プロ棋士負け越し 第三回電王戦第四局ツツカナvs森下卓

昨日電王戦の前にざっくりと将棋世界2014年05月号【Kindle版】(600円)を読みましたが、若手の対談系のが良かったですね。電王戦についても勿論触れられています。心に残ったのは森下卓先生の広瀬章人評ですね。

さて。

第三回電王戦第四局は既報の通り、135手で一丸貴則開発のツツカナがプロ棋士の森下卓に勝利し、ここまでの通算成績で3-1となり残りの屋敷伸之プロが勝ったとして3-2ということで、コンピュータ将棋ソフト側の勝利が確定しました。

プロ棋士としては団体戦となった前回に続き、2大会連続での負け越し。これを重く受け止めるべきかドウかということでいうと、重く受け止めるべきかもしれないのはすでに鬼籍に入っている御仁でしょう。とはいえあの方も責められるべきではない点としては、興行として成り立つ場が、チャンスが、あの時点ではなかったのかもしれません。

ぐぐっとお安くやっている現状ですが、あの対局禁止の当時に今と同じ予算感、ファイトマネーでできていた可能性があるのであればそれはまた別の話ですが。

いつかは越える、いつ頃越える?からの逆引きでグランドプランをつくってといういわゆる経営的な大局観が盤上以外では発揮されないのを不思議に思う声をよくききますが、盤上没我で棋力を高めてきた人生なので仕方ないです。

特に見ていて危険だなーと思うのはファンもプロも肩書にこだわる人が多いんだなということ。一般社会では肩書にこだわる奴にろくな奴は居ない…というのはほぼ通説というか常識になっている気がするんですが、割りとそういう所のこだわりがあるんですよね。。

だいぶ話がそれましたが、将棋の棋譜そのものの話に戻ります。

将棋は矢倉になりました。この辺りは研究の時にも大体が矢倉になっていたようです。しかしどの程度作戦的に用意した局面なり構想になっていたのかは良くわかりません。

ツツカナの手順は多少いわゆる通常ルートからするとずれている感じでしたが定跡ではなく自身の思考で似たような手順を進める事ができているのだとしたらこれは本当に恐ろしいことですね。

35手目、36手目の辺りがなかなか面白いと私は感じたんですが、人間ならば88に玉を入場させるところを優先したい局面でツツカナが欲張りに銀を出たんですね。で、人間的にはそれは許せないのですぐに森下先生は4五歩としたと。

四〇手目の局面では後手は菱矢倉といわれる、良い形とされている陣形に組み上がりました。先手も普通の矢倉で入城完了。

しかしですね、この局面でコンピュータ将棋は先手がまだよいという数字を出していたはずなんですよ。ツツカナ自身はしりませんが、ニコ生の画面上には少なくとも出ていました。となると、人間が思うよりもこの局面は数値的にみて後手が良いわけではないのかもしれません。

例の飛車先の交換のメリット(一歩手持ちにできるメリット)よりもデメリット(手損)のほうが大きい?とコンピュータ将棋ソフトがみているのと同じように。

私も居飛車党なのですが、こういう陣形は実はあまり好きではないです。攻めの銀が自陣にあって、戦線が上ずっている形というのはそこが争点になりやすいので。これは4筋が争点になるのではないか?とツイッターでは呟きました。

解説では行方さんか藤井さんが、五筋と四筋だったら5筋のほうがなんとなく良い、というようなことを言っていましたがどう考えても、四筋のほうが一筋敵玉に近いのでどうなんでしょうね。

要は飛車先交換は手持ちの歩よりも手損のデメリットを大きくみて、この将棋では銀のバックという手損よりも、相手の陣形を上ずらせて争点を作ったことをメリットとして観ている可能性がある、ということです。少なくともコンピュータ将棋ソフト界隈ではコンセンサスがとれていた局面だと思います。

こういう局面における複数のソフトの判定が人間の大局観のチューニングに活用出来るのであれば、人類はまだ進化できる余地を残していると思います。

プロが驚き、私も感動した手が、49手目の▲2六歩。これは本当に強い優雅な手です。舞うような手つきで羽生さんが指しそうな手でもあります。


そこから攻めの体勢をお互いに整えてからの55手目、▲5六歩には心底驚きました。攻めを呼び込んで引っ張りこんで受ける、という戦い方があるわけですが、ほっといてもそこに進めたいというか、後手としては有力な選択肢となっているのに、一歩与えてやってこいと、ツツカナは言ってるんですね。

これもどのみち得していた歩を渡すデメリットよりも、展開を限定させたほうがメリットがあると観ているわけで、人間の心理的な基準では選びにくい手だと思います。

とはいえ。67手目の▲8六同銀と後手の森下さんの突き捨てを銀でツツカナが取った時点では、後手が悪いようには思えない。ここが勝負どころだとして、局面を突き回せば人間側に後手側に勝ちがあるべきだと思う。

森下先生もこの前後の局面で深く読みを入れていた。その辺りが局後の人間の読みというものは…という発言につながっているのだと思う。ここの精査が完璧であればリードを広げているべき地点だったように思う。

私は控室で出ていたという、角を切ってから5九に銀の割り打ちして、玉頭を叩いて…という手順がかなり有力に見える。一直線の怖くてもやれそうな順、というのは一つの高度なアンチコンピュータ戦略だということは、豊島将之が前回示したところだろう。

森下先生の選んだ手順も各所に時限爆弾(いつでも取れる駒)を配置して、コンピュータ将棋ソフトが読めない一直線の水平線効果の彼方の手順の含みをもたせた局面を出現させており、これはこれで高度なアンチコンピュータ戦略だなあとツイッターでつぶやいたのもつかの間、八三手目の局面ではもはや私が後手ならば自信はない。

わーっと仕掛けてから歩切れになって、それから証文の出し遅れ的に端歩を二つついた後手が優勢なはずはないと思うのだが、対局後の森下先生は明るく、その辺でもまだやれるだろうと思っていたと答えていた。その受けこたえを聞いていると本当に楽観派なんだなと思いました。

そこからコンピュータ将棋が持ち前の圧倒的な終盤力を魅せつけて光速の寄せを決めたわけだが、森下先生の明るさもあってそれほど悲壮感漂うインタビューにならなかったのは良かったなと。

ひとり、司会進行役のエリリンだけがしくしくしており、それを思いやるように振り返りの大盤解説で多弁になる藤井先生と行方先生の優しさにはぐっと来ましたけど。



人間が負ける理由にはいくつかあるとおもう。一つはこういう大舞台の重圧。勝てていた局面があったのに負けた人たちというのはこのへんが関係していたように思う。あとは、戦型的な有利不利。将棋世界の最新号で戸辺誠プロが言っていたように、菅井さんも似たような思いで振り飛車をやっているだろうし、それで臨んだ。

あとは棋力として純粋に上回られている可能性。コンピュータ将棋側の関係者は、トッププロレベルにあると言っていたが、それはほぼ間違いないとしてそこからどうするのか。

来週は屋敷伸之プロが出てくるがそこで勝っても負けてもプロ棋士の負け越しが確定しているわけで、次回以降の開催についてどうするのか?誰がでるのか?については盤上の大局観を存分に盤外、実際の経営に活かしてほしいところだ。

正直、前回の電王戦の塚田泰明プロは好きだったが、今回のあのインタビューでの諸々の言動は軽率さしか現れておらず、ああいうバブル世代の軽薄さと、団塊世代のデリカシーの無さに辟易としている世代の会社づとめの人たちにはあまりよい印象を残さなかったのではないかな?と私は思ったわけですが…。(世代論意味ないのは分かる一方でよく特徴がでていたと思う)。

森下先生が対局後に手元に棋士用の盤駒をおいて、読み筋の確認をすることを赦すような仕組みがいいのではないか?という提案があったが、森下先生の敗戦という意味だけで言うと、その盤駒が手元になかったことが問題だったようには正直思えなかったが、良い提案であるとも思った。

ただしそれで本当に読みの補正がされるのであれば、というところがポイントで、他の人は分からないが詰将棋以外の中盤のところのやりとりで、感想戦ではなく自分の頭だけでやったときに、横に盤駒もってやるというのは、本当にすごく助けになるのだろうか?というのがある。

私の場合は、詰将棋は確実に伸びる自信があるが、対局を二つ行っているように、注意散漫になるような気がしてならないんですが、そんなことないですかね?読むという行為と並べて確認するという行為と相互の出し入れがあって、それで更に強まるのかどうか。でも詰将棋は確実に伸びるということはまあ伸びるのかな。

森下先生の案が受け入れられる前に、無責任に塚田泰明先生が発言してからやや修正したように、最強のメンバーで臨むしかないのではないでしょうか。二日制とかでもいいいんじゃないの?><


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電王戦第四局の解説に加藤一二三九段登場で揺るぎない…

加藤一二三九段の新著は負けて強くなる (宝島社新書)で、4月10日発売のようです。

その宣伝を兼ねてやってきましたが、揺るぎないです。

しかも話し方は不思議ですが言ってることはかなり真っ当なんですよねえ。

これ見て思ったけど、本番じゃなくてもいいから局面指定戦で、その局面最強の棋士が登場して戦うってのは面白い気がした。リベンジマッチがそれに近いけど、あれは人間が有利な局面だったので微妙だったけど、加藤一二三九段が求める局面からの指定局面戦。

どうですかね?

あとは誰がいいかなー、ノーマル四間飛車に加藤一二三九段の棒銀。それも観たいかな。とりあえずその二つを番外編としてやりませんか?ドワンゴさん?

あ。電王戦第四局ですが、いきなり人間にもやれそうな展開になってきましたねーすごくワクワクしてきました!

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Tag : 加藤一二三 ツツカナ 森下卓

そろそろ始まる!第3回将棋電王戦 第4局 森下卓 九段 vs ツツカナ

うおおおおおおおおおおおおお!!!!!><

大興奮ん!><

・・・失礼しました。しかし朝から興奮して10キロ走ってきましたが、まだ走り足りないぐらいなのであと10キロ走ろうかなと思ってますがそろそろ電王戦第四局が始まるので自重して、将棋世界14年5月号【Kindle】を読みながら筋トレしておきます。


第3回 将棋電王戦 第4局 森下卓九段 vs ツツカナ

おそらくは相居飛車の将棋になるでしょう。先手は矢倉志向ですかね。後手がどういう戦型を求めるか?ですが、力戦系になるかもしれませんね。角換わりか相掛かり調の力戦。丁度、船江恒平ツツカナ戦に近いイメージの戦いを予想します。そしてある程度、阿部光瑠、豊島将之、船江恒平(リベンジマッチ)的な展開も予想しておきます。

いやー楽しみ過ぎます。将棋世界14年5月号【Kindle】のあっくんインタビュー読みながら筋トレして興奮を鎮めたいと思います!><

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Tag : 森下卓 ツツカナ

これ、面白かったですか? 電王戦リベンジマッチ 船江恒平五段 vs ツツカナ

あけましておめでとうございます。朝型過ぎて毎年除夜の鐘を聞けない私です…昨晩も子供よりも早く寝てしまいました…。

で、電王戦リベンジマッチ 船江恒平五段 vs ツツカナなんですが、いかがでしたでしょうか?

対コンピュータ将棋ということでいうと、勝つ時は圧勝、競り合うと負ける、というのは一つのパターンではあるんですが、この将棋は棋譜として見た時に面白かったのでしょうか。

もちろん、棋譜は双方対局者による共同作業の賜物なのでどちらが悪いという話ではないのですが、これがドワンゴ?ニワンゴ?なり、日本将棋連盟が目指している電王戦のあり方の方向性なのだとしたら、かなり詰まらないかもしれない…というのは正直いって思いました。

ここまで振り返ってみると、第一回の米長邦雄の新米長玉も、最近ぼちぼち明かされつつあるボンクラーズ伊藤氏によるエピソードを思うとすでにこの流れの萌芽というか、そういうものが見えているような気がします。

第二回の阿部光瑠戦、塚田泰明戦。前者は勝ちこそが意義という意味ではプロらしさを示してくれた阿部光瑠プロですが、模範演技のような感じで、後者は勝負としては感動したものの、将棋自体は私は途中で観るのをやめて飲みに行ってしまいました。

で、今回のリベンジマッチですが、あの△7四歩は開発者が意図的にセットしたものである、ということをすっかり私は忘れていました。そして設定そのままで勝負を行うということは、あれが残った状態で戦うということだったんですね…。

言わばかなり期待勝率が後手に条件の悪い状態での指定局面戦だったという。ここをすっかり忘れていたのでした。。

ただ、対局後のインタビューだと思うんですが、事前の練習では勝率五割とか、船江恒平プロが振り飛車にしようかと思っていた、という話について、いまいち理解してなかったのですが、つまりはそういうことだったのですね。。

空手の型の演技、みたいな催し物に今後はなっていく…可能性があるなあ、という気がひしひしとします。

もちろん、川上会長が言っていたハードを一定にして、ソフトの強さで競わせたいというのは意図としてはF1のレギュレーションのようなものなので理解出来るところ、としていたものですが、なんというか、その結果出てくる姿が、ソフトのバグではないにしろ、癖をつく指し方での勝利ということであれば、そしてそれを正当化するのであれば、このイベント自体のあり方としては、少し変わってくる気がします。

今になってボンクラーズの伊藤さんが当時のことを振り返りつつある理由もなんとなく分かるような気がしてきます。その当時から、まさか貸与でああいう指し方になるのであれば、貸さないほうが良かったという伊藤さんの発言があったような気がしますが、主催者側が興行面に重きをおいて、対局者が勝負にこだわる結果、必然的な方向性としてこういうものになってしまうのであれば、これはどうなんだろうと。

極論、うまく癖を捉えたら勝ち、ただし棋譜としての感動は人間同士、プロ同士のようなものはない。むしろ人間が負ける時にこそ、勝負の面白みや棋譜の素晴らしさが出てくる可能性があるという。

なんとなくこの姿はやはり古代コロシアムでの人間対猛獣の戦いに似ているような気がしますね…。

人間賛歌であり、大変な重圧のなかでこのオファーを受けて勝ち切った船江恒平プロの評価が下がることはもちろんないですし、私も人間を応援していたわけですが、この棋戦に関する気持ちとしてはなかなかに複雑なものがあるのも事実です。

人間が追い越される前に、同じぐらいの実力で競り合っている時に、普通の将棋で普通にぶつかり合って、その結果どちらが強いのか?という勝負が見たかった・観たい、という気持ちがとても強いですが、大会のルールがその実際の意図はさておき、そういう勝負から遠ざかる結果になっていることに、主催者側が目をつぶっているとは言わないものの、誰もが最善を尽くすと、結果遠ざかることは間違いないだろうな、というのを確信しました。

その時に、そういう枠組みを無視して「感動をありがとう!」といえるのか、白けてしまうのか?は良し悪しではなく、その人の人間性だったり考え方に依存するところはあるだろうなと。そしてどちらのリアクションが生じたとしても、それはそれぞれの捉え方であり、どちらの反応も否定されるべきものではないでしょう。

私個人としてはやはり後者になってしまうかなあ。しまいつつ、それでも塚田泰明の涙に感動する自分も居ることは居るんですけどね。なんとも煮え切らない複雑な気持ちです。。


ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか (一般書)

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Tag : ツツカナ 大崎善生 船江恒平 三浦孝介 一丸貴則 電王戦

電王戦リベンジマッチがそろそろ始まりますよ!

電王戦リベンジマッチ 船江恒平五段 vs ツツカナで見れます!

これから私も見ます!!

がんばれ、船江恒平!!


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