清水上徹さん五連覇! 第36期朝日アマチュア将棋名人戦防衛で。

1-1で迎えた第三局、振り駒で後手番となった清水上徹さんでしたが、見事勝利して五連覇を達成しました。

また、アマチュアタイトル初挑戦だった倉川さんは、初挑戦とは思えない震えない指し方、特にその積極的な指し回しには非常に感銘を受けました。

以下、簡単に感想を。

第36回朝日アマ将棋名人戦▲倉川尚 vs △清水上徹にて、棋譜を確認出来ます。

第一局に引き続き、先手番を引いた倉川さん。個人的には第二局の勝負を見ていて、これは倉川さんが先手を引いてそれでようやく勝負形かな?というつぶやきをツイッターで行いました。

それは倉川さんの棋力が劣っているとかそういうことではなく、このような大舞台でタイトル獲得がかかった時に、通常どおりの実力を発揮するのは難しくなる。

清水上徹さんはこの舞台だけではなく、あらゆるタイトルマッチ、プロアマ戦においての経験値がずば抜けているので、先手番を倉川さんがもって、またあの飛車先を決める指し方を観たいなと思っていました。

倉川さんの用意があって、清水上さんを翻弄?して、それでようやく勝負としては面白くなるのではないかと。


将棋はがっぷり四つの、膠着模様を迎えます。こうなったら、通常は千日手もやむなし、というのが最近の風潮だと思います。そういう展開でしょうか、というコメントもツイッター等では見られました。

しかし、私は倉川さんは打開するのではないか?とツイッターでつぶやきました。ここまでの積極性を失ったら良くない、と思っていたのではないでしょうか。

逆にいうと、そのぐらい自分を奮い立たせないと、一旦守勢に回ると経験値の差でつらくなると思ったのかもしれません。

第二局がまさにそういう将棋で、勢いの良さでは先後の得の差を埋めきれなかった、というような印象を受けました。

先後の陣形が全く同じ形で、しかし離れ駒の金の位置としては振り飛車側の金が一路玉に近い。この時点で倉川さんが仕掛けましたが、結果的にはこの仕掛けは不発だったようです。

加藤一二三九段が指摘していたような、二筋が薄くなったことをみて転戦するのが良かったようですが、このへんはやはり現役でほぼ唯一トッププロとして大山康晴名人やダルマ流の振り飛車を相手に戦ってきた加藤一二三九段の凄みを感じました。

78手目が振り飛車らしい、軽い好手。この手があるのであれば本譜の攻めは良くなかったです。

桂損を甘受し、反撃を狙うはずが、飛車の逃げ場所を間違って余計に自陣を削られることになりました。このへんでは私は先手はもう投げてもおかしくないと書きましたが、せっかくの大舞台、ここからの第二ラウンドもなかなかの見応えがありました。

しかし現実問題としての駒損は大きく、後手の清水上徹さんが危なげなくまとめて五連覇を決めました。

清水上徹朝日アマの感想コメント、倉川さんについての印象についてがなかなか興味深かったです。


そして倉川さんのコメントはアマ全体へのエールのようなものだと私は感じました。

お二人ともお疲れ様でした!そして清水上徹さん、五連覇おめでとうございます~!


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Tag : 清水上徹 倉川尚 ゴキゲン中飛車 加藤一二三 行方尚史

プロ将棋より面白い!…かも。第36回朝日アマ将棋名人戦第1局 ▲倉川尚 vs △清水上徹

第36回朝日アマ将棋名人戦の棋譜は、アマ連のウェブサイトで見れます。

昨日第一局目が、本日朝8時から第二局、決まらなければ午後から第三局が行われます。

挑戦者は倉川尚、タイトルホルダーは最強のアマ、清水上徹。現在四連覇中だ。奨励会修行経験のない純粋なアマとして小学生名人からあらゆるタイトルを総なめにしている。プロとの対戦成績でも善戦しており、プロより強いアマ、と言っても過言ではない。

倉川尚さんは元東大将棋部の主将で年代としては片上大輔プロと同じぐらい?おそらく大学中の交流もあったと思われる。学生時代から今まで特にアマタイトル戦での目立った記録はないと思う。しかし、プロにかぎらずアマでも若年齢化が進むタイトル争いの中、見事初挑戦を決めた。

プロもアマもかなり層が厚いのだということを今回の初挑戦で再認識した。

結果を先に書くと、倉川尚さんが熱戦を制したわけだが、その序盤作戦の練りに練った具合と、中終盤のねじり合いがとてもおもしろい将棋だった。また、実績としては劣る挑戦者が先勝したほうが、清水上徹さんには申し訳ないが盛り上がる、という側面もあるだろう。

振り駒で先手番を引いた倉川尚さんは、初手2六歩。振り飛車党に対して飛車先を決めるメリットのほうがあるかもしれない。特に一般的な研究将棋からMY定跡・MY研究方面に持ち込む意味でも。

それにしてもこのオープニングには驚いた。飛車先を決めてから自ら角交換。私は相居飛車のこのオープニングでは自分から角交換することが(最近は減ったが)ある。

なので電王戦の阿部光瑠プロがやった時にプロでもやるのか!と少し驚きつつ喜んだ記憶がある。今回のはもっと凝っていて、角交換してから端歩の突き越し。ゴキゲン中飛車の丸山ワクチンやら、後手のレグスペやら、あとは最近の藤井流の角交換振り飛車の手順を全部踏まえた作戦。

相手の清水上徹さんも振り飛車の専門家なので、この作戦の意図はすぐに汲み取っただろう。とはいえ、序盤で少し時間に差がついたのはもしかしたら大きかったかもしれない。

このへんは倉川尚さんの試合巧者っぷりが出ていたように思う。挑戦者が少し先行する形でレースを引っ張る形で、将棋が進んでいく。

丸山ワクチンvsゴキゲン中飛車っぽい展開で両者左美濃に。リスクを取らずに双方同じぐらいの囲いにできれば悪くない、と倉川尚さんは思ったかもしれない。後手はバランス重視で金銀分断の片銀冠になることが多いので四枚銀冠を構築することも想定していたとおりなのだろう。

後手のその代償は2五桂ポン。すぐにどうなるわけではないが、この桂馬が取りきられることは基本的には殆どないので、気分が悪いはずはない。

45手目の局面。後手は歩得だが、陣形の差で専門的には先手がやや指しやすいように思う。ただ具体的な良さにつなげるまでは遠い。そのように見るのが人間だと思う。コンピュータ将棋はどのように評価するのだろうか。

・・・と思ってGPS将棋にかけてみたのだが、面白いことにほぼ互角とみていた。理由は端歩の関係性をそれほど重く見ない、というコンピュータ将棋らしいところにあるような気がする。やや先手良し、というところであるいはそのほうが正しい見方なのかもしれない。

端歩は将来のための年金・貯金のようなものなので早死したら活きないものなのでw

中盤の難所、と思われるところで先手が端に桂馬を跳ねた。後手の飛車が二筋から五筋に転じた場面だ。この後手の桂馬は飛車を無力化出来るならば2一に置いてるよりも価値がある。相手玉側に近いところに成り込むことはそんなに期待していない。

そこで3筋になってもいいですよ、と先手は▲1七桂。それぐらい、飛車の活用を急がないと勝機がないとみたのだろう。もし3七に成ると双方の陣形をみたときに後手の左金が浮いているのが非常に目立つ。先手の飛車は二段目になりこんでくるので、銀ブラならぬ金ブラなのでよろしくない。

飛車を捌かせると勝てないとみた清水上徹朝日アマ名人は角を打ち込むことで二筋の歩を支える。先手の倉川尚さんも馬を作ろうと5三に手筋の歩を垂らす。角交換型の振り飛車ではよく出てくる手だ。

63手目の局面。ここが後手からみた頑張りどころだったようで、本譜は等価交換で馬まで先手に作られて飛車が隠居してしまったので後手が辛くなった。

局後の感想として示された手順はなかなか凝ったものだが、そこまでやって後手良しというものではなく、振り飛車らしい曲線的な指し回しでチャンスを伺うことが出来たはずだ、という感じ。

確か倉川尚さんはこの挑戦権を獲得した際の指し回しもかなり強気の震えない指し回しだったようだが、この日も初挑戦とは思えない堂々としたもので、流石に学生将棋でトップクラスである東大将棋部で主将を務めていた人はハートが強いなと思った次第。

清水上徹朝日アマ名人としては、この四連覇中にはなかったビハインドスタート。如何に震えない倉川尚さんとはいえタイトルが掛かればそれなりにクルだろうし、ここからは逆に清水上徹さんの四連覇の経験値が出てくるところだろう。

第二局は繰り返しますがこの後、アマ連のwebサイトで中継されます。動画系の何かがあるのか…は知らないですが、多分ないと思います。


棋士が数学者になる時 千駄ヶ谷市場3棋士が数学者になる時 千駄ヶ谷市場3
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先崎 学

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内容紹介
私は声を発した。
「詰んでただろ」
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「どこでですか」
「香を取るところ」
しばし木村の目が泳いだ。「どこですか」。
投了直後で興奮しており、図が頭の中で作れないのだ。
私はていねいに、先の変化を説明した。ふたりは同時に悲鳴のような声を出した。
(本文より)

特別な才能を持った選ばれた人間が、強いプレッシャーと戦い続けながら一手一手に魂を込め続ける棋士たちの日常。
高度な技術と強い執念がないまぜになった対局室には、今日も新しいドラマが生まれる。
先崎学が将棋そのものというテーマに真正面から挑んだ「千駄ヶ谷市場」シリーズ、ついに最終巻。

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