今日の見所 11/28(火)

11月28日(火曜日)の注目対局は以下の通りです。

王位戦 予選 橋本崇載vs渡辺大夢
橋本崇載 4勝12敗 先勝率0.125 後勝率0.375。
渡辺大夢 18勝5敗 先勝率0.733 後勝率0.875。
実力者ハッシーと好調な渡辺大夢。レーティング差ではほとんど差がない2人だが、今季の成績を見ると渡辺有利か。

王座戦 一次予選 島朗vs石井健太郎
島朗 6勝9敗 先勝率0.500 後勝率0.333。
石井健太郎 12勝9敗 先勝率0.750 後勝率0.375。
5連勝中の石井、最近の成績とレーティング差の通りで優勢か。

テーマ : 将棋 - ジャンル : ゲーム

Tag : 石井健太郎 島朗 橋本崇載 渡辺大夢

三浦孝介初段はこの電王戦で何を得る・得たのか?

三浦孝介初段。誰だかわかりますか?

将棋通、観る将棋ファン初段ぐらいだとこの名前をみて「ハイハイ、あの人ね」とピンとくるでしょう。

あんまり引っ張っても仕方ないので答えを書くと「第二回電王戦でコンピュータ将棋の代打ちならぬ代指しを全局務める・務めた奨励会員」です。

平成22年入会組のなかで出世頭、初段。年齢は15歳。加部道場の出身で、同道場からプロになった棋士としては、熊坂、阿部健がいますね。

この第二回電王戦の五局で己の棋士人生を賭けた戦いに挑む棋士たちに対峙した時間は、どのような効果を彼に及ぼすのでしょうか。

以前、よく言われたこととして「NHK杯で記録係を務めた奨励会員はプロになる」という伝説。確かになる人は多かったように思います。記録係がプロの対局を目の当たりにする機会というのは、記録係を務めれば当然あるわけですが、NHK杯というのは全国に放映されるということで当然一味違います。

そういう場を経験することで精神的に・人間的に一皮剥けるということなのかなと理解していました。

そういう意味では、この電王戦も似たような効果を彼に及ぼすのではないでしょうか。

彼がコンピュータ将棋の代わりに指している姿を見て、私は「ヒカルの碁」を思い出しました。ヒカルの碁は、主人公の進藤ヒカルに、平安時代の天才棋士・藤原佐為(ふじわらのさい?)が乗り移って囲碁を指す、神の一手を指す・・・ところから、ヒカル自身が成長して自分自身の力で戦うようになる・・というようなストーリだったと記憶しています(違ったらすいません)。

コンピュータ将棋が将棋を指し、それを盤面に再現する。手つきはすでにプロのそれと大差ありません。しっかりした所作で着手していきます。

そして再現しているだけのはずの三浦孝介初段の手つきに徐々に変化が現れるのです。そのあたりはぜひ、ニコ生視聴者で普段将棋を見ない、今回の電王戦ゆえに見ている・・・という方には注目していただきたいです。

プロ棋士は通常、対局中対戦者同士が会話することはありません。盤上でお互いの指す手で会話しているわけですが、そのときにニュアンスを加えるのが手つき、駒の置き方・打ちつけ方です。

三浦孝介初段があたかもコンピュータ将棋の感情を代弁するかのように、着手する様をぜひ感じていただきたいと思います。

この勝負の代理指しを務めることで三浦孝介初段はプロ棋士の真剣勝負に、誰よりも近いところにいるわけです。この経験を通じて彼が何を得たのか・得るのか。それについては師匠の島朗プロか、三浦孝介初段ご本人のコメントを聞いてみたい気がします。

もちろんまだ修行中の身ですから実現しないかもしれませんが、彼がいつかプロになった日に、必ず聞いてほしいところですね。その日がとても楽しみです。



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テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス - ジャンル : ゲーム

Tag : 三浦孝介 電王戦 島朗

島研ノート 心の鍛え方を予約しました!

島朗先生の本はいつも面白いです。定跡本でもエッセイ的なものでも。今回は後者にちかい本だと思います。以下、詳細。




目次
●心が将棋を指す●「空気」の研究●棋士の背負うもの●ほんの少しの意地●やせ我慢を貫く ●「格」:の正体●誇らない努力●不安を胆力に変える技術●一人で学べるもの●気力維持の動機づけ ●現状維持を評価する ●自分の欠点を認識する●勝利の落とし穴●絶望と不眠の関係●2日前の心得 ●失敗する練習 ●醸成から天啓へ●答えなき愉しみ●「待つ力」を鍛える●集中力の「めりはり」●最後がすべてを決める●枝葉末節の省略 ●「ベスト負け」が明日をつくる●ライバルを認める ●心を支える言葉 ●礼節の規範 ●わかりあえない「常識」●不変の距離感●叱責のない恐怖●無意識のパワー●「将棋魂」の表現●免罪符の日々

内容紹介
著者は「島研」を主宰し、羽生善治森内俊之佐藤康光という三人の名棋士の成長を十代の時からつぶさに見守ってきた。
著者は語る。「羽生善治という存在を中心として、佐藤康光森内俊之の追いかけ、追いつきそして並走し、また抜きつ抜かれつの、長い戦いの中で見せる棋士の弱さや脆さを、みんなが鍛錬の中で身につけた全人的強さで克服していく過程こそが、私が長年圧巻の思いで見続けている物語なのである」。
トップクラスで戦い続ける三人の、長持ちする驚異的な技術と、それを支える精神構造の秘密がこの一冊に結実している。
将棋ファンはもちろん、ビジネスマンにも参考になる「心の鍛え方」のヒントが満載である。



目次を読んでいるだけで、如何にも島朗節だなあと思ってニンマリしてしまいますよね。。今から楽しみです。


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テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス - ジャンル : ゲーム

Tag : 島朗 森内俊之 羽生善治 佐藤康光

第70期B級2組5回戦


島朗が敗れて全勝者が広瀬章人だけになった10月7日の対局について。


田村康介vs広瀬章人

先手の石田流に後手が1筋の位取りからの居飛車穴熊。左側での等価交換では勝機がないと観た先手が端から攻めるがややありがたい展開で後手の広瀬章人が全勝を守った。将棋としてはやや雑な印象をもつ内容だった。


飯島栄治vs島朗
天才島朗が震災地の復興祈願を背負って、二走目でやや奮わない飯島栄治を迎え撃つ。一手損の最近主流の序盤から後手の右四間に。40手目ぐらいまでの展開は後手としては良い部類に入るだろう。

焦らない先手の指し回しで、後手は最近よく見かけるようになった、チェスでいうところの引き分け狙い的な上手風味の展開に。要は普通に開戦のチャンスがないため、先手に攻めてもらってのキャンセル待ちに近い。

こういうじっくりした展開は飯島の得意とするところで中盤からは完勝ではないか。


戸辺誠vs先崎学
千日手後、先手の石田流に後手の左美濃。この左美濃が強敵と見ていたが、この日の戸辺誠による戸辺攻めは素晴らしかった。後手の先崎プロがらしいといえばらしい、危険な受けを選択したために、投了図は先手の圧勝。

こういうのがあるので現実主義な私は二手目に△8四歩とするのだった(苦笑)。


阿部隆vs畠山成幸
ここ数年、感想戦が温厚になったという噂の阿部隆プロだが成績不調とリンクしているようでもあり、少し心配だ。

中座飛車の最新型で、後手中住まい+中原囲い、先手中原囲いの相中原囲い。

阿部に新手が出たが結果的には一手パスのような感じで後手の攻めが炸裂した。

燃料の歩を全部使い尽くしたところでピッタリ飛車桂の両取りが掛かった後は後手がよさそうだ。



森下卓vs神谷広志
千日手で先後入れ替わっての対局。

ゴキゲン中飛車から44と46で銀が見合いになってからの相穴熊に。正直この形というか相穴熊に興味がないのだが、大駒が全部先手にいき、その代わりに小駒が後手に溜まった局面の形勢判断が難しく、面白かった。

穴熊の堅さと脆さの両方を実感させられる展開で、私は好まないものの、将棋の奥深さの一端を担っている戦型であることは理解した。

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B2の面々の年齢をみると、少し、驚く。なかでも驚いたのが泉正樹プロがもう50歳になっていたことだ。20代は戸辺誠広瀬章人だけということにも驚く。この二人はやがて上にあがるはずだから、20代の数は一向に増える感じではない。



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将棋世界には、失冠後、自室に戻って泣いたと書いてました。ただしタイトル獲得の歓びを知ってしまったので、より良い意味で貪欲に精進していくのでしょうね。

テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス - ジャンル : ゲーム

Tag : 広瀬章人 島朗 戸辺誠 畠山成幸 森下卓 阿部隆

ダンディズム・島美学 第五回大和証券杯最強戦 ▲戸辺誠-△島朗


5月22日に行われた対戦。選出方法が大幅に変わって、登場メンバーががらっと変わった今回、ある意味一番目についたのはこの、島朗だった。観戦前にそれを呟き、選出方法について聞いて納得。

各段位から成績優秀者を選出し、高段位になるほど選出率が高いという方法であり、あわや順位戦昇級まであった島朗九段が選出されるのは当然だった。

島朗といえば55年組、というよりもバブル世代、という印象が強い…というと失礼かもしれないが、その時代を一番エンジョイしていた棋士、着こなしていた棋士という印象がある。

米長邦雄が対局に負けて窓から放尿しようとしたり、ホテルの大浴場まで裸で疾走している時、都内の高級ホテルのプールで、対局の記憶を徐々にリセットしている…そういう印象だ。

そんな都会派を代表するような島朗も今は地方在住棋士として普及に勤めつつ優雅な、ある種のセミリタイヤライフ、競技プロとしてのセカンドライフを送っており、このあたりもまた島朗らしい美学に彩られているなあと感心する。

島美学といえばもう一つあるのが、その投げっぷりの潔さ。窪田義行が悪形勢の利子で駒を失いながらも必死に自陣に金銀を打ち付けたり竜や馬を引きつけたりしている頃には島朗は自宅で就寝準備している…ぐらいの違いがある。

自身との戦い、というような負けを見切ったときの投げっぷりの良さは早投げのことを業界では「島投げ」といわれるぐらいだ。(嘘です、スミマセン)。

本局は、先手の5筋位取り型の中飛車に後手の亜急戦というか押さえ込み。一目アマだと先手の勝率が高そうな戦型。後手居飛車は先手の取り込みを逆用して盛り上がるが、玉が固くならないのと角が使えないのがポイントで、35手目における先手勝率が7割ぐらいあっても驚かない。

5筋逆襲策で後手から開戦したというか、先手の7筋への催促に乗った形だったが、一手、せめて3三角ぐらいになっているとまだ戦えるような気もするが、捌きあった後は、振り飛車ペースで進んだ。

50手目に△1四歩という手が出て、これで後手が勝つのであれば悠然としすぎているというか、優雅すぎると思った。戦いが始まってから、自ら開戦してのここら辺の二手はやはり勿体無かったようだ。

59手目の▲5二歩が勝利打点の味。並の島朗であれば既に東京駅で仙台行きの新幹線を待っててもおかしくない形勢だが、ネット棋戦の良いところ、島朗プロは既に自宅からの対局ということもあり、投げずに最後まで指してくれた。(注意:早く帰りたくて早投げしているわけではありません…)。

投了局面は取った手が竜当たりの先手でやむを得ない。

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この対局の解説が高橋道雄プロで、島朗の美学を知り尽くしており、同じ時代を戦った戦友同士にだけ通じ合う何か、を勝手に感じた次第。苦み走った中年男のダンディズムを感じた一局。というか勝ったのに殆ど戸辺誠プロについて触れずにスミマセン…。



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Tag : ゴキゲン中飛車 島朗 戸辺誠 高橋道雄 米長邦雄