行方、遂にタイトル戦初挑戦!第54期王位戦挑決▲行方尚史vs△佐藤康光(その1)

今年の1月ごろに、来期(要は2013年の4月以降)は、団塊jrに注目である、特に三浦弘行と行方尚史に。みたいなことを自分で書いていたようです。すっかり忘れていますが・・・。

ちなみに、この文章は対局開始直後に書いています。タイトルは単なる私の希望というか熱望というか、情熱と冷静の間(あわい)です。あわい。

あわい、っていい言葉ですよね。恥ずかしながら、ポーカーの木原さんの本で初めて知りました。

思えば、行方尚史は強固なる羽生世代とその下の層の厚くクソ生意気な若手連中のあわいで漂う存在でした(すでに感傷モード)。

いつも時間ぎりぎりに到着する姿は、その真剣勝負の重みと、修行時代につけられた心の傷跡を観る者にも感じさせる。幼いころに上京し、一人暮らし。先生や同級生から「税金泥棒」とののしられる。こんな幼少時代を、団塊jrで送っている日本人はなかなかに少ないです。

そこから一流まで駆け上がる・・・ほとんど現代ではインドか中国ぐらいでしか見れない姿、まさにスラムドッグ$ミリオネア』(原題: Slumdog Millionaire)です。・・・そこまでじゃないですねw

信じられるものは己の才能と感性だけ。必ずプロになれると言い聞かせて向う奨励会の例会。そして負けるときもある。実家の両親のことを思うと・・・電話も掛けられない。そんなこともあったでしょう。(かなり私の勝手な妄想です)。

そしてようやくプロに。しかも19歳。将棋界ではそのプロ入りの年齢で大体の有望さが分かるといわれている。中学生プロで名人・竜王、十代でタイトル挑戦。そういう具合。

そしてプロ入り後の竜王戦トーナメントでブレイクする。6組優勝から挑戦者決定戦へと駒を進める。

ここで自身もそして周囲のファンも彼の今後の輝かしい活躍の姿を思い浮かべたことでしょう。19歳での挑戦者決定戦進出。相手は今なお棋界に君臨する羽生善治。

記者に誘導された形ではあるが、放った名言は「羽生に勝っていい女を抱きたい」。なんというか・・・ダイヤモンド・ユカイ?ってかんじですよね。隠し子で野球チーム1つつくるぜ?みたいな。

結果は挑戦ならず。行方野球団、結成ならず。そこからとてもとても長い時間が流れました。本当に、本当に長い時間でした。

その当時まだ生まれたての赤子だった私も、今では40代手前になろうとしています・・・。ウソです、同年代なので赤子ではなかったですねw

あの当時、まさかこの長きに渡って羽生世代だけが、君臨し続けるとは思っていなかったです。もちろん、活躍は続いていると思ってましたが、それ以外のその下の世代がこれほどまでに羽生世代に蹂躙されつづけるとは。

その責任の一端は、やはり行方・三浦という次の世代にあったように思うんですよね・・・。

一言でいうと、羽生世代が将棋の世界の中で突出すると同時に社会性を身につけて、言葉としては好きではないが、人間力を高めて将棋自体も深みを増していったのに比べて、なんとなく、子供のまま大人になっていったような雰囲気を感じた・・というか。

勿論、棋士というのは自由業でもあるし、基本的には全員、純真無垢な子供の頃の個性をあまり損なうことなくそのまま大人になったような人が多いです。それにしても、特に第一人者である羽生善治が軽々と越えていったある意味お約束的な部分、昔の言葉でいえば身を固めるというような部分があまりにも欠けていた・・・ように私には思えたというか。

これは他人の勝手な批判であると思われると困るので付け足すと、同世代からみた、この世代の悪い部分を鏡に映しだされたようで、私はどうにもいい気分がしなかったんですよね・・・。ある種の自己嫌悪に近いです(苦笑)。

それに比べると、中学生の時点ですでに、棋界を背負うことに自覚的であった渡辺明の老成っぷりがすごい。小学生のときに、夏休みは毎日アイス食ってたくせに、すでに大山康晴大名人のようなたたずまいを身につけ、若くして結婚もして、竜王御殿も建てた。あるいは、両親の独立心がその成長に良い影響を与えたであろう戸辺誠プロなどもそういう人間としての成長を将棋にうまく生かした代表でしょう。

それらに比べると、女性に初心そうな三浦弘行。「最新研究を教えて君」をして、「それはいかがなものか」と某氏にNHK将棋講座にかかれてしまうとか・・・。みうみう、それで仕方ないので西日本まで研究にいくようになったり。すごく純情すぎる・・・。

或いは女性にだらしない・・・かどうかはわからないけど、酒には寛容な日本社会としてもやや寛容すぎるきらいがありそうななめちゃん。おそらくは毎晩泥酔するまで飲み続けていたでしょう。勝負で覚醒しすぎた脳みそを強制的にシャットダウンするには仕方ないこととはいえ、徐々に年齢的にそういうのも翌日に影響が出るようになったはずです。

盤石の羽生世代という上蓋を破れずにいるうちに下からもワラワラと若手がやってくる。その若手連中も、もしジェイソンステイサムだったら、Cheeky bastard!って叫びたくなるような奴らなわけです。まるで昔の自分を見ているようだ・・・。もはや自身を若手と呼ぶものはいない。二日酔いのなか、いつもギリギリになるものの、勝負を捨てるわけにはいかない。

死ぬまで、自身があきらめるまで、その戦いの連鎖のなかにとどまり続けるしかない・・・。

なんて、シリアスに考えていたころが、私にもありました・・・(遠い目。

あったんですが、結婚して規則正しい生活をしてみたら、普通になんか勝っちゃったんですよねーというw

もともと、鋭い切れ味・・・を秘めつつも腰の重い、ねちっこい、リスクをギリギリまでとらない、如何にもプロ、っていう将棋を指す行方尚史さん。

その野生の王国のハンターのような、殺し屋のような棋風が結婚を境にして抜群に切れ味を増しました。冗談抜きで結婚後の将棋の棋譜の美しさは当社比200%増しです。200%増しできっと幸せになったんでしょうね。

結婚して幸せ太りもせずに、酒量もコントロールされて(誰に?w)、生活のリズムが規則正しくなって、コンスタントにぶれなく発揮されるようになった実力。もともとの才能はA級八段。天下一品ですからこうなると怖いもん無しですね。

一人で苦悩していた日々がいかに長かったか。必要以上に長かった気もします。渡辺明竜王みたいに、中学生で結婚していれば今頃10冠王だったろうに・・・(竜王は中学生で結婚してませんし10冠もありません、ねんのため)

流石に羽生世代もここからもう一段棋力を高めるという年齢ではありません。米長邦雄がこの年を境にして疲れるようになったなーとつぶやいたと言われる年齢にさしかかりました。棋力の向上ではなく、気力の維持、の世界に入ってきたはずです。

ようやく心技体充実した遅れてきた天才、その年代の出世頭だったはずの行方尚史がついにその才能を開花させる日が来ました。

ここで幸せ太りせず、家庭不和にならず、そして仮に子供が生まれたとしても夜泣きに悩まされず、仮に不動産購入を妻や身内にせがまれてもそれが負担にならず、将棋連盟まで通うのに不都合じゃない距離に買うことができて、あとはなんだろうな・・・羽生世代がまたいい意味で?期待を裏切って必要以上に長持ちせず、あとは渡辺明竜王が突如さらに覚醒して七冠モードとかにならなければ、タイトル獲得、少なくとも挑戦は確実だと思います。

はい、だいぶ前提条件が付きましたけど、この年代・年齢は大変なんですよ。。

長くなり過ぎたので将棋に触れる前にいったんCMでーすw



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居飛車の圧勝劇。タコ殴り再び。第62期王将戦第二局、渡辺明竜王vs佐藤康光王将

いやー強い。強すぎるだろ・・・。という感想しか正直思いつかない。渡辺竜王はタイトル戦で、タイトル戦挑戦者決定戦で、平場で、重賞で、ハンデ戦で、そしてスプリント戦でも羽生世代に勝ちまくっている。

今回、久しぶりの佐藤康光とのタイトル戦で、過去は羽生森内佐藤の三強の中では、最も分が悪い印象があったが、この一局目・二局目を見る限りでは、以前の対局時点よりも相当成長したように思われる。

或いは、佐藤康光王将の趣向が2局とも空振りしているというか。羽生さんと佐藤康光王将の戦いでは、佐藤康光王将の作戦に真っ向からぶつかるような、あえて相手の誘いに乗るような作戦を羽生さんがとることで、瞬間的に佐藤さんの天下が訪れたことがある。(と理解している)。

しかし、この王将戦の二局を見る限りでは、渡辺明竜王の現実的かつ冷静な応手により、佐藤康光王将のある意味変態的な作戦の無理だけがクローズアップされている。

第二局は、後手の一手損角換わり、からのダイレクト向かい飛車だった。正直、トッププロに、長時間の対局でこの手の一手損からの振り飛車が通用するイメージがない。一手損の居飛車系も同じような印象を(糸谷ファンとしては心ぐるしいところだが)、もっているものの、陣形としてのシンプルさというか類型化されすぎているがゆえに、従来戦型での手筋が効きすぎるために、さらに振り飛車型のほうが苦しいと思う。

本局も封じ手局面ではすでに先手に形勢が傾いていたとしても不思議ではない。

封じ手後の展開、桂馬をとらせてから角を引く、という手順はさすがに苦戦を示しているのではないか。手放した角で成果を得られる前にいじめられる展開になっている。本譜の、▲2二銀という飛車取りの手に、逃げずに飛車を切った理由は多分そのあたりにありそう。

普通にやっても結局飛車が隠居して角をいじめられる・・・とみての勝負手ではないか。ただし、本譜の展開でも結局角はいじめられ続けるわけだが。

54手目の歩成りには驚いた。しかしそうするしか手段がないということで、このあたりではすでに先手が大分よさそうに見えた。しかしこのよさそうな局面からの決め方に、各棋士の個性と才能が現れるもので、本局における渡辺明竜王の手順は、これぞ本筋、というようなとても美しいものだった。

こういう決め方を見ていると、やはり渡辺明竜王は、谷川浩司九段のDNAを受け継いでいるなと。羽生三冠による定跡整備のシェアとは違う形ではあるが、終盤のスピード化という技術が後輩にしっかりと継承されているなという風に思う。

これでいきなり表裏とられた佐藤王将だが、まだいわゆるがっぷり四つの将棋で負けたわけではない。ここからの残りの対局でどんどん力を出してくるのが佐藤康光王将だと思うので、ここからフルセットにもつれても全然驚かない。

逆に言うと、ここからも佐藤康光王将を渡辺明竜王がコテンパンにするようなことがあれば、来年の春には三冠王どころか四冠王が誕生しているかもしれない。

羽生三冠と渡辺明四冠という構図。そしてそこからの両者による七冠をめぐる物語がつむぎだされるとしたら・・・と想像するだけでご飯三杯、となるのが、やはり観る将棋ファンとしての歓びだろう。

佐藤康光王将としては次を落とすとさすがに苦しくなるので、次の作戦に注目したいが、どういう作戦をとるのだろうか。角換わり腰掛銀を見てみたい気もするのだが。



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「将棋観戦記」というブログで、プロ棋士の将棋を観戦して思ったことを記しています。棋力はありませんが、将棋観戦の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらい、「観る将棋ファン」を増やすために貢献できればと思います。主に順位戦速報・タイトル戦等、ネット中継されている将棋を中心に将棋観戦記を書いています。棋譜・符号はなるべく用いずに、将棋のルールが分からない人でも、将棋の勝負の面白みが伝わるように努力します。

基本的にはリアルタイムでの将棋観戦中に思ったことを書き溜めつつ、対局終了後の感想を付け加えて、将棋対局のあった翌日の朝7時頃にアップされるように将棋観戦記を予約投稿しています。「一日一観戦記」をモットーにしているので、同日にネット中継が重なった場合は、対局の重要度を個人的に評価して観戦記の投稿日を調整しています。

将棋観戦中に書き始め、対局が終了すると思われるところから観戦記を完成させていることが多いです。文章内の形勢判断は個人的主観によるもので、観戦中の控え室のプロの意見を取り入れず、将棋ソフトの解析を行なっていないため、形勢判断が正しくない可能性があります。

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