今日の見所 12/25(月)

12月25日(月曜日)の注目対局は以下の通りです。

棋王戦 予選
中座真vs佐々木勇気

中座真 7勝12敗 先勝率0.286 後勝率0.364。
佐々木勇気 20勝11敗 先勝率0.643 後勝率0.688。
前回8連敗を逃れた中座。対する佐々木は勝ち負けを繰り返している。
過去の対戦では2勝0敗で佐々木が勝ち越し、レーティングでも佐々木が上となっており、佐々木の優勢は固いか。

戸辺誠vs上村亘
戸辺誠 10勝13敗 先勝率0.462 後勝率0.333。
上村亘 9勝14敗 先勝率0.167 後勝率0.600。
今期の勝敗が似たような両者。過去の対戦では上村が勝利しているが、レーティングでは戸辺の方が高い。
レーティングの差から戸辺は優位か。

テーマ : 将棋 - ジャンル : ゲーム

Tag : 中座真 佐々木勇気 戸辺誠 上村亘

振り子の行方 第24期女流王位戦第5局▲里見香奈女流王位vs△甲斐智美挑戦者

2勝2敗で迎えた振り飛車党同士の最終局。振り駒勝負は大きい。そして先手を引いた里見女流王位が居飛車を選択。後手はゴキゲン中飛車に。序盤の展開は第三局と同じで、第三局は序盤でかなり差のついた将棋に思われたが終わってみればなかなかの熱戦だった。

本局はどちらかが新構想を用意しているところで、男性プロだと勝っているほうが手を変えることが多いような気がするが、本局は後手が待ち構えていた。

第24期女流王位戦第5局▲里見香奈女流王位vs△甲斐智美挑戦者

その後、激しい応酬があった。結論からいえば、第三局の敗戦を大きな糧とする形で甲斐挑戦者がタイトル奪取という実を得ることとなった。

これは、私レベル同士でこの局面を迎えたら8割後手が勝つだろう、という局面が出現した。どちらかといえば、里見女流王位の選んだ道筋だったがすでに甲斐の準備の前ではどのような手順をとってもすでに苦しかった可能性がある。

これは八割方、後手の勝ちだろうという局面は66手目△4九飛打ちのあたり。後手の飛車は振り飛車の飛車なので守りごま、あるいは切るための駒だ。それが一段目にいる。先手の成金は遠い。4五の桂馬は取れそうで取れない。

後手の玉は不安定とはいえ、美濃は無傷。後手の攻撃陣はさばけていて駒得で、先手の主張点がほぼない局面だ。

先手が無理にでも手を作りに行くしかない場面だが、甲斐さんというのはおっとりした序盤と対照的に安定的な中盤の駒の運用には定評がある。特に最近では男性棋士の上村プロを相穴熊で破った将棋が微差を保ったままゴールした素晴らしい将棋だった。

あの将棋が甲斐さんのエンジンに火をつけたようにさえ思う。上村と甲斐は奨励会同期らしい。激戦の三段リーグを勝ち抜いた上村に勝ったことは大きな自信になったはずだ。

甲斐女流は鋭く才能のある手を繰り出すというよりは60点から80点の間の手でじっくりと局面を進めていく。終盤力は折り紙つきなので、それでも十分にお釣りがくる。慌てるのは周りばかり。一番読んでいるのは対局者なのだ。

終盤、△6三金と上がった手は、男性プロ棋士には違和感があったようだ。代わりに横山プロにしめされていた△6二金という手は美濃・左美濃からの進展形として覚えておくべき形だと思う。(鈴木大介先生などが示していた手順は甲斐さんが指す手順ではない気はするが、勿論有力だろう)。

この手を危ないとみるのは職業将棋指しとしては本能的なものなのだろう。成算の立たないところでは極力安全策をとる。それはどの職業においても特にリスクコントロールが重要なポジションにおいては当然のところだろう。

おっとりしているように見えてしかし、そこに踏み込む精神の強さを持っているのが甲斐さんなのだ。単にそこの感度が鈍い・・・のではなく、こういう手順について、感度がいい意味で心に響かないタイプなのかもしれない。

怖さを克服して踏み込むことで勝ち得るという場合もあるし、あるいは生来持って生まれた「ビビらなさ」が功を奏することもある。甲斐さんは典型的な後者のタイプ。物腰の優雅さ、上品さに騙されてはいけない。相当肝の座った胆力のある方なのだろう。

終盤の玉捌きも素晴らしかった。如何にも甲斐さんらしい少し丁寧に受けに回って良くしていく、あるいは悪くし過ぎないという指し回し。最終盤はちょっと差が開いた形で里美さんの投了となった。

聞くところによると、里見香奈女流はこれまでタイトル挑戦/防衛に14度連続で成功しているらしい。初タイトル挑戦では矢内理絵子女流にセーラー服姿で負けたように記憶しているが、その後は負けなし。

そういう相手に、三番勝負ではなく五番勝負で勝ったというのは本当に大きい。(この話はツイッター上でフォローさせていただいている方の呟きで私も確かに…と思った話です)。

負けた里美さんも振り飛車だけではなく居飛車に芸風を広げつつあるところでタイトル戦。しかも奨励会との掛け持ち、五冠というハードスケジュール。色々なものが積み重なっているなかでのものなので仕方ないところもある。

甲斐さんが、第三局の負けをこのタイトル奪取につなげたように、この敗戦・失位を活かして更に大きなものを得ることができるはずだ。

甲斐智美新女流王位、奪取おめでとうございます~!


角交換四間飛車破り (マイナビ将棋BOOKS)角交換四間飛車破り (マイナビ将棋BOOKS)
(2013/06/26)
屋敷 伸之

商品詳細を見る
内容紹介
藤井猛九段が創案し、升田幸三賞も受賞した「角交換四間飛車」。駒組みが容易で攻め筋は明快。振り飛車党の愛用者が日に日に増えている中、この戦法に手を焼いている居飛車党の方も増えていると思います。

そこで、救世主となるのがこの一冊。
「本書は、悩める居飛車党のために書いた『角交換四間飛車破り』である」(まえがきより)

この本には屋敷九段お墨付きの角交換四間飛車対策がぎっしり詰まっています。
▲2四歩交換、▲3六歩型、▲4六歩型、▲5六歩型、穴熊。
どれを選ぶかはあなた次第。これだけの武器を授けてくれるのなら、もはや角交換四間飛車恐るるに足らず!

本書を読めばにわか仕込みの角交換四間飛車はすべてカモにできるはず。
すべての居飛車党必読の一冊です。

テーマ : オセロ&将棋&囲碁&チェス - ジャンル : ゲーム

Tag : 甲斐智美 里見香奈 上村亘