勝つべき微差 第四回大和証券杯 女流最強戦 2回戦第二局 ▲中村真梨花-△甲斐智美

この二人の対戦ということで相振り飛車のオープニング。後手が早めにつっかけて急戦調の将棋になった。

私は相振り飛車を指さないのでよくわからないのだが、味としては相居飛車の後手超急戦棒銀に似た雰囲気で、角道を塞いだ先手に対して後手が角のラインを活かしつつ、囲いを後回しにして攻めまくる展開に。

相居飛車では、こういう将棋の時に右金を応援に繰りだすと大抵受身一辺倒になるのだが、本局もそのようにして先手は飛車を4筋の受けに投入し、結果的に対抗型になってしまった。

先手は2八に追いやられた銀が一生使えない形であり、ここでは先手の中村真梨花女流から攻める糸口が全く見えない。後手の甲斐智美二冠にしてみると、解説の及川プロによって盛んに強調される微差ではあるものの、トッププロとして負けられない、勝つべき微差だろう。

後手がじっくり行く方針を見せて、そうなると勝ち目のない先手が動く形で戦いが始まった。2八の銀が使えないままなので、多少の駒損でも効率で優れば後手が勝ちやすい将棋となった。

私が対振り飛車で右玉を用いる時、10回に1.5回ぐらいはこういう振り飛車に上手く立ち回られて序盤でほぼ負けが確定するときがある。そういう時も落ち着いて辛抱して暴発せずに指していると、相手が厳密には良いものの、忙しい局面になることが比較的多いように思う。

67手目の局面がまさにそれであり、後手は良いものの、正解手を逃すと攻めが切れてしまう。特に桂馬から入る攻めは後戻り・修正が利きにくい。

しかし69手目の▲6八玉が痛恨の敗着。これがあるのが受け将棋の辛いところで、正解手を指し続けてなおかつ相手が間違ってくれて漸く勝負形、という。

再度攻勢を確保した甲斐智美二冠が誤ることはもはや無かった。

相振り飛車も漫然と組み合うだけではなく、隙あらば序盤からその不備を咎めるという緊迫感のある戦型であることを最近の女流棋士の将棋をみて知った次第。

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