地獄突き 第33期朝日アマ名人戦三番勝負第1局 ▲清水上 徹vs△早咲 誠和

第33期朝日アマ名人戦三番勝負第1局 ▲清水上 徹vs△早咲 誠和

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先手の清水上名人が中飛車に構えると後手の早咲挑戦者は相振りを採用した。序盤の駒組みは後手のほうが自然で、後手を持ちたいと思った。上からくる相手に対して銀冠というのは当たりが強いような気がしなくもない。少なくとも美濃よりは堅いのだが、駒組みに手が掛かるために、相手が本譜のようにシンプルに囲って攻められると銀冠の堅さが活きないような印象がある。

ただし後手の構えもそれなりに難しい。前期のB1、行方プロが対鈴木大戦で絶品の指し回しを見せたが、あのときは33桂馬は早めに飛んでいただろうか?あの将棋は2筋の歩も伸びていて、後手の模様が良かった記憶がある。そういう意味では25歩型を防いでいるだけでも本譜の先手の主張は通っているのかもしれない。

40手目の35歩には驚いたが大一番らしいこの対局にかけた想いが伝わってくるような手だった。ただしこれで後手からの打開は難しくなり、とはいえ先手からの攻め手はもっと見えない。どうするのだろうと見ていたときに指された手が49手目、驚きの▲15歩だった。

飛車の横利きが消えた瞬間のワンチャンス、確かに先手の左翼は攻めにならない、作戦負け模様だが、自玉側の端から攻めるというのは非常手段に思えた。

ただし55手目、ほぼ無条件で桂馬を取りきれるのであれば相当。このあたりは下手なりに受けが好きな私としては先手を持ってみたかった。木村一基プロも先手をもって勝ってくれるのではなかろうか。

ここからは延々と後手の攻め、先手の受け。完全に受けきるか入玉するしか勝ち目のなさそうな先手だが、覚悟と方針を決めてしまえば、わかりやすいといえばわかりやすい。

64手目の25歩は一目良さそうな手だった。49の傷と金銀の連係に将来的に影響を及ぼす、腰の入った一手。私レベルであれば、49の傷をみて、△16香車、▲同香、△36飛、▲同銀、△49角で27に銀を引かれる等で攻めが切れて、うーむ困った…となりそうなところだが、△25歩はぐぐっと力の溜めがある手だった。

対する先手清水上アマ名人の38歩は49角の筋を先受け緩和したような意味があるだろうか。26の銀や36の金が引くスペースを用意している感じもする。

71手目の26銀打ちで遂に先手が受けきったとは言わないまでも、後手の攻めに一息入った。77手目、先手が24の地点に馬を作ったあたりでは後手の攻めが頓挫したように私は思った。そう思った次の手が、加藤一二三九段がいうところの「これで攻めが繋がる見込みがたちました」という手だった。

個人的にはこの手の良さが分からない。前述の25歩は私レベルでも理解出来たが、この87角の意味は何だろうか。所謂B面攻撃と呼ばれるものだが、先手の攻め駒はそもそも9?7筋には居ないのでなんとなく空振り感があるのだが、じっくり桂馬香車を取っておけば負けはなく、飛車の苛められ具合の違いで後手が良い、ということなのだろうか。

私が先手を持っていた場合、87角に対する次の手としては21歩成が見える。同飛車と取らせて14の香車を取る。或いは76の地点を受けるような手、それらを本線・組み合わせ方を考えたいところだが、清水上アマ名人は95歩。恐らくは受けてもきりがないので反撃の味を持たせておきたいということだろうか。

ただし後の展開をみると、この手が疑問手だった可能性はある。本譜89手目までの展開を思うと、桂馬を取らせずに14の香車を取り切ることのできる21歩成や、無条件に77の桂馬をとられることによって生じた飛車いじめ、しかも9筋を逆襲されて逃げるのであれば、勿体無いやり取りだったと思われる。

後手に左翼の桂馬香車を取りきられて、ここで後手の負けは無くなった。相入玉があるかどうか?という展開になったが、後手早咲挑戦者の攻めが的確だった。9筋で得た香車を22の歩の裏側で使われたあたりではすでに先手に勝ち目はなく、後はどのように後手がまとめるか?という状況。

決め手は35銀。この手で先手玉の退路は絶たれ、程なく先手の清水上アマ名人が投了した。

5月30日日曜日(この記事がアップされる日だ)、朝八時半から第二局が行われ、2局を清水上アマ名人が勝てば、第三局が続けて行なわれる。(第二局第三局

かなりの作戦負け模様から上手くペースを掴んだ清水上アマ名人だったが、曲線的な戦いゆえに通常の将棋感覚が機能せずに苦労した印象であり、次は気分を替えて第三局に持ち込んで欲しい。(どちらかに肩入れしているわけではなく、面白い対局を沢山みたい、ということです)。



新・アマ将棋日本一になる法新・アマ将棋日本一になる法
(2008/08)
天野 高志清水上 徹

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お二人、及びその他アマ名人になったトッププロの人物伝、エピソードが満載の書籍。これを読んでアマ名人になれるとか、実力が上がる、という類の本ではないですが、トップアマの素顔横顔に興味があるのであれば、読んで損はないと想います。

私のお気に入りは天野高志さんの章です。何ともユーモラスな文章で失礼ですが、笑ってしまいます。

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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

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