横歩…取らず!第72期A級6回戦▲佐藤康光九段-△三浦弘行九段

両者2-3で迎えた一戦。

ここで2-4になるか、3-3になるか、は果てしなく大きい差がある。先手が佐藤、後手の三浦は横歩取りに誘導するだろう。というのは事前の予想。からの、佐藤の横歩取らずが出現した。

取る局面で取らずに飛車をひくのではなく、玉をすっと5八に上がった。佐藤康光ここにあり、という将棋になった。

…と以前のようにまじめに書こうと思ったんですが、ちょっと時間がないので簡単にw

中原流の相掛かりのような序盤の駒組みを先手が見せたんですが、そこから手損で一転、玉を囲って。それから端で開戦。なかなかワタシ好みの将棋でした。

言い方は悪いですが適当に攻めていてもなんとなく繋がって、後手はしっかり受けてるつもりでも、いつまでたっても攻めのターンが来ない、という如何にも相居飛車の後手番辛い…という展開でしたね。

それにしてもガンガンいくと見せて、玉を結局88まで囲った手順は本当に勉強になりました。

なめちゃん二連敗、昨日の佐藤羽生戦とか。

いやー夏バテ…ではないのですが、だるいのと忙しいのと、色々有りまして…。

そういうのに合わせて棋力を削がれる…もとい気力を削がれるようなことがあると滞るわけです、ブログも。

ネガティブな意味ではなくて、温度管理を間違えるとゼリーが固まらない、茶碗蒸しが出来ない、スポンジケーキが綺麗に膨らまない、そういうぐらいの話ですね。

無理に抗うことなく、ただ酒の海に漂う…はい、禁酒日はノンアルコールビールに漂うと。

来週からの二週間と一週間もちょっとアレでしてまあ、滞ることもあるかもしれないけど、私は元気です。生きよ!

風立ちぬのぬはなんのぬ?多分僕の予想だとフランス語だと思うんですよね。パリジェンヌ、みたいな。フレンチ訛りの英語だと語尾がNで終わるような言葉が全部ヌに聞こえる気がするんですよね。テレフォンヌ、みたいにね。

だから風立ちん!ってのを、フランス人が喋ったのが風立ちぬ。です。はい。これは歴史的事実ですから、マジレス的突っ込みは不要です。ナントカ行ナントカ活用とかいいですから。フレンチです。

というわけで、僕達の夏は終わった・・・じゃないですけど、なめちゃんこと行方尚史が、団鬼六の予想を覆して羽生さんにですね、連敗したわけです。しかも内容的に先後でどうなんでしょうか、ちょっとどういえばいいのかわからないんですが、順当感っていうんですかね。そういう感じで負けてる。

王位戦の第二局も一応途中まで書いてたんですが、結果見る前にいつもどおりに。でも負けちゃったのでなんとなく書けなくてやめました。

でもまだ最低2つありますから、ぜひ盛り返して欲しいところです。諦めたらそこで試合終了だよ。ってことで。

そして昨日のA級順位戦、佐藤康光vs羽生善治。往年の名勝負、って感じですよね。野球だったら。村田兆治vs門田博光みたいな。古過ぎますか。

でも将棋界だとあとそうですね、二〇年は軽くありそうですよね。二〇年後の将棋界がどんな風になってるのか全く想像つかないんですが、どうかカジノゲームとして世界に広まっていて欲しいです。

解説者「日本人プレイヤーは漢字駒に慣れすぎていてシンボリックな統一駒での不慣れが活躍できない原因ですね…」みたいな中継とかあったりしてね。

で、まあ佐藤康光さん。例の角交換振り飛車にして。まあこのへんで居飛車党のファンはちょっとがっかりして。で、8七にと金作られて流石に辛いだろ・・・と思って。しかもなんか玉頭方面で桂馬取られちゃって。これもまたがっくり。


・・・と思いきや、全然難しい将棋だったと。そして先手が盛り返しての激しい玉頭戦。かなり盛り上がりました。どっちが勝ってるかわからない深夜一時過ぎ、クライマックスの後手玉詰むや詰まざるや。

いやー、佐藤康光さんに勝って欲しかった。この将棋は。まだ写真は観てないのですが、普段は棋譜だけ見れれば正直写真は…という感じでもあるのですが、今日はこれから観たいと思います。

残念無念。

あ、別に行われていた渡辺明vs郷田真隆はあきらたんの勝ち。角換わり腰掛け銀でした。

第二回電王戦の書籍、売れてるみたいですね。うちからも一〇冊ぐらい売れてます。評判もなかなか。未読の方はぜひこの週末、書店で手にとって観てください。もしかしたらすでに売り切れかもですが。。


第2回電王戦のすべて第2回電王戦のすべて
(2013/07/25)
不明

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内容紹介
「棋士がコンピュータに負ける――。
そういう日が遠からず来ることがあるとしても、そこに自分が対局者としているなんて、一体いつから想像できただろう」(佐藤慎一)

ニコニコ生放送で累計200万人以上が視聴した、プロ棋士VSコンピュータ将棋による世紀の団体戦「第2回電王戦」。
あの戦いの真実を出場者本人が語ります。プロ棋士5人による濃密な自戦記。プログラマーによる対局分析。観戦記、コンピュータの歴史を語る座談会など。
「第2回電王戦のすべて」のタイトルにふさわしく、血の出るようなあの戦いをあらゆる角度から振り返る内容となっています。

特に、プロ棋士による書き下ろし自戦記はいずれも渾身の内容。一局一局にテーマがあり、ドラマがあり、棋士の人生があります。

第1局 やるべきことをやった 阿部光瑠
第2局 一局入魂 佐藤慎一
第3局 鏡を通して見えたもの 船江恒平
第4局 チームで勝ちたかった 塚田泰明
第5局 強敵と指せた喜び 三浦弘行

放送では観ることのできなかった舞台裏、対局者の心の揺れ動き、終わった今だから言えること・・・。あの春の決戦のすべてが、この一冊に凝縮されています。



悪力?剛力! 第72期A級1回戦▲久保利明vs△佐藤康光

いやー佐藤康光すげえ。なんというか悪力というか剛力というか寧ろ剛力彩芽です!

まあ破壊力でいえばある意味剛力彩芽もなかなかですが…(ちなみに私は彼女のことを可愛いと思います。昔で言う…なんでしょうね?うしろの百太郎みたいで。

久しぶりにA級で久保利明の将棋が見れる。それだけで嬉しくなりますね。主に居飛車目線ですが、最強の振り飛車党を迎え撃つ、最強の居飛車軍という感じです。

久保利明ファンとしてはたまったもんじゃないと思いますが、見ててやはり1局ぐらいは純正振り飛車党がいたほうが楽しいですよね。

戦型は先手で端歩を突いたことによるゴキゲン中飛車に。後手の佐藤康光がいわゆる超速的な作戦を取る。個人的にはこの先手の作戦は寧ろありがたい気がする。端歩は居飛車の税金という言葉があるが、こっちがわの歩、玉側ではない端歩の価値というのは、やはり相対的に低いと思う。

久保の真意は定かではないが、左銀を超速に対抗する形で66に据えるのではなく、45までするすると出て行って玉頭銀のような展開を目指したように見えた。

しかしそれに対する後手の佐藤康光の応手がぶっ飛んだものだった。僅か24手目にして飛車先を突き捨てた。これは開戦の合図だ。次は普通の人間であれば、△7五歩からの飛車先突破だろう。

佐藤康光は違った。

飛車先を突き捨ててから、△5四歩。先手は中飛車である。歩が5五の地点にあり、位をとっている。どこかの時点で先手から▲5四歩と開戦するべきところだ。

それを突き上げた。いわゆる自玉の頭の歩を突く行為を地獄突きと呼んだりもするが、それに近い味わいがある一手。この一手をリアルタイムで見れただけでも、今月の五〇〇円の価値はあったように思う。

この手に対して、久保利明は棋士人生で一番の長考に入った。久しぶりのA級、準備した作戦。それが総て水の泡となる佐藤康光の踏み込みだった。

この手順の意味は、シンプルには先手の端歩を甘くする、というのがまずある。すぐに決戦してしまう。端歩を突いて、自陣の備えを犠牲にして銀を繰り出した先手に対して一気に決戦に持ち込もうということだ。

後手の陣形も良くないが通常一路振り飛車より戦場に近いところに玉を置いて戦う居飛車急戦を思えば本譜は割に合う条件だ。

何よりも先手玉がまだ一歩しか動いていないのだから。

もし端歩を突かなければこういう中飛車にはならないところなので微妙だが、同様に進んでいたとしたら玉の位置が四筋ではなく三筋にいたわけで、それと比較するとかなり先手の条件が悪くなっている。

この地獄突きの局面では微差だとは思うが後手が良いと思う。長考に沈んだ久保利明だったが、ここでは同銀しかなかった。

瞬間的だろうが、捌きのアーティストの駒達が一気に重くなった瞬間でもある。そういう意味でもこの佐藤康光の奇手は成功していると言える。

三六手目にどーんと△5三金と金銀交換を強要して、ついに前述の手の成立が確定した。あくまで積極的に必然の順を選択のしようがない道を強制する。

一瞬、捌きのアーティストっぽい手順が出るのだが、角銀交換の駒損で、いつもは捌けている久保の左翼の桂馬と香車は残っている。そして44手目に銀の押し売りが出て取れないようではやはり先手が辛いように思う。(取ると角を打たれて飛車金取り)。

48手目に△8八角と佐藤康光が打った時にまた久保利明が長考したように記憶しているが私は軽く▲6六金を第一感で読んだ。ただし、強い人はこういうところでしっかり指すもので、寧ろ▲8七金も考えたぐらいだ、という感想戦のコメントには驚いた。

先手が気を取り直して玉を二筋まで逃し、後手も玉の備えをしてから攻撃再開したのが62手目の△7三桂。このへんでは後手の角が劣化銀と化しているが、馬も手厚いので私は後手を持ちたいと思う。

ただし金銀の物量が先手の強みで、もし仮に戦果なく後手の馬が消えるようなことがあれば途端に後手が苦しくなる気もする。その程度の優位だろう。プロ将棋らしいバランスのとれ方だ。

ただ後手番で局面をつくりに行って微差とはいえ有利というのは精神的には良いものだと思う。

後手の桂馬の活躍が確定した66手目の△5六歩は勝利打点の味。乱打戦のような序盤から膠着した中盤で入った貴重な追加点、という印象の一着だ。実利をもたらす分かりやすい手。

その後飛車は取り合ったが、先手の唯一の主張だった金銀の物量が活きない展開となり、ほどなく佐藤康光が勝利を収めた。

手数としては100手程度の短い将棋だったが、序盤からの緩みのないやり取りで、非常に長く緊迫した局面が続いたので130手ぐらいの将棋のような充実感をもたらしてくれた。

やはり佐藤康光の将棋は面白い!剛力彩芽




行方、遂にタイトル戦初挑戦!第54期王位戦挑決▲行方尚史vs△佐藤康光(その2)

あまりに行方尚史プロの挑決戦進出がうれしすぎて、無駄に妄想が長くなりました・・・。繰り返しますが、その1は妄想がほとんどです。事実に基づいてはいるのですが、私の記憶力が悪すぎて事実関係が間違っていたり、曖昧になっていたり、あるいはBL調になっていたり。受けって書いてるのは、将棋のことですよ・・・。実際は攻めです・・・将棋の話ですが。

では遅ればせながら、将棋の話に戻ります。いや、最初から将棋の話だったんですが、棋譜の話というか、手順の話というか、ようは盤上の話にフォーカスします・・・。

先手は行方さんに。後手が佐藤康光プロだと、だいたい振り飛車の可能性があるので微妙だなと思ったんですが、行方尚史プロの初タイトル挑戦を期待する人間としては、良かったかもしれません。

行方プロは対振り飛車には勝ちまくってますからね。あの受けの強さというか、一手一手相手の狙いを封じていくところというか、木村一基プロとはまた一味違った振り飛車キラーっぷりがあります。

木村一基プロの振り飛車退治も絶品ですが、行方さんのもまた絶品です。この団塊ジュニア周辺の棋士は全般的に、対振り飛車は強いけど、相居飛車は羽生世代が絶対的王者すぎて・・・という印象がありますね。なのでむしろそこで突き抜けた久保さんとか振り飛車御三家方面のほうが、別方向からタイトル挑戦を決めた、というか。

後手はすぐに角交換するタイプの一手損角換わりからのダイレクト向い飛車。この形は結構最近流行ってます。糸谷哲郎プロや丸山忠久プロだと居飛車に構える形を得意としていますが、この佐藤康光プロが今回採った作戦のほうが、わかりやすいと思います。ただし、双方にとって、という面もあるわけですが。

おとなしくダイレクト向い飛車に組ませるのもあったと思いますが、後手の陣形を乱せるので先手は角を打ってその角を金と交換した結果、後手陣はぐちゃぐちゃ、という手順を選択します。

後手の言い分としては、手持ちになった角・金が手段を広げている、という点。ただ使おうとすると玉の守りに使うはずの金ですから、かなりのリスクが付きまといます。

いうなれば、
妻「お父さん、それは息子の給食費でしょ!」
夫「うるせえ、この金で明日のダービー絶対とってやる!」
みたいな感じでしょうか。違いますね。

先手としては、特に不満はないです。個人的には後手が相当無理してる作戦だと思うんですよね。ストレートに向かい飛車に組めたら不満はないものの、それを許さない先手、という現状があるので、なかなか後手はやりにくい。

これをもってうまく指せるのは、澤田真吾さんとか佐藤康光さんとか、そういうタイプな気がします。澤田真吾さんは私の個人的な印象では、中終盤が強い、特に形がゆがんでるほうが力が出る、という感じ。森信門下はそんなんばっかじゃんかよ!って言われそうですが、それぞれにちょっと違うんですよね。

また長くなるので割愛しますが。

というわけで後手は薄い代わりに手段が増えていると。これをまとめるのはかなりのセンスというか勇気というか、度胸というか、いろいろ必要なわけです。渡辺明竜王だったら、先手もってありがたいと思うタイプの作戦かと。

何気ない序盤の手順でしたが、少しだけ行方プロが変化します。微妙に。そこで長考するのが羽生世代。そしてこれをちゃんと咎めに行くのが佐藤康光

いきなり端に角打っちゃいました。甘栗むいちゃいました、ぐらいの気軽さ・・・ではなかったですが、なかなかの決断です。手持ちの金と角をどのぐらい上手く活かせるか?に後手の命運はかかっているわけですが、康光お父さん、すぐに勝負に行きました。

いうなれば、勝負どころのダービー・・・じゃなくて三レース目ぐらいに持ち金の六割をぶっこんだ感じです。負けると歩いて帰る、お昼ご飯はすうどん、というコースです。

そこでタイミングよく昼食休憩。後手の意欲的な角に対して、先手の行方プロはどうするか?というところだが、じっくりお昼休みに考えられるのがよい。それだけで持ち時間を一時間得した気分。

先手の応手はややひねった▲2七銀でした。なんにも考えないで手なりで指すとすれば、3七銀ですが、そこは野生の天然記念物ぐらいに警戒心のつよい行方プロなのでこういう受け止め方をするわけですね。手の意味と感触はあまり分かりませんが、なるほどと感心した一着ではありました。

後手は謎の囲いです。将棋ウォーズでこの囲いを完成させたらどういうエフェクトが出るんでしょうか?名称は何なんでしょうか?っていう。説明すると、向かい飛車ではよくある玉の位置ではあるんですよね。美濃よりも一路中央によった形。美濃と同じ銀と金の連携なんですが、一路中央より。メリケンとか、通常の向かい飛車ではよく見る形ですね。

ただ進展性に乏しいのと、玉のコビンが猛烈に左右とともに弱いのが弱点ですね、すぐ釣りあげられるので、ザリガニ囲いとかどうでしょうかね?エサはなんでもいいんです、動いてるものがあればすぐひっぱりあげられます。ソーセージとか桂馬とか香車とかつかえば、すぐひっぱりあげられるんですよね。。

ただ、今回のザリガニ、金がないんですよね。美濃囲いの金が。ザリガニでいえば、ハサミが一つ無い、そういう形です。ただし、奥さん!金がもう一つあります。この金がとっとことっとこ、前線に向かっていくわけですね。

角を打ったことで先手の攻めの銀を2七に配置させたことに満足して、通常であれば飛車のそばにある金を攻めに活用して、角は3二に転じて先手の玉頭方面に金と角で攻めると。飛車を使わない攻めですし、そもそも一歩損してるので、それほど先手からみて脅威と感じませんが、おもしろい戦いではあります。

・・・せっかく行方さん応援の記事なんですが、佐藤康光プロばっかり目立ってますが、仕方ありません、そういう将棋、そういう組み合わせなんです。

ただ、居飛車党目線ではありますが、こうなると初挑戦云々ではなく、先手番としては勝たなければいけない将棋だな、という気はします。

ただ、後手が飛車先を飛車だけでカバーして、33の銀も繰り出してきて角も3二において、桂馬も跳ねて・・・とかだと案外、先手の2七の銀が遊ぶ可能性もあって後手も面白いのかな?という気もしてきました・・・。

というか2七の銀を遊ばせないと後手としては面白味がない。そこが唯一のポイントのような気がします。

これを書いてたのはまだ先手好調だろうと思われていたころです。しかし今17時10分ぐらい。この時点では、まさかのどうしてこうなった?的な状況に。

まず先手の行方陣の金銀が全部三段目にあります・・・。後手の攻撃陣、守備陣は最大限に働いています。しかも四間に振りなおした飛車と守り一枚の銀の位置関係がこうなると抜群に良い。玉は薄いですが、銀が5一の地点をケアしていて後手陣に対する角うちの隙がありそうで無いんです。

そしてまさに先手の2七の銀だけがものすごく遊んでいるように感じられます。後手の3三の銀もお世辞にもいい位置とはいえないわけですが、なにしろ先手の銀が2七ですので、一路中央に近い後手の銀のほうが良い・・・という状態からさらに△4四銀となりました。

こうなると後手陣は全軍躍動という雰囲気。中押しまであってもおかしくないです。先手から攻める手がないので、後手の玉の薄さは全く気になりません。むしろ攻撃時の手ごまとして自陣にあるはずの金を攻めに使える。

ツイッター上でもどなたかが仰ってましたが、アイスホッケーなどで見られるパワープレイ、キーパーも攻撃陣に加わって攻めたてる・・・という状況に似てきました。

通常、パワープレイは不利なほうが逆転の望みをかけて行うことが多いのですが、今回は違います。ほぼ有利が確定している佐藤康光軍が、全員攻撃で籠城して徹底抗戦する行方城を打ち破ろうとしている、そんな情景です。

このタイトルは詐欺になってしまうので、そろそろ変えなければいけない、そう思い始めていますが、どうしても踏ん切りがつきません。もちろん私は佐藤康光プロのファンでもあります。でも、それでも・・・。

・・・とここまで書いたのは駒組み合戦の場面まで。両方の桂馬を佐藤康光さんが跳ねて、先手はかなりやりようが無さそうに見えましたが、結果は先手の行方尚史プロに幸いしました。駒組みまでは明らかに先手が良かったですが、仕掛けがどうだったか。佐藤康光プロらしい、自玉方面からの力強い攻めでしたがそれを逆用される形で形勢が逆転しました。

とはいえ、じゃあ他に手段があったかどうかわからないが、違うところから攻めると先手の2・3筋の凝り性だった駒がほぐれてしまう。結局将棋はこういう難しさを抱えているんですよね。どんなに悪そうでも暴発してはいけない、良さそうでも局面が動いてみるとそんな微差は吹っ飛ぶ。そういうのを再認識しました。

行方尚史プロがそこから順当に勝ったかといえばそうでもなく、本人の勝利インタビューでもありましたが、勝ちにしてから更に混沌としたわけです。混沌としたわけですが、行方尚史さんらしいぎりぎりまでは混戦でねじり合い、そしてここぞとばかりに抜け出してスパートする。そういう将棋を本局でも見せてくれました。

特に最終盤、角を切って銀を捨てて飛車を回るところはクライマックスなので見て欲しいです。また、その手前の1一の香車を取るだけ、のような手と、飛車を逃げただけ、のような手。突き捨ててどうするの?と思ったら5九に底歩を受ける・・・とか。このあたりの手順もかなり行方さんらしいので必見です。

こういうねじり合いで羽生善治王位ともよい接戦を演じるのですが、羽生さんもどちらかといえば、こういう曲線型のタイプで少しだけ上回っているので、タイプとしての相性というか、同族としての一日の長みたいなものを羽生さんには感じるわけですが、そろそろ時は来たはずです。ぜひ、これで感激してる場合ではないので、奪取を目指してがんばってください。

おめでとう!行方さん!

行方、遂にタイトル戦初挑戦!第54期王位戦挑決▲行方尚史vs△佐藤康光(その1)

今年の1月ごろに、来期(要は2013年の4月以降)は、団塊jrに注目である、特に三浦弘行と行方尚史に。みたいなことを自分で書いていたようです。すっかり忘れていますが・・・。

ちなみに、この文章は対局開始直後に書いています。タイトルは単なる私の希望というか熱望というか、情熱と冷静の間(あわい)です。あわい。

あわい、っていい言葉ですよね。恥ずかしながら、ポーカーの木原さんの本で初めて知りました。

思えば、行方尚史は強固なる羽生世代とその下の層の厚くクソ生意気な若手連中のあわいで漂う存在でした(すでに感傷モード)。

いつも時間ぎりぎりに到着する姿は、その真剣勝負の重みと、修行時代につけられた心の傷跡を観る者にも感じさせる。幼いころに上京し、一人暮らし。先生や同級生から「税金泥棒」とののしられる。こんな幼少時代を、団塊jrで送っている日本人はなかなかに少ないです。

そこから一流まで駆け上がる・・・ほとんど現代ではインドか中国ぐらいでしか見れない姿、まさにスラムドッグ$ミリオネア』(原題: Slumdog Millionaire)です。・・・そこまでじゃないですねw

信じられるものは己の才能と感性だけ。必ずプロになれると言い聞かせて向う奨励会の例会。そして負けるときもある。実家の両親のことを思うと・・・電話も掛けられない。そんなこともあったでしょう。(かなり私の勝手な妄想です)。

そしてようやくプロに。しかも19歳。将棋界ではそのプロ入りの年齢で大体の有望さが分かるといわれている。中学生プロで名人・竜王、十代でタイトル挑戦。そういう具合。

そしてプロ入り後の竜王戦トーナメントでブレイクする。6組優勝から挑戦者決定戦へと駒を進める。

ここで自身もそして周囲のファンも彼の今後の輝かしい活躍の姿を思い浮かべたことでしょう。19歳での挑戦者決定戦進出。相手は今なお棋界に君臨する羽生善治。

記者に誘導された形ではあるが、放った名言は「羽生に勝っていい女を抱きたい」。なんというか・・・ダイヤモンド・ユカイ?ってかんじですよね。隠し子で野球チーム1つつくるぜ?みたいな。

結果は挑戦ならず。行方野球団、結成ならず。そこからとてもとても長い時間が流れました。本当に、本当に長い時間でした。

その当時まだ生まれたての赤子だった私も、今では40代手前になろうとしています・・・。ウソです、同年代なので赤子ではなかったですねw

あの当時、まさかこの長きに渡って羽生世代だけが、君臨し続けるとは思っていなかったです。もちろん、活躍は続いていると思ってましたが、それ以外のその下の世代がこれほどまでに羽生世代に蹂躙されつづけるとは。

その責任の一端は、やはり行方・三浦という次の世代にあったように思うんですよね・・・。

一言でいうと、羽生世代が将棋の世界の中で突出すると同時に社会性を身につけて、言葉としては好きではないが、人間力を高めて将棋自体も深みを増していったのに比べて、なんとなく、子供のまま大人になっていったような雰囲気を感じた・・というか。

勿論、棋士というのは自由業でもあるし、基本的には全員、純真無垢な子供の頃の個性をあまり損なうことなくそのまま大人になったような人が多いです。それにしても、特に第一人者である羽生善治が軽々と越えていったある意味お約束的な部分、昔の言葉でいえば身を固めるというような部分があまりにも欠けていた・・・ように私には思えたというか。

これは他人の勝手な批判であると思われると困るので付け足すと、同世代からみた、この世代の悪い部分を鏡に映しだされたようで、私はどうにもいい気分がしなかったんですよね・・・。ある種の自己嫌悪に近いです(苦笑)。

それに比べると、中学生の時点ですでに、棋界を背負うことに自覚的であった渡辺明の老成っぷりがすごい。小学生のときに、夏休みは毎日アイス食ってたくせに、すでに大山康晴大名人のようなたたずまいを身につけ、若くして結婚もして、竜王御殿も建てた。あるいは、両親の独立心がその成長に良い影響を与えたであろう戸辺誠プロなどもそういう人間としての成長を将棋にうまく生かした代表でしょう。

それらに比べると、女性に初心そうな三浦弘行。「最新研究を教えて君」をして、「それはいかがなものか」と某氏にNHK将棋講座にかかれてしまうとか・・・。みうみう、それで仕方ないので西日本まで研究にいくようになったり。すごく純情すぎる・・・。

或いは女性にだらしない・・・かどうかはわからないけど、酒には寛容な日本社会としてもやや寛容すぎるきらいがありそうななめちゃん。おそらくは毎晩泥酔するまで飲み続けていたでしょう。勝負で覚醒しすぎた脳みそを強制的にシャットダウンするには仕方ないこととはいえ、徐々に年齢的にそういうのも翌日に影響が出るようになったはずです。

盤石の羽生世代という上蓋を破れずにいるうちに下からもワラワラと若手がやってくる。その若手連中も、もしジェイソンステイサムだったら、Cheeky bastard!って叫びたくなるような奴らなわけです。まるで昔の自分を見ているようだ・・・。もはや自身を若手と呼ぶものはいない。二日酔いのなか、いつもギリギリになるものの、勝負を捨てるわけにはいかない。

死ぬまで、自身があきらめるまで、その戦いの連鎖のなかにとどまり続けるしかない・・・。

なんて、シリアスに考えていたころが、私にもありました・・・(遠い目。

あったんですが、結婚して規則正しい生活をしてみたら、普通になんか勝っちゃったんですよねーというw

もともと、鋭い切れ味・・・を秘めつつも腰の重い、ねちっこい、リスクをギリギリまでとらない、如何にもプロ、っていう将棋を指す行方尚史さん。

その野生の王国のハンターのような、殺し屋のような棋風が結婚を境にして抜群に切れ味を増しました。冗談抜きで結婚後の将棋の棋譜の美しさは当社比200%増しです。200%増しできっと幸せになったんでしょうね。

結婚して幸せ太りもせずに、酒量もコントロールされて(誰に?w)、生活のリズムが規則正しくなって、コンスタントにぶれなく発揮されるようになった実力。もともとの才能はA級八段。天下一品ですからこうなると怖いもん無しですね。

一人で苦悩していた日々がいかに長かったか。必要以上に長かった気もします。渡辺明竜王みたいに、中学生で結婚していれば今頃10冠王だったろうに・・・(竜王は中学生で結婚してませんし10冠もありません、ねんのため)

流石に羽生世代もここからもう一段棋力を高めるという年齢ではありません。米長邦雄がこの年を境にして疲れるようになったなーとつぶやいたと言われる年齢にさしかかりました。棋力の向上ではなく、気力の維持、の世界に入ってきたはずです。

ようやく心技体充実した遅れてきた天才、その年代の出世頭だったはずの行方尚史がついにその才能を開花させる日が来ました。

ここで幸せ太りせず、家庭不和にならず、そして仮に子供が生まれたとしても夜泣きに悩まされず、仮に不動産購入を妻や身内にせがまれてもそれが負担にならず、将棋連盟まで通うのに不都合じゃない距離に買うことができて、あとはなんだろうな・・・羽生世代がまたいい意味で?期待を裏切って必要以上に長持ちせず、あとは渡辺明竜王が突如さらに覚醒して七冠モードとかにならなければ、タイトル獲得、少なくとも挑戦は確実だと思います。

はい、だいぶ前提条件が付きましたけど、この年代・年齢は大変なんですよ。。

長くなり過ぎたので将棋に触れる前にいったんCMでーすw



将棋世界 2013年 07月号 [雑誌]将棋世界 2013年 07月号 [雑誌]
(2013/06/03)
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将棋観戦記のプロフィール

将棋観戦

Author:将棋観戦
「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

また、あまり推敲することなく投稿しているので、観戦記内に誤字脱字、情報の誤りがある場合があります。お気づきの場合はコメント欄にてご指摘いただけると助かります。早急に訂正させていただきます。

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