電王戦について(その1):対コンピュータ戦の準備とルール

実際に大舞台でコンピュータとの対戦経験がある渡辺明竜王がこのように書いている。

いよいよ詳細が発表されました。
第2回電王戦

棋士側としては練習台をもらえるのか?という点が気になるんですが、事前の決めはないんですね。開発者の方によって貸す、貸したくない、とそれぞれのようでした。
会見でもあったようにソフト同士の対戦は見られるんですが、コンピューター将棋は異質ですから、本番前に実際に動かしておきたいところです。この件についてはこれから詰めるような感じでしたので、追って発表があるんでしょうか。
電王戦。



ここから分かるのは、プロ棋士からみるとコンピュータ将棋は異質である、ということ。実際、渡辺明竜王も対戦前にボナンザと何百局と指したと聞いています。米長邦雄会長もそうでした。

あとは千日手の取り決め。このへんは千日手が引き分けという扱いならば、後手番を受け持つ佐藤慎一プロと塚田泰明プロは千日手を狙う、チェスの後手番のような作戦は取りやすい。

考えてみると、奇数はプロ側が先手を持つのでこの時点で普通に考えるとプロ側に有利なわけである。ただしそうとも言い切れないのが、後手番を受け持つ二人がやや攻めっけの強い、先手番でその強みを発揮しそうな二人であることだろうか。

オール居飛車党で先手を持った三人には期待できるが、後手をもった二人がかわいそうではある。後手番で佐藤慎一と塚田泰明はどのような作戦をとるのだろうか?

塚田泰明プロは後手番では横歩取り的な展開を志向することが多いと思う。相手が振り飛車であれば居飛車穴熊の含みは残す。ただしそれが凄く功を奏している印象もないが。居飛車穴熊の名手、と比べるとやはり棋風的には攻めっけの強い将棋だと思う。

相矢倉になった場合、後手番では攻勢が取りやすい作戦を用いる印象があるがこのへんはコンピュータ将棋が待ち構えるところ。振り飛車で来てもらって居飛車穴熊になった場合にどうにかなるか?という気がするが相矢倉や横歩取りになるとコンピュータの切れ味が活きそうだ。引き飛車相掛かりも人間が勝ちにくいと思う。

佐藤慎一プロは後手番の作戦をどうするのだろう?この人の場合、ちょっと通常の常識は当てはまらないタイプ。競馬でいうと大穴タイプ。古いが競馬でいえばダイユウサク、というタイプ。誰と戦っても五分、という感じ。勝負根性に優れているので、人間は特にに格上の人間はこういうタイプを嫌がる。特に相手がこの漢を知っていれば知っているほどに。

ただし相手はコンピュータなのでそのへんが一切通用しないので苦戦しそうだ。これは申し訳ないがそう思う。将棋的にはリスクの許容度が高いというか、危険な道を通り過ぎる印象がある。故にハマると相手の心理的な思惑も絡んでハマるわけだが、相手がコンピュータであることを考えるとリスクでしかない。

ただし、対振り飛車となれば居飛車党ならではの強みはあるのでコンピュータが振り飛車であることを祈りたいが、塚田泰明プロの対戦相手ともどもに、居飛車定跡での初期設定がされていそうな気がする。

その時に、この佐藤慎一という漢は、飛車を振ってしまいそうな気がしている。特に角交換型の、例の藤井定跡だ。あの作戦を使った場合にそれで勝ちきれるとは私は思わないのだが。角交換型の将棋をCOMに挑むのはかなり危険だ。攻め筋のバリエーションが増えるということはそれだけで脅威なので。

ちょうど米長邦雄会長が△6二玉と指した理由の真逆の展開が待ち受けているといえる。

後手番の相矢倉でと思うが、角換わりに誘導されるとそれこそ計算の世界なので危険。後手矢倉の誘導しやすい局面と角換わり腰掛銀の待機作戦の二本立てで行くしか無いのではないか?と思うのだが…。






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Tag : 渡辺明 コンピュータ将棋 GPS将棋 ポナンザ 電王戦 塚田泰明 米長邦雄

本日!コンピュータ将棋『アマ強力タッグvs最強コンピュータ』

コンピュータ将棋『アマ強力タッグvs最強コンピュータ』
http://live.nicovideo.jp/gate/lv56326905

今日はこれを見ます!



「戦略的なアマトップ合議はコンピュータ将棋に勝てるか?」
元奨励会三段でアマ強豪として知られる古作登氏、平成11年度アマ竜王の篠田正人氏の強力タッグがBonanza・あから1/100と対戦!

対局中、開発者の保木さんはじめスタッフのみなさんに「記者席」からコメントをいただく予定です。コンピュータの形勢判断(局面の数値評価など)普段は目にすることができない舞台裏をお楽しみに。
※対局者にはコメントが見えないようになっています。

■ルール追記
・1局目(対Bonanza)はアマタッグ先手番、2局目(対あから1/100)後手番で対局します。
・イベント進行の都合上、1・2局目ともにコンピュータ側を玉将とし、大盤上部(コンピュータ)・下部(アマタッグ)とします。
・アマタッグの持ち時間は1時間、持ち時間を使い切ると3分の秒読みです。ただし秒読みは目安で、切れ負けはありません。

日時:2011年7月24日(日)9時50分開始予定
※対局開始は10時予定(当初の番組開始予定時刻)です。

場所:電気通信大学 西9号館3階AVホール

<当日のタイムスケジュール>(予定)
  9:50-10:00
   対戦の趣旨説明と対局者紹介(伊藤毅志)
 10:00-12:00
   (第一戦)古作登氏&篠田正人氏 VS Bonanza
 12:00-12:20
   感想戦:Bonanza(保木氏)の思考ログを交えて
    ※対局が長引いた場合、以降の予定が随時変更する場合があります
 12:20-13:50
   昼食休憩
 13:50-15:50
   (第二戦)古作登氏&篠田正人氏 VS あから1/100
 15:50-16:10
   感想戦:あから1/100(保木氏)の思考ログを交えて
 16:10-16:40
   対局を終えて、全体としての感想戦

<対局者紹介>
★古作 登 氏
(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)
★篠田 正人 氏
(奈良女子大学 准教授)


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コンピュータ将棋の将棋倶楽部24でのレーティングは3000点以上か?

結論から書けば、(コンピュータ将棋のトップということで言えば)YESということになりそうだ。ただし3000点以上だとして、どこまで上なのかが分からない。

ここ最近、コンピュータ将棋の棋譜を真面目に見ることが多くなり、その正確な実力、レーティング点について気になり始めた。ただし棋力が伴わないと、なかなか分からない部分はある。羽生名人クラスの人間が高みから眺めれば、その強さの全貌、自身の実力との距離感が見えるだろうが、決して語られることはない。というわけで、この手の与太話はネタが無いときに使い回しが利くので、比較的多投している印象があるのだが、再び掲題の件について以下に記す。

私の現時点の見解としては大まかには「奨励会有段者≒アマトップ群≒女流トップ群≒コンピュータ将棋トップ群」というものなのだが、この「群」という言葉が曲者であり、曖昧にしていると思うので、今回は、「第20回コンピュータ将棋選手権の決勝に残ったソフトの実力はどのぐらいか?」ということについて語りたい。

現在、将棋に関するレーティングというのは大きく分けて4つある。アマ棋界のものと、将棋倶楽部24のもの、プロ棋士に関するヴァーチャルなものと、Floodgateというコンピュータ対戦用のサイトのもの、である。今回はコンピュータの実力の話になるのと、アマ棋界のものは一般人の実名が絡むのでややこしそうなのでアマ棋界のものは割愛することとする。

それぞれが同じロジックで、かつリンクしていると良いのだが、全くの別物なので、それぞれを繋げるための、いわば「ロゼッタストーン」が必要となる。時代が完全には同期していないのだが、実はそれぞれのレーティング制度の橋渡し役となるロゼッタストーン的な仲介者がいるので、それを元に推測しようと私は考えた。ただし、私自身は、数学的・統計的な知識を持たないので、根本的な誤りを含む可能性があるので、酒のツマミの与太話としてお付き合いいただきたい。

プロのレーティングについては、「http://homepage3.nifty.com/kishi/rating.html(内容は素晴らしいがアダルトバナーを含むので職場での閲覧時注意されたし)」にて記されているものが、期待勝率と実際の勝率の乖離についてもそれほど大きくないので、かなり信頼性としては高いと思っている。問題は将棋倶楽部24レーティングだろう。24のレーティング制度では、200点の点差があると、格下が勝つと24点、格上が勝つと8点もらえる。これは即ち、両者の勝敗が3?1でバランスする、格上から見た勝率が.750ぐらいでバランスする、ということになる。

個人的には上位にいけばその信頼性は上がり、寧ろ上手上位になるが、下位ではもう少し勝率が下がるような印象がある。例えば3000点クラスだと2800点にはめったなことでは負けない(9?1か8?2)が、1500点は1300点に負けそう(7?3ぐらい)だし、1000点は800点に負けそう(ヘタすると6?4ぐらい)、という具合である。

そのあたりの印象を裏付ける分析としては、「http://www10.plala.or.jp/greenstone/content1_4.html」があり、やはりバランスしていないようだ。とはいえ、その歪みを考慮しようとすると面倒なので、ここで私は、上記の話に基づき、仮説を一つ置く事にする。

■仮条件1:将棋倶楽部24でのレーティングロジックは上位では正しく機能しているものとして、そのままコンピュータの24における点数の推測に用いる

次にコンピュータの24での戦績について調べた。良く探したわけではないのでもっと新しい情報があるかもしれないのだが、とりあえず私が見つけたのはYSS将棋のページ(http://www32.ocn.ne.jp/~yss/24rating.html)だった。これによると2007年時点でYSS将棋は将棋倶楽部24で、既に2800点ぐらいあったようであり、その年に行なわれた第17回のコンピュータ将棋大会において6-1で優勝している。

第17回以降のYSS将棋の大会成績は以下の通り。

第17回:決勝6-1
第18回:決勝4-3
第19回:決勝1-6
第20回:二次予選:6-3、決勝1-6

第17回当時が2800点だとして、そこからの上昇はどのぐらいだったのだろうか?ここで私は二つ目の仮説をおく。

■仮条件2:YSS将棋の実力は毎年50ptずつ上昇しているものとする。

そうするとYSSのレーティングと大会での成績から、その試合全体のレベル感が推測できると考えた。ただし、これは本当にいい加減な仮説であり、ここを詰められるとすみません、と謝るしかない。とはいえ、全体的なレベルの上がり方はあるにしても、ここ2回における低迷はYSSの上げ止まり感を示しているのではないか?ということで一応の上限値のように思われる3000点手前まで伸びてきていると仮定してみたわけだ。そうするとコンピュータ将棋選手権のレベル感は以下のようになる。

第17回:YSSは2800点、決勝6-1⇒決勝戦のレベルは2500点ぐらい?
第18回:YSSは2850点、決勝4-3⇒決勝戦のレベルは2800点ぐらい?
第19回:YSSは2900点、決勝1-6⇒決勝戦のレベルは3200点ぐらい?
第20回:YSSは2950点、決勝1-6⇒決勝戦のレベルは3250点ぐらい?

さて、現時点のコンピュータ将棋のトップ3ぐらいが3250点クラスだとして、これはプロでいうとどのぐらいの強さに該当するのだろうか?

現時点の将棋倶楽部24において、断片的な情報ではあるが、見聞きしているところによるとどうやら奨励会三段リーグを勝ち抜くものたちのレーティングが3000点ぐらいのようだ。上記仮条件が正しいとすれば、奨励会を抜けてプロになる実力が既にコンピュータ将棋には備わっているといえる。それどころか、仮に3250点だとすれば、3000点クラスとの対戦においては、8割勝つことになる。(将棋倶楽部における250点差の期待勝率は約八割)。

では、新四段に八割勝つというのはどのような実力なのだろうか?奨励会新人棋士はプロの仮想レーティングにおいて1500点台を付与されている。ちなみにこの仮想レーティングは理論勝率と、実質勝率の乖離が10%以内に留まっているので、ほぼ正しいとみてよいのではないかと考えている。(特に2007年の収まりが素晴らしい)。

羽生名人が若手低段者に対して何十連勝もしている話は有名だが、その羽生名人には仮想レーティングで1800点台後半が付与されている。羽生と新人クラス(1500点台)の対戦における期待勝率は(http://homepage3.nifty.com/kishi/kakuritsu/1175.html)をみると、90%以上勝つようだ。

ここで丁度1500点ぴったりの棋士(大平プロ)がいたので、その期待勝率を見てみる(http://homepage3.nifty.com/kishi/kakuritsu/1243.html)。すると、1500点台のプロに八割勝つためにはレーティング点で1700点以上なければいけないことがわかる。

ちなみにこの1700点以上を維持している棋士は棋界全体で17人しかいない。この理論でいくと既にコンピュータ将棋はトップクラスの実力を誇ることになるが、にわかに信じがたい。

一つ考えられることとしては、将棋倶楽部24のレーティングの3000点自体の意味が変わっている可能性だ。宇宙は大きくなり続けている、ではないが、将棋倶楽部24のレーティングも上がり続けている。将棋倶楽部24のトップページに記されている最高点記録の推移を見ると、以下のようになっている。

24最高R保持者(→の後ろは現時点のR点と勝率、勝敗)
04/6/5:3003 dcsyhi→3003 .812 168-39
05/6/29:3010 Aug 02→3010 .664 368-186
05/9/14:3035 Jyuhappo→2964 .682 628-293
06/9/23: 3064 aoba81→2987 .747 354-120
07/2/7:3084 sakitama→2859 .656 942-495
08/2/13:3093 Aleksandros→2979 .553 161-130
08/9/28:3113 H-Paris→3046 .741 438-153
09/3/28:3129 yomoni-→3010 .799 139-35
09/7/26:3172 pameus→3090 .743 335-116

分布をみたわけではないし、それぞれの将棋を比較したことも無いので分からないのだが、04年時点の3000点と、現在の3000点ではその意味合いが変わっている可能性はないだろうか?例えば、以前は殆どがアマチュアだけの母集団だったものが、本格的に奨励会員が参加し始めたのが2005年ぐらいから起こっている、というような。それにより母集団自体の性質が変わり、特に上位クラスの実力、層の厚さが変化したことにより3000点近辺のレベルが「04/6/5:3003 dcsyhi」の頃よりも下がっている、というような。

個人的な意見としては、少なくとも前回のコンピュータ将棋の決勝戦の序盤戦術を見ている限りではプロレベルの将棋ではないと思う。ただし、中終盤は鬼強い。よって先日のネット将棋、大和証券最強位戦での郷田先生の仕掛けからの負け方も微妙な感じだったので、郷田先生をしてああいう不出来な将棋があれば、あの仕掛けに対して後手がコンピュータであっても正確に応じられてコンピュータが勝っていたような気もしなくもない。

コンピュータ将棋が、奨励会有段者レベル、アマトップクラスまで来ていることは既に証明されているが、アマトップとプロトップの手合いが角落ちであることを考えるとまだトッププロレベルまで到達していえるとは考えにくい。現時点の将棋倶楽部24のレーティングでいえば3000点クラスであることは否定しないが、プロ棋士のレーティングにおける1700点台、トッププロクラスというのは無いと思うのだが(思いたいのだが)。

というようなことを暇つぶしに考えている私としては、先週から週刊将棋(http://shogi.mycom.co.jp/)にて始まっている「第2回週将アマCOM戦」については必見だと思っている。これは前回(http://toybox.tea-nifty.com/memo/2006/03/com_3233.html)は「持ち時間の長い1回戦が2?3、短い2回戦が1?4といずれもCOMの勝利に終わった。通算アマ3勝、COM7勝。」だった。


アマ3勝、COM7勝というのは、プロアマの手合いとほぼ同じだ。そういう意味で言えば、既にプロレベルにあると言ってもいいかもしれない。ただし、人間も戦い方が分かってきているはずなので、斬り合いに持ち込まずに長期戦を厭わずに徐々に形勢に差をつけてあげれば、水平線効果による変な歩の突き捨てなどが出てきて、それでも丁寧に受けて…という具合に200手にて人間の勝ち、という状況になるのではないか。

コンピュータと友達になる必要は無いので、どんどん友達をなくす手を指して欲しいところである(既に終わっている対局なので今更欲しいとか書いても仕方ないが)。

というわけで、今週から結果がアマ側の自戦記として掲載される週刊将棋は毎週水曜日発売ですので、お近くのコンビニ・キヨスクなどでお買い求めください(一回戦の結果が載っている5/12号は既に月曜日ぐらいから発売済みです。水曜日発売とありますが、週刊将棋の最も早い発売については「最速は将棋会館にて土曜日の夕方。新宿将棋道場も土曜の夕方にはうられていたかな。」とのことです。(lallapallooza7さん、情報ありがとうございました。)

個人的にもここ5年ぐらいは買っていなかったのだが、将棋世界がマイコミから出版されるようになったということは、内容の被り(が出ないようにすること)を双方でより意識するようになっている可能性があるのかな?という気がしているので、とりあえずこの5週間は購入してみて、そこから定期購読について検討したいと思っている。

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【追記】
5月11日の朝に週刊将棋を購入し、早速読んでみたのだが、そのなかであっさりコンピュータ将棋のレーティングについての記述があった。floodgateでの激指のR点とfloodgateが将棋倶楽部24と比べてどうなのか?について。その話と上記はそれほど相違なく、あとはfloodgateと、将棋倶楽部24と、プロ棋士の仮想レーティングの整合性だけの話になりそうだ。リンクしているのだとすれば、既にトップクラス級の実力があるということになるのだろう。

とはいえ、本当なのかどうかはまだよく分からないので、そして週刊将棋のアマCOM第二戦の結果は参考になるはずなのでこれからしばらくは購入したいと思う。

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