【提案】プロ棋士とコンピュータ将棋の新しい関係【新手一瞬?】

■1.長考派の堀口一史座プロが考慮時間15分で投了?!

5/7に行われた、堀口一史座プロと佐藤和俊プロの対戦はゴキゲン中飛車に超速から新趣向をみせた堀口一史座プロに誤算があり、僅か44手で後手の佐藤和俊プロの勝ちとなりました。堀口一史座プロの消費時間はなんと15分でした。

投了図。44手目。




堀口一史座プロのスタイルとしては、最近の若手では結構普通ではありますが、研究局面まではすらすらと進めて、そこから未知の局面になると思う存分長考をする、というものです。

そういえば堀口一史座プロは記録的長考、たしか3時間近く1手に考えたこともあるので、そういう長考派ともいえる人がこんなに短い時間で投了するというのは両極端で面白いですね。

割とメリハリをつけるタイプですね。繰り返しますが、今の若手では結構多いスタイルですが、堀口一史座プロがこのスタイルを出し始めたときには、それほど評判がよくなかった気がします。

谷川浩司先生だったか羽生善治三冠(でたしか谷川先生)が、将棋世界かなにかで、既存の道のり・手順であっても少しずつ考えられるほうが怖い、凄みを感じる、というようなニュアンスの話をしていました。(長考については、その将棋では無駄になったとしてもいつか役に立つという話も)。

この批判?が堀口一史座プロをズバリと特定して指し示すものだったとは思いませんが、そういう風潮のなかで、いわばメジャー化させたところに堀口一史座プロの存在意義は確かにあったと思います。(過去形なのは特に変な意図はないです・・・終わった棋士だとかそういう意味ではないです)。

しかし、この15分の考慮時間、44手という手数についての批判がもしあってもそれは仕方のないことのように私は考えます。

渡辺明プロも事前研究していた局面がダメで負けにした将棋が前期のA級屋敷戦?であったように記憶していますし、研究には常に付きまとうリスクです。



■2.コンピュータ将棋との新しい関係

ここからは賛否両論あるかと思いますが、その時にコンピュータ将棋と、それを用いて研究の漏れの確認、深掘りのチェックを行う人間パートナーがいるといいのではないか?と思いました。

たとえば、ツツカナというソフト。

たった1台のPCでプロ棋士のトップ30ぐらいの実力を有する船江恒平プロを破ったソフトです。そして第23回のコンピュータ将棋選手権でも決勝リーグに残りました。

このツツカナを開発した一丸貴則さんは現在無職だそうです。(今回の活躍でもしかしたら、開発会社などからオファーがあるかもしれませんが・・・)。

私の妄想として、今後のプロ棋士はもっとプロアスリート的な進化を強いられるであろう・・・というものがあります。

プロ棋士のプロアスリート化、というのはシンプルにはコーチングやトレーナーを抱えてそれらと一緒に二人三脚で棋力を強化・維持し続ける、というもの。

その時に、実戦感覚の維持向上、詰将棋はすでに今のプロ棋士のやり方でもできてると思うのですが、定跡研究において、コンピュータを導入するとすれば。

例えば一丸貴則さん(とツツカナ)と契約する・・・というのはいかがでしょうか。

複数の棋士で、たとえば○門下一同とかで契約を結ぶ。で、特定の指定局面を都度送って解析してもらう。

勿論、プロから観れば頓珍漢な筋も読むとは思いますが、指定局面での深掘り・抜け漏れのチェックなどはかなり容易にできる気がします。どこまでスポンサー効果があるかはわかりませんが、企業協賛なんかもそこに連携できると楽しいですよね。

今回、またポナンザが将棋倶楽部24に登場しており、初日が17-2、2日目が12-0、通算で29-2という状況です(5/8午前中現在)。

その勝率だけではなく、内容にはとても目を惹かれるものがあり、とにかく怯まない将棋、それこそ攻めっ気100%の指し手がとても面白いです。(あわせて渋い好手もさせる)。

また、定跡局面で見せる謎の新手順。意外に難しそうで、30秒だから見切れないだけなのか、あるいは新定跡になりうるのか?というのはかなり興味のあるところ。(ポナンザの24降臨1日目もゴキ中vs超急戦でゴキ中側をもって物凄い手を指してました)。

もし研究パートナーとしてコンピュータ将棋がもっと活用されれば、勝負・興行という側面でも、将棋の解明、真理の追究としての学術研究という意味でも、とても面白くなるような気がします。

同じような将棋はつまらない、ということで独自の作戦を指す棋士がいるのは私はいいことだと思っていますし、とても好きです。中川先生、中田宏樹先生など。

その一方で定跡系の将棋の重要さももちろん理解していて、それがコンピュータ将棋によってさらに急速に掘り下げられる可能性があると思うと、とてもわくわくします。

今でも日進月歩といわれるプロ将棋の研究ですが、それがさらに加速して、新手一生が新手一勝になっただけではなく、新手一瞬になる可能性すらあるのではないかなと。

どうせ研究将棋、定跡将棋が横行?するのであれば、そこまでぜひ行ってほしいと思います。

今学術研究においてコンピュータを使わない分野というのはとても少ないはずですので、DBとしての活用だけではなく、局面分析にも積極的に活用する世界がくる・・・のではないかなと。(すでに行われているんでしょうけど、もっとおおっぴらに。)

そしてその時には、従来の研究手法で高められていたはずの棋力のどこかの部分が細るはずです。

ちょうど力将棋全盛だった時代から定跡将棋主流になって、失われたものがあるように。その時に、その補強にまた別のトレーニング要素が加わり、さらに人間棋士が強くなり、将棋が進化していくととても楽しいだろうな、と思いました。

朝から長々と妄想を書き連ねましたが、以上になります。。



棋士が数学者になる時 千駄ヶ谷市場3棋士が数学者になる時 千駄ヶ谷市場3
(2013/05/23)
先崎 学

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内容紹介
私は声を発した。
「詰んでただろ」
木村がきっと私を睨んだ。
「どこでですか」
「香を取るところ」
しばし木村の目が泳いだ。「どこですか」。
投了直後で興奮しており、図が頭の中で作れないのだ。
私はていねいに、先の変化を説明した。ふたりは同時に悲鳴のような声を出した。
(本文より)

特別な才能を持った選ばれた人間が、強いプレッシャーと戦い続けながら一手一手に魂を込め続ける棋士たちの日常。
高度な技術と強い執念がないまぜになった対局室には、今日も新しいドラマが生まれる。
先崎学が将棋そのものというテーマに真正面から挑んだ「千駄ヶ谷市場」シリーズ、ついに最終巻。


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基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

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