわけで、C1から全勝で上がった時のようにみるだけでクラクラするような奇抜な発想と中盤の泥沼化、そしてそこから一気に飛翔するような終盤でこれからも楽しませて欲しい。

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日曜はNHK杯、大和杯と連続して先手居飛車党が6六歩とする将棋で、どちらも先手が完勝に近い勝ち方をした。しばらくは急戦策が続くと思うが、それで難しいとなればまた持久戦模様になるだろう。後手としても角換わりでなければ矢倉を指す人は多いわけで、双方の合意の元にしばらくは急戦矢倉、そのうち持久戦矢倉が復活するような気がした。

以下、森内プロの関連書籍。

プロフェッショナル 仕事の流儀 第V期 名人戦 森内俊之VS羽生善治 最強の二人、宿命の対決 [DVD]
雁木でガンガン!!―破壊力抜群の痛快!必殺戦法 (森内優駿流棋本ブックス)
矢倉の急所―4六銀・3七桂型 (最強将棋21)
森内俊之の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)

私のオススメはなんといっても、雁木でガンガンだろう。これとか同じ出版社の木屋太二さんの筋違い角の本とか屋敷先生の相掛かり奇襲本は相当に面白いので、興味のあるB級戦法ファンは是非チェックしてほしい。



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