【書籍紹介】「南の右玉」!!!今日買う将棋本はコレで決まり!


南の右玉という本が出ているらしい…。

これは右玉好きであれば絶対に買いの一冊だろう…。

■内容紹介
本書は南芳一九段が後手番の戦術について著した本です。
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△3三角▲4八銀に、△9四歩と突くのが南流の基本図。早い端歩は居飛車穴熊を牽制しています。タイトルは「南の右玉」ですが、そこから先手の指し方によって、右玉、振り飛車、袖飛車などを使い分けて戦います。

著者の考える後手番の極意は「臨機応変」。本人の実戦を元にした講座で、その極意を皆様にお伝えいたします。



ということなので、体系だてた本ではないかもしれないが、のらりくらりという言葉がピッタリの右玉らしい。

特にアマチュアでは「▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△3三角▲4八銀」の出現率がプロよりも高い。棋力が下がるほどに。

よくあるのが、「▲26歩、△34歩、▲25歩、△33角、▲76歩、△44歩」という手順を何故か居飛車党なのに使う人、じゃないだろうか。

相手の相掛かりを受けない・受けたくないという結果、何故かこうなっている居飛車党いません?そういう時にこの本がピッタリかもしれない。

あと、私のように知能指数が高くないタイプは体で覚えるという意味ではケーススタディ的な、厳格な手順ではなくざっくりこんな感じで、という本は好きだったりする。

右玉本は定期的に出るが絶版率が高いので、電子図書という手はあるものの、本気で二冊買ってしまいそうな自分がいる…。(カニカニ銀、武市本、高田流、右玉系、島朗の腰掛け銀などは全部2冊もってればよかったと思う)。


南の右玉南の右玉
(2011/09/21)
南 芳一

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以下、その他の私がもっている右玉本は以下のとおり。



とっておきの右玉 (マイコミ将棋BOOKS)

右玉伝説―右玉の秘法を伝授 (MYCOM将棋文庫)

ただし、右玉で上達するかというとしないと思う。本当に強くなりたい人は郷田将棋を理想として、居飛車で逃げない将棋を指すべきだろう。

右玉派で伸びるのは、詰将棋・終盤が大好きで序盤が本当にダメな人、窪田義行系の人だろうが、私は終盤力がないので序盤の貯金が重要だ…。




関連するタグ 右玉

テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス
ジャンル : ゲーム

右玉らしさ。 第4回朝日杯二次予選 ▲畠山鎮?△南芳一

関西の実力者同士の戦い。後手番の南芳一プロは密かに色々と勉強させていただいている。先手番では頑なに横歩を取らず、後手番では頑なに相手の得意を外す。実にアマが真似しやすい戦略。プロ的にはどちらもやや損の可能性があるが、それを具体的に勝敗に結びつけるのが難しいことは将棋というゲームの本質をご存知の方はお分かりだろう。

先手の畠山鎮プロは細くも鋭い攻めが持ち味。北浜健介プロも細くて五月蝿い攻めを得意としているが、それよりも無理っぽさがない…というと北浜プロに失礼だろうか。

本譜は相居飛車、角交換をしない形の右玉になった。

第4回朝日杯二次予選 ▲畠山鎮?△南芳一

右玉愛好家としては。個人的には、角交換しない右玉というのは銀で攻められることが明らかなので苦労が絶えないと見ているが、南プロの右玉は大抵これ。しかもこの右玉で豊島将之プロなど結構な実力者を屠っている。

右玉に対する方針は大きく分けて二つある。一つはじっくり囲って居飛穴など堅さで勝負!という将棋。もう一つは本譜や新人王戦の第二局でアベケンプロがみせたような速攻。

私レベルでの出現率は堅さ:速さ=7:3ぐらいだろうか。どちらが有難いかといえばどちらも有難くない。右玉は佐藤康光ならばいざ知らず、積極的に行くというよりは相手が何かやったらそれに反応する、という将棋なので基本的には最善を尽くされると負けるだろうなあと思って指しているところがある。

右玉にも色々な形があるが、後手番であればストレートに手損なく△7二玉?△6二玉型を(いつかその形にするのであれば)作りたいと思う。しかし本譜は速攻だったので、△6二玉?△5二玉型になった。善悪あるのだが、本譜は結果論として当りがキツくなっていたかもしれない。とはいえ、速攻されるとそれしか囲いようがないのでそれこそ結果論だ。

46手目の△2八銀が南芳一右玉の真髄。こういう僻地に歩を打ったり垂らしたり出来たと金をジリジリ引いたりして相手の緩手で差が急に詰まる…と勝ち、という展開が多い気がする。

52手目、角銀交換の駒損となるものの、どうせお荷物になる角なので、そして攻めに桂馬を参加させることが出来るのでよしとしたもの。この当りの感覚は、角交換型ばかり指している私としては参考になった。打ち込んで相手の金と刺し違える、というのは良くある話だが相手の攻めの銀と交換しても指せる(或いは仕方ない)と見ている。

58手目の局面。手番は先手、玉の堅さは先手、駒割りは▲角△銀桂香と三枚換えだが後手の銀が僻地にいる。先手の右側の駒が攻め駒だとすれば捌けているとも見てとれる。

59手目の▲2二角が感想コメントによると暴発だったようだ。言われてみると嘘でも納得する程度の棋力ではあるが、確かに備えているところ、玉から遠いところへの不足している大駒の打ち込みは後手からみてありがたい。

この辺の数手で双方攻め駒が捌け切ったものの、▲2三歩?▲2四飛の形が残っている先手の攻めが遅そうにみえる。

78手目、△1五角が勝てば勝利打点間違いないの味の良さ。これで負けるとはまさか思わないだろう。もし将棋倶楽部24でこの手が指せれば相手の考慮時間にツイッターを眺めはじめていてもおかしくない。

しかしここから自然な攻めの後手が突如難しく見えるのが右玉の怖いところ。駒得しながら先手玉を追いかけて悪いはずはない、と思うのだが入城されてみると良く分からなくなっていた。

ここで88手目の解説コメントにある感想での正着に驚く。「銀は成らずに好手あり」とはいうものの、ここで銀成らずがさせるのはそれこそコンピュータだけだろう。

そしてこれが右玉というものだろう。良さそうに見えてもあっという間に寄ってしまう不思議な玉。相手が腰の入ってない攻めをしてくれれば、するすると逃げられるのだが、一旦手がつくとこの金銀桂馬がどんな形だろうが、玉がどこにいようが直ぐに寄ってしまう。

本譜の敗着をもって南プロのミスだと言い切れないのは私が右玉党だからだろうか。

こういう終盤の一気に差が詰まる(実際には元々それほどの差がなかったにしても、実際に指しているとお互いに急接近しているように感じるはずだ)ところがあるからこそ、勝ったときの爽快感もひとしおなのだと思う。(こういう将棋ですら負けるから指したくないのだ、という意見があるのも分かるが…)。



とっておきの右玉 (マイコミ将棋BOOKS)とっておきの右玉 (マイコミ将棋BOOKS)
(2009/03/25)
細川 大市郎

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右玉伝説―右玉の秘法を伝授 (MYCOM将棋文庫)右玉伝説―右玉の秘法を伝授 (MYCOM将棋文庫)
(2003/08)
毎日コミュニケーションズ

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後手番一手損角換わり戦法 (スーパー将棋講座)後手番一手損角換わり戦法 (スーパー将棋講座)
(2009/08/06)
青野照市

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上記は右玉関連書籍。とっておきの右玉は狭いところまでみているので結構お勧めです。

関連するタグ 将棋 右玉 畠山鎮 南芳一 佐藤康光

テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス
ジャンル : ゲーム

左?右?変幻自在の佐藤康光玉 第4回朝日杯二次予選 ▲佐藤康光?△田中悠一

この日は午前二局、午後一局あり、どれも面白かった。元?振り飛車党の鈴木大介プロが田中悠一プロの石田流を受ける展開というのも、対抗形好きにはたまらないものがあるし、先崎学プロがケレン味たっぷりの、そして佐藤康光流を模倣したような序盤戦術に対して、本家?の佐藤康光プロが速攻で破る将棋も凄かった。

しかし右玉党としては、やはりこの将棋を取り上げたい。

第4回朝日杯二次予選 ▲佐藤康光?△田中悠一

先手の佐藤康光プロが後手田中悠一プロのゴキゲン中飛車に対して、佐藤流の自ら角交換をして端歩をつく作戦を採った。

この手順をみてマニアな将棋ファンはもしや?!と思ったはず。そう、将棋世界 2010年 12月号 [雑誌]のお好み対局、里見香奈戦で見せた、あの変態戦法が出るのではないか?という。

そして、佐藤康光プロが期待を裏切らずにその戦法がお目見えした。

盤面画像を用いずにその戦型の姿を説明すると。金銀の位置関係でいうと「清野流岐阜戦法」に似てなくも無い…と書いて分かる人には説明が不要だろう…。

金銀の連携はとても良い。銀二枚が6七と4七、金が5八と3八にある。丁度二枚の銀を一段下げて、一路右にずらした位置に金がある感じ。そして一段飛車が銀の割り打ちなどを防ぎ、桂馬が二枚とも跳ねている。

問題は玉の位置。玉が金二枚の間、4八に居ればこれは戦型としての良し悪しは別にして右玉と呼ばれる作戦になる。

しかしこの作戦における佐藤玉は6八の地点に居る。対ゴキゲン中飛車、佐藤康光流角交換型左玉戦法と呼べばよいだろうか。

この戦い方における先手の主張点は何だろうか。一つは後手の△2五桂ポンが無いことだろう。対ゴキゲン中飛車における佐藤新手の▲9六歩が最近指されなくなった理由は片銀冠+4四銀+3三桂馬の形からの後手のシンプルな攻めが五月蝿いということにあった。
とりあえず本譜の手順で玉を囲い、▲3八金と備えられれば前述の攻めは無い。ただとりあえずの目的としてはそれしかないようにも見える。ここからどうするのか?と見ていると、飛車を八筋に転回しての玉頭攻撃を行ったのだった。

こうなってみるといわゆる高田流などの左玉と同じであり、かつ通常の?左玉よりも右翼方面での関係において得をしている。

これらの得、高田流よりも得、従来の▲9六歩以降の形よりも得というのは局所的にみれば確かに得なのだが、広く対ゴキゲン中飛車として眺めるとこの「佐藤康光流角交換型左玉戦法」よりも分かりやすい戦法は沢山あるように思う。

よって恐らくはこの戦法は、一手損における「佐藤康光流▲2五歩位取り向かい飛車」同様にあまり流行らないだろう。

流行らないとは思うが、「佐藤康光流▲2五歩位取り向かい飛車」もしばらく愛用していた私としては、この作戦も試したいとも思う。

この独創性、一目変態的であってもちゃんと理路整然としている、人の目を気にせず独自の狭いところの棋理を追求していて、凄く得ではないにしろ成立している、という戦型を掘り下げる佐藤康光プロの姿勢を尊敬する。

藤井猛プロや佐藤康光プロのこういう姿勢が将棋を豊かなものにしてくれているのではないか。…というとカッコつけすぎで、単に私が用いる序盤戦術からの派生が容易であり、相手の得意形ではないことが明確だからである。そういう意味で、アマ向きだと思う。

後手がじっくりした関係で、先手の指し手が難しくなったのが58手目の局面。右玉系の将棋にいえるのは、両方の桂馬が攻め駒であり、出来るだけこの二枚の桂馬に働いてもらうのが重要ということ。

場合によっては(例えば相手が歩切れであれば)歩との交換や、単に取られること(例えば3七の桂馬を取らせている隙に寄せる)すら好手であることがある。

ということで桂馬交換の戦果に満足してヤドカリよろしく▲5七玉、▲4八玉とお引越しするのだった。ようやく先手玉の終の棲家を見つけた佐藤康光プロは63手目、▲2四歩から攻撃を開始する。

そこからのいちゃもんのつけ方は、角交換将棋ではありがちな展開。ちょっと気分が良いがこれで直ぐに良くするのはなかなか難しい。

本譜は桂馬を全部手にしてからの手順が流石だった。私的右玉の心得としては。兎に角桂馬を全部捌く。桂馬を沢山手にしたらまず使い切ることを考える。というものがあるのだが、本譜の佐藤プロの指し方をみて、その考えが正しかったことが分かった。

飛車角成り込んで桂馬を三枚後手に押し付けたところでは先手勝勢。そこからの寄せも淀みなく佐藤康光プロの完勝だった。

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振り飛車党側の気持ちにたって考えると。こういうマイナー戦法のために有限な研究時間を割くことは馬鹿らしいだろうから、それほど深掘りしないだろう。そもそも深掘りしがいのない(力戦調なので直ぐ逸れる)ので、初見で対応するだろう。

そうなると、こっち(右玉やら左玉やらをやる側)としては、逆に研究する価値はある。ゴキゲンが確定して局面を限定しやすいという意味ではアマでこそ流行りそうな戦法のような気がする。今でもアマでは相居飛車・対抗形かかわらず右玉が多いので。


将棋世界 2010年 12月号 [雑誌]将棋世界 2010年 12月号 [雑誌]
(2010/11/02)
不明

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現時点で、佐藤康光プロによる対ゴキゲン中飛車、角交換型左玉戦法についての細かい解説がされている棋譜が存在するのは上記の将棋世界しかない。

対振り飛車の糸谷流右玉の講座が載っている将棋世界が未だに重要であるように、上記の将棋世界も重要になる可能性があるので気になっている方は購入検討の余地があると思う。

関連するタグ ゴキゲン中飛車 左玉 右玉 佐藤康光 田中悠一 里見香奈 藤井猛

テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス
ジャンル : ゲーム

後方待機策 第41期新人王戦決勝三番勝負第2局 ▲加來博洋?△阿部健治郎

後手番でのMY定跡と思われる手順から右玉を見せた加來博洋アマがまた魅せてくれた。

プロの将棋、公式戦で先手番の雁木、しかも序盤の駆け引きの末ではなく最初から志向したものは久しぶりにみたというか殆どみたことがない。そして、右玉雁木右玉を先手番でやるということの得がどこにあるのか分からないが、盤上に示す個性としては十分なものがある。

ただし、プロの将棋でこの戦法で7割勝つかといえばそういう気はしない。ではプロのラインナップとしてこういう個性のプロがいては駄目なのか?といえばそうは思わないが、そういう個性のある棋士がトーナメントプロから引退しつつあるのは事実である。(名前を挙げると差し支えがありそうなので挙げないが…)。

一般的にMY定跡系は初見で見切るのは難しいにしても、その奥にある選択肢としては、広がりや深みがないのが殆どである。逆に言えば当初異端と思われていた戦法でもその先にある選択肢に広がりがあるものは、一般化していった。(中座飛車や一手損など)。

雁木についての私の印象は、平手将棋における駒落ち的な位置づけ、だろうか。基本的には守勢になるので、先攻の権利が相手方にあり、相手が正しく攻め続ければ対雁木側が勝つ、というもの。

私レベルであれば、相手の戦型が何であれ、経験値の差でどうにかなる(或いはどうにかされてしまう)ものだが、プロとアマを隔てるものとして、棋理では勝ちやすいと思われる戦型で勝ち切ることが挙げられるように思う。

そういう意味においては、本局もまたアベケン四段が負けられない将棋になったと思う。

第41期新人王戦決勝三番勝負第2局 先手:加來博洋?後手:阿部健治郎

戦型は前述の通り雁木右玉。しかも1筋突き越し型。それに対する後手はカニ囲いの棒銀に出た。蟹囲い、しかも完成している右玉への棒銀。右玉愛好家の私としては嬉しくなる展開だ。とはいえ、先手から攻める手も見えないので、攻めが続けば後手アベケン勝利、ということなのだろう。

後手の速攻に先手も端歩を突き越した代償を求められる。それが3八飛車の袖飛車。飛車先を伸ばしている暇がないのでそうするしか無かった。右玉で飛車の横、3八の地点に収まるのは私もよく経験しているところだが、この右玉プラス袖飛車という構想?は初めて見るような気がする。

袖飛車を咎めるべく、後手アベケンプロの後手番とは思えない積極策が出た。5段目で飛車を二筋に転回したのがそれ。玉飛接近の悪形の後手玉を、雁木で(先手からみた)左側が厚いのをいじらずに、ということだろう。ただし歩越し飛車なので簡単に決まるかどうか?飛車を渡すとカニ囲いは薄いということもある。

51手目の局面。割り打ちの銀を見せた垂れ歩に対して、玉を4八から4九に引いて受けたところ。
20101012_kaku.jpg
これぞ加來博洋、という手なのだろう。このあたりから徐々に加來博洋アマの世界に阿部健治郎プロが引きずり込まれているかもしれない。(或いはカニ囲いの急戦で、というあたりで術中にはまっている…というのは大げさでも、やはり望む展開になっていたかもしれない)。

三筋を攻め立てる構想の後手が迎えた正念場は63手目の局面だろう。観戦していたマッハ田村プロ曰く、ここで緩まずに一直線に攻め合って後手勝ち、という話だった。終局後に追加されたコメントによると、それで自信のない変化が見えたので自重したとのこと。

後手番で攻勢をとり、思ったような戦果が挙げられずに銀を後退した後の阿部プロは、そこからは千日手に持ち込めるのであれば持ち込む方針だったようで、千日手の局面が訪れるが、加來博洋アマが打開した。打開した後の101手目の局面は。手番は後手。玉の堅さも後手。駒割はなんと歩以外は損得なしという状態で、強いて言えば歩の数と持ち駒の数でやや先手だろうか。要するに101手目の局面でも優劣不明。

ただしこういう状況にならないと勝ち目がない将棋の加來博洋アマにとってはようやく望む展開になったと言えよう。序盤を思えば、雁木の金銀が全部捌けたと見ることもできるし、また終盤型の力戦将棋にありがちな、仕方ない仕方ないで指していると相手が間違って勝ちになる、という後方待機作戦が功を奏する可能性が出てきた。

敗着は128手目の△3八歩だったとのこと。同飛と取った手が、間接的に後手玉を睨む格好となった。変えて△7六角であれば後手が優勢を保っていたらしい。序盤から最後までなんとも右玉らしい展開で、加來博洋アマが自ら掴みとった勝利というよりも、重馬場に脚を取られた優駿が、持ち前の鋭さを活かせずに最後の1ハロンで地方馬がかわした、という競馬だったと思う。

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こういう将棋で三段リーグで5割5分以上の成績を挙げていたのは驚くべきことだし、恐るべき終盤力を有することの証明でもあるのだろう。しかし逆に、勝ち抜けなかった理由もやはりこのスタイルにあるのだろうと思わずにいられなかった。

10月12日からアイフォンでも棋譜中継が見れるようになったので、早速噂の大逆転、西川和宏vs加來博洋を見てみた。これもかなりの大逆転だが、右玉党だとよく理解できるのではないか。

混戦の末に、消耗しきった相手と、もとよりこういう将棋であることを覚悟している右玉。遅いが確実な、分かりやすい攻めが見えている右玉と、やや勝っているはずだが、緩むと一遍にひっくり返される状況。私レベルの話で恐縮だが、もうダメだ、こう指されると負けだ、こっちはn手詰めであっちは未だ詰まないけどキャンセル待ちしておくか、というようなことで拾える将棋が右玉おいては少なくない。

強い人でもやはり、そういう状況には変りはないのだなと、複雑な気持ちになった。

これで1?1となった。加來博洋アマにとっては、負けて元々、トーナメントの途中で何度も死んだ身であるし、そもそも三段リーグでのプレッシャーと比べれば、何も失うものはない。しかも、後方待機の、間違ったら許しませんよ、という将棋だ。かなりの精神的な有利さを確保しているように思う。

対する阿部健治郎プロは四段昇段後、ここ最近の若手では珍しく?勝ちまくっているが、ここで負けてはプロ全体の威厳に関わるだろう。プレッシャーは相当なものだろうが、これを勝ってこその新人王、若手の登竜門の頂点に相応しい。

右玉党としては、このまま加來博洋アマが持ち味を発揮して終盤まで競り合う将棋になって欲しいし、プロの将棋を愉しむものとしては、やはりプロの将棋においてはこういう右玉で天下を取らせないで欲しい、最善手を続けて勝ちきって欲しいという気もする。

いやー、それにしても強い人の雁木、しかも右玉、しかも先手番!というのは久しぶりに見た気がするし、そもそもそれで勝った将棋というのはいつ時代まで遡る話なのだろうか…。本当に驚いた。

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最強が最善 第41期新人王戦決勝三番勝負第1局 先手:阿部健治郎?後手:加來博洋

デビュー後8割超の勝率を誇る阿部健プロ。渡辺竜王の六連覇、3連敗からの4連勝の原動力となったのが渡辺新手として記されることとなった後手番の急戦矢倉だったわけだが、元々研究会の将棋で指したのが、三段時代の阿部健プロだったのは有名な話。

また、昇段の際の渡辺明竜王の評として「以前は序盤巧者で中終盤にひ弱さがあったが、それがなくなって四段になった」というようなことを言っていた記憶があり、てっきり序盤型の作戦家なのかと思っていた。指している将棋をみると力戦形での力強さも目立ち、どちらも得意とは凄い棋士だなと感心していたのだが、実はどちらかと言えば独自研究での力戦形、ということらしい。

対する加來博洋アマは三段リーグの勝率が5割5分ぐらいあり、上がってもおかしくなかった人。得意戦法は右玉模様のようであり、棋譜は見ていないが新人王戦の勝ち上がりでも多投していたようで、かなりの大逆転を2つ含む逆転勝ちの連続でここまで来た。

前期新人王が広瀬新王位であり、過去の新人王も殆どの棋士がタイトル挑戦以上を実現しており、小学生名人とともに、同世代でのトップであることを知らしめる格好の機会である。また、加來博洋アマにとっては、ここで勝てば、瀬川コースをもう一度、という嘆願まであるだろうから負けるわけにはいかない。

右玉を好んで指す私としては、どちらかと言えば加來博洋アマを応援したいし、8割勝っている若手が対右玉にどのような戦い方を見せるのかにも注目したいところだった。

第41期新人王戦決勝三番勝負第1局 先手:阿部健治郎?後手:加來博洋

後手は△3三角戦法。少し意外に思ったが、そこからの手順が面白かった。この組み方で右玉に出来るのであれば、手の損得だけでいえばかなり得だと思う。

38手目の△2九飛車で後手は準備完了。先手はまだ有効な手がある状態。形勢でいえば後手が良いわけではなく、玉の薄さはどこまで行っても気になるところだが、とりあえず組み上げたいと思われた理想型は築けたのだろう。

開戦は43手目。先手の▲5五歩から。この歩交換で普通に収めては後手が作戦負けになりそうだというのは、解説チャットの佐藤和プロ。渋いいい声をしている見た目が福山雅治風の好男子だ。

しかし右玉ということを考えると収めてどうだったか。本譜は先手の攻めが炸裂してしまった。というか、「最強の手が最善ではないby羽生善治」という言葉を思い出しながら見ていたのだが、本局については、最強が最善だった。

後手の56手目△4三金右が危険だったようだが、55手目の▲3四飛に持ち駒を投入して粘るならば、△4五歩と突っ張る手自体が駄目だったのかもしれない。

そこからは右玉党だと見慣れた風景。最善で粘っても自玉だけ終盤になっては勝てないとしたもの。結局先手玉には一度も王手が掛からずに終局となってしまった。

先手アベケンプロの圧勝劇だったが、右玉で負けるときというのはこういうものが必ずあるので仕方ない。加來博洋が次局先手番でどのような戦法を用いるのかが今から気になるところである。

右玉戦法関連書籍

上記は、糸谷流右玉の講座が載っていた将棋世界を含む、右玉に関する書籍リストです。

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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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