【盤外戦術その5】絶対ダメ!>< でも案外有効な本当の盤外戦術

ようやく当初のスケジュールである毎週土曜日に戻りました、「盤外戦術」シリーズ。早くもその5まで来ました。ちなみに過去の4つはジャンルを新設したので「盤外戦術」からご覧頂けます。

それ以外にやることが何も無い…という時にでもご覧下さい。

さて、第五回にして「本当の盤外戦術」について書きたい。これはやるべきではないのだが、やられたせいでクラクラして考えられなくなった経験が誰しも一度や二度はあると思う。

プロの先生ぐらいに人間が出来てくるか、殺戮マシーンとしての訓練がゆきとどいている場合は、無感情に相手を屠ることが出来るかもしれない。ちょうど、エメリヤーエンコ・ヒョードルのように。

アマで愉しむための将棋である殆どの人にとっては、そういう境地にいたることは難しいし、お互いが愉しくないと、自分も楽しめないので結局は自分が損することになる。

よってやってはいけない。しかし、どういうものがあるのかというのは知っておいてもいいだろう。

1.タバコ
これは最近の道場ではなかなか見られなくなったが、昔は殆どの道場が喫煙可であり、殆どが喫煙者であり、非喫煙者には大変辛いものだった。もしあなたが喫煙者なのであれば、そして喫煙可能な場所での対局であれば、これは十分に盤外戦術として機能する。

囲碁棋士の張栩プロが書かれた名著「勝利は10%から積み上げる」にこれに類することが書かれていて驚いた。

張栩プロ曰く、喫煙者の高段目上の棋士がタバコを吸いまくり、部屋の中が文字通り煙で充満していた。季節は真冬で窓をあけることができない。しかし意を決して、窓を全開にし、驚いた年上の棋士に怯むこと無くその対局にも勝利したという。


2.三味線
口三味線を弾く、とか或いは「シャミ」と略したりする。厳密な意味は分かりませんが、私の実感としての意味は相手を惑わすような言葉を発すること、というようなニュアンスでしょうか。

将棋の三味線において最も有効なのは「自分が劣勢であることを主張する・仄めかす」ということだろうか。優勢な時には三味線を弾く必要はなく、ひたすらに正着を指せば勝てるわけだが、劣勢においてはベストを尽くしても相手が間違ってくれなければ意味が無い。

こういう場合の三味線には相手を油断させる効果が期待されている。いわゆるボヤキを多発し、死んだふりをして、起死回生の一発を食らわせる。いわゆる死に馬キックである。

リアル道場だけではなく、これは将棋倶楽部24においても有効であり、普段はチャットが行われることは殆どないはずだが、苦戦しはじめた瞬間に呟く人がごく稀にいる。

あと面白いのは難しいがややどちらかがリードしているかな?ぐらいのところで「私は元々はn段だった」と呟く人にあったケースもある。その元n段の信用力で脅していたのだろうか。とても面白く感じたことを覚えている。

相手がチャットしてきたときに、善良な人は思わず返事をしなくては…と思う。実際にするかどうかは別として、やや意表を突かれ、その判断を迫られる。もしタッチタイピングができないのにチャットにお付き合いしてしまった時には…。

その他に、三味線の珍しい例としては「賛美歌を歌う」、持ち時間が無いのに「後何分?」と聞き続けるというものもあるがこれはかなりの高等テクニックなので文字通り素人にはオススメできない。


3.ラフ・プレー
これはネット対局ではない部分であり、実際に道場にいかないとナカナカ分からないかもしれない。…と思ったが、あった。「基本的には成る」ところを「不成」にあえてする、挨拶をしない、等がこれに該当する。

相手が先手番で、挨拶無しに角道をあけ、貴方は挨拶をして角道をあけ、相手が▲2二角不成としたときに、心情的に何ら変化が起こらないという人は「さかなクン」さんレベルの聖人君子だろう。

リアル対局で効果的なラフ・プレーは「駒をぐちゃぐちゃにならべる」「持ち駒を握る」「持ち駒を駒台の上で重ねる」「相手の長考中に持ち駒でドミノ倒し」「相手が指し終わる前に指すどころか、指す気配で指し終える(手が交差どころではなく)」「素早く二手指す」「しれっと待った」「常に両手で指す」「交互に右手左手で指す」「手離れが悪い」「常に空打ち&強い駒音」等がある。(反則を含むが…)。

ちなみに麻雀では強打禁止の雀荘が殆どだが、将棋センターではそれほどうるさく言われないように思う。

また、「しれっと待った」は何も言わずにこちらが考えていると手を変えるおじいちゃんがたまに居る。だいたいは十秒以内だが、面白くて吹いてしまったこともある。(私は基本咎めない。手が離れて躊躇した場合もどうぞ、という)。

私が知るレアケースとしては「しょっちゅう脚を組み替える癖があり、その脚が何故か毎回よく相手に当たる」「時計をたたきながら徐々に自分のほうに寄っていく」「空咳のつもりが痰が(以下略」という方々もいたように記憶する。あとは袖で落ちた盤上の駒が持ち駒になって詰んだ、とか。


人間同士の勝負は面白いのだ、というときには多少は上記のような要素が含まれていてもスパイスとなっていることがあるようにも思う。もちろんスパイスなのでその分量を誤るといけないわけですが。


ひっかけ将棋入門―たちまち強くなる (1979年) (ワニの本―ベストセラーシリーズ)

この本には別の似たような盤外戦術が紹介されています。元真剣師だけに説得力があります。

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