遺志を継ぐ弔合戦?第二回電王戦最終局▲三浦弘行vs△GPS将棋

第二回電王戦最終局▲三浦弘行vs△GPS将棋の途中経過について少し書きます。

先手三浦弘行で、事前の予想どおりやはり矢倉となった。そして三浦弘行プロの得意戦法である、脇システムへと進む。限定された局面を究極まで掘り下げる三浦弘行プロの特徴が最大限に活かせる戦型。トッププロもこの三浦弘行脇システムに幾人もやられている。

後手も追従するが人間であれば怖いと思う1筋の端歩を自分から突いた。人間であれば棒銀の当たりがきつくなるので指しにくいところ。



その端歩をみて、三浦弘行は角をバックする。棒銀の準備だ。




GPS将棋はそれをみて突如歩の突き捨てから攻撃を開始する。人間は一目で無理筋と判断する手順だが、深く好意的に理解するならば、やや無理気味の攻めでも後手番で玉が固くて先手の攻めごまが出遅れていれば、手になる・・・と判断したのだろう。

この日の解説は屋敷伸之。解説は安定の矢内理絵子。途中ゲストで出てきた声優の岡本信彦の将棋好きっぷりがガチ。3月のライオンのニコ生をタイムシフト視聴した時に知った方なのだが、イケメンボイスで、電王戦のニコファーレ開場のアナウンスを務めている方だ。

この人がどのぐらいガチか?というとどうやら子供の頃、研修会に所属していたらしいw そして棋力は驚きのアマ三段。普通に強いアマ三段だと思われる。将棋連盟の千駄ヶ谷の道場で三段なのでなかなかの実力だろう。

脇システムからこの後手の攻め。プロがみれば一目無理筋。無理攻め。ただし、先手の攻めごまが働くまでに時間があるので普通に攻め合いにはならない。ただし後手の攻めは受け止めることができるだろう。

コンピューター将棋の弱点は1四歩の危険度に気付けないこと。そして先手の陣形・攻めごまの配置をみてこれでイケると判断したことだろうか。

このイケるの判断の何が間違いだったのか?の具体的な解はおそらく、三浦弘行八段によって盤上に示されるであろう。

すなわち本譜の展開、押さえ込みだ。

コンピューター将棋はこういう模様を張る展開、入玉含みの展開というのは正確に把握できないようだ。そこで私が思ったのは、昔の棋士だったらもしかしてベテランの味わいで寄せ付けないのではないか、ということ。田中魁秀先生の顔がまず第一に思い浮かんだ。あとは、剱持松二先生のアマキラーっぷりがこういうコンピューター将棋の弱点を的確に突くのではないか…。

現在、14時50分68手目の局面だが、もはや攻め合いになることはありえない状況だ。先手陣の駒、金銀は6-8筋の4段目でゾーンプレスをかけている。


ぱっと見は先手がこのまま入玉を決めそうな感じがする。ただしGPS将棋が序盤で交換で得た金を8筋に投入したのは入玉防止を意図したわけではないだろうが結果的に先手の押し込みに対してバランスをとる手となっている。

時間があれば、先手が入玉して勝ちそう。しかし一手でも緩めばGPS将棋は的確にその計算能力をもって咎めにくる。まさに三浦弘行八段は自分との戦いになっている。

ここでふと思うのは、初戦から最終局まで、船江恒平プロの将棋以外は人間側が入玉含みの展開だったこと。そしてそのどれもがほぼ勝ちに等しい、それが言い過ぎならば、今後何巡もこの電王戦なりコンピューター将棋との戦いが続けば確実に入玉で勝つことが可能ではないかと思わせるものだった。

この最終局のニコ生を見ていると、米長邦雄の姿と言葉が何度も出てくる。

今になって思えば、この三浦弘行の対局まできてようやく、その米長邦雄の言葉が私にもすこし意味がわかりかけてきた気がする。

はじめから入玉を狙うのではなく、プロとして泰然とした態度で指し進めて、相手が終盤力を頼みに攻めてきたら、相手の人外の目の悪さ(遠くが見えない)ことを利用して、上手(うわて)のような手順で戦う。

米長邦雄曰く「羽生渡辺であっても、ちょっとカッコイイところを見せてやろうとしたら、危ない。コンピューター将棋のことを理解して指せば負けることはないと思うんですよね」とのことだったが、まさに三浦弘行八段が今、盤上でそれを実現させている。

さすがはタイトル経験者。さすがはA級棋士である。震えることなく、最も激しい作戦を採り、途中の手順でも最強の手を指した。そしてコンピューター将棋が金を変なところに打った瞬間、押さえ込みからの入玉を遠くに見据える。

これは既に先手が相当良さそうだ。人間、引き分けに持ち込める可能性が大、だと思うのだが。。



人間に勝つコンピュータ将棋の作り方人間に勝つコンピュータ将棋の作り方
(2012/09/29)
瀧澤 武信、松原 仁 他

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