三浦孝介初段はこの電王戦で何を得る・得たのか?

三浦孝介初段。誰だかわかりますか?

将棋通、観る将棋ファン初段ぐらいだとこの名前をみて「ハイハイ、あの人ね」とピンとくるでしょう。

あんまり引っ張っても仕方ないので答えを書くと「第二回電王戦でコンピュータ将棋の代打ちならぬ代指しを全局務める・務めた奨励会員」です。

平成22年入会組のなかで出世頭、初段。年齢は15歳。加部道場の出身で、同道場からプロになった棋士としては、熊坂、阿部健がいますね。

この第二回電王戦の五局で己の棋士人生を賭けた戦いに挑む棋士たちに対峙した時間は、どのような効果を彼に及ぼすのでしょうか。

以前、よく言われたこととして「NHK杯で記録係を務めた奨励会員はプロになる」という伝説。確かになる人は多かったように思います。記録係がプロの対局を目の当たりにする機会というのは、記録係を務めれば当然あるわけですが、NHK杯というのは全国に放映されるということで当然一味違います。

そういう場を経験することで精神的に・人間的に一皮剥けるということなのかなと理解していました。

そういう意味では、この電王戦も似たような効果を彼に及ぼすのではないでしょうか。

彼がコンピュータ将棋の代わりに指している姿を見て、私は「ヒカルの碁」を思い出しました。ヒカルの碁は、主人公の進藤ヒカルに、平安時代の天才棋士・藤原佐為(ふじわらのさい?)が乗り移って囲碁を指す、神の一手を指す・・・ところから、ヒカル自身が成長して自分自身の力で戦うようになる・・というようなストーリだったと記憶しています(違ったらすいません)。

コンピュータ将棋が将棋を指し、それを盤面に再現する。手つきはすでにプロのそれと大差ありません。しっかりした所作で着手していきます。

そして再現しているだけのはずの三浦孝介初段の手つきに徐々に変化が現れるのです。そのあたりはぜひ、ニコ生視聴者で普段将棋を見ない、今回の電王戦ゆえに見ている・・・という方には注目していただきたいです。

プロ棋士は通常、対局中対戦者同士が会話することはありません。盤上でお互いの指す手で会話しているわけですが、そのときにニュアンスを加えるのが手つき、駒の置き方・打ちつけ方です。

三浦孝介初段があたかもコンピュータ将棋の感情を代弁するかのように、着手する様をぜひ感じていただきたいと思います。

この勝負の代理指しを務めることで三浦孝介初段はプロ棋士の真剣勝負に、誰よりも近いところにいるわけです。この経験を通じて彼が何を得たのか・得るのか。それについては師匠の島朗プロか、三浦孝介初段ご本人のコメントを聞いてみたい気がします。

もちろんまだ修行中の身ですから実現しないかもしれませんが、彼がいつかプロになった日に、必ず聞いてほしいところですね。その日がとても楽しみです。



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島研ノート 心の鍛え方を予約しました!

島朗先生の本はいつも面白いです。定跡本でもエッセイ的なものでも。今回は後者にちかい本だと思います。以下、詳細。




目次
●心が将棋を指す●「空気」の研究●棋士の背負うもの●ほんの少しの意地●やせ我慢を貫く ●「格」:の正体●誇らない努力●不安を胆力に変える技術●一人で学べるもの●気力維持の動機づけ ●現状維持を評価する ●自分の欠点を認識する●勝利の落とし穴●絶望と不眠の関係●2日前の心得 ●失敗する練習 ●醸成から天啓へ●答えなき愉しみ●「待つ力」を鍛える●集中力の「めりはり」●最後がすべてを決める●枝葉末節の省略 ●「ベスト負け」が明日をつくる●ライバルを認める ●心を支える言葉 ●礼節の規範 ●わかりあえない「常識」●不変の距離感●叱責のない恐怖●無意識のパワー●「将棋魂」の表現●免罪符の日々

内容紹介
著者は「島研」を主宰し、羽生善治森内俊之佐藤康光という三人の名棋士の成長を十代の時からつぶさに見守ってきた。
著者は語る。「羽生善治という存在を中心として、佐藤康光森内俊之の追いかけ、追いつきそして並走し、また抜きつ抜かれつの、長い戦いの中で見せる棋士の弱さや脆さを、みんなが鍛錬の中で身につけた全人的強さで克服していく過程こそが、私が長年圧巻の思いで見続けている物語なのである」。
トップクラスで戦い続ける三人の、長持ちする驚異的な技術と、それを支える精神構造の秘密がこの一冊に結実している。
将棋ファンはもちろん、ビジネスマンにも参考になる「心の鍛え方」のヒントが満載である。



目次を読んでいるだけで、如何にも島朗節だなあと思ってニンマリしてしまいますよね。。今から楽しみです。


島研ノート 心の鍛え方島研ノート 心の鍛え方
(2013/03/29)
島 朗

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第70期B級2組5回戦


島朗が敗れて全勝者が広瀬章人だけになった10月7日の対局について。


田村康介vs広瀬章人

先手の石田流に後手が1筋の位取りからの居飛車穴熊。左側での等価交換では勝機がないと観た先手が端から攻めるがややありがたい展開で後手の広瀬章人が全勝を守った。将棋としてはやや雑な印象をもつ内容だった。


飯島栄治vs島朗
天才島朗が震災地の復興祈願を背負って、二走目でやや奮わない飯島栄治を迎え撃つ。一手損の最近主流の序盤から後手の右四間に。40手目ぐらいまでの展開は後手としては良い部類に入るだろう。

焦らない先手の指し回しで、後手は最近よく見かけるようになった、チェスでいうところの引き分け狙い的な上手風味の展開に。要は普通に開戦のチャンスがないため、先手に攻めてもらってのキャンセル待ちに近い。

こういうじっくりした展開は飯島の得意とするところで中盤からは完勝ではないか。


戸辺誠vs先崎学
千日手後、先手の石田流に後手の左美濃。この左美濃が強敵と見ていたが、この日の戸辺誠による戸辺攻めは素晴らしかった。後手の先崎プロがらしいといえばらしい、危険な受けを選択したために、投了図は先手の圧勝。

こういうのがあるので現実主義な私は二手目に△8四歩とするのだった(苦笑)。


阿部隆vs畠山成幸
ここ数年、感想戦が温厚になったという噂の阿部隆プロだが成績不調とリンクしているようでもあり、少し心配だ。

中座飛車の最新型で、後手中住まい+中原囲い、先手中原囲いの相中原囲い。

阿部に新手が出たが結果的には一手パスのような感じで後手の攻めが炸裂した。

燃料の歩を全部使い尽くしたところでピッタリ飛車桂の両取りが掛かった後は後手がよさそうだ。



森下卓vs神谷広志
千日手で先後入れ替わっての対局。

ゴキゲン中飛車から44と46で銀が見合いになってからの相穴熊に。正直この形というか相穴熊に興味がないのだが、大駒が全部先手にいき、その代わりに小駒が後手に溜まった局面の形勢判断が難しく、面白かった。

穴熊の堅さと脆さの両方を実感させられる展開で、私は好まないものの、将棋の奥深さの一端を担っている戦型であることは理解した。

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B2の面々の年齢をみると、少し、驚く。なかでも驚いたのが泉正樹プロがもう50歳になっていたことだ。20代は戸辺誠広瀬章人だけということにも驚く。この二人はやがて上にあがるはずだから、20代の数は一向に増える感じではない。



広瀬流四間飛車穴熊勝局集広瀬流四間飛車穴熊勝局集
(2011/04/13)
広瀬 章人

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将棋世界には、失冠後、自室に戻って泣いたと書いてました。ただしタイトル獲得の歓びを知ってしまったので、より良い意味で貪欲に精進していくのでしょうね。

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ダンディズム・島美学 第五回大和証券杯最強戦 ▲戸辺誠-△島朗


5月22日に行われた対戦。選出方法が大幅に変わって、登場メンバーががらっと変わった今回、ある意味一番目についたのはこの、島朗だった。観戦前にそれを呟き、選出方法について聞いて納得。

各段位から成績優秀者を選出し、高段位になるほど選出率が高いという方法であり、あわや順位戦昇級まであった島朗九段が選出されるのは当然だった。

島朗といえば55年組、というよりもバブル世代、という印象が強い…というと失礼かもしれないが、その時代を一番エンジョイしていた棋士、着こなしていた棋士という印象がある。

米長邦雄が対局に負けて窓から放尿しようとしたり、ホテルの大浴場まで裸で疾走している時、都内の高級ホテルのプールで、対局の記憶を徐々にリセットしている…そういう印象だ。

そんな都会派を代表するような島朗も今は地方在住棋士として普及に勤めつつ優雅な、ある種のセミリタイヤライフ、競技プロとしてのセカンドライフを送っており、このあたりもまた島朗らしい美学に彩られているなあと感心する。

島美学といえばもう一つあるのが、その投げっぷりの潔さ。窪田義行が悪形勢の利子で駒を失いながらも必死に自陣に金銀を打ち付けたり竜や馬を引きつけたりしている頃には島朗は自宅で就寝準備している…ぐらいの違いがある。

自身との戦い、というような負けを見切ったときの投げっぷりの良さは早投げのことを業界では「島投げ」といわれるぐらいだ。(嘘です、スミマセン)。

本局は、先手の5筋位取り型の中飛車に後手の亜急戦というか押さえ込み。一目アマだと先手の勝率が高そうな戦型。後手居飛車は先手の取り込みを逆用して盛り上がるが、玉が固くならないのと角が使えないのがポイントで、35手目における先手勝率が7割ぐらいあっても驚かない。

5筋逆襲策で後手から開戦したというか、先手の7筋への催促に乗った形だったが、一手、せめて3三角ぐらいになっているとまだ戦えるような気もするが、捌きあった後は、振り飛車ペースで進んだ。

50手目に△1四歩という手が出て、これで後手が勝つのであれば悠然としすぎているというか、優雅すぎると思った。戦いが始まってから、自ら開戦してのここら辺の二手はやはり勿体無かったようだ。

59手目の▲5二歩が勝利打点の味。並の島朗であれば既に東京駅で仙台行きの新幹線を待っててもおかしくない形勢だが、ネット棋戦の良いところ、島朗プロは既に自宅からの対局ということもあり、投げずに最後まで指してくれた。(注意:早く帰りたくて早投げしているわけではありません…)。

投了局面は取った手が竜当たりの先手でやむを得ない。

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この対局の解説が高橋道雄プロで、島朗の美学を知り尽くしており、同じ時代を戦った戦友同士にだけ通じ合う何か、を勝手に感じた次第。苦み走った中年男のダンディズムを感じた一局。というか勝ったのに殆ど戸辺誠プロについて触れずにスミマセン…。



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(2011/06/24)
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時代の変化 第69期B級2組順位戦

下位の一敗、或いは上位の2敗で決まりそうなB2クラス。1月14日の対局は直接対決が幾つか組まれており、それによって若干先頭集団がバラける事となった。

▲島朗九段-△橋本崇載七段

先手の3手目6六歩に対して振り飛車に構えるハッシープロ。昨年の横山大樹vs船江四段戦と同じオープニングだ。これであれば後手でも石田流に組めるし、相振り飛車になっても角道を開けている後手が先攻出来る可能性が高い。

この将棋は割と不思議な印象で、居飛車としてやりにくいのではないか?と思われた際に行われた飛車交換はどうだったのだろうか。

その後の応酬では流石に飛車交換の成算がありそうな局面もみえたのだが、進んでみると振り飛車側が必勝になっていた。理由としては、やはり飛車交換にあったように思う。

ハッシー一敗をキープ。島プロは二敗勢に後退した。


▲桐山清澄九段-△北浜健介七段

先手桐山清澄プロの相掛かり2六飛型に。どちらも相掛かりを得意としている棋士だ。

いわゆる尻出棒銀に。これは昔屋敷プロの得意戦法だったように記憶しているが、近い将来一手損中座飛車のようにリバイバルで流行るかもしれない。

私が相掛かりをやるときに、角道をなかなか開けない形もよくやるのだが、先手の形はそれに似ていたので真剣に眺めたのだが、その悪さを後手が指摘した格好。徐々に形勢の差が開き、と金を作ったところでは後手が良いだろう。

先手が最後の突撃を試みるも、後手北浜健介プロの詰将棋の創作・解答能力の名手であるところを示す寄せが出て後手の勝ちとなった。北浜健介プロはこれで二敗をキープ。


▲阿久津主税七段-△戸辺誠六段

年上で天才の称号を天才の集団であるところの将棋界においてもほしいままにしていた(過去形!)阿久津主税プロが、若手の出世頭、広瀬章人プロが王位を奪取するまでは渡辺明竜王に次ぐ出世頭だった戸辺誠プロを迎え撃つ。

ここで勝てば自力の阿久津主税プロは、ゴキゲン外しの三手目▲6八玉。もし、ここで居飛車の秘策があれば最強なのだが、そしてそれがあるのでこの手はアマのオープン戦ではほぼ使えないのだが。

この形にはほぼ戸辺誠プロは角道オープン型の四間飛車、途中下車型の石田流モドキを使っている。(というか振り飛車にする場合の選択肢はそれぐらいしかない)。

私の個人的趣味として、3三銀型の向かい飛車を持つのは相当に好きではない。この3三銀の罪は重く、4四銀、3三桂、2一飛車の形に出来たとしても、3二に居るであろう金の分、かなり良くならないと勝てない印象。

後手はもう先手の攻めに対する反撃しかなく、ある意味先手のミス待ちという感じになるが、91手目の3二歩をもって先手が良くなったと思う。どう応じても駒得が確定した瞬間であり、こういう駒の利きを弱める焦点の歩というのは、投入する資本が歩であるが故にリターンが確実に約束されている。

戸辺誠プロとしては、比較的珍しいように思われるが粘りようもなく、そのまま押し切られて負けとなった。これで阿久津主税プロとともに6?2になった。


▲森下卓九段-△中川大輔八段

未だ順位戦で勝ち星のない森下卓プロ。正直誰も、本人を含めこんなことになるとは思っていなかっただろう。幾つかのアッサリした負け方を前期以前は見たように記憶しているが今期においては、どれも接戦の末に敗れており、あの森下卓先生がB2でこのようなことになるとは、佐藤康光プロのA級降級よりもある意味衝撃的である。

特に今期は島朗プロと共に昇級候補に挙げていたぐらいなのだ。

この将棋もまた、接戦の末に中川大輔プロが勝ち、一敗をキープするのだが、矢倉の大家の森下先生が、失礼ながらにたかが右玉如きに本割の順位戦で敗れるとは信じられない。もちろん将棋は熱戦で、特に右玉党としては勉強になる戦いだったのだが、それでもしかし…。

++++++++++++++++++++++++

この結果、B2は以下のようになった。森下プロは勝ち星なく8連敗で降級点が確定した。森下先生が失礼ながらその他のB2の降級点持ちの方々よりも早くB2どころか、C1に落ちるという自体が起こるとは思えないのだが、次期最下位スタートということを考えると十分にありえる。本道の矢倉戦法に特化しすぎたイノベーションのジレンマ、j時代の変化に対応出来なかった、というようなことが森下先生に訪れているのだろうか?


【7勝1敗】中川(8)、橋本(15)
【6勝2敗】阿久津(3)、北浜(6)、島(10)、戸辺(21)
【5勝3敗】畠山成(17*)、飯島(22)
【4勝4敗】阿部隆(1)、野月(5)、飯塚(9)、南(14)、泉(16)、神谷(18)、窪田(19)
【3勝5敗】堀口一(2)、先崎(4)、青野(11)、安用寺(12)、土佐(24*)
【2勝6敗】桐山(20*)、佐藤秀(23*)
【1勝7敗】田中寅(13)
【0勝8敗】森下(7)



関連するタグ 戸辺誠 阿久津主税 島朗 中川大輔 橋本崇載 北浜健介 渡辺明 佐藤康光 阿部隆

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Author:将棋観戦
「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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